原価企画とは? 売れない時代に注目される原価企画の進め方

「原価企画」という言葉を耳にしたことがあっても、具体的にどのようなものなのか詳しくは分からないということはないでしょうか。少しの知識はあっても、自社に必要なものなのかどうかの判断まではしかねるというケースもあるでしょう。そこで、本稿では原価企画とは何かを分かりやすく解説し、その必要性や導入のメリットと進め方などをご紹介します。原価企画を導入すべきかどうかや、導入する場合の具体的な方法などの参考にしてください。

原価企画の基礎知識

はじめに原価企画について確認していきましょう。

まず、原価企画には狭義と広義の2種類があります。狭義での原価企画とは、開発や設計をする予定の製品が目標の原価の範囲で開発・製造・販売・廃棄されるようにし、目標を達成させることを示しています。この場合、管理の対象となるのは主に開発設計と製造準備の段階です。

一方、広義での原価企画とは、上記に加えて製品の企画から開発、設計、製造、物流、販売、販売後に至るまでを含みます。新製品を開発するときに全サイクルにわたる目標原価と目標利益を設定し、社会活動において全スタッフと協力しながらそれらの目標を達成することを目指すものです。

1950年代から、松下電器や東芝など、名だたる企業が原価に対するアプローチを行うようになりました。トヨタ自動車も「パプリカ」で同様の取り組みをしており(注)、1963年に同社で原価企画という言葉が誕生しました。1966年に販売が開始されたカローラの開発当時、トヨタ自動車は原価低減目標を決めて製品原価の削減を目指したのです。とはいえ、当初からこの原価企画が組織活動として十分なものだったというわけではありません。当初は目標原価を達成できていれば計画どおりに利益が得られるものと考えられていましたが、1973年に起きたオイルショックなどの影響を受けた経験から、それだけでは不十分であることが明らかになりました。それゆえ、目標利益の達成に主眼を置いた原価企画が行われるようになり、現在もそれが引き続き主流となっています。原価企画が利益を向上させたかどうかは、その後のカローラの売れ行きやトヨタ自動車の成長ぶりを見れば明らかでしょう。今では、多くの業界・企業がこの原価企画を用いた商品管理を採用しています。

ただし、業界によっては見積りの文化が存在していなかったり、管理する必要のない項目も存在したりします。その場合、原価企画に盛り込むと管理コストが余計にかかってしまうことになり、デメリットとなりかねません。実情に応じた項目を適切に反映した原価企画を導入する必要があります。

  • (注)トヨタ自動車で取り組みを開始した車種に関しては、カローラであるという説もあります。

原価企画が注目される背景

多くの企業から原価企画が注目されるようになった背景が幾つかあります。

価格の適不適を消費者が決めるようになった

まず、消費者が主体になって商品価格を決めるようになった点です。これまでは企業が製品を生み出すと、自動的に売れる時代でした。たとえ製造段階で多くのコストがかかったとしても、それを回収できるだけの価格を設定すれば、赤字になることはありませんでした。価格が高過ぎると消費者が判断して、売れ行きが鈍くなることはなかったのです。

しかし時代は変わり、今はモノが売れにくい時代といわれています。ただ製品を生み出してその製造コストに応じて価格を設定するだけでは、好調な売れ行きを期待することはできません。これはインターネットが普及し、多くの消費者が望む情報を自由に得られるようになったからです。例えば、ある商品を購入する前に、インターネットで検索すれば適正価格を知ることができます。既に購入した人の口コミやレビューを読めば、品質もある程度分かります。消費者の判断基準が以前よりも厳しくなっており、企業が一方的に付けた価格が自動的に受け入れられることはなくなっているのです。

製造前から販売価格を検討する必要がある

消費者の需要が多様化していることも背景にあります。人々のライフスタイルは変化し、それに応じて必要とされる商品やサービスは多様化しているのが現状です。現代社会においては、経済格差や外国人労働者の増加、勤務時間帯の変化などさまざまな要素が絡み合い、さまざまな需要が生み出されています。一つの商品が、全ての人に対してぴったりのヒット商品になる可能性は以前よりも低くなっているのです。

こうした背景を受けて、商品が売れるかどうかを製造前に判断するために、商品価格が大きなポイントとなっています。売れる価格帯について前もって検討しておくことで、売り上げの伸び悩みを回避できます。製造の初期段階から原価について目標を立てる原価企画は、社会のニーズに合わせるのに役立つのです。

製品の開発サイクルを短縮するため

現代社会では、製品の開発サイクルがどんどん短くなっています。ある商品がヒットすると、別のブランドがその要素を取り入れて、素早く類似商品を発売することがあります。つまり、新製品を世に送り出してもすぐに注目されなくなるケースがあり、すぐに別の商品の開発に移らなければならないのです。

開発にかかる期間を短縮するためには、原価を現場で計算していては間に合いません。原価がどれくらいかかるかを推測し、それに合わせて開発を進めることで、現場の手間を省くことができます。

先ほど消費者のニーズの多様化について触れましたが、それによりさまざまな商品を少量ずつ生産する必要性が生じています。原価を現場で計算しないことは、効率よく多くの種類の商品に関わるうえでも役立つのです。

原価企画の進め方

原価企画を導入する利点について理解したところで、具体的な導入方法について考えてみましょう。大きく三つの段階に分けて、一つずつ説明します。

1.計画

まず目標原価を決めるために、目標売価を設定します。市場価格・類似価格・希望価格のうち、いずれか一つを決めましょう。

次に目標利益率から目標利益を計算し、目標原価を出します。具体例として、目標売価を1,000円、目標利益率を70%とする場合を考えた場合、一つの商品当たりの目標利益は700円となり、目標原価は300円と算出できます。

2.設計

設計段階において原価をなるべく抑えるために、まずは設計どおりに商品を製作してみます。この試作の原価を見積もり、第一段階で算出した目標原価と比較します。「見積原価-目標原価」が、コストカットの目標金額となります。

製品設計・工程設計をするときは、原価を低く抑えた設計を目指すのがポイントです。もちろん、自社の努力だけでは原価を安く抑えられないというケースでは、取引先など他社の協力を仰ぐことも検討します。コスト削減を実現させるために、必要な資材を製造しているメーカーと交渉してみてもよいでしょう。

3.評価

最後に、目標原価達成率とコストダウン達成率を算出してどれだけのことを成し遂げられたかを評価します。それぞれ、以下の計算式に当てはめて数字を出してみましょう。

目標原価達成率:目標原価÷標準原価×100

コストダウン率:(見積り原価-標準原価)÷見積原価×100

標準原価には第二段階で達成した原価を当てはめます。目標原価達成率が100%を切る場合は、なぜその結果になったのか、今後どんな対策を取れるかを分析します。問題点を洗い出したうえで改善策を立て、次回の商品開発に生かすことが大切です。

多角的な分析でコストダウンを実現

基本的な原価企画は計画・設計・評価を基本としますが、特に重要になるのが設計段階の原価管理です。しかし、原価管理を人的に行うとミスが発生しやすくなり、管理コストが余計にかかってしまいます。そこで、一般的には原価企画の設計段階では、正確にデータを管理し、試算を行う原価管理システムを活用します。

原価管理システムを使うと、原料メーカーやアウトソーシングをしている工場の原価を製品ごとに算出することができ、コストダウンを達成するのに足を引っ張っている過程を洗い出しやすくなります。

例えば、原価管理システムで製品別の原価台帳や原価構成表から製品別原価予算績対比表作成すれば製品同士の比較ができ、コストがかかっている工程の特定につながります。また、原価管理システムによってはデザイン料など材料・工賃以外のものを原価として計上する機能も搭載されており、より正確な原価管理をすることができます。このように生産性を高めてくれる原価企画ですが、その導入においては、業界の実態に即した原価管理システムを使用することをおすすめします。

例えば、見積り文化のないアパレル業界で見積りに関する工程がある原価管理システムは必要ありませんし、SE業界では原料の項目は必要ありません。

原価企画を導入すれば、費用対効果の高い製品を生み出しやすくなりますが、その導入の過程でムダが発生するのは好ましくありません。便利な原価管理システムを上手に導入・活用して、効率的な管理とコストダウンを実現しましょう。

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