公認会計士・税理士
税理士法人ファーストライン 代表社員
増田 卓也(ますだ たくや)
大手監査法人にて、金融機関・外資系金融機関、製造業などの会計監査に従事した後、税理士法人ファーストライン代表社員に就任。現在、金融機関の会計監査の経験を生かし、中小企業や個人事業者を対象とした税務顧問、資金繰り改善支援、経営支援に従事している。
譲渡権つきリースは、リースとして初期の導入コストを抑えることができ、またリース期間後には、その製品を自社のものとすることができるものです。その場合の経理処理についてご紹介します。
[2023年 9月20日公開]
譲渡権つきリースとは、リース期間が満了し、かつリース料の支払いが完済した時に“リース契約の対象物件の所有権が賃貸人から賃借人に移転するリース”です。
リース契約は大きくは以下の3種類に分類され、「譲渡権つきリースは“所有権移転リース取引”に分類されます」。
上図のファイナンス・リースでは、「期間中の中途解約禁止」または「違約金が残リース料と同程度の場合には、リース料総額に近い金額を支払うことはほぼ確実」となり、そのため、支払いの形式はリース料の形になっていますものの、実態としてはリース料総額が購入対価+割賦手数料などとして、対象物件を割賦購入したような売買取引に近いものと言えます。
では、上図の分類ごとの会計処理について説明します。
“譲渡権つきリース”の会計処理は、上図のとおり「売買契約として減価償却」となります。皆様のイメージされる、いわゆる“ものを借りる”ということの会計処理と扱いが異なる点には注意が必要です。そこで、享受できるメリットと享受できなくなるものを以下にまとめます。
後者の「リース期間での経費計上」は、他の分類(「リース分類別の会計処理」項番2、3)のリース取引ではできることですので、よく誤解されるところかと思います。それでは、次項では譲渡権つきリースの会計処理についてご紹介していきます。
法人税法上のリース取引に該当し、所有権が実質的に賃借人に移転すると判断される譲渡権つきリース取引は、賃貸人から賃借人へ「リース資産の売買があったもの」とされます。賃借人は自己の資産として、その資産の種類に応じて、その法人が選定している償却方法により減価償却をすることになります。
では、照明器具を譲渡権つきリースした場合の減価償却期間はどうなるでしょうか。通常、照明器具は建物付属設備の電気設備と分類され、法定耐用年数は15年です。2016年4月1日以後に取得をされた建物付属設備の償却方法については定率法が廃止されており、必ず定額法(期間内、減価償却額は一定)となります。「LED照明設備を減価償却する際は15年の定額法になる」ということです。
減価償却を開始する日は、減価償却資産を事業の用に供した日となります。LEDでいえば、実際に照明器具として使用できるようになった日と考えられます。「納入日と工事の日が異なる場合には、工事日が減価償却開始日になります」ので、注意が必要です。
また、「譲渡権つきリースであっても、少額の減価償却資産の規定を適用することが可能」です。10万円未満の取得価額であれば、事業の用に供した時の経費として処理できます。さらに中小企業などであれば、少額減価償却資産の特例により30万円未満の固定資産を損金算入することも可能です。
譲渡権つきリースは修繕費として計上することも可能です。その場合には(同リースは税務上、固定資産の売買があったものとして会計処理していきますが、LED照明のようにリース物件が固定資産の一部を構成する部品の交換であるものとして)、それが資本的支出か修繕費かという判断を行う必要があります。
譲渡権つきリースが資本的支出か修繕費かという判断は通常どおり、購入した際と同じフローで判断していくことになります。既存の器具を利用してLEDランプのみの交換であれば修繕費となります。既存の器具を交換するLED照明の場合には、照明設備が設置されている部屋ごと、区画ごと、スイッチ系統ごとなどの区分で60万円未満であれば修繕費として処理できることになります。
最適な導入方法の考え方は企業によってさまざまです。これまでのまとめを行いながら、「資金繰り計画」を中心にとらえた内容をお届けします。
公認会計士・税理士
税理士法人ファーストライン 代表社員
増田 卓也(ますだ たくや)
大手監査法人にて、金融機関・外資系金融機関、製造業などの会計監査に従事した後、税理士法人ファーストライン代表社員に就任。現在、金融機関の会計監査の経験を生かし、中小企業や個人事業者を対象とした税務顧問、資金繰り改善支援、経営支援に従事している。
蛍光灯からLED照明に取り替え工事をした場合、LED照明への取り替え費用は税務上どのような取り扱いになるでしょうか?
[2016年 7月22日公開、2023年12月27日更新]
意外に分かっていないリースと買い取りの違い。そのもの自体の違いは分かっていても税務対策はどう違うのかまで分かっていないのが実情。今回はそこをきちんと解説していただきます。
[2016年 8月19日公開、2023年12月27日更新]
「照明をLEDに変えたい。経費としては単年度で計上したい」。そういった場合には「修繕費」扱いという方法があります。今回はその条件面や注意点などを詳しくご紹介します。
[2023年 8月31日公開]
補助金にはさまざまな種類があります。誰もがもらえるものや、厳しい審査、そのあとの報告義務などがあるものもあります。補助金の仕組みや導入後のことも検討する必要があるでしょう。
[2016年10月21日公開、2023年12月27日更新]
経営者の中には、減価償却が終わっていないという理由で買い控えをしている方がいらっしゃいます。気持ちをくむことはできますが、これは見当違いです。今回はその理由をご説明しましょう。
[2016年11月18日公開、2023年12月27日更新]
譲渡権つきリースは、リースとして初期の導入コストを抑えることができ、またリース期間後には、その製品を自社のものとすることができるものです。その場合の経理処理についてご紹介します。
[2023年 9月20日公開]
「中小企業経営強化税制」という中小企業の追い風とおぼしき税制が平成29年度税制改正大綱で公表されました。どのように活用することで効果をもたらすのか、その概要をご紹介します。
[2017年 2月 1日公開、2023年12月27日更新]
税制活用は見極めが肝心です。何が使えて何が使えないのか。設備投資なのか、修繕費なのか。この判断もまた大切なところ。今回はその点をお伝えします。
[2017年 2月23日公開、2023年12月27日更新]
償却資産税は固定資産税の一部です。設備投資の際に考えておきたい税金のひとつ。今回は償却資産税についてお伝えします。
[2017年 3月15日公開、2023年12月27日更新]
減価償却には一般的に定率法と定額法がありますが、定率法と定額法では資金繰りに与える影響が異なるので注意が必要です。
[2017年 4月19日公開、2023年12月27日更新]
減損会計は中小企業でも財務状況を把握するうえで非常に有効な考え方です。今回はより安全な経営判断ができるよう減損会計の考え方をご紹介します。
[2017年 5月17日公開、2023年12月27日更新]
第12回 直管形蛍光灯タイプの買い取り・リース・レンタル、そのメリットとデメリット
買い取り・リース・レンタルとLED照明を導入するに当たってはいろいろありますが、会計の観点から、そのメリットとデメリットをあらためて整理します。
[2017年 6月21日公開、2023年12月27日更新]
企業における設備投資は売上増加を図る要のひとつ。そこで注目され始めている「中小企業経営強化税制」について、その概要と「経営力向上計画」の記入例を挙げて解説します。
[2017年 7月19日公開、2023年12月27日更新]
LED照明の導入をする際に活用できる税制を知ることで、皆様の会社の希望や状況に適した税処理をすることができる可能性があります。適用される税制の種類や条件などをご紹介します。
[2023年11月27日公開]
具体的な補助金・助成金に関する資料から、楽しい読み物までLED導入に役立つ資料を幅広くそろえました。ぜひご覧ください。
LED照明のほかにも、コスト削減の方法はまだまだあります!
面倒な「手間」を減らして「コスト」も削減できる、総務の皆さんが得するとっておきのダブル削減方法をご紹介します。
除菌LEDオフィス関東甲信越
従業員と来訪者のウイルス感染予防対策に除菌LED照明を自社導入!
自社事例(本社)
直管蛍光灯タイプコンパクト蛍光灯タイプ除菌LED老人福祉施設・保健施設中部
電気代高騰をきっかけにLED導入! 除菌LEDによる感染対策も実施
医療法人光慈会 知立老人保健施設 様
直管蛍光灯タイプ駐車場中部
10年使用した適性交換時期のLED照明をまるごと最新タイプに入れ替え
株式会社セントラルパーク 様(LEDからLED)
ナビゲーションメニュー