第142回 外国人患者の受け入れ JMIP認証病院への挑戦

日本を訪れる外国人の方が再び増加しています。治療を目的に来日する(医療ツーリズム)外国人も再び増加することも十分に考えられます。医療機関での外国人の受け入れ態勢を整備するための外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)について説明します。

外国人患者の受け入れ JMIP認証病院への挑戦

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)も、世界では一段落したように見えます。外国では、マスクをしている人などは見かけることはなくなりました。日本においても落ち着き始めてはいますが、まだ外国に比べたらマスクをしている人は多いようです。

このような状況で、日本を訪れる外国人の方が再び増加しています。街の様子を見ても外国の方が目立ちます(下グラフ参照)。

出典:インバウンド 訪日外国人動向(JTB総合研究所・2023年09月15日更新)

治療目的の「医療ツーリズム」の増加も

来日する外国人が多くなると、急病やケガで医療機関を受診することもあります(下グラフ参照)。さらに治療を目的に来日する(医療ツーリズム)外国人が再び増加することも十分に考えられます。

出典:厚生労働省における医療の国際展開に関する取組(厚生労働省・PDF・P15)

外国人が日本で具合が悪くなる要因はさまざまですが、多くの症状は腹痛が多いようです。長いフライト時間の影響などで体調が万全でないところに、普段食べなれていない日本食によっておなかが痛くなったりすることが多いのです。これは食中毒などとは異なります。外国人が好む日本食は、すし、刺し身などの生食材も多く、生まれて初めて食べるものもあるのが原因です。

増える外国人患者の対応は、言葉を含めてまだ十分ではありません。国の対応方針では、不慮のけがや病気への対応として

「安全・安心に日本の医療サービスを受けられる体制を充実させるため、医療通訳・外国人向けコーディネーター等が配置された拠点病院や外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の認証病院等の拡大に規模感とスピード感を持って取り組む。これらを中心に、2015年度中に都道府県毎に最低1ヶ所以上の外国人旅行者受入可能で幅広い症例に対応できる医療機関を自治体等と連携し選定する。」

出典:厚生労働省における医療の国際展開に関する取組(厚生労働省・PDF・P4)

との記述があります(太字は筆者による強調)。

JMIPとは、日本医療教育財団が厚生労働省の支援のもと、国内の医療機関に外国人の受け入れ態勢に対しての認証を行っています。既に認証を受けた医療機関は、2023年9月の時点で68医療機関です。

参考

外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)

JMIPの認証について

以下、JMIPからの抜粋です。

  • 認証制度の対象となる医療機関

日本医療教育財団の認定調査員により、書面調査と訪問調査を実施します。書面調査では、「現況調査票」、「自己評価票」および「事前提出資料」を事前に提出していただきます。訪問調査では担当者合同面接や院内ラウンド調査などを通じて、院内(施設内)の外国人患者受け入れ体制を確認します。訪問調査の調査結果をもとに、有識者からなる「認証審査会」において最終的な判定を行います。

  • 審査の方法

認証を得た医療機関には、日本医療教育財団より認証書が発行されます。認証医療機関は、医療を必要とする全ての外国人に安心、安全に医療を提供できる体制があることが証明されたことになります。認証医療機関は、JMIPのホームページ上を通じて、外国人患者の受け入れ体制が整備された病院(健診施設)であることを告知することができます。

JMIPによる調査内容

書面調査は、外国人受診者に対する対応マニュアルの整備の有無や、記録整備、通訳の配置などが確認されます。そして、実際にサーベイヤー(訪問調査員)が医療機関に訪問して調査する内容は、受付表や予約表の内容の確認から始まり、調査票、スタッフの日報、紹介状、同意書、問い合わせ対応ツール(翻訳アプリや会話集など)などの現物と使用状況などを直接確認します。訪問調査は2日間が基本です。

調査終了後、1カ月半程度で医療機関に中間報告が行われます。この中間報告の中に「C」評価があった場合、すみやかに改善策を立案、実行し補充的調査を行うことになります。補充的調査が終了し、2~3カ月後に最終判定が通知されます。通知は、「認証」か「認証留保」のいずれかですが、特段のことがなければ認証となることが多いようです。

認証された医療機関には、「認証書」が送られます。認証機関は3年間です。ちなみに認証留保になった医療機関には、改善要望書が送られ、改善の後再度審査を受けることになります。改善要望内容により、書面審査だけの場合もあれば、再度訪問調査を受ける場合もあります。

外国人患者の対応にはJMIPの知名度向上が重要

「外国人患者」とひとくくりにして記述してきましたが、外国人患者は観光客など短期滞在者と、留学や就労など、長期滞在者に区分ができます。短期滞在者が具合が悪くなった場合、まず相談するのが、ホテルなどの宿泊先や外国人向け案内所です。ホテルや案内所の方がJMIPのことを知っていて、その認証医療機関を紹介してくれるということは、JMIP自体の知名度が低いため、まだ難しいのではないかと考えられます。さらにJMIP承認医療機関数が少ないことも要因です。今後はJMIPの知名度を上げる工夫が必要です。

JMIP非認証医療機関では、特に「言葉」のコミュニケーションをとることが難しく、診療面や(未収金となるような)金銭面でもトラブルになることが多いようです。観光地が近くにある医療機関や、実際に多くの外国人が来院する医療機関は、JMIPの認証を考えられるとよいと考えます。

皆さんはどう思いますか?

次回は11月8日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社FMCA 代表取締役

藤井 昌弘

1984年に医療関連企業入社。院内の各種改善活動を指導。急性期医療機関出向、帰任後、厚生労働省担当主任研究員として厚生行政の政策分析に従事。2005年退職、株式会社FMCAを設立。原価計算の導入と活用、病院移転に伴うマネジメントも実施。
株式会社FMCA

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