OMO最前線―アフターコロナの顧客作りと購買体験

ファッション・ライフスタイル小売りは、これまでオムニチャネル戦略、自社EC強化などで顧客接点を強固にしてきました。しかし、昨今はサイト・店・人・コトといった多様な接点で顧客とつながり、コミュニティー化、ファン化していく手法が注目されています。
今回は、レディスフォーマルウェアを手掛ける東京ソワールと、低価格生活雑貨中心のライフスタイルショップ「オーサムストア」を運営するレプレゼントが目指す、「顧客体験」と「ECと実店舗の役割」を中心にディスカッションしました。
OMOといっても具体的に何から手をつければいいか分からない方も多いはず。実際の事例を交えながら考えていきます。

デジタル事業を強化するにあたって気をつけたこと

東京ソワール

コロナ禍における取組強化策

1回目の緊急事態宣言下では、リアル店が休業してしまうなどの中で、デジタル上でスタッフのモチベーションをどう維持していくかという観点でユーチューブチャンネルを開設し、スタッフとのコミュニケーションを頻繁にとっていました。商品企画情報やデザイナーさんによるプレゼンなどを共有しました。

自社サイト顧客の消費域と行動変化

自社サイト顧客の消費行動の変化としては、今年の年代別売上伸長率をみると55歳以上の顧客の伸び率が非常に大きいことが分かりました。百貨店などの休業などがあり、普段あまりネットで購入してこなかった年代の方が一気にECサイトに流れ込んできた印象があります。こうした客層に満足してもらうためにどうすればいいのかが、今後ECを拡大していくうえで重要なテーマになると考えています。

島村 聡 氏
(株式会社東京ソワール 経営戦略本部 デジタル戦略部長)

コロナ禍における実店舗の役割と変化

従来のようなお店で来店を待つプル型ではなく、どれだけお客様にアプローチしていくかというプッシュ型の顧客接点が重要になったと感じます。

また、デジタル上でのコーディネート表現力や、文章力なども必要なスキルになっていくでしょう。評価基準も大きく変わると考えています。以前は売り上げや収益といった部分が大きかったと思いますが、それにプラスしてブランドへのエンゲージメントの深さや数も評価基準になると考えています。

デジタル強化への課題とタスクの洗い出し

ECの売上を構成する三つの要素として

  • 集客
  • ARPU(注1)
  • CVR(注2)

があります。

これに関してどういったタスクをこなしていけばいいのか徹底的に洗い出していきました。結果的に100個近くのタスクが洗い出され、これらの課題をどれだけ克服していけるかがこれからにECの強化につながっていくと考えています。

  • (注1)ARPU(Average Revenue Per User):1ユーザーあたりの平均収益をあらわす指標。
  • (注2)CVR(Conversion Rate):転換率。コンバージョン数 / サイトへの訪問数(セッション数)×100(%)で算出。

タスクのプライオリティ決定とKPI設定

数多くのタスクをマトリックス分析で優先順位をつけていきました。実現難易度と実現速度でマトリックスの表にし、大きく三つの2021年の重点施策を設定しました。その最も重要な施策がOMO(注3)と考えています。

  • (注3)OMO(Online Merges with Offline):ネット上とネット以外の店舗などの垣根を超えたマーケティング概念。

卸売り先とECを連携させていくことは難しく、ここをどう融合させていくかが大きな課題になっています。現時点では、自社サイトのフォーマルメッセージでも、百貨店でも商品の取り寄せができるというサービスを導入しています。

また、取り置きサービスも実施しています。店頭在庫とのデータ連携をして、サイト上で百貨店提携店の店頭在庫の確認と取り置きをすることができます。取り置き後に来店したお客様のコンバージョン率は60%を超えています。

タスクの徹底的な洗い出しと戦略の考察

レプレゼント

目的に応じたシステム導入

2021年3月のサイト、アプリケーションリニューアルにあたり、さまざまなシステムの導入なども進めました。一つは「スタッフスタート」の導入です。「コーディネートはアパレルだけでなく雑貨やいろいろな業種に存在している」ということを実現したかった思いがあります。また、社内で積極的にECに関わっていこうというところをコーディネート投稿を通して実現を図りました。

現在、導入して3カ月くらいですが、2,700投稿ほど投稿されており、売上の3分の1がスタッフスタート経由です。

「ビジュモ」(注4)と「レビコ」(注5)はUGC(注6)収集、ユーザー生成コンテンツを促進していくためのツールとして導入しました。

  • (注4)ビジュモ(visumo): インスタグラム連携ツール。インスタグラムに投稿された写真をハッシュタグで収集した自社サイトに活用することで購入率の向上を狙う。
  • (注5)レビコ(ReviCo):ecbeingが開発した、レビュー最適化ツール。レビューを集めるためのさまざまな施策・機能が自動で追加されるクラウド型のサービス。
  • (注6)UGC(User Generated Content):ユーザー生成コンテンツ。個人のSNSの投稿、写真、ブログなど、消費者発信のコンテンツを指す。

堀口 周作氏
(株式会社レプレゼント 取締役)

圧倒的情報量の商品ページ

結果ECサイトで何がしたかったのかというと圧倒的情報量の商品ページの作成です。

一つの商品ページにいろいろなスタッフがおすすめしたり、レビューでのユーザーの意見や活用方法などもありとあらゆる情報が集約されていたり、にぎわいが生まれています。

オウンドメディアの確立

このにぎわっている状況を飽きさせない工夫として、オウンドメディアを確立しました。毎週のように商品にまつわる特集を自社メディアとしてECサイトで公開しています。

圧倒的情報量の「商品ページ」

OMOにおける戦略や目指す未来像

東京ソワール

OMO的データ活用方法

データ活用をOMOとして何か考えられないか取り組んでいます。チャットボットを通して、ペルソナをある程度特定していき、「何を探しているのか」「何を買ったのか」「どういう経路で探しているか」といったデータが蓄積されつつあります。そうしたデータを基にRFM分析をして、年代別やシーズン別などでニーズを分析することができます。これは、今後の商品企画や販売計画立案などに活用していくことができます。

OMO強化に向けた取り組み

LINEを中心にしたコミュニティー醸成に取り組んでいます。フォーマル商品においてアプリ導入はハードルが高いため、現時点ではLINEが適していると考えました。

スタッフスタートがLINE上で希望のスタッフから接客を受けられるサービスも計画されており、こうしたことが実現されるなどLINEのサービスを活用していることのメリットがあるだろうと考えています。

UGCの更なる活用によるOMO理想形

UGCの活用は今後さらに重要になっていくと考えています。お客様からのレビューや投稿がインスタグラムや自社サイトのほかに百貨店やSCなどさまざまなチャネルに反映されていくような仕組みが理想形だと思います。

例えばゾゾタウンの「WEAR」というアプリはお客様のコーディネート投稿が主体になっていると思いますがそれに近い感覚で、もっと広いチャネルに共有されていくとOMO的には理想なのではないかと考えています。

島村 聡 氏

ECコンテンツの未来について

これからECサイトに重要なのは期待を生むことだと思います。サイト上で楽しい時間を過ごしてもらえるように「売る・買う」場から「情報共有」の場へと変化させていく必要があると考えています。それに伴ってさまざまなコンテンツ、サービス、ツールを活用、導入することが必用です。

ECコンテンツは、「売る・買う」場から「情報共有」の場へ

レプレゼント

OMOの考え方

OMOを語るうえで、OMOの考え方や役割を明確にしたほうが考えやすいのではないかという思いで、社内で考え方を作成しました。

オンラインにおいては「情報量を集めていく」ことが重要で、リアルにおいては「発信と体験」が重要になると考えます。これを相互関係でできることがOMOだと考えており、発信と体験が情報を生み、情報が発信と体験を生む、そうした関係のなかで結果的にCXの向上につながると考えています。

オンラインで買うかリアルで買うかは購買する人の最終的な選択肢でしかなく、どちらで買ってもいいという思いがあります。

堀口 周作氏

オーサムストアトーキョーの開業(OMO型モデル店舗)

オンラインではなく実店舗の方取り組みとしては今年の3月、渋谷にオーサムストアトーキョーを開業しました。

内装の細部までこだわり、レジャー感覚で楽しめる店舗にしています。先ほどのOMOの考え方にある体験というものをここで味わってほしいと思っています。

また、オンラインとの接点の場として店内に配信ブース「ASスタジオ」を設置しました。ここから「オーサムチャンネル」を発信しており、スタッフがデジタルに関わっていくカルチャーが生まれつつあります。

オーサムストアだけにとどまらず、さまざまなコンテンツやユーザー、企業などともつながっていくことを構想しています。

OMOの考え方

事業紹介

株式会社東京ソワール

東京ソワールは、1969年に創業した、婦人のフォーマルウェアとそれに関連するアクセサリーの製造・販売をしている企業です。メインの事業は卸売業で全体の8割を占めています。そのほかにもリテールやEC、レンタル事業を手掛けています。結婚式やパーティーなど人の集まる場が事業の軸になっているため、コロナ禍で厳しい状況が続いています。ただ、今年に入ってだんだんと結婚式需要なども復活し出し、少しずつ回復基調にあります。

EC事業は2007年にスタート。公式サイト「フォーマルメッセージ」を開設しました。2010年にはリテール事業を開始。イオンレイクタウンに「フォルムフォルマ」1号店をオープンしました。現在、ECも含めると小売りは30店舗展開しています。2019年にはレンタル事業もスタートし、チャネルの多角化で事業の拡大を進めています。

EC売上高は2015年のフォーマルメッセージのリプレースと2018年のフォルムフォルマの事業拡大などを契機に拡大。2021年現在は、2015年比で700%成長しています。

フォーマルアイテムをECで展開するうえでは、「単価が高い」というハードルがあります。また、「リピート率が少ない」、「フォーマルウェアへの情報不足」などのハードルもあります。こうした課題に対して克服するための大きなポイントは「接客」であることだと考えています。

株式会社東京ソワール

株式会社レプレゼント

「オーサムストア」は2014年に原宿に1号店を開設しました。現在、全国に61店舗展開しています。最大の強みはSPA業態であることです。アパレル業態では聞きなじみがあると思いますが、雑貨では数少ないモデルです。企画からデザイン製造・販売まで自社で行っています。レプレゼントの企業としては39年目を迎えており、創業から生活雑貨業を続けてきています。

EC事業は2018年3月からスタートしました。2019年に自社物流センターを立ち上げ、EC配送も全て自社で行っています。インフラなどを整えてきましたが、正直ECの売上はなかなか上がってこなかった現状があります。2020年から一度ECを見直そうと組織編成など作り直していく活動をはじめ、2021年3月にECサイトとアプリケーションを大幅にリニューアルしています。現在、会員数も10万人を超え、一番売れている店にまで成長しています。

株式会社レプレゼント

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