販売管理システムを『SMILE』に刷新

「全国の同業者が共同出資する日本オーナメント株式会社（JOC）に出資しており、メンバー企業同士による共同集中仕入れ、市場調査と商品開発、販売促進などのメリットを享受しつつ事業を拡大してきました。宮城県内に本社を置くインテリア内装資材商社は数が少なく、地元の内装工事店向けに地域密着型のサービスを提供しています」と語るのは、仙台オーナメント株式会社の2代目で、2019年に代表取締役に就任した佐藤 嘉郎氏である。

取り扱うインテリア内装資材は10万点以上にも及ぶ。業界最大手である株式会社サンゲツ（以下、サンゲツ）のほか、一流メーカーとの取引が多く、「今日中に届けてほしい」といった顧客からの急な注文にも、メーカーとの緊密な連携によって柔軟に対応できるのが同社の強みだ。社員数は、佐藤氏を含めて現在10名。少人数の体制ながら、取引先からの多岐にわたるさまざまな注文にしっかりと応えている。

2011年の東日本大震災発生直後は国内全体がそうであったように、一時的に業績が落ち込む影響を同社も避けられなかったという。しかし、その後の“復興需要”などもあり、事業は堅調に拡大している。「これまでも宮城県を中心に置いて、地元密着型でお客様と向き合ってきました。これからも、地元の皆さんの快適な暮らしを応援するために、良いサービスを提供していきたいです」と佐藤氏は語る。

「注文を受けると、FAXの内容や電話のメモ書きを販売管理システムに手入力し、発注の際も、FAXに書き込んだ内容を入力するというアナログな手作業を行っていました。システムと受発注の仕組みが全く連携しておらず、受注管理と請求書を発行することなどがシステムの主な使い道でした」と明かすのは、同社で事務を担当する半田 久美子氏である。

注文は1日に数十件届くので、発注のたびにその内容を手書きし、FAXで送るというのはかなりの作業負担である。そこで佐藤氏は、販売管理システムに入力した注文内容をそのままオンラインでメーカーに発注できるようになれば、メリットは相当大きいと考えた。

国によるIT補助金が受けられると分かったことも、佐藤氏の決断を後押しした。仙台オーナメントが導入を決定すると、大塚商会はすぐに補助金申請もサポート。申請手続きはスムーズに進み、短期間で補助金を受けることができた。

佐藤氏は、「数多くのITソリューション導入を支援している大塚商会さんだけあって、サービスのレベルが非常に高く、頼もしさを感じました。サンゲツからの紹介で導入支援をお願いしたのですが、頼んでよかったと思います」と評価する。

マスター登録が完了し、『SMILE V 2nd Edition 販売』が本稼働したのは2023年6月。稼働してからそれほど時間は経っていないが、仙台オーナメントの社員たちは早くも導入の効果を実感しているようだ。

「オンラインで発注できるようになったおかげで、商品を受け取るまでの待ち時間が大幅に短縮されました」と語るのは、課長の湊 和也氏である。

顧客からの納期の希望はケース・バイ・ケースだが、時には「今日中に届けてほしい」という急な注文を受けることもある。以前はすぐメーカーに発注のFAXを送り、宮城県内にあるメーカーの物流センターで商品を受け取って顧客に届けていたが、物流センターで30分近く待たされ、その分、顧客に届ける時間が遅れることも珍しくなかった。

「FAXによる発注だと、メーカー側のシステムに登録されるまでに時間がかかるので、受け取りにも時間がかかるのです。オンライン発注に変わったおかげで、発注データがメーカー側のシステムにダイレクトに登録されるようになり、商品受け取りの待ち時間が30分から10分程度に短縮されました」と湊氏。また、以前の販売管理システムでは顧客ごとの商品単価が登録できず、毎度紙のファイルを開いて調べていたが、「今は登録された顧客マスター、商品マスターをもとに単価の一覧表が表示されるので、非常に助かっています」（湊氏）

一方で半田氏は「FAXからオンライン発注に変わったことで、ペーパーレス化もかなり進みました」と評価する。佐藤氏は、「成果は着実に上がっているので、これからも積極的なIT投資を行っていきたい、期待しています」と語った。