小型スパコン

読み方 : こがたすぱこん

小型スパコンとは

NECが2017年度に出荷を予定している次世代スーパーコンピュータ。研究室やオフィスにも設置できるようにきょう体を小型にする。スパコン市場のすそ野を広げる狙いがある。

スーパーコンピュータ(スパコン)と聞くと、同じ外観の大型ラックが何十台、何百台と広いスペースに整然と並んでいるイメージを思い浮かべることだろう。しかし2年後の2017年には、そんな従来のイメージが劇的に変わっているかもしれない。NECが、研究室やオフィスの片隅にも設置できる“小型スパコン”の開発に乗り出したからだ。

仕組み:畳サイズまで小型化

小型スパコンの開発プロジェクト名は「Aurora(オーロラ)」だ。NECはこれまでも「SXシリーズ」の製品名でスパコンを開発・販売してきた。最新機種は「SX-ACE」で、2014年7月に出荷を開始した。Auroraは、このSX-ACEの後継機種として開発が始まった。2017年度の出荷を目指している。

NECは、Auroraを最小構成で畳1枚分のスペース(1m×1.8m)に設置できるようにする計画である。ただし小型にしても、処理性能はこれまでのスパコン並みを維持する。

畳1枚分のスペースに設置したAuroraの処理性能は、会議室ほどのスペース(7m×8m)に設置した最新機種のSX-ACEと同等になる予定である。消費電力を大幅に引き下げることで、会議室サイズの最新機種が240kWであるのに対し、畳サイズのAuroraは20kWに抑えられる見通しだ。

実現のため、NECは半導体の微細加工技術を活用する。プロセッサのサイズを変えることなくコア数を増やしたり、データを供給するメモリー帯域を広げたりすることで、設置面積当たりの処理性能を高める。微細化は、省電力化にも大きく寄与できている。

動向:中小企業の活用を後押し

小型スパコンの登場で、これまで設置が困難だった場所にもスパコンが入り込めるようになる。しかも、これまでのスパコンの価格が最低でも億単位だったのに対し、Auroraは最小構成で数百万円からと格安に設定される予定。導入のしやすから、スパコン市場のすそ野が大きく広がりそうである。

期待される適用領域の1つがビッグデータ分析である。今や財務に関わるデータだけでなく、顧客の行動や嗜好に関わるデータ、商品の販売データ、自社製品の稼働データ、セキュリティーに絡むデータなど、ありとあらゆるデータが分析対象になっている。スパコンを使うことで、多種多様なデータを一括して高速に処理できるようになるだろう。

特にAuroraは「ベクトル型」と呼ばれる演算方式を採用しており、映像や画像に関わるデータを高速に処理できる。監視カメラや顔認証といったセキュリティー分野や、医療診断装置や電子カルテなどを扱うメディカル分野などで、これまでのサーバーから小型スパコンへの置き換えが進むかもしれない。

流体シミュレーションの演算処理も得意なため、ものづくりに強みを持つ中小の製造業での活用が進みそうである。

出典:ITpro「今日のキーワード」(C)日経BP社

[2015年10月19日 公開]