第29回 営業強化で必ず考えていただきたいこと…『顧客視点力(R)』の強化

4月に入り新たな期を迎えられ、今期の売上を上げるための戦略や計画、施策を検討している方も多いでしょう。
今回は、戦略や計画、施策を検討するうえで必ず考えていただきたいことをお話ししましょう。

それは、『顧客視点力(R)』の強化・・・「顧客視点で考え、実行する力」

各企業を支援していて、この『顧客視点力(R)』が弱い・・・
営業の前提である『顧客視点力(R)』がない、または弱いため、いくら営業強化に関する施策や教育を実施したり、体制を変更したりしても、改善できない、強化できない、そもそも施策が進められない
・・・このような企業が大変多いのです。

以前もお話ししましたが、『顧客視点力(R)』を強化する方法についてもう一度整理してお話ししましょう。
(参考コラム)第7回、第19回、第20回、第21回

第7回 「顧客視点力(R)」とは? …顧客視点力(R)が営業と成果を激変させる

第19回 『顧客の二つの課題』・・・そもそも課題に対する理解を間違えている

第20回 顧客の把握 …『顧客を把握するための三つの情報』

第21回 顧客の把握(2) …『顧客の想定 ~ホームページの見方』

今まで何度かお話ししましたが、営業力の前提は『顧客視点力(R)』です。
売りたいものがある・・・そして顧客は買ってくれる・・・のではなく、
買いたい理由がある・・・その理由に適したものを買う・・・のです。
つまり、営業が顧客に商品を買ってもらう活動は「買いたい理由」から始まるのです。

しかし、ほとんどの営業が「売りたいもの」から始まっている・・・

ある会社で営業指導をしているときにこのようなことがありました。
ガラスメーカー(A社)に対する受発注システムの引き合い案件です。

私:     「A社は受注生産と言っているけど、月間どのくらい受注が入っているの?」
営業担当:「けっこう多いみたいです」
私:     「多いってどのくらい?」
営業担当:「どのくらいかは???・・・」
私:     「受注生産って、型・大きさが違うから?それとも素材自体違うの?」
営業担当:「聞いてきます・・・」
私:     「昨年タイに拠点を作ったけど、東南アジアではどんな受注が多い?」
営業担当:「聞いていないです・・・」
私:     「東南アジアでは新規取引先が多いの?それとも日本のメーカー?」
営業担当:「???」
私:     「受注の入り方が顧客の業態によって違うみたいだけど、
       来年以降、東南アジアで住宅系マーケットへの拡大は考えていないの?」
営業担当:「???」

これでは、競合他社に勝てる提案ができない・・・
それに、顧客の要望と価格や機能などのミスマッチ部分を調整できない・・・
もとより、何がベストな提案かを考えられない・・・

これは、商品の説明、顧客の要望を聞くこと中心で、「顧客が何を目指しているか」「どういう状況か」「何を本当に悩んでいるか」
に対して考えていないからです。

冒頭で「必ず考えていただきたいこと」と申し上げたのは、これらを把握し、考え、実行できたら、ベストな提案や競合に有利な提案ができ、受注率や受注単価が改善できるからです。

~ 『顧客視点力(R)』の強化 ~

この「顧客が何を目指しているか」「どういう状況か」「何を本当に悩んでいるか」
に対して、
□ もっとちゃんと聞いてこい
□ 顧客のことを考えろ、調べてから行きなさい
□ ヒアリングする項目を標準化して聞くように指導
・・・これらでは改善しません。

この『顧客視点力(R)』の強化は大別すると3段階に分かれます。
【1】顧客を知る・・・ターゲットの知識・情報の蓄積
【2】顧客を考える・・・状況や実態、課題などを考える
【3】実行する・・・【1】【2】の情報を活用して営業を組み立て、実践する

【1】顧客を知る

これは、顧客を考えるための前提です。
知識や情報なくして考えることができないのです。

各企業の営業を見ていると「顧客から聞いた情報」という部分的な情報だけで考えているケースが多いのですが、『顧客視点力(R)』には全体的な知識や情報が必要です。
□ ターゲット業界の状況や傾向、市場環境
□ ターゲット業界の事業戦略、商品戦略
□ 事業内容や関連部門の業務フロー、組織連携方法
□ ・・・

これらの知識や情報を収集・習得させ営業組織で共有することで、顧客のことを考える前提ができます。

【2】顧客を考える

顧客の状況や実態、課題を考えるためには方法があります。

よく、漠然と顧客のホームページを見て・・・
「情報が少ないからわからない」「課題やニーズが想像できない」
その結果、「わからないから行ってから聞く」・・・
というケースが多い・・・

「わからないから行ってから聞く」
・・・これでは御用聞き営業(顧客の要望を聞き、合った商品を提供する営業)
しかできません。

顧客の状況や実態、課題を考えるためには、全体的な視点から落とし込んでいく必要があります。

たとえば、
□ 顧客のターゲットおよびターゲットの状況やニーズ
□ 顧客商品の部品・材料から仕入れ先および仕入れ先の状況
これらの情報から・・・
□ 仕入れ~生産~販売のプロセスや状況、戦略や各部門の役割、
商品やサービスの機能、方向性
そして・・・
□ 各部門の業務フロー、内容、部門間の連携、重視しているもの
そこまで考え・・・
□ 顧客の実態や課題

「課題がわからない、考えられない」と言っているのはいきなり「顧客の課題」を考えようとしているからです。

この【1】【2】は上位の課題(本コラム第19回『顧客の二つの課題』)に関する情報です。
IT企業であれば
・・・顧客の市場環境、戦略や事業、業務、部門間連携、従業員特性、など
部品・素材メーカーであれば
・・・完成品メーカー(顧客)のターゲットや商品戦略、企画や製造部門の業務、など
製造機器メーカーであれば
・・・顧客の受注~生産~販売の流れ、仕入れ・商品・販売戦略や生産プロセス、
機器を導入する施設や製造部門の業務、など

【3】実行する

この『顧客視点力(R)』による「実行」には下記が必要です。

□ 【1】【2】で収集した知識・情報や考えた仮説を活用して組み立てる営業のプロセス
□ 情報・仮説を活用するスキル、プロセスを実践するスキル
 (商談や提案を組み立てるスキル、コミュニケーションスキルなど)
□ 促進する施策
 (営業ツールの改善、管理方法など)
※本コラム掲載

多くの営業組織を見てきて、「顧客志向」を重視しているものの企業が強化・改善できていないケースがほとんどです。

□ 営業マネージャーや営業社員個人にゆだね強化する施策がない
□ 営業企画部門等で推進しているが上記【1】~【3】の中で欠如している部分がある
□ 施策が、営業の実態と合っていないため推進できない
□ コンサルティング部門などを設置しているが【1】~【3】が別々になり営業現場で促進できない

営業強化は『顧客視点力(R)』なくして成り立ちません。
ぜひ、上記「顧客を知る」「顧客を考える」「実行する」を参考に営業強化に取り組んでみてください。
1年後の営業成果が変わっているはずです・・・

≪お知らせ≫
セントリーディングでは上記『顧客視点力(R)』に対する研修をご提供しています。
ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。

『課題解決型営業研修』 (株式会社セントリーディング Webサイト)

次回は5月7日(水)の更新予定です。

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この記事の著者

株式会社セントリーディング 代表取締役社長

桜井 正樹

セールス・マーケティング企業で15年以上、法人向け提案型・課題解決型営業を専門にコンサルティング、アウトソーシング、教育事業に携わり、株式会社セントリーディング設立。IT企業、設備機器メーカー、販促・マーケティング会社など150社以上の営業強化を経験。
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