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アパレル小売のEC担当者が語る EC最前線-アパレル小売の考えるサステイナブルECレポート
2020年6月に開催したWebセミナー「アパレル小売のEC担当者が語る EC最前線-アパレル小売の考えるサステイナブルEC」をレポートします。
スピーカーのご紹介
レイ・カズンの鹿内明日香デジタルマーケティング部事業部長、マルカワの若林大輔システム開発部兼EC販売事業部の二人がECビジネスの現状、サステイナブル(持続可能性)のポイント、ウィズコロナ、アフターコロナでの変化と対応などについて話しました。
レイ・カズンはレディスアパレルブランドです。店舗数は約70店で、EC事業は2013年から始めています。EC化率は10%前後で展開しています。
マルカワは、メンズやレディス、子供服などを扱っています。08年からECを始めており、EC化率は40%を実現しています。
店舗スタッフの活躍こそ大切
レイ・カズンは、「スタッフスタート」を活用したスタッフコーディネートの紹介に力を入れています。導入して現在は2年目で、社員の参加率は8割弱。ひと月に1,000〜1,500件の画像が投稿されています。導入当初は直営サイトでのスタッフコーディネート経由の購入が3割弱でしたが、直近では5割を超えているといいます。
「スタッフコーディネートでやりたかったことは、直接的な購入にスタッフが携わること」と鹿内さん。スタッフコーディネートの成果へのインセンティブは個人単位ではなく、店舗単位で与えることがポイントです。「撮影を頑張るスタッフ、モデルとして撮られるスタッフどちらも評価してあげたい」という思いから店舗単位にしています。ECだけでなく、実店舗への送客などにもつなげています。
収益率を高める物流改革
マルカワは、収益率を高めるために物流改革に力を入れています。あまりコストをかけずに自社から、アマゾンなどのモールの倉庫へ商品を送るスピードを速めることで売上を上げました。商品部長や時には社長まで、さまざまな人が物流に関わることで改革を図りました。誰でも簡単に作業ができるように、スキャナーや台車の導入など効率化できることには投資をして、物量をこなせるように鍛えました。
さまざまな人を物流に関わらせることの利点は、「いろいろな角度からの改善点が見えるようになるほか、決定権のある人も関わるため意思決定も早くなるところ」だと若林さんは話します。アルバイトの人でも簡単に数をこなせるように作業を効率化・簡素化することが出荷量の増加につながり、それが売上増につながるという図式です。作業を「とにかく楽しもう」の合い言葉で改革を進めました。特定の誰かしかできないような仕事内容を極力減らしていくことで効率化・利益増につながっていくといいます。
デジタルに強い人材を育成するには
レイ・カズンの例
「共有すること」が大切です。お客様によいといわれていること、成果が出ていることは何が要因なのかという点を伝え合い、人を巻き込んでいくことでいい循環を生みます。よい事例があったらそれをほかのスタッフにも真似をしてもらって、全体のレベルを引き上げることが育成につながります。
マルカワの例
「ハイブリッドマネージャー」を配置しました。リアル店舗もECもどちらもエリアマネージャーに担当させることで情報の共有を図りました。ECではどういうものが売れているなど、情報が共有されることでデジタルへの知識が広く普及します。
ウィズコロナ・アフターコロナでの変化
EC事業はもっとリモート勤務を増やしていかなければならないし、会社としてもっとECに力を入れていかなければならなくなります。今までのようなスタイルには今後戻らないと考えています。今まで移動時間にすごくコストがかかっていたなど、コロナによって見えてきた改善点もあります。そうしたこと一つ一つを変えていくことが今後コロナ後の時代には必要になるでしょう。
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