BIMで設備工事のプレハブ化を推進

管工機材の専門商社がBIMによるプレハブ化に挑戦。加工図の内製で、リードタイムの大幅短縮を実現

粟井機鋼株式会社 導入事例

卸売・小売業、飲食店101~1,000名製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

建設現場の人手不足が深刻化する中、設備工事のプレハブ化はその解決策の一つとして注目されている。管工機材の老舗商社である粟井機鋼はBIM推進事業部を立ち上げ、プレハブ化という新たなニーズに対応。CAD経験ゼロのメンバーによる挑戦は、ユーザーフレンドリーなツールの助けもあり、大きな成果につながっている。

  • BIM推進
  • 業務効率の向上
  • リードタイム短縮
  • 事業価値の創造

粟井機鋼株式会社

導入先の概要

業種
卸売り・小売業
事業内容
配管機材・設備機器の総合商社
従業員数
220名(2022年12月現在)
ホームページ
http://www.awai.co.jp/

導入の狙い

  • 設備工事のプレハブ化を推進したい
  • 工場側のリソース不足に対応したい

解決策

  • 設備専用3D CADを導入し、施工図を基に加工図を内製で展開する

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
BIM対応建築設備専用CADRebroお問い合わせ

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粟井機鋼株式会社 導入事例(PDF:3,963KB)

導入事例詳細

創業70年超の老舗商社が、新たにBIM事業に挑戦

廣瀬 惇志氏

BIM推進事業部 事業部長 廣瀬 惇志氏

粟井機鋼株式会社は、管工機材、住宅設備機器の専門商社だ。同社が大阪で創業したのは1935年のこと。1958年の東京支店開設を機に、拠点網の整備をスタート。今日では、北は札幌から南は鹿児島まで12拠点を展開し、日本全国の建設工事現場に必要な管工機材、住宅設備機器をいち早く届けられることは同社の大きな強みの一つになっている。その歩みを、BIM推進事業部 事業部長の廣瀬 惇志氏はこう説明する。

「創業以来、諸先輩方による大手メーカーの代理店権獲得や、地域有力販売先への販路拡大など、困難な課題に向き合い乗り越えたことが、今につながっていると聞いています。こうした成果にこだわり粘り強く取り組む姿勢が、私たちの強みなのではないかと考えています」

同社の取り扱いメーカーは約800社に上る。売り上げの約8割は2次代理店への卸販売で、約2割が大手設備工事会社などへの直販で占められる。こうした中、新たな課題として浮かび上がったのは、BIMを活用した設備工事のプレハブ化への対応だった。

近年、建設現場が直面する人手不足の解決策として、事前に工場で部材の加工や組み立てを行うプレハブ化が注目されている。特に消火配管などの鋼管の場合、このプレハブ化によって難易度が高い屋外での加工作業を最小限にとどめることが可能だ。

だがその一方でプレハブ化は、工場側の負荷増大に直結する。協力工場と二人三脚で鋼管のプレハブ化に取り組んできた同社が直面した課題もそこにあった。社内リソースの確保が難しいという理由で工場側が白旗を上げたのだ。この状況を受け、同社が決断したのが施工図データから加工図への展開プロセスの内製化だった。その役割を担ったのは廣瀬氏がリーダーを務めるBIM推進事業部(当時の名称は東京CADセンター)だった。

専門商社だからこそ、BIMに取り組む意義がある

同社は2018年6月に開始したBIMの本格運用に合わせて、BIM対応建築設備専用3D CAD『Rebro』を導入した。協力会社で実績があったことが導入のきっかけだったという。

「当初は私が一人で施工図から加工図を展開するためのマニュアル作成に取り組みました。実は私自身、設計やCADの仕事は未経験でしたが、『RebroはUIが優れているというのが第一印象で、3Dということもあり、基本的な図面の見方さえ分かれば操作法を理解することは特に難しくありませんでした」(廣瀬氏)

だが業務プロセスを理解することと、実際に加工図を展開する苦労は同じではない。BIM推進事業部が主に取り組む消火配管のプレハブ化の場合、ビル1棟分の配管を請け負うことになるため、プレハブのピース(部品)は膨大な数に及ぶ。煩雑になりがちな作業の省力化のため、廣瀬氏が考案したのは、部材情報が含まれたBIMデータからCSV形式で出力したデータを、Excelで作成したテンプレートに取り込み、各ピースの数量を自動で算出管理するという方法だった。

「『Rebro』側が各部材の加工代に関するデータまで保持していることが、施工図から取り出したデータがそのまま使えてしまう理由です。自分で調べて入力したのもゼロではありませんが、デフォルトの状態でも十分使えます。最初は、『この作業はいつ終わるんだろう』という気持ちにもなりましたが、Excelで管理するようになってからはかなり楽になりましたね。他社のソフトウェアであれば、それは難しかったと思います」(廣瀬氏)

廣瀬氏が当初一人で作業のマニュアル化に取り組む中、強く感じたのは、商社の立ち位置でプレハブ化の一工程を担うことの意義だった。

「鋼管加工は継ぎ手の種類や工法上の制約も多く、絵が描けても実際に施工するのは不可能であることが少なくありません。また、一般的な建築CADの場合、実際には施工できない図面が描けてしまうのが実情です。しかしわれわれであれば、BIMデータ上で問題点を発見しこれはできませんよと即座にレスポンスを返すことができます。管材商社であるわれわれの加工図展開を手掛ける試みが見事にはまった理由の一つはこのあたりにもあるのではないでしょうか」(廣瀬氏)

UIが優れている『Rebro』は、基本的な図面の見方さえ分かれば操作法を理解することは特に難しくない

UIが優れている『Rebro』は、基本的な図面の見方さえ分かれば操作法を理解することは特に難しくない

BIMデータからCSV形式で出力したデータをExcel上でテンプレートと突き合わせ、各ピースの数量を自動で算出管理している

BIMデータからCSV形式で出力したデータをExcel上でテンプレートと突き合わせ、各ピースの数量を自動で算出管理している

マニュアルを整備し、誰でも加工図を作成可能

BIM推進事業部のプレハブ化は現在、以下の手順で行われる。第一段階は、顧客の大部分を占める消火配管の設備工事会社から受け取った施工図データに基づき、配管を加工可能なピースに分割して加工図を展開するプロセスだ。加工図は協力工場に送られ、そこで加工された製品が『Rebro』からプリントアウトした部材番号図と共に現場に納品される。部材番号図は施工図の各ピースに番号が割り振られた図面で、これを参照することで、現場でスムーズに作業を進めることが可能になる。

「現状では設備専用3D CADソフトは『Tfas』が主流で、その場合、中間形式を経由した変換プロセスが必要になります。とはいえ部材情報など、変換によってもれ落ちるデータが洗い出せれば変換作業自体は問題なく行えます。また、拾い機能を利用することで部材の積算もスムーズに行えます」と説明するBIM推進事業部 CADセンターの眞田 大雅氏は2021年に入社後、大阪での研修などを経て配属されたのが同部署だったという。

眞田 大雅氏

BIM推進事業部 CADセンター 眞田 大雅氏

山中 奈津江氏

BIM推進事業部 CADセンター 主任 山中 奈津江氏

全員がCAD未経験から始まったBIM推進の取り組み

BIM推進事業部のメンバーは現在5人。全員がCAD未経験者だった。戸惑いのようなものはなかったのだろうか。新事業立ち上げから間もない2019年に参画したBIM推進事業部 CADセンター 主任の山中 奈津江氏はこう振り返る。

「私の場合、以前は管材の営業事務を担当していました。画像処理などのデジタル作業がもともと好きだったこともあり、異動への抵抗は特になく、むしろこれまで取り扱ってきた商材が実はこんな場所で使われていたんだという面白さがありました。また、新しいことに取り組んでいく中で、廣瀬の頭の中にでき上がりつつあった業務プロセスをマニュアルとして整備することが私の役割になりました」

マニュアルは廣瀬氏からの説明の都度、忘れないよう記録してあったメモ書きをスクリーンショットとともに手順に応じて再構築する形で整備したという。

配管工事のプレハブ化では、BIMに未登録の部材が多いことも課題の一つだ。その改善に向け同社が行ったのは、独自に作図した図形や他形式ファイルから取り込んだ図形を部材登録するRebroのユーザー部材機能の活用だった。

「未登録パーツのデータ化は、メーカー公表データに基づき、私自身が行いました。製品の実際の色に近づけることもできるためお客様からも好評で、取り合いの確認などの際にも『とても分かりやすいね』という評価をいただいています。またデータ登録は製品精度の向上という観点でも大きな役割を果たしています」(廣瀬氏)

サブセット登録の活用も注目したいポイントだ。登録名称の共通化はBIMの課題の一つだが、同社は『Rebro』のサブセット登録機能を活用することで別名で管理されるデータのスムーズな変換を実現している。

加工業者との合意形成を図るため、さまざまな角度を用いてピース単位の加工図を作成している

加工業者との合意形成を図るため、さまざまな角度を用いてピース単位の加工図を作成している

製品の実際の色に近づけるなど精度の高いパーツ情報を蓄積し、取り合いの確認などの際にも分かりやすく合意形成がはかどっている

製品の実際の色に近づけるなど精度の高いパーツ情報を蓄積し、取り合いの確認などの際にも分かりやすく合意形成がはかどっている

ニーズを追い風に、前年比170%の伸長を実現

導入効果としてまず挙げられるのは、BIM関連事業の伸長であることは間違いない。同社の決算期は1月だが、2023年の決算においてBIM推進事業部の売り上げは前年比170%に伸長した。その背景にあるのがプレハブ事業の伸長だ。

「従来の設備工事3D CADは平面図や断面図しか出力できませんが、『Rebroはアラウンドビュー機能により、自由に角度を変えて図面を作成することが可能です。必要に応じて画面をプリントアウトすることで、合意形成がよりスムーズに行えるようになったことは間違いありません」(眞田氏)

リードタイムの大幅な圧縮も導入効果の一つである。

「プレハブに取り組む中であらためて実感したのが、加工図を作成する機能に対する需要の大きさです。当社が自社にて作図することで、協力工場の業務負荷を軽減し、比較的短いリードタイムで製品を納めることができています。時期や物量にもよりますが、通常だと2週間以上の納期がかかる依頼を、1週間で納品できたという事例もあります」(廣瀬氏)

今後の課題として同社が掲げるのは、建設業界が直面する人手不足という課題解決への貢献だ。

「設備工事におけるBIMの出遅れが指摘されることは少なくありませんが、その背景には部材登録の遅れという課題があります。標準化がゴールであることは間違いありませんが、その過程において、正確な商品知識を備える当社のような立ち位置からBIMに積極的に参画することは大きな意味を持つと考えています」(廣瀬氏)

大塚商会担当者からのコメント

「粟井機鋼株式会社様の事例では、状況に応じた契約プランの最適化を提案しました」

粟井機鋼株式会社様は、BIM事業が軌道に乗るタイミングで、当初ご契約いただいた1カ月単位のレンタルプランからより有利なネットワーク版ライセンスへの移行をご提案した結果、コスト面でも大きなメリットが表れた事例です。

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  • 印刷して稟議書に添付して
  • 印刷して会議資料に

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粟井機鋼株式会社 導入事例(PDF:3,963KB)

  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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