第128回 「中堅・若手社員の退職の増加」とどう向き合うのか

今回は「中堅・若手社員の退職問題」を嘆くだけでなく、そうした現実を生んでしまっている会社側の古い価値観がどう影響しているのか? とどう向き合うのかを考えてみたいと思います。

「中堅・若手社員の退職の増加」とどう向き合うのか

皆さん、こんにちは!

東京オリンピックに絡む贈収賄事件は、あちこちに拡がっているようで、オリンピックがこうした「不正の温床」になり下がってしまっている現実を目の当たりに突き付けられ、残念な気持ちに駆られます。

とはいえ、こうした事件に関わっているのが、いわゆる昔ながらの古い価値観の人たちばかりで、老害の最たる例になっているようで、時代の変化・世の中の価値観の変化から置き去りになった人たちの哀れな末路と思えば、いずれ変わっていくことに期待をしていけるのではないかとも思います。

ここまで極端な例ではないにしても、「The Great Resignation(大退職時代)」と呼ばれ、多くの会社の共通の悩みとして聞く「中堅・若手社員の退職の増加」もヒョットすると、根っこは同じなのかもしれません。

今回は、「中堅・若手社員の退職問題」を嘆くだけでなく、そうした現実を生んでしまっている私たち側の、会社側の古い価値観がどう影響しているのか? とどう向き合うのかを考えてみたいと思います。

従業員のマインドセットや要望を理解しているのか

米Citrix社が2020年、雇用主が取るべき行動に関する従業員の意見をまとめた資料「Talent Accelerator」を発表した際に、CMO・Tim Minahan氏は、「パンデミックは従業員の仕事に対する見解や取り組み方を一変させました。企業が明日に向かって前進するために必要な人材を惹き付けて引き止めたいと考えるのであれば、自社の従業員のマインドセットや要望を理解し、今すぐ対応の計画を立てる必要があります」と指摘をしています。

私たちは、本当の意味で、自社の従業員のマインドセットや要望を理解しているのでしょうか……。古い価値観や古い色眼鏡に基づいていては、いくら見ようとしても実態とは異なる景色や色として認識してしまいます。

彼らは、本当に「高い報酬」を求めて転職という道を選択しているのでしょうか。もちろん、そういう方も少なからずおられるでしょうし、その要素が皆無だというつもりは全くありません。

ただ、「高い報酬」を求めている人は、転職した先へ行っても、さらに高い報酬を得られる先があればまたそちらへ鞍替えするでしょうし、そうした方を引き留めるには、常にどこよりも高い報酬を用意し続けていかなければなりません。
それが、私たちの会社にとって望ましいことなのでしょうか……。

とある経営者に聞いたことがあります。
「あなたの会社は、それなりに利益も上げているにも関わらず、同業他社と比較すると、必ずしも給与面では高いとはいえません。どうして、待遇改善に注力しないのですか」と……。

その経営者は下記のように回答してくださいました。
「私たちの会社は、目指している理念に共感してくれる人たちで仕事を進めたいと思っています。ところが、給与・報酬を高くしてしまうと、それを求める人たちが混ざってしまう」でした。

この考え方が、今のご時世の中、歓迎すべきかどうかは別にして、ある側面からは真実を突いているのではないでしょうか……。

彼らは、仕事に何を求めているのでしょうか?

経営者や管理職の立場からすると、往々にして、「彼らの成果・業績を上げることを支援することが彼らのためになる・自信につながる」と思いがちかもしれません。

確かに、その受注報告を共有のホワイトボードの類いに書くのは嬉しいかもしれません。確かに、その方には実績は残り、評価の対象にはなるかもしれませんが、本当の意味での経験値や仕事に対する誇り、あるいはお客さんへの思い入れはどうなのでしょうか……。下手をすれば、残念ながら、ご自身が担当していく気概や当事者意識の意味では、その時点でご自身のお客様ではなくなってしまっているかもしれません。

上記は、あくまでも一つの例に過ぎませんが、経営者や上司の立場からすれば恐らく「良かれ」と思って「部下のため」のことを思ってのサポートなのだと思います。

つまり、私たちの「良かれと思って」のことが、対象の本人にとっては、必ずしも「良かれ」と受け止められないケースがあるのではないか……という問いだと理解していただければと思います。

それどころか、極端にいえば「自分の成長の機会を奪われた」とか「上司にとって、あるいはチームの業績のために、自分の成長機会をないがしろにされた」と逆恨みを受けてしまっている可能性さえもあるのではないでしょうか……。

こうして、若手・中堅社員が退職を申し出てきたときには「なぜ? こんなに〇〇してあげてきたのに……」的な忸怩(じくじ)たる思いに駆られる結果になってしまっているのかもしれません。

結果として、本来、仕事において最も楽しい・醍醐味でもある部分を奪い取る結果になったりはしていませんでしょうか……。

「そんなことは分かっている。でも管理職として業績を落とすわけにはいかない中で、少しでも自信を持たせようと思っているんだ」という声が聞こえてきそうですが、彼らからすると「それって、将来に向けた部下である私の成長よりも、今のあなたの業績評価を優先してるってことですよね……」と受け止められても仕方ないのではないでしょうか。

さて、「中堅・若手社員の退職問題」を彼らの責任・彼らに問題があると嘆いていても、何ら解決にはつながらないわけですが、私たちは、この問題とどう向き合えば良いと思いますでしょうか……。

今後もよろしくお願いいたします。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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