図面や契約書、受発注書の電子化について考える

従来、紙の契約書や図面の管理は、ファイリングや保管場所、検索が大変など、さまざまな問題がありました。最近では、テレワークの実施や業務効率化、DXの観点からもクラウドのシステムを導入し、ペーパーレス化をして、従業員の負担を減らしたいと考える企業が増えています。業務の効率化を目指し、契約書や図面の電子化を検討している方の中には、「どのように進めるべきか分からない」「建設業法で電子契約がどのように規定されているのか」など、気になっている方もいるのではないでしょうか。
そこで、今回は各種書面の電子化についての変遷を追うと共に、実際に稼働する電子契約システムの事例について考察していきます。

書面の電子化対応の普及ついて

世の中では図面、議事録や会議資料などのペーパーレス化や電子化、そして、その推進が叫ばれています。書面の電子化とは、前述の文書を電子データで保管することです。これには保管方法が2種類あり、「電子化文書」と「電子文書」が存在します。電子化文書は、あらかじめ紙で発行されている文書を後から電子化したものことを指します。一方、電子文書は、あらかじめ電子データで文書を作成し、交付を行う文書です。電子化文書と違い、電子文書には印刷や製本の手間がかからないため、業務効率化につながります。
また、各種書面に限らず、契約書の電子化についても推進がされています。電子契約の中でも、証明書は、これまで公開鍵暗号方式の電子署名のみだったものが、電子記録債権による記録と同等となりました。そのため、非常に安全性が高くなったことから、電子契約の普及促進につながっています。

とはいえ、現実的な普及率はどの程度なのでしょうか。中でも今回は、電子契約の普及率について追っていきます。

2018年に発表された一般財団法人日本情報経済社会推進協会のJIPDEC IT-Report「企業IT利活用動向調査2018」調査では、契約書締結、保管を積極的に電子化したい企業は26.6%。従来までの契約フローが大幅に変わるため、導入に抵抗があり、後ろ向きの企業もいるようです。しかし、同調査によると電子契約の導入に前向きな企業は全体の20.6%となっており、既に導入している企業を合わせると63.7%になります。電子契約に対応済みおよび対応予定といった電子契約に賛同している企業は全体の6割近くにも及ぶことが分かります。
このことからも社会全体で、電子契約にメリットを感じている企業が増え、導入に抵抗がある企業は減少しているといえるのではないでしょうか。

それでは直近の動向はどのようなものでしょうか。2023年にデジタル庁が調査した「電子契約の普及状況」によると、56.3%が何かしらの電子契約システムを導入していることが分かり、実際にシステム導入をしている企業は増えてきています。

出典:電子契約の普及状況等について(デジタル庁 デジタル社会共通機能グループ/PDF・9ページ)

建設業で図面や契約書を電子化するメリット

まず、建設業において図面や契約書を電子化するメリットとしてどんなことが挙げられるのでしょうか。以下メリットについて見ていきましょう。

書類関係業務の効率化

電子化する最大のメリットとして、書類関係業務の効率化が挙げられます。紙ベースで契約書や見積書をやり取りする際には、書類作成や押印および郵送といった手間のかかっていたことが、電子化をすることでリードタイムを短縮することが可能になるからです。また、図面の電子化が実現できれば、常に最新の状況を共有できるため、修正後の共有も迅速に手間なく行うことができるのも魅力です。

収入印紙代や印刷費用の削減

書類の電子化によって、収入印紙の貼り付けが不要になることから、印紙代の大幅な費用削減が見込めるところは企業の収支にも影響を及ぼしそうです。なおかつ、書類の印字化にかけていたインク代などの印刷費用を削減できるメリットもあります。

コンプライアンスの強化に寄与

契約書や図面など、書類の電子化をすると、セキュアな環境にデータを保管することが可能になるため、コンプライアンスの強化が期待できます。内部統制にも有利ですし、昨今注視されている電子帳簿保存法のことを鑑みた際に、電子化することはもはや必要な取り組みともいえるかもしれません。
さらに電子化された書類であれば、紙による持ち運びや保管中の紛失による情報漏えいを低減できるほか、タイムスタンプを付与することにより改ざん防止対策も行えます。

建設業で電子契約が導入可能となった背景

上記のようなメリットがあることを鑑みると、もちろん建設業でも書面の電子化および電子契約の導入・推進をしたいところです。しかし、建設業界は請負契約が多い業界。中でも電子契約の有効性について不安視する人もいるのではないでしょうか。ですが、建設業で電子契約を利用することは可能です。その理由について以下に列記します。

建設工事の請負契約の書面化義務が緩和

2001年4月の建設業法改正により、建設工事の請負契約の書面化義務が緩和され、電子契約を締結することが可能になりました。思ったより早い時期から電子契約が導入、許可されていることをご存じない方もいるかもしれません。

2001年4月に施行されたIT書面一括法

2001年4月に施行されたIT書面一括法により、民間における商取引に関する書面の交付や書面による手続きを義務付けている関係法律 50本について、書面の交付などに代えて、相手方の承諾を得たうえであれば書面に記載すべき事項を電磁的措置によって行えるようになりました。

2008年12月に施行された電子記録債権法

これまで、金銭や物的譲渡の実施のために電子契約書を締結する際、電子証明書付きの公開鍵暗号方式の電子署名のみしかできませんでした。しかし、国土交通省は電子記録債権法の施行によって、電子記録債権による記録については「電子証明書が付いた公開鍵暗号方式の電子署名と同等の効力を有すると認められる措置」と確認しました。これにより個別に電子署名やタイムスタンプを付与する必要がなくなったのです。

2021年9月に施行されたデジタル改革関連法

デジタル改革関連法の成立をきっかけとして、建設業における法律(建設業法、建築士法など)の見直しがあり、建設業界における契約手続きの電子化の動きがますます強まっています。

このように電子署名法上の電子署名を利用しない「電子印鑑」や「電子サイン」と呼ばれる電子契約サービスであっても、建設業法上適法な電子契約が締結できるのです。また、国土交通省も、建設工事における電子契約のガイドラインを用意しています。

建設業界向けの書面電子化や電子契約のサービスが増加する時代

これまで述べてきたように建設業界では、書面の電子化や電子契約の使用ができるように法律上ルール緩和されていることが確認できました。そして近年は、新事業特例制度およびグレーゾーン解消制度を利用しながら、各社が建設業界向けの書面電子化や電子契約のサービスを作成しており、さまざまな形で提供され始めています。とはいえ、そのサービス内容は限定的なものにとどまることもあるようです。

電子契約と、書面の電子保管が一体できるサービスを最後に一例としてご紹介します。

契約業務プロセスの効率化を促進 eValue V 2nd Edition ドキュメント管理連携ライブラリ with クラウドサイン

相手方と合意した契約書式の社内稟議から、外部との契約締結、契約書の保管まで、一連のプロセスを全て電子化できます。契約締結のスピード化・コスト削減を支援します。

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