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第58回 予算・決裁者の対策は理由でなく原因と背景から考える
提案をしたときに「予算を取れない」と言われてしまった……。よく「理由を聞きなさい」という指導を耳にしますが、理由を聞くと「今期は業績が悪いから」……その結果、何も手が打てなくなる。今回は予算や決裁者などの対策を考える方法についてご紹介します。
予算・決裁者の対策は理由でなく原因と背景から考える
見込案件を獲得したけれど、なかなか決裁してくれない、予算を取ってくれない……
結果、受注できると思っていたのに失注した……
3月末に近づき今期の目標達成のためにクロージングしようと頑張っている頃でしょう。
顧客に「予算を取れない」と言われたときに皆さんはどうしていますか?
案件を獲得したけれど顧客から……
「予算を取れない」と言われた
「決裁者が反対している」と言われた
「現場が反対している」と言われた
部下がそのことを上司に報告すると……
「なんで予算を取れないんだ?」「ちゃんと理由を聞かないと」
そして、部下は……
「今期は業績が悪いから予算を取れないみたいです」
しかし、「今期は業績が悪いから」という理由を聞いてしまうと余計に打つ手がなくなる。
その結果、「しょうがない……」と終わってしまう……
このようなシーンが多く見受けられます。
ここで少し考えてみてください。
「理由」と「原因」の違いは?
「理由」=物事がそうなった、また物事をそのように判断した根拠。
「原因」=ある物事や、ある状態・変化を引き起こす元になること。また、その事柄。
辞書で調べるとこのように書いてあります。
とすると
「予算を取れない」という判断した根拠である「今期は業績が悪いから」が理由です。
そして、原因は、
「予算を取れない」という判断と「今期は業績が悪いから」という理由を引き起こす元になることであり、
「既存事業は、値引き競争になってしまい売り上げが伸びない」
「新規事業に注力するため、既存事業は投資を抑えている」
「新規事業に力を入れているけど、競合他社に先行されて思うように伸びない」
など……
そして、その原因の背景は
「既存事業は、競合他社の類似商品が多く差別化提案をできていない」
「新規事業を伸ばさないと、会社として売り上げを拡大できない」
「既存の市場が大きくならないことは明確であり、競合他社も新規事業に力を入れている」
など……
この原因と背景の情報を把握していたらどうだったでしょうか?
既存事業の提案力強化というテーマで提案したら……
来期の新規事業拡大に向けた今期の体制整備と説得したら……
新規事業の責任者に提案したら……
とさまざまな対策や提案を考えられたかもしれません。
「今期は業績が悪いから」だけでは、なんの対策や提案も考えられない……
クロージングに向けて予算や決裁者、競合などの障害が発生したときに「理由(判断の根拠)」を聞いても対策は考えられないのです。
クロージングに向けた対策は、理由(判断した根拠)でなく、その理由の「原因」と「背景」から考えるものです。
「今期は業績が悪いから」という理由を聞いて終えるのではなく、もう一歩踏み込み原因や背景を考え、把握しましょう。
そのためには「なぜ、なぜ、……」を繰り返すことが大切です。
原因と背景を考えクロージング力を強化する方法は……
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次回は3月19日(月)更新予定です。
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