第10回 銀行員の交渉記録

銀行において、日々の企業との交渉記録が保管されています。

進んでいる銀行の場合、企業1件1件をパソコンで検索すると、過去の交渉記録や融資申し込み記録、実行記録などがすべて出るようですが、そこまで進んでいない銀行も多くあります。

それはともかく、融資先企業において、銀行は1件1件、紙での書類ファイルや、ネット上でのデータベースなどの形で情報を管理しています。
そしてそこには、その企業とどのような交渉を行ってきたのか、過去何年にもさかのぼって記載されています。

ここで企業が考えなければならないことは、過去の交渉記録は、半永久的に銀行に残る、ということです。

そして銀行員は2~3年に1回、転勤するものですが、一度レッテル貼りされた企業は、担当する銀行員に代々、そのレッテルが引き継がれるということになります。

例えば銀行とトラブルがあった場合。そのトラブルが記録され、また担当の銀行員が転勤する時に、次の担当者にそのトラブルの記録が引き継がれることになります。

私が銀行員時代、次のようなお客様がいました。毎月1万円の集金のためだけに、毎月10日(休日であれば翌営業日)の10時30分にきっちり、チャイムを押して訪問しなければならない個人宅がありました。

またそのお客様は10時30分から1分ずれてチャイムを押してもいけないし、訪問する際は粗品を袋にいっぱい詰めて持っていかなければなりませんでした。

毎月1万円の集金のために、それだけのことを行うのか・・・と私は疑問に思いながらも、その引き継ぎが、代々の担当者に伝えられていくのです。

このような世界の中で、あなたの会社がもし銀行とトラブルがあってレッテル貼りをされた場合、今後、その銀行から新規融資が受けにくくなってしまえばつらいものです。

例えばある時、社長が銀行員を怒鳴りつけたとします。
怒鳴られた相手の銀行員はショックを受け、報告書には「この社長から、〇〇という理由で怒鳴りつけられた。気に入らないことがあるとすぐに怒鳴りつける気性が荒い社長であるから十分注意する。」と書かれたとします。

その報告を引き継いだ今後の銀行員は、その社長と会いたくないでしょう。
そしてその社長に融資の提案を行うことはなくなるでしょう。
そうなれば社長は、その銀行から融資を受けづらくなってしまいます。

このようなことが起こってしまうため、トラブルにならないように注意しながら銀行員と接触しなければなりません。

次回は7月15日(火)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社グラティチュード・トゥーユー 代表取締役

川北 英貴

株式会社グラティチュード・トゥーユー代表取締役。資金繰り改善コンサルタント。1974年、愛知県東海市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、97年、大垣共立銀行入行、主に中小企業向け融資業務を行う。同行を退職後、2004年に株式会社フィナンシャル・インスティチュートを設立。代表を退いた後、2016年、株式会社グラティチュード・トゥーユー設立。中小企業向けに資金繰り改善・経営改善のコンサルティングを行う。著者は『絶対にカネ詰まりを起こさな い!資金繰りの教科書』他、合計11冊。
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