『Azure OpenAI(ChatGPT)』を全庁導入

セキュアに生成AIを活用するため、『Azure OpenAI(ChatGPT)』を採用。さらなる行政サービスの向上に期待

栃木県 導入事例

官公庁・自治体1,001名~製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

積極的にDXを推し進める栃木県は、職員の業務効率改善と行政サービスの品質向上を目的に、『Azure OpenAI(ChatGPT)』を全庁導入。行政として必要なセキュリティ要件を満たす環境を約半年で整えた。安心できる利用環境の下、活用の幅を積極的に広げていく方針だ。

  • 業務効率の向上
  • 生産性向上

栃木県

導入先の概要

業種
地方自治体
事業内容
県行政
職員数
4,396名(一般行政部門 2022年4月1日現在)
ホームページ
https://www.pref.tochigi.lg.jp/

導入の狙い

  • 職員の業務効率を改善したい
  • 行政サービスの品質を向上したい
  • 行政が守るべきセキュリティ要件を満たしつつ『ChatGPT』を利用したい

解決策

  • 『Azure OpenAI(ChatGPT)』を導入し、業務効率化と行政サービス品質向上を図る

導入したメリット

導入システム

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生成AIソリューションAzure OpenAI(ChatGPT)お問い合わせ

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栃木県 導入事例(PDF:3,187KB)

導入事例詳細

栃木県庁のDXをリードし、デジタル人材の育成に取り組む

経営管理部 行政改革ICT推進課 課長 江連 芳幸氏

栃木県は、県民に対する行政サービスの品質向上のため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進している。窓口に行かなくてもオンライン上で申請手続きや支払いができるサービスや、県民からの質問に対して自動応答できるAIチャットボットサービスなど、デジタル技術を活用した利便性の高いサービスを県民に提供してきた。

一方で職員の業務を効率化する庁内DXにも積極的だ。

「業務が効率化されればその分時間の余裕が生まれ、県民に提供する行政サービスの質が向上します。その意味で、県民向けDXと庁内DXは同じゴールを目指していると言えます」と語るのは、庁内DXを担当する経営管理部 行政改革ICT推進課 課長の江連 芳幸氏である。

DXを加速させ、より質の高い行政サービスの提供を目指すために同課が進めているのがデジタル人材の育成だ。令和9年度までに、デジタル技術を活用して業務改革を積極的に実行する「デジタルスキップ(『スキップ』はスキッパーの略称。DXをけん引する人材)」900名の育成を目指している。

「900名という規模は全職員の約20%に当たります。各部局のDXをけん引するリーダー役を担ってもらい、栃木県のDXの底上げを図ります」と江連氏は期待する。

デジタルスキップ育成初年度となる令和5年度は、100名の募集に対して約300名から応募があった。DXに対する職員の当事者意識の高さがうかがえる。

業務効率効果を確かめるため、『ChatGPT』の試験運用を実施

栃木県は以前から「働き方改革プロジェクト」を進めるなど、業務効率向上や職員の働き方改革を推進してきた

行政改革ICT推進課は、職員の働き方改革などを推進するために、これまでさまざまな施策を検討して必要なソリューションを導入するなど施策を実現してきた。

その施策の一つとして、2023年度に導入を検討したのが生成AIである。「プロンプト」と呼ばれる質問や指示に対して、インターネット上で収集した情報を基に文章や画像、音楽、プログラムコードなどを自動作成する生成AIは、2022年の『ChatGPT-3.5』(以下、『ChatGPT』)の登場によって、たちまち世間から注目されるようになった。

経営管理部 行政改革ICT推進課 デジタル行政担当 課長補佐 猿山 浩臣氏

人間が書いたように自然な文章を生成できるだけでなく、『ChatGPT』を使えば膨大な資料の要約や文章の校正などもスピーディーにできる。その機能を活用すれば業務効率化や新たなアイデアの創出につながるのではないかという期待が高まり、実際に『ChatGPT』を試験運用する企業も現れ始めた。

常に最新情報にアンテナを張っている行政改革ICT推進課でもかなり早い段階で『ChatGPT』の可能性に着目していた。

「2022年後半に登場した時点で、業務を大幅に効率化でき、行政サービスの向上にもつながる革新的技術かもしれないという感触は持っていました」と話すのは、行政改革ICT推進課 デジタル行政担当 課長補佐の猿山 浩臣氏である。

知事・副知事からの指示でいち早く運用をスタート

栃木県庁本館1階ロビー。栃木県マスコットの「とちまるくん」や栃木県の魅力を発信する展示コーナーが設置されている

2023年度に入ると、『ChatGPT』を実業務に導入する企業の動きはさらに広がり、全国の自治体でも導入が検討され始めた。そうした中、先陣を切って『ChatGPT』の試験運用をスタートさせた自治体の一つが栃木県である。2023年4月末から5月中旬までの約2週間、庁内の複数部局で試験的に『ChatGPT』の利用を開始した。

栃木県がいち早く『ChatGPT』の試験運用に踏み切ったのは、知事・副知事から早々に指示を受けたことが大きかった。2023年4月、同県の福田 富一知事は、「『ChatGPT』のメリット、デメリットを把握し、どのような業務に利用可能か全庁的に検討するように」と指示を出した。これを受けて各部局の担当者を集めた会議が開かれた後、試験運用の実施が決定したのだ。

「知事を筆頭とする上層部がデジタル活用の必要性に深く理解を示していることが、試験運用の早期実施に結び付いたのだと思います」(江連氏)

本格導入を見据えてセキュアな利用環境を選択

4月末からの試験運用実施が決定すると、行政改革ICT推進課は利用方法などについての説明会を実施。その後、約2週間にわたった試験運用は、『ChatGPT』がどのような業務に利用できるのか、実際に業務効率改善が見込めるのかなど、職員からの意見を募ることが目的であった。

いわば調査・研究のための試験運用だったが、「一定の効果が期待できる」という感触を得た同課は、調査・研究結果を上層部に報告。これを受けて栃木県は5月下旬、『ChatGPT』を実際の庁内業務に採り入れる方針を最終決定した。同課は指針となる職員向けの利用ガイドラインを作成。『ChatGPT』に個人情報や機密情報を入力しないことや、生成内容が著作権を侵害していないか確認することなどをまとめて策定した。

6月からは本格導入を前提とする2度目の試験運用を開始。この試験運用のために導入したのが、生成AIソリューション『Azure OpenAI(ChatGPT)』である。

大塚商会のサポートでスピード感を持った導入が実現

『ChatGPT』本格導入に当たり懸念されたのが、情報流出などのリスクだ。そこで、同課は導入実績のある大塚商会に相談。本格導入も念頭に置き、行政が守るべきセキュリティ要件を満たしながらChatGPTを利用できるAzure OpenAI(ChatGPT)の全庁導入を決定した。

行政機関として生成AIを活用するためには、遵守(じゅんしゅ)すべきセキュリティ要件をクリアするとともに、県民に対して責任あるAIサービスであることが不可欠でした。大塚商会さんには我々の意向をくんだ最善のソリューションの提案と、スピード感を持った導入支援をしていただきました」(江連氏)

作業時間の短縮を実感、より効果的な活用を目指す

経営管理部 行政改革ICT推進課 デジタル行政担当 主査 佐藤 哲治氏

二度目の試験運用は業務用端末を持つ全職員を対象とし、それぞれの業務で『ChatGPT』をどのように使えるのかを試した。

「県民向けの通知文や案内文、スピーチ原稿の作成、公文書の校正をはじめ、アンケートの選択項目の作成、県のイベントで配布するノベルティグッズのアイデア出しなどにも活用する職員もおり、アイデア次第でさまざまな活用方法があることが分かりました」と総括するのは、行政改革ICT推進課 デジタル行政担当 主査の佐藤 哲治氏である。

業務効率の改善についても、一定の成果が表れた。「従来は1~2時間かかっていた作業が10分程度で済ませられるようになった」「作業時間が体感で3分の1程度に短縮された」という職員の声が少なからず出てきたのだ。

効果的な活用に向けて庁内でもサポートを行う

二度の試験運用を終え、その後2カ月余りの構築期間を経て、栃木県は2023年9月8日に『Azure OpenAI(ChatGPT)』の本格運用を開始した。

効果的な活用を促すため、行政改革ICT推進課はさまざまな工夫を凝らしている。例えば、生成AIのアウトプットの精度にはプロンプトの内容が大きく影響する。二度の試験運用の結果からもそのことは明らかだったので、プロンプト例を作成。さらに、『Azure OpenAI(ChatGPT)』起動時、メイン画面とともにプロンプト例を記載したテキストファイルをポップアップさせる仕組みを実装した。

「生成AIのアウトプットの精度を高めるには、どのように質問を投げ掛けるかが何よりも重要です。コピー&ペーストできるプロンプト例がポップアップで表示される仕組みを作れば、より効果的な活用が期待できるのではないかと以前から考えていました。プロンプト例は段階的に数を増やしており、現在は八つのプロンプトが表示されるようになっています」と佐藤氏は説明する。

このほか、同課は職員向けのイントラネットで公開される庁内通信でAzure OpenAI(ChatGPT)の効果的な利用方法を紹介するなど、活用の促進と効果拡大を支援しているという。

実際の『Azure OpenAI(ChatGPT)』利用画面。プロンプト例が記載されたテキストファイルがポップアップで表示されるため、活用によってより精度の高いアウトプットが期待できる

作成中の「庁内通信」の内容を確認する様子。『Azure OpenAI(ChatGPT)』の効果的な利用方法を分かりやすく紹介している

江連氏は、「今後、各部局で活躍することになるデジタルスキップにも、部局内で『Azure OpenAI(ChatGPT)』の活用を促す役割を担ってもらいたいと思っています。人口減少によって、将来は職員確保が困難になると見込まれますが、生成AIの活用によって人員不足の課題をカバーしつつ、行政サービスの品質を向上していきたいです」と話す。栃木県の先進的な取り組みは、他の自治体にとって『Azure OpenAI(ChatGPT)』の業務での効果的な活用モデルとして注目されそうだ。

大塚商会担当者からのコメント

「自治体での効果的な『Azure OpenAI(ChatGPT)』利活用をご支援します」

栃木県様は財務規則やマニュアルなど庁内文書の検索にも生成AIが利用できないかと考えておられます。自治体での生成AI活用の参考となるお取り組みの実現に向けて、今後も支援を続けていきます。

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