第131回 未来を紡ぎ出す「かっこいい大人」

この1年を振り返り、来年の構想に思いをはせる時期になっています。11月に「国際子ども平和賞」を受賞した大阪の17歳・川崎レナさん。今回は、未来を担う年代の彼女が表現した「かっこいい大人」が何であるのか? を考えてみたいと思います。

未来を紡ぎ出す「かっこいい大人」

皆さん、こんにちは!

2022年も12月を迎えていますが、個人的には年々「年末・師走」の雰囲気を感じなくなっているような気がしています。特に今年はサッカー・ワールドカップで日本中が湧き立っていましたので、余計そう感じるのかもしれません。

いずれにしても、今年もロシアのウクライナ侵攻に始まった世界のサプライチェーンへの影響、それに伴う原材料の高騰等々、いろいろな出来事があったわけですが、この1年を振り返り、来年の構想に思いをはせる時期になっています。

皆さんは、どんなことを感じ、将来に向けて、どんな思いをはせておられますでしょうか……。
個人的には、11月に発表された「国際子ども平和賞」を日本人初で大阪の17歳・川崎レナさんが受賞したのは興味深いニュースでした。

今回は、未来を担う年代の彼女が表現した「かっこいい大人」が何であるのか? を考えてみたいと思います。

「国際子ども平和賞」

「国際子ども平和賞」は、2005年にミハイル・ゴルバチョフを議長としてローマで開催された「ノーベル平和賞受賞者世界サミット」において創設された賞です。
それ以降、ノーベル平和賞の受賞者が同賞の授与を担っているそうで、キッズライツ財団により子どもの権利のために奮闘する若いチェンジメーカーのプロジェクトに投資する取り組みも実施しているようです。

過去の受賞者の中には、その後、ノーベル平和賞受賞もしたマララ・ユスフザイさんやスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんの名前もあります。

そんな賞を日本の、しかも大阪の高校生が受賞したということで驚き、その受賞スピーチを聞いて、川崎レナさんという存在に興味を持ち、調べてみたところ、出てくる出てくる、面白い子でビックリでした。

川崎レナさんの受賞スピーチ

私が痺(しび)れてしまった彼女の受賞スピーチ全文は下記です。
まずはいったん読んでみてください。

私がこの活動を始めたきっかけは悔しさでした。変わりそうにない日本、自分の生まれた国、日本に誇りを持てないことについて、とてつもない悔しさを感じました。私たち日本の若者は政治離れの世代だといわれていますが、日本の若者は政治に興味がないのではなく、政治を信頼する理由、投票する理由が今はまだ見つからないことが多いのです。差別発言、議会中の居眠りなどを繰り返す様子が日々放送されています。このようなことをする政治家の皆さんばかりではないのは分かっています。市民の声を最初から聞いてくれないように見える日本の政治に、誰が協力しようとするのでしょうか。放送されているような政治家の皆さんばかりだと日本は変わることはないでしょう。

けれども、39歳の市長が居眠りする議員に向かい「恥を知れ」と叫んだ時、日本はまだ変われる。私はそう思うことができました。政治家として議会で寝ないのは普通のことのはずです。政党や思想関係なく、その普通を取り戻そうとしてくれている大人たちがいる限り、日本は私が誇れる国になれるはずです。

政治家の皆さん、私の発言は実現性がないでしょうか。理想的すぎるでしょうか。私たち若者は見るはずではなかったつらい、悔しい日本の現実を見てきています。それでも理想や希望をまだ持っています。政治家になる前にかっこいい大人になってください。私たちに子どもらしく夢を持たせてください。私たち日本の子どもは皆が理想とする、かっこいい日本になってくれるのをずっと待っています。私たちはいつまで待てばいいでしょうか。

いかがですか……。

少なくとも、私は、彼女のコメント「政治家である前にかっこいい大人であってほしい」を政治家だけでなく、私たち自身にも向けられた言葉だと思いますし、世の中の多くの若い人たちから突き付けられたように感じました。

ビジネスパーソンとして、どう受け止める?

私たちは、未来を担う子ども(若い社員)が見て、「かっこいい大人」になれているでしょうか……?

こんな大人・先輩がいるから、日本・会社を誇れる、夢が持てる、と言われるような存在になれているでしょうか……?

いろいろな意味で、大人の社会には「本音と建前」という世界があるわけですが、彼ら・彼女ら若い人たちは、そんな大人の「建前」を見透かしているということなのでしょう。多くのビジネスシーンで大人は、「会社のため」という言葉でいろいろなことを正当化してしまっていることが少なからずあるように思いますが、こんな「建前」は、今の若い人たちには通用しないということなのでしょう。

そんなアンテナの敏感な川崎レナさんの「対談スピーチ動画」をご紹介させていただきますので、ぜひ一度見ていただければと思います。50分程度の時間のものですが、本当に刺激的で「どれだけ勇気をもらえるか」「私たち・大人がシャンとしないとアカンのか」をストレートに突き付けてくれている気がします。

  • 私たちは、見えないモノを大切にする会社をカッコイイと思っている
  • SDGsを声高に言う前に、自分たちの会社の中がサステナブルかどうかを考えて欲しい

といった彼女のメッセージとどう向き合うのか?! を考えることが大切なのではないでしょうか。

川崎レナさんに学ぶ!~真のサステナビリティを叶える「多様な意見」とは?~(ワールドエンパワーメント YouTubeチャンネル)

今回、ワールドカップで大活躍した日本代表ですが、これも偶然に生まれた結果ではなく「かっこいい大人」が本気で取り組んできたプロセスの結果です。

2005年に「日本サッカー協会(JFA)」として、45年後も先の「2050年の約束」を掲げています。それは本気で世界にチャレンジすることを日本サッカー界を挙げて、トップレベルだけではなく、全国津々浦々の一つ一つの末端の少年サッカーチーム、キッズ、女子、ママさんチームを含めて巻き込んで計画的に見定めて積み上げてきた活動がバックグラウンドにあります。

「ブラボー」の言葉でチームを鼓舞した長友佑都選手が言っていた「俺だって、人間だからネガティブになることもある。弱さもあるし、怖さもある。だけど、それをポジティブに変換する技術を持てるようになったと思う。そう“技術”だと思うんだよね」というコメントは、「かっこいい大人」の条件なのかもしれません。

多くの壁と真摯(しんし)に向き合うことそのもの、前を向けることが、川崎レナさんの言う「かっこいい大人」であり、現代の企業経営においても避けて通れない姿勢なのではないでしょうか。

これからの経営において、「かっこいい大人」を求めている若い人たちには「会社の指示・命令や周囲の期待に自分を沿わせて生きるのではなく、自らを自身の人生の主役にしていこう」ということ。企業経営としての向き合い方を問われているかもしれません。

今後もよろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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