アパレル業界がテレワークで生産性を上げるには? 在宅勤務時代の今後を考察
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、実店舗での販売が中心のアパレル業界でも、テレワークの導入が求められています。実店舗をそのままオンラインに置き換えるのは難しくても、業務によってはテレワークに置き換えられるものがたくさんあります。アパレル業界におけるテレワーク導入による生産性向上の環境づくりや、業界のトレンドなどについてご紹介します。
そもそも、テレワークとは? アパレル業界では何から進めるべき?
「テレワーク」は、"tele"と"work"に分けられ、"tele"は「離れた」という意味があるため、「離れたところで働く」ことを指します。
1970年代、アメリカのロサンゼルスで自動車による交通の混雑や大気汚染が問題になり、さらに同時期、石油危機による燃料不足も起こっていました。それらの状況を緩和するため、自宅で仕事をするスタイルとして「テレワーク」が広がっていきました。現在は、「リモートワーク」という言葉も普及していますが、"remote"も「遠い、遠隔の」という意味なので、言葉の意味はテレワークとほぼ同じと考えてよいでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、急激にテレワークが広がりつつありますが、実店舗の多いアパレル業界としては、どのように取り入れていくのがよいのでしょうか。
アパレル業界など、小売業のテレワーク導入は難しい?

アパレル業界を含む小売業では、実店舗がビジネスのメインであることが多く、顧客との対面接客による販売が主流です。そのため、アパレル業界でのテレワーク導入は難しいと思う人もいるでしょう。
実際、小売業の中でもアパレルの場合は、サイズやフィット感など、実際に試着してみないと分からない部分が大きく、販売業務を実店舗からオンラインに置き換えるには、ハードルが高いとされています。とはいえ、そのほかの業務については実店舗を介さずとも遂行可能なため、まだまだテレワーク導入の余地はあると言えます。
製品を生産してから販売に至るまでの流れを考えると、テレワークでも行える業務が見えてきます。例えば、製品を広めていくためのPR施策のアイデア出しから検討・決定までは、リモートでの打ち合わせでカバーできるでしょう。決定した施策の実行に際しても、チラシや広告の作成までは非対面でも行えます。
さらに、新店舗の展開や既存店舗のリニューアルなどハード面についても、その設計の工程では、関係者とのコミュニケーションを円滑に行うことや、3DやVRなどの技術を活用することで可能になるでしょう。そのほか、売り上げや在庫情報などのデータ分析や情報共有などの業務もリモートで行えるでしょう。
もちろん、いきなり全社的にテレワークを導入するのは難しいため、テレワークでカバーできる業務を洗い出し、部分的に導入していくことが大切です。オンライン中心のコミュニケーションになるため、特にマネジメント層の人はテレワーク導入のためのセミナーなどで成功事例を学ぶことも有効です。
「アフターコロナ」の社会でアパレル業界に求められることは?
新型コロナウイルスがどれくらいの期間、世の中や経済に影響を与えるのかを見通すのは難しく、いわゆる「アフターコロナ」の世界を正確に予想するのも困難でしょう。しかし、アフターコロナを見越して、今のうちから自社のビジネスのあり方を考え、準備していくことが大切です。アパレル業界では、どのような変化が効果的でしょうか。
テレワークを実践したとしても、各従業員が連携してスムーズに業務を進行させるために、業種に関係なく重要なポイントがあります。オンラインツールを効果的に利用し、対面での打ち合わせが難しい環境でもこまめにコミュニケーションを取ることです。
また、PDCAサイクルを円滑に回転させ、業務の効率化を図ることも重要です。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の繰り返しによる業務のブラッシュアップが、アフターコロナの時代には今まで以上に求められるでしょう。例えば、従来は実店舗でのビジネスが当然だったアパレル業界でも、オンライン上でのビデオコマースやライブコマースといった新たなPR施策を実践したり、それまで労力を要していたシフト管理などをシステム化したりする動きはますます加速するでしょう。
従業員を別のポジションで活躍させるためのアイデア
テレワークを実施するうえでは、各従業員の自律性が求められますが、それを生かすためのアイデアをご紹介します。簡単にいえば、「立場が人を変える」という観点から、従業員をこれまでとは別のポジションで活躍させるのです。アパレル業界でいえば、元々実店舗で販売員をしていた従業員に、オンラインでの販売を推進するポジションを与え、新しいプロモーション戦略などを考案させます。
現在では、オンラインでの商品の販売方法は単なる通販だけでなく、リアルタイムで顧客とつながりながら販売する手段もあります。
いわゆる「ライブコマース」と呼ばれる動画配信を利用したプロモーション形態で、成功例も増えています。ZoomやSNSなど数あるツールの中から、ターゲットとする顧客との接点になるものを選定し、ライブ配信で商品をPRし、販売につなげるのが効果的です。
実店舗での販売以上に、販売員の力量が求められますが、それがモチベーションにつながるような制度も設計すると、より効果が上がるでしょう。例えば、販売員個人のSNSとリンクすることができ、商品が売れた場合に個人の成績に反映されれば、販売意欲もアップするはずです。
テレワークを導入して生産性を上げるポイントは? 便利なWebサービスも紹介
テレワークを導入するにあたり、よく「生産性が落ちる」と懸念されます。しかし、ポイントさえ押さえておけば、生産性を保ち、あるいは向上させながらテレワークを導入することも可能です。
テレワークには以下のようなメリットがあります。
- 通勤費、オフィスの備品費などの各種コストを削減できる
- 国や地方自治体からの助成金を受けられる
- 新型コロナウイルスの感染リスクを抑制できる
一方、テレワークを実践するうえでは以下のような課題もあります。
- コミュニケーションが不足しがちになる
- 会議が非効率になりやすい
- セキュリティ面が気にかかる
- 業務の進捗が把握しづらい
- データや情報の共有がしづらい
テレワークのメリットを享受し、効果的に導入するためには、これらの課題を克服することがポイントになります。以下では、コミュニケーションや連携を便利にし、テレワークの生産性を上げるのに役立つツールをご紹介します。

ビジネス用チャットシステム
新型コロナウイルスによって経済が影響を受ける前から、法人向けのチャットシステムの普及は進んでいました。しかし、特にテレワーク実施時には、従来のメールや電話のみではコミュニケーションが不足しがちになるため、リアルタイムで双方向のコミュニケーションを行うツールがより一層必要になります。そこで、チャットワークやSlack、LINE WORKSといったビジネス用のチャットシステムの利用が増大しています。これらのツールは、必要に応じてグループごとやテーマごとのスレッドを設けてコミュニケーションを簡単に行え、ビデオ通話なども可能です。進捗状況などを参加メンバー全員が共有でき、オンラインでの会議から細かい連絡まで、便利に行えます。また、リモートでは対面の場合と比較して、雑談などの気軽なコミュニケーションが難しくなるため、場合によっては雑談用のスレッドを設けるなどの工夫もお勧めです。
オンライン会議システム
テレワークで生産性が大きく下がりかねないのが、打ち合わせです。対面での会議と比較して、特に情報共有をリアルタイムに行うのが難しくなります。会議で使用するホワイトボードを思い浮かべると、人が一か所に集まらずに打ち合わせを行う難しさがイメージできるでしょう。そこで、新型コロナウイルスによる影響が出始めてから、ZoomやSkypeをはじめとするオンラインの会議システムの利用者が急激に増えています。場所やデバイスを問わず会議に参加でき、会議中に画面の共有ができるのはもちろん、記録も残せる便利なツールです。また、会議用のURLを共有するだけで開催できるため、社内会議だけでなく、外部向けにオンラインセミナーを行う際にも活用できます。録画もできるので、オンデマンドで視聴してもらうことも可能です。
また、Zoomについては、当初セキュリティ面の不備が懸念されていましたが、アップデートによりセキュリティが強化され、承認されたメンバーのみが参加できるようになりました。
なお、オンライン飲み会のツールとしての利用も広まっており、業務外のコミュニケーションを活性化させるために活用するケースも増えています。
ワークシート
オンラインでの作成・編集が可能なワークシートを通して、業務の進捗状況などを効率良く共有できるツールです。Googleが提供するスプレッドシートが代表的な例です。特に、複数人で共同作業を行う際に、同じスプレッドシートを使ってほかのユーザーと同時に作業することもできるので、生産性が格段に上がります。
ファイル共有サービス
多くの会社で、プロジェクトに関する資料や商品の資料、在庫情報など、複数人でファイルを連携したり編集したりするケースも多いでしょう。テレワークの場合は、よりシームレスにデータを共有する必要があります。これを可能にする代表的なツールがGoogleドライブやDropboxなどで、必要な容量に応じたプランの選択も可能です。
アフターコロナのアパレル業界に求められるのは「変化への対応力」
アパレル業界を含む小売業では、実店舗での販売が基本のため、新型コロナウイルスの影響下でもテレワーク導入が比較的難しい側面があります。しかし、店舗販売を除けば、テレワーク化可能な業務は多くあり、オンライン上に販路を見出すことも可能です。自社の業務でテレワーク可能なものを洗い出し、生産性を向上させながら推進できるよう、各種ツールも合わせて検討してはいかがでしょうか。
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