第134回 “行動変革”につなげる「推論のはしご」の理解と実践

今回は、『最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か』(著:ピーター・M・センゲ)の中の「学習する組織」にて取り上げられている「氷山モデル」と「推論のはしご」の理解を深め、行動・実践への展開を考えてみたいと思います。

“行動変革”につなげる「推論のはしご」の理解と実践

こんにちは!
ロシアのウクライナ侵攻から1年が経過しましたが、いまだ出口が見えない状況が続いています。この戦争が世界に与えた影響は本当に大きなものであり、企業活動レベルでは、グローバルに広げていたサプライチェーンの見直しにつながりましたし、私たちの生活レベルにおいても、生活必需品を含め物価高騰という直接的な影響につながりました。

こうした状況を迎える中で、企業活動においては、経営者を筆頭にした「人がどう考えるか? どう判断するか?」が問われるようになっています。

一方、並行して、テクノロジーの発展は指数関数的なスピードになっており、最近では「創るAI」として「ChatGPT」という単語が日本経済新聞に掲載されない日はありません。

このように世界・社会・技術の環境変化を踏まえ、「考える→決める→行動/実践→振り返る/考える→……」のサイクルスピードも上げて、自身の“行動変革”に結び付けていかないといけないのだと思います。

今回は、上記を踏まえて『最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か』(著:ピーター・M・センゲ)の中の「学習する組織」にて取り上げられている「氷山モデル」と「推論のはしご」の理解を深め、行動・実践への展開を考えてみたいと思います。

「学習する組織」

最近は「ティール組織」に代表されるように組織のあり方が取り上げられることが多くなっています。そのはしりとなったのが1990年にピーター・M・センゲが提唱した「学習する組織」という概念だといえるのではないかと思います。

詳細は、下記に譲りますが

最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か

著:ピーター・M・センゲ  刊:徳間書店

学習する組織―システム思考で未来を創造する

著:ピーター M・センゲ  刊:英治出版

いわゆる、「上意下達」といわれる指示命令、トップダウン組織で「イイから、言うとおりにやれ」はコマンド&コントロールによる組織マネジメントではなく、役職・キャリア・性別などの枠を超えて、社員である前に「一人の人間」として認知・尊重をして「お互いが学びあう」組織マネジメントだといえます。

そして、その「学習する組織」の構成要素として下記五つの要素が挙げられています。

  • ビジョンの共有
  • 自己マスタリー
  • チーム学習
  • メンタルモデルの克服
  • システム思考

「システム思考」を分解する

ここでは、それぞれに関する詳細は割愛しますが、今回のテーマにおいては「システム思考」が切り口になりますので、その原則理解を構成要素に掘り下げていきます。

システム思考:現実の複雑性を理解し、望ましい変化を起こすために物事のつながりや全体像を見て、その本質について考えるアプローチ

氷山モデル

氷山は、その一部のみが水面状に顔を出しており、その全体像の大半は水面下に沈んでいて目には見えません。このように、私たちの目の前で起こる「目に見える事象(一般的には“言動”)」は、その全体像のごく一部にすぎないと考えられます。

そして、その「目に見えない部分/水面下の部分」は表面に近い順から

  • パターン
  • 構造
  • メンタルモデル

によって構成されており、個々人、および組織において重要となるのは、その「核」を構成している「メンタルモデル」だといえ、その部分をさらに要素分解する必要があります。

推論のはしご

つまり、人の「メンタルモデル」とは、その人に対する外の世界からの刺激、あるいはその中で自分が認識した事実に基づいて、さまざまな解釈や行動を導き出す根幹に位置付けられます。

この認知の働きについての構造が下記で表現される「推論のはしご」だといえます。

つまり、

  1. 眼前ある観察可能な無数の“事実”から、ある特定の一部の事実を選んで“認識”する
  2. その“認識した事実”に対して、どのような意味があるかを“解釈”する
  3. その“解釈”に従って、どのような判断や行動をすべきかについての“前提”を考え
  4. その“前提”に基づき“結論”を導き出す
  5. その“結論”に基づいて、何らかの“行動”を取り
  6. その“行動”を繰り返しているうちに、自分の“信念・世界観”を形成するようになり
  7. その“信念・世界観”が形成されていくと、その後の“行動”のありさまを固定化していく

という思考プロセスを表しています。

さらに、これを繰り返しているうちに

  1. いったん形成された“前提”ができてしまうと、都度認識した事実の意味を探ることなく“勝手な解釈”を行うようになってしまう
  2. こうした経験を繰り返すと、どのような状況においても「結論はこれしかない」という“決めつけ”につながる
  3. さらにこうした前提や結論はステレオタイプ的に“一般化”されていき、個々の事象の背景を考えることを省いていってしまう

結果的に「“考える“ことを放棄」してしまいます。

「メンタルモデルの克服」の実践

ここまで示したメンタルモデルは、「本人にとっては無意識・無自覚である」ことが一般的であり、それがゆえに、それと向き合い、克服していくのは難しいといえます。

では、どうすれば少しでも意識的に、あるいは自覚的になれるのでしょうか……。
そのための取り組みとして有効なのは「内省の習慣とスキル」ではないかと思います。

「内省」とは「反省」ではありません。言い換えるなら「自分の思考の振り返り」であり、自分の内側の思考について省みることであり、自分の体験や行動と関連する思考や感情などについて見つめる行為を指します。

周囲を含めた外部環境の変化や他社の行動・判断・状況など、自分の外側ばかりを見て、指摘や批判をするのではなく(コレは“評論家”だといえます)、自分の内側に状況を切り開いていくキッカケとなる鍵を見いだしていく(コレができてこその“当事者性”といえます)ことが重要になってくるのではないでしょうか。

自分自身を客観視して考えることは、必ずしも簡単ではないと思いますので、今、世の中では「1on1ミーティング」が盛んになっているのでないかと思います。

皆さんは「1on1ミーティング」においては、「相談を受ける側」の方が多いかと思いますが、その立場であれば「相談する側である部下」は起こった事実・事象を取り上げて相談してくることが一般的だと思いますので、「その相談ごとの上位目的・上位要因」を捉えないといけないのではないかと思います。

アインシュタインが「問題は発生したのと同じ次元では解決できない」と言っているとおりではないでしょうか。

つまり、「1on1」の究極の目的は、自分を掘り下げて客観視することなのかもしれません。方法論はいろいろあると思いますが、あなたはそんな時間を定期的に確保していますでしょうか……。

今後もよろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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