小野寺氏へのご質問とご回答

研修時にいただいた小野寺氏へのご質問とご回答をまとめました。

当日研修内で回答したご質問

  • 人口減少や高齢化による経済活動の低下にはどのように対応するのでしょうか。
  • (新ビジネス支援とは別に)既存の企業やビジネスへの支援でどのようなことを青森でされていますか?
    ※例えば、白書のテーマに関わるような「世代交代」「自己変革」「生産性」などなど
  • 人口が減少していく中で、地元企業の商売も厳しくなっていくと思うのですが、製造業・小売業・サービス業など既存の企業に対してのビジネスの活性化はどのように市として進めていらっしゃいますか?
「地元既存企業の挑戦」こそが人口減少対策の一番のカギだと思います。
行政が支援すべきは親子間の単純な事業承継ではなく「第二創業」とも呼ばれる新事業型承継であり、ご紹介した「地域企業新ビジネス挑戦支援事業」は、専ら青森の既存企業が新ビジネスに挑戦することを支援する制度です。
また、今年度新たに取り組む「ピッチ交流会」は、地域の既存企業がピッチングイベントを通じ新事業の種を探す機会を目指し開催します。
  • 市長交替による市政運営の影響の大きさがあることを理解しましたが、実務を担う市職員の意識やスキルの変化などについてもお話をお聞きしたい。
  • 内部(市役所内)への意識や風土改革は行われましたか? 不要でしたか?
  • 組織のカルチャーの変革にどのように取り組んだのですか? 大変だったと想像しますが。
  • 事務所職員のモチベーション、マインドの変化については?
第三セクターの損切りはじめ前任者が「決められない市長」だったため、「決める市長」への交替は市職員にもショックだったと思います。
でも決める事は動くこと、動くことは職員にとっても成長すること。私もまだ幹部職員より年若であることもあり、職員をなるべく叱る事は控えつつ、庁内全課室の朝礼に顔を出して交流を図ったり、「チャレンジ・スピリット制度」を設けて小さな事でも頑張った職員を「褒める」社内風土の醸成を図っています。
  • 地域活性化の秘訣は何か。
地域の歴史を踏まえることです。青森が津軽藩の港町・商都だった歴史に紐付けて新ビジネス支援を語ると、ベンチャー等興味の薄かったベテランの方々の関心が俄然変わります。
  • 郊外(中心市街地エリア以外)でのしごと作りのポイントとは?
郊外にも必ず集落など核となる地区があり、小さなしごと創りを称揚できる余地は必ずあります。それ以外の純粋な郊外では、大規模化・スマート化など農業政策としてしごと創りを進めています。
  • 定住人口増加に向けての取り組みをお聞きしたい(デジタル化、働き方、価値観の変化)。
  • 弊社に青森センターがありIT系の仕事がシュリンクしています(官庁系のビジネスが細々と続いている程度)20~30人程度の組織ですがIT系企業に対して期待する分野がありますか?
5Gをはじめ高速通信網の発達は、広い一戸建てに住み満員電車で通勤する事のない地方にとってチャンス。青森市では'e-sportsはじめIT企業の創業支援に力を入れています。
  • 高齢化社会対策としてどのようなことをお考えですか?(私自身も高齢者ビジネスをしているので)
市内38の社会福祉協議会すべてで「つどいの広場」を設け、高齢者が集まって自発的に介護予防体操や認知症予防に取り組んだり、運営ボランティアとして支援する側に回る活動に取り組んでいます。
  • 行政で積極的に中小企業の製品を購入してください。何故、大企業優先なのか。
青森市では平成24年「中小企業振興基本条例」を制定し、物品調達等に中小企業者の受注機会の増大に努めることを規定、中小企業の製品購入に努めています。
  • 小野寺市長の目から見て、青森県での中小企業診断士の活躍度というか、活動は満足されていますでしょうか。
もっと活躍の余地はあると思います。今年Aomori Startup Centerで診断士相談日を新設するのも活動域拡大の一環です。

当日研修内で回答しきれなかったご質問

  • 特別清算の内容はいつくらいに決めた(覚悟した)のでしょうか? 当選前から?
  • 負の処理と前向きな取り組みをスピーディーに達成されています。その中で、「損切り」の精神+先送りさせない決断を自治体でよく認めさせましたね。どのように進めたのか。秘訣は?
  • 青森駅前再開発ビル(株)の破たん処理として特別清算を選択した理由を教えてください。民事再生等の手段を用いて債権の切り捨て額をもう少し減らすこともできるような気がするのですが。
ポイントは「スピード感」です。選挙による有権者の支持を背景に、さすがに当選前ではありませんが就任後1カ月で損切りのパッケージを示し、3カ月で市議会の議決にこぎつけました。平成13年以来第三セクターの経営不振を廻る議論が続けられ、市民は辟易していました。
時間をかけて民事再生等の再生型再建を行うことで、放棄額の縮減を目指す方法も選択肢としてはありましたが、経営赤字転落を機に速やかな損切りを行ったことが、結果として現在街づくりの反転攻勢につながっています。
  • コンパクトシティの多極化は良いことだと理解しましたが、拠点間の移動についてはどのように推進されているのでしょうか
    (車社会なので、公共交通機関はどのくらい充実しているのでしょうか)。
コンパクト・プラス・ネットワークの鍵は公共交通。ご紹介した鉄道駅新設のほか、青森駅・浅虫温泉駅のバリアフリー化、市営バスの路線増や待合所の増設に力を入れています。
  • 新ビジネス挑戦プロジェクトで青森市ならではの事業(スライド以外で)や成果を教えてください。東京ではあるが青森になかったものを導入…ではなく、独自のものを教えてください。
米どころ青森でたくさん発生する米ぬかを活用した「米ぬか酵素風呂」を開発し、創業した女性社長さんなどがいます。
  • 地域経営(≠自治体経営)の特長とは? 企業経営との比較を踏まえて。(よくいわれる地域経営の)スピード感を確保するポイントを教えてください。
企業経営に比べ地域経営にはより高い公共性が必要ですが、住民の合意形成とスピード感の二律背反を乗越える鍵は「納得できる公共性」。
例えば青森市の放課後児童会の保護者負担。今春月3,000円→3,200円の変更+預かり時間の18:00→18:30延長をセットで実施、費用負担率の改善とサービス向上をセットとすることで、皆さんの速やかな納得を得て実施できました。
  • 青森県の他市町村との連携はどのように進められているのでしょうか。特にむつや十和田など、青森を軸に観光客が渡り歩くと思いますので…。
  • 弘前・八戸など県内都市の連携プロジェクトはありますか?
青森市単独で人口減少社会は乗り切れないことから、広域連携には力を入れています。歴史的につながりの深い旧東津軽郡5市町村で「連携中枢都市圏」という連携プロジェクトを進めたり、むつ湾沿岸8市町村で海岸清掃や共同観光プロジェクトを行う「むつ湾広域連携推進会議」を主導しています。また、弘前・八戸・函館とは「青函連携観光会議」を設け共同プロモーションを行ったり、県内10市の夏祭りを一堂に会した「あおもり10市(とし)大祭典」も持ち回りで開催しています。
  • 東京など都市部に出ている若者に対してUターンとかつながりを維持する工夫はされていますか。
ご紹介した千代田線赤坂駅前「AomoRink赤坂」でUターン相談を受け付けたり、津軽弁の朗読会や地酒の試飲会など青森ゆかりのイベントを開催しています。
  • インバウンドの影響で経済が伸びているというお話がありましたが、ハード面以外でソフト面やサービス面での取組があればお聞かせいただきたいです。
国内外の航空会社や船会社などに年数回トップセールスに赴き、青森の魅力をトップに伝えることで、新規路線が次々青森に就航するなど直接効果をあげています。
  • JR東日本と地域に関してアドバイス頂けたら。
JR東日本様はじめ交通事業者は結びつける地域があってこその事業。地域の宝物を一緒にみつけPRすることで乗客も増えるWin-Winの関係になれると思います。
  • SDGsについてどのように考えているか?
広範な社会的課題を17に分類できる意義は大きいと思いますが、環境・教育・経済など分野が多岐にわたるため、自治体としては17の目標を目指すというよりも、従前からの取り組みが17のいずれかに自ずと該当していくものという感覚です。
  • 青森市内でのハラール対応でお祈りスペースはどのくらい用意されていますか。
今夏改修する青森空港に礼拝スペースを設けるほか、青森市がホストタウンとして事前合宿を行うタジキスタン共和国選手団用に、宿泊ホテル及び合宿施設に礼拝スペースを用意しています。
  • 様々な方とコミュニケーションをとられていると思いますが、上手く進める秘訣を教えていただけないでしょうか。
東北人の私は本来控え目で人付き合いは苦手ですが、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の教えどおり謙虚にふるまうことが 市長に押し上げて頂いた要因と思っています。
  • 政治家や行政官(公務員)ではない立場で診断士がいわゆる地方創生にかかわる方法としてどんなことが考えられますか。
ご紹介した「リノベーションまちづくり事業」は、クリエーターが空き店舗所有者と連携しリノベを行う事で、行政の補助金等に頼らずお洒落な街並みを実現する取り組み。診断士もクリエーター候補の職種だと思います。
  • どうやったら首長になれますか?
大小を問わず組織運営の経験があれば、首長にはなれます。ただしその巧拙は「経験の蓄積」×「高い意識」に左右されると思います。
  • 今後の青森市をどうしたいか?
港町・商都として発展してきた青森市らしく、一人ひとりが新たなビジネスや新たな分野に「常に挑戦する街」になるのが私の夢です。
  • 青森県を変革したいという意思は?
県庁所在市の発展が県全体の発展にも貢献するものと信じ努力します。
  • 青森県知事が佐原さんだったら市政に与える影響はどのようなものだったでしょうか。
今年6月の青森県知事選に立候補した佐原若子氏(市民連合)の公約は「NOといえる青森県」。青森市に対してもNOを連発し、街づくりが停滞しかねませんでした。
  • 市長業務ご多忙の中、実務ポイント獲得もなかなか大変なのではないかとお察しします。企業内診断士という「二足のわらじを履く者」として、どのような形で実務ポイントを獲得されたのか?先生のご体験・ご経験を(お話できる範囲内で)ご教示いただきたいと思います。
大塚商会の「経営支援サービス」です。市長ではなく前職の公務員時代ですが、休日等を利用して実務ポイントを獲得し、無理なく二足のわらじを履ける素晴らしいサービスでした。皆様もぜひご参加ください。

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