第31回 経営者としての「こだわり」は何か?

皆さん、こんにちは! 
いよいよ、ブラジルでのサッカー・ワールドカップが開幕しました。時差の関係もあり寝不足の方も多いのではないでしょうか。

ところで、今回は、ある業界の経営者の方々とのお付き合いの中で気づいたお話をご紹介させていただきます。

■「2代目 若手経営者の会」
現在、ある業界の2代目経営者の方々と継続的に勉強会を実施しています。
「2代目若手経営者」と言っても厳密には3代目の方もおられたりしますが、いずれにしても創業者一族の立場の皆さんで、ほとんどが、創業30年~70年に及ぶ中小企業の経営者です。
多くは、創業時の右肩上がりの時代背景を含めて、創業者の方のカリスマ性やガムシャラな頑張りが、それぞれの会社の今の礎を築いてこられた会社ばかりです。

また、この業界はいわゆる「成熟産業」であり、全体の傾向として売り上げは横ばいもしくは漸減傾向にある会社が多い業界です。
この団体の幹事の方が「このまま手をこまねいていては、業界の衰退と共に、我々も生き残っていけない」という危機感を持たれ、次代を担う若手2代目経営者の方々を中心に勉強会を始めた経緯があります。

歴史ある会社が多く、社是・経営理念の類は多くの会社に存在しましたが、多くのケースが画餅になってしまい、日常の中で意識されているケースは残念ながら多いとは言えない状況でした。
そこで、会社としてのビジョンをあらためて考える機会を持たせていただきました。
幾つかの視点を示唆的に明示し考えていただきましたが、日々の多忙さに追われていることもあり、なかなかご自身の考えを深めるには至らないケースが多いというのは実際の状況でした。

■創業者としての「想い・こだわり」
一般的に創業者の方と言うのは、「経営者としての想い・こだわり」というものを持っているケースが多いように思います。

松下幸之助氏は、自身の幼少期の赤貧にあえいだ経験から「水道哲学」に至り「電気を水道のように低価格で良質なものを大量供給することで良い社会を作ることを使命とする」といったものも、その代表的な例だと思われます。

ここまで高次ではないにしても、やはり創業者という方々は多かれ少なかれこうした「想い・こだわり」を持って創業しておられるケースが多いように思います。

一方、2代目の方というのは、創業者の方のこだわりや想いに基づくような強いカリスマ性があるわけではないのも一般的です。
同時に、時代背景の変化もありますが、「個人経営→組織経営」への転換を図ろうとすると、創業者に仕えてきた年輩の番頭さんと考え方が違って賛同を得られないといったこともよく聞く話です。

また、中小企業にはありがちなことですが、経営者といえども、従業員という経営資源が潤沢にあるわけではなく、自ら営業として走り回り、資金繰りに駆けずり回るケースは一般的です。

そんな、ある意味「八方塞がり」のような状況の中、日々の忙しさに追われ、創業者が持っていた「強い想い・こだわり」といったものと比べた際に、「ご自身の経営者としてのこだわり」というものを見失いがちな状況にあるのかも知れません。

■自身の「経営者としてのこだわり」は何か?
今回の「2代目 若手経営者の会」の皆さんの中にも、明確なご自身のこだわりを持っておられる方もおられますが、中にはそれがあいまいになってしまっている方がおられるような気がしました。

そこで「そもそも、何のために経営しているのか?」というテーマで、自問自答・内省に取り組んでいただきました。
色々な視点やお考えを出していただき、それを絞り込むプロセスを通じて、ご自身の中で思考を掘り下げ「経営に対するご自身のこだわり」をあぶり出していただいたわけです。

結果は大きく「お客さん(社会)のため」「従業員(その家族)のため」に加えて「自分の生活のため」に分かれました。
この三つをさらに大別すると「自分以外の誰かのため」と「自分のため」に区分できるかと思います。

いかがですか?
「自分のため」とした方々も、もちろん「お客さん」や「従業員」も候補としては挙がっていましたが、最終的に「自分の(生活の)ため」を残された方が少なからずおられました。

決して、どれも否定されるべきものではありません。
ただ、これを従業員の立場から見てみるとどう映るのでしょうか?
「私が働いているのは、“社長の生活”のため???」にはならないでしょうか?

ご自身が若い時やサラリーマン時代には「自分を成長させてくれる上司」や「損得を超えて一緒に考えてくれる上司」に憧れたり、そんな上司の下であれば楽しく働けると言っていたにも関わらず、自分が社長になったら「自分の生活のため」になってしまっている自分自身・・・。
そんな自己矛盾・論理矛盾を抱えてしまっています。

これでは「従業員が自律的にイキイキ働く組織風土の醸成」なんて話には及びません。
自分の深層心理にある「経営者としての想い・こだわり」は、部下や従業員には驚くほど透けて見えてしまうものです。

あらためて、ご自身の「経営者としての想い・こだわり」、そして、その思いの強さの程を振り返っても良いのかも知れません。

「そうだ!」と思われた管理職の方も、実は自分も同じロジックの中にいるということを自戒しつつ、受け止めていただけると幸いです。

引き続き、よろしくお願いいたします。

次回は7月16日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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