消費者行動モデルは? コロナ後の変化についても紹介!

事業が持続的に発展していくためには、いかにして新規顧客の獲得と既存顧客のロイヤルカスタマー化を促進するかが重要です。そのためには自社の見込み客や顧客の消費者行動モデルを理解しなくてはなりません。本記事では消費者行動を理解する重要性や代表的なモデルについて解説します。コロナ禍による消費者行動の変化についても考察します。

消費者行動とは

消費者行動とは、消費者が商品・サービスを購入する際の行動パターンや意思決定プロセスを指す概念です。消費者行動は消費者の潜在的なニーズや社会的な環境、経済的な制約などの要素に基づいて形成されます。消費の本質的な目的は欲求の充足であり、消費者は限られた予算の中で満足感を最大化するための購買計画を無意識に立案・実行します。そのため、企業にとって消費者行動の理解を深める工程は非常に重要な課題となります。

消費者行動が重要な要因

消費者に購買行動を起こさせるためには、消費者の潜在的な需要を掘り下げると共に、商品・サービスを購入する際の心理状態や行動パターンを把握しなくてはなりません。現代は市場の成熟化と共にプロダクトのコモディティ化が進んでおり、優れたプロダクトを開発するだけでは消費者から選ばれるのは困難です。このような社会の中で市場の競争優位性を確保するためには、消費者の行動特性や意思決定に関わる要素を分析し、その知見を起点とするマーケティング戦略が求められます。

消費者行動モデルとは

広告戦略やプロモーション活動を展開する際に重要な指標となるのが「消費者行動モデル」です。消費者行動モデルとは、消費者が商品やサービスを認識してから購入に至るまでの心理や行動のフレームワークを指します。マーケティング戦略を策定する際は顧客ニーズや消費者インサイトを深く掘り下げ、その洞察に基づいて消費者行動モデルを選択するプロセスが極めて重要です。

六つの消費者行動モデル

消費者行動モデルは複数の種類が存在しますが、代表的なモデルとしては六つに分類できます。消費者の購買行動を分析するためには、それぞれのモデルを正しく理解することが大切です。

AIDMA(アイドマ)

消費者が商品・サービスを購入する際は「認知する」→「興味関心を抱く」→「所有への欲求が生まれる」→「記憶する」→「購入する」というプロセスをたどるのが一般的です。

この一連の消費者行動は「Attention(認知)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(購入)」の頭文字をとって「AIDMA」と呼ばれます。基本的にはマス広告を主体とした一方通行のマーケティング戦略に用いられる消費者行動モデルです。

AISAS(アイサス)

AISASは「Attention(認知)」「Interest(関心)」「Search(検索)」「Action(購入)」「Share(共有)」で構成される消費者行動モデルです。認知と関心まではAIDMAと同じプロセスをたどりますが、そこからインターネット上で商品の情報を検索して比較検討し、購入に至った後に口コミを共有する点が異なります。インターネットやSNSの普及によって生まれた消費者行動モデルの一つです。企業にとっては広告費をかけることなく認知度の拡大を狙える点が大きな特徴です。

AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)

AISCEASは「Attention(認知)」「Interest(関心)」「Search(検索)」「Comparison(比較)」「Examination(検討)」「Action(購入)」「Share(共有)」の頭文字からなる消費者行動モデルです。AISASと似たモデルですが、比較と検討が加わる点が大きく異なります。AISCEASは不動産や金融商品、自動車などの高単価で検討期間が長いプロダクトを購入する際に適用される消費者行動モデルです。

VISAS(ヴィサス)

VISASは「Viral(口コミ)」「Influence(影響)」「Sympathy(共感)」「Action(購入)」「Share(共有)」という五つの要素で構成されており、SNSの発展によって誕生した消費者行動モデルです。現代の消費者はSNS上の口コミに影響を受け、プロダクトのストーリー性や機能性に共感した場合に購買に至ります。

そしてSNS上で商品やサービスの情報を共有し、それが第三者の購買意欲に影響を及ぼすという循環を生み出す消費者行動モデルがVISASです。

ULSSAS(ウルサス)

ULSSASは2019年に提唱された比較的新しいモデルで、「User Generated Contents(ユーザー投稿コンテンツ)」「Like(いいね)」「Search1(SNS検索)」「Search2(検索エンジン)」「Action(購入)」「Spread(拡散)」の頭文字で構成されています。

ユーザーの投稿と「いいね」などでプロダクトを認知したユーザーは、次にSNS検索と検索エンジンの両方を使ってリサーチし、購買後に口コミを共有してその情報が拡散されるという消費者行動モデルです。

SIPS(シップス)

SIPSは「Sympathize(共感)」「Identify(確認)」「Participate(参加)」「Share&Spread(共有と拡散)」という四つの要素からなる消費者行動モデルです。SIPSもSNSの隆盛と共に誕生したモデルの一つであり、「いいね」や「リツイート」などの共感を起点として、消費者自身が情報の拡散を担うことで認知度が拡大していくフローを示しています。

AIDMAやAISASなどが消費者の購買行動に焦点を当てているのに対し、SIPSはユーザーとの双方向コミュニケーションに焦点を当てている点が大きな特徴です。

コロナ禍によって変化した消費者行動モデル

2020年に世界中で大流行した新型コロナウイルスは、社会環境に多大な影響を与えました。それにより消費者行動モデルに生じた変化について、ZMOTとTMOTという二つのモデルを通して解説します。

ZMOT(ズィーモット)

ZMOTは「Zero Moment of Truth」の略称で、消費者は購入前に商品・サービスに関する情報を収集し、来店時には既に何を買うかを決定しているとする消費者行動モデルです。

ZMOTが提唱されたのはコロナ禍以前ですが、緊急事態宣言によって不要・不急の外出を自粛せざるを得なくなり、購買行動のオンラインシフトが加速しました。また、実店舗で購入する際も、感染リスクを考慮して店舗滞在時間は減少傾向にあります。特に現代はSNSの普及に伴って消費者が多様な情報に触れる機会が増大しているため、見込み客が商品に触れる前にタッチポイントを創出する仕組みが重要となります。

TMOT(ティーモット)

TMOTは「Third Moment of Truth」の略称で、顧客がプロダクトを利用し続けることで愛着心が高まり、リピーターになるとする消費者行動モデルです。

商品やサービスを繰り返し利用するという体験の積み重ねによってロイヤルカスタマー化が促進されれば、SNSでの拡散が期待できます。新型コロナウイルスの影響によってECサイトやWebサービスの利用が増加したため、いかにしてオンライン上のチャネルで優れた購買体験を提供するかが大切です。

低価格業態の消費者行動も注目されている

コロナ禍の収束と共に政府の支援や補助金が打ち切られ、資金繰りの悪化によって倒産に追い込まれる企業が少なくありません。新型コロナウイルスの影響によって多くの国が経済的な危機に直面しており、国内では低価格業態の消費者行動が注目を集めています。

例えばコロナ禍の最中では、3密の防止を目的として低価格帯の店舗でまとめ買いをする消費者が多く見られました。コロナ禍はいったん収束の様相を見せているものの、不況そのものの終わりは依然として見えないため、アフターコロナ時代では「安価でコストパフォーマンスに優れる」というイメージ戦略の重要性が高まっていくと予測されます。

顧客満足度を最大化するためには、消費者の潜在的なニーズやインサイトを発掘する必要があります。そのためには見込み客や顧客が商品・サービスの購入に至る心理と行動を可視化しなくてはなりません。従って、効率的かつ合理的なマーケティング戦略を展開するためには、見込み客の消費者行動モデルを分析するプロセスが極めて重要です。

まとめ

消費者行動モデルとは、消費における行動パターンや意思決定のプロセスです。代表的な消費者行動モデルとしては「AIDMA」「AISAS」「AISCEAS」「VISAS」「ULSSAS」「SIPS」「ZMOT」「TMOT」などが挙げられます。

また、コロナ禍による不況の到来によって低価格業態特有の消費者行動も注目を集めています。未曽有の不況が継続する現代市場で差別化を図るためには、低価格業態ならではの消費者行動に着目することも重要です。

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