第25回 「データマイニング」を行うということ

前回のコラムでは、自社の業務に関連するデータを、いろいろな角度から分析し、自社の強みと弱みを把握することの重要性を説明しました。
そして実績を分析する上でのポイントとして、事前に設定した基準値との差異分析および時系列的な相対分析をあげさせていただきました。
今回はこれらの従来型の分析方法とは少し違った観点での「データマイニング」の手法を紹介させていただきます。
 
従来、鉄鋼流通加工業界における分析は、事前に予測した自社の販売量・販売金額に対する達成率であり、そこから生み出される粗利率・加工歩留まり、加えてその他経費の増減が製造原価といった値で表現されます。
これらの分析結果を基に実績からの現状を読み解くことが次の一手を決めるうえで重要なファクターと考えられていました。
しかしながら、現実には昨今の激しく変動する外部要因や競合他社との競争において、この過去の実績からの比較分析では遅きに失するケースが散見されます。

そこで、このような場合に適用できる分析方法として「データマイニング」という手法があげられます。
「データマイニング」とは大量のデータからその中に潜むデータ間の相関性などを探し出す技術です。
しかし技術とはいってもその実態は概念に近いものになります。
「データマイニング」自体は決して新しい考え方ではなく、特に小売業・一般消費財のマーケティングにおいてはかなり以前から用いられており、ご存知の方も多いと思います。

データマイニングの効果を端的に示した有名な例があります。
アメリカのスーパーマーケットで売り上げをデータマイニングで分析したところ、従来の概念では考えられない「おむつを買った人はビールを買う傾向にある」というアウトプットが得られました。
そこでおむつとビールの売り場を近くにすると売り上げが上がったということです。
従来型の分析ではおむつとビールの関連性は発想すらなかったのかもしれませんが、データマイニングでは事実としての関連性を示唆します。
「おむつ売り場の近くにビールを置くとよく売れる」この示唆された関連性からより発想を深堀することで、今までにないアイデアが生まれます。

今まで気づきえなかった相関性を日々の業務の中から見つけ出し、発想を広げるという点において、データマイニングは有効に活用できるツールではないでしょうか。

実際には、ベテランの社員の方で理由の説明はできないまでも、自身の経験や直感で「確信」としてデータマイニングの結果と同じ答えをお持ちの方は少なくないと思います。
このような方々のノウハウとデータマイニングツールを有効に活用することで、より分析の「確度」を高められれば、外部環境やお客様のトレンドの変化にいち早く気づくことができます。
そしてそれにいち早く対策を打つことができれば企業にとって大きな強みになるのではないでしょうか。

次回は1月17日(金)更新の予定です。

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この記事の著者

三由 浩司

株式会社CANVASは 2018年12月、株式会社日本金城印へ事業を移管いたしました。
鉄鋼流通・コイルセンターにおける業務全般(営業・生産・IT)のコンサルタントを中心に製造業全般の提案活動を実施。国内外における複数コイルセンターの標準化システム構築実績有。
株式会社日本金城印

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