第146回 今、あらためて「問い直す力」

AI元年といわれた2023年が過ぎ、想像を超えるスピードでのテクノロジーが発展しています。今回は、こうした「AIを含めたテクノロジーの発展」が不可避な時代だからこそ、「人」として注力すべき能力や視点を考えてみたいと思います。

今、あらためて「問い直す力」

こんにちは!

2024年に入り、相変わらずの「政治とカネ」の問題がありながらも日本経済は史上最高値の株価4万円超えを果たし、活況を呈している様相です。

もちろん、「“失われた30年”を取り戻した」と鼻息の荒い方や大いに潤っている方もおられるわけですが、私を含めた多くの市井の人々は、物価高との相対の関係の中でその恩恵を感じづらかったり、どこかリアリティーを感じていなかったりするように思います。

少なくとも、私のようなバブル期を経験した世代の人間の個人的考えとしては、「経済的に恵まれても、それは“リア充”とは必ずしもつながらない」ということを肌感覚的に知ってしまった経験も理由の一つのような気がします。

一方、時代背景や環境が大きく変わる中で育った「Z世代」といわれる人たちの価値観は、少なくとも古い世代とは大きく変わって多様化し、「経済的側面」一辺倒な画一的価値観では測れない状況になっています。

「不適切にもほどがある!」というTVドラマがヒットしているようですが、この世代間ギャップの相互理解だけでなく、そんな時代背景、テクノロジーの発展が猛烈なスピードで変わる中、企業、あるいは組織として、働く「人」に対して、“どのように考えていくのか?”が、時代が突き付けてきている「問い」なのかもしれません。

AI元年といわれた2023年が過ぎ、想像を超えるスピードでのテクノロジーの発展に比し、人間の成長はスピード的にはかなうはずもありません。だからこそ、目的にかなう視点を明確にし、注力していかないといけないように思います。

今回は、こうした「AIを含めたテクノロジーの発展」が不可避な時代だからこそ、「人」として注力すべき能力や視点を考えてみたいと思います。

AIに善意は宿るのか

日本経済新聞の特集「テクノ新世」で、「AI研究のゴッドファーザー」として知られるトロント大学のジェフリー・ヒントン名誉教授の発言を下に「AIに善意は宿るのか?」という議論が活発になっているとの記載がありました。

また、既に私たちの生活から切り離せなくなっているSNSが、「情報の民主化」や「世界中の人とつながれる」といった素晴らしい功績を認める一方で、価値観や意見の異なる人たちを糾弾したり、悪意を持って恐怖に陥れたりすることも可能となってしまい、人のつながりを壊してしまった側面があることも否めない現実だと思います。

私のような人間には「AIやテクノロジーの将来予測」という視点で議論することは到底、無理な領域です。

ただ、私たちは「テクノロジーの発展」で幸せになってきたのか? とか、企業経営の目的は、こうしたテクノロジーの発展の恩恵を受け「最小努力・最大成果」を生み出すことだったのか?……といった「問い」を立てて考えることをしていくことはできるように思います。

そもそも「企業経営の目的」は何なのか?

企業経営の在り方を表現する言葉として「三方よし」があります。ご存じのとおり「売り手よし、買い手よし、世間よし」が商売・ビジネスを進める王道として、日本ではスタンダードな考え方の一つに定着しているかと思います。

最近では、「三方」どころではなく「五方よし」や「八方よし」ともいわれたりもしますが、いずれも抽象度を上げた表現にしていくと、結局「関わる人の誰もが幸せになること」が理想として求めているともいえるのではないでしょうか。

だとすると、AIも含めて、あらゆるテクノロジーも「“人間が幸せになる”ための道具」であるとの認識でなければならないのではないでしょうか。

では「人間が幸せになる」には、何が必要なのでしょうか……
「幸福学」や「ウェルビーイング」という領域も確立されつつありますので、詳細は下記を参考にしていただければと思いますが、ここでは「“便利になる”ことと幸せ」に関して考えてみます。

幸せに生き、働くためのコツとは? “幸福学”から紐解く、社会人のウェルビーイング(ベネッセ ウェルビーイングLab)

現代だけではなく、私たち人間は、過去からスマートフォンを含め「便利になる・効率化する」ためのツールやテクノロジーの発展・恩恵を追い求めてきたことは紛れもない事実だと思います。
では、私たちは、それを通じて、本当に「幸せの実感」が増してきたのでしょうか……

逆に震災や災害自体は悲しい出来事ではありますが、そんな経験を通じた「不便さ」の中でこそ、「人と人とのつながり」を感じたり、本当に大切なことが何か? を考えたりする機会があり、記憶に残ることも真実なのではないでしょうか。

AIにはできないであろう人としての能力

AIに代表されるテクノロジーは今後の飛躍的に発展していくことは間違いないことだと思いますので、シンギュラリティといわれる「人知を超える」時代も来るのかもしれませんが、やはり最後の最後まで人間に及ばないであろう能力は「心が動く」ということではないでしょうか……

『脳を開けても心はなかった』(著:青野由利 刊:築地書館)という本も出ていますが、どんなに優れた文章を書きあげてくれても、自分の「心が動いた」経験や想いの深さ、それに伴う熱量やパッションといった類いを表現することは難しいのではないかと思います。

そう考えると、「無意味な中から、自分なりの“意味”を見いだす」ことが重要になってくるのかもしれません。

そして、こういうことを考えるには、まずは「自己認識の誤り(誤認識)を認めること」から始めなければいけないのかもしれません。

私たちの無意識の当たり前・前提条件を、「あらためて問い直す力」こそが、「答えを出す力」以上に問われているのではないかと思います。

引き続き、よろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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