第16回 金利を下げるには、銀行への交渉から

ある製造業の企業は、すばらしい技術を持っていて、特に営業しなくても 仕事の注文を多く受けます。そして何より、社長がすばらしい技術者です。

しかし社長も製造の現場の仕事に専念しているからか、いくらの金額で見積りするかは特にルールもなく適当な金額で見積りをしています。
また仕入や外注でも言われるままの金額で発注しています。そのためこの会社は、赤字ではないもののほとんど利益がありません。
せっかくの技術があるのに、もったいない話です。

この例は極端でも、あなたの会社や仕入先から商品や材料を仕入れたり、 外注先へ仕事を発注したりするにあたって、価格交渉をするのではないでしょうか。

しかし仕入先や外注先に対して交渉はするのに、銀行へは価格交渉を行わない企業は多くあります。

銀行への価格交渉とは、融資金利の交渉です。銀行の言い値で金利が決まり、業績や財務内容は良好で銀行からの評価は高いのにも関わらず金利は3%を超えている企業もあります。利息の支払いすぎです。

融資の金利、これは制度融資などはじめから金利が決められている融資商品でないかぎり、企業と銀行との交渉によって決定されるものです。

そのため企業側が意識をもって金利交渉にのぞめば、少しでも低い金利にすることができ、自社が負担しなければならない支払利息を減らすことができます。

多くの企業では経費削減に力を入れているのですが、低い金利で融資を受ける、もしくは高い金利の既存の融資の金利を引き下げることも、支払利息削減による経費削減策の一つです。

私が銀行員のとき、相手を見て、金利を提示していました。

いつも金利にうるさい経営者へは低めの金利を言っていました。一方、過去の会話で金利のことが話題に出たことがなく無頓着そうである経営者へは高めの金利を言っていました。

それぞれの銀行には、どれだけの金利を提示するか、目安のガイドラインがあります。

そのガイドラインには、その企業の信用格付や、今回の融資の返済期間、また保全率(総融資額のうち、担保や信用保証協会保証付などでどれだけの金額が、将来貸倒れとなった時に補てんされるかの割合)などにより、これだけの金利を提示するという目安が書いてあります。

しかしそれはあくまで目安です。目安を考慮しながらも、担当の銀行員の「なんとなく」の感覚で、企業に提示する金利を決めているのです。

そのため、企業側の意識の向上により、金利はある程度、低くすることが可能となります。

金利を低くしていくために、やっておくべきことは次のとおりです。

1.金利にうるさい会社、金利にうるさい経営者、という印象を銀行に持たせること

はじめから金利が決められている融資商品でないかぎり、新規融資において銀行が提示してきた金利には、必ず抵抗するのです。

なかなか融資が受けられないような企業でも、かまいません。その場合には

「この金利では、うちの経営状態ではとても払えないよ。」

と言って、銀行が提示してきた金利に抵抗するのです。

そのように抵抗し、交渉していく中で、銀行はその交渉に乗らず、下げてくれないかもしれません。

しかし金利にうるさい会社、金利にうるさい経営者、と印象付けることに価値があるのです。

そのような印象を担当の銀行員に印象付けることにより、次回の融資では、多少なりとも金利を抑えて提示しよう、という意識が担当の銀行員に働くのです。

2.銀行間で競争させる

金利には、競争原理が働きます。複数の銀行が融資を出している企業は、銀行としては自分の銀行の方から融資を受けてほしいと思い、金利を低めで提示する傾向があります。

また複数の銀行から同じタイミングで融資の提案がきている場合、低い方の銀行の提示金利を高い方の銀行に伝えることにより、高い方の銀行が、より低くした金利を提示してきて、そこで競争させて、一気に金利を引き下げることもできます。

このように金利を低くすることができれば、経費削減となり、あなたの会社の利益を増やすことができます。

経営者や企業の財務経理担当者は、金利に強い意識を持つことです。金利に強い意識を持った企業は、銀行から受ける融資の金利水準は低くなります。

次回は1月20日(火)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社グラティチュード・トゥーユー 代表取締役

川北 英貴

株式会社グラティチュード・トゥーユー代表取締役。資金繰り改善コンサルタント。1974年、愛知県東海市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、97年、大垣共立銀行入行、主に中小企業向け融資業務を行う。同行を退職後、2004年に株式会社フィナンシャル・インスティチュートを設立。代表を退いた後、2016年、株式会社グラティチュード・トゥーユー設立。中小企業向けに資金繰り改善・経営改善のコンサルティングを行う。著者は『絶対にカネ詰まりを起こさな い!資金繰りの教科書』他、合計11冊。
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