VMDとは? アフターコロナの時代に実店舗が取り組むべき戦略と解説

コロナ禍において、実店舗にはさまざまな課題が生まれています。2020年の今、店舗運営において何を行えばよいのでしょうか。それを考える上で重要なキーワードとなってくるのがVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)です。今回はVMDについて基礎知識から解説するとともに、アフターコロナ時代における商品やブランドイメージの視覚的訴求の在り方についても考えていきます。

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは、視覚的に訴求を行うPR手法の総称です。この言葉は1944年頃からアメリカで使われはじめ、アパレルなどの店頭における商品プレゼンテーションの重要性から、ストアオペレーション戦略として発展してきました。

日本ビジュアルマーチャンダイジング協会ではVMDについて、以下のように定義しています。

業の独自性を表わし、他企業との差異化をもたらすために、流通の場で商品をはじめすべての視覚的要素を演出し管理する活動である。この活動の基礎になるものがマーチャンダイジングであり、それは企業理念に基づいて決定される。

  • * 日本ビジュアルマーチャンダイジング協会 サイト「VMDとは?」より引用

VMDとは?(日本ビジュアルマーチャンダイジング協会)

特にアパレル・ファッション業界においては非常に重要な戦略の一つといえるでしょう。

VMDとDP(ディスプレイ)やMP(マーチャンダイズプレゼンテーション)の違い

ところで、VMDと似たような言葉に「ディスプレイ」があります。マーチャンダイズのビジュアル化という点でVMDと混同しやすいのですが、双方には明確な違いがあります。

ディスプレイは陳列や装飾そのものを指しますが、VMDはもう少し広義の店舗演出を指しています。

店舗における総合的な空間演出がVMDです。入り口周りから売場、そしてレジ周りなどを含めた空間全体において商品の配置、装飾などを工夫することによって、お客様が商品を見やすい店舗づくりを行います。また、店舗スタッフのトレーニングもVMDの一環に含まれています。

VMDの三要素

VMDは以下のような要素で構成されます。この三つを適切に行うことで、お客様にとっての「見やすく・買いやすい空間」を実現します。

VP(ビジュアルプレゼンテーション)

ショップのコンセプトやブランドイメージ、シーズンテーマなどをビジュアル的に表現することや、そのスペースを指します。遠くから見てもすぐに印象付くように、店内だけではなく入り口周りや外壁、看板、ショーウインドーなどのファサードから、VP(ビジュアルプレゼンテーション)を行い、店内へとお客様を誘います。

PP(ポイントプレゼンテーション)

お客様に店舗の顔となる商品をプレゼンするための陳列の仕掛けです。フロア中央や四隅などのお客様の目に付きやすい場所に、お勧め品を見せるためのマネキンやラックなどを配置します。

IP(アイテムプレゼンテーション)

店舗内をお客様が見て歩く中で商品のカラーやサイズ、形などに分類・整理し、見つけやする陳列表現を指します。お客様は直観的に欲しいものが見つけやすくなります。
また、IP(アイテムプレゼンテーション)ではPOP(ポップ)を使用して商品の特徴を伝える方法もよく使います。その際、ポップに描く内容は一つ程度に絞ったほうが、見る人にとって分かりやすくなります。

VMDを効果的に実践するポイント

ここからは、実店舗でVMDを意識した売り場づくりを行う場合のポイントをご紹介します。
なお、VMDについて詳しく学びたい場合は「日本ビジュアルマーチャンダイジング協会」による「商品装飾展示技能」の資格を取得してもよいでしょう。
厚生労働大臣から指定を受けた専門学校・各種学校などの卒業予定者や、社会人として実務経験があれば受験が可能なので、スタッフ育成の一環として資格取得支援を行う店舗もあるようです。

商品装飾展示技能検定(日本ビジュアルマーチャンダイジング協会)

店舗のコンセプトを正しく伝える

店舗の装飾とブランドイメージが異なる場合、ターゲットとしたい客層が集まりません。どんな商品を取り揃えているのかを考えた上で店舗をデザインする必要があります。

お客様目線になる

ピンポイントで商品を求めに来るお客様もいますが、たいていは回遊しながらさまざまな商品を手にします。回遊しやすいように、店内の動線を考えることも重要です。

ディスプレイの基本形を学ぶ

VMDでは商品の訴求に適したディスプレイの基本構成があります。
例えば、商品を陳列す際には

  • 高さの違う商品を並べるときには、正面から見て三角形にする
  • 規則性を持たせて配置する
  • 左右が対象(シンメトリー)になるように並べる
  • 左右が非対称(アンシンメトリー)になるように並べる

という基本構成があります。
それらはお客様にとって見やすく、美しく見える構成です。ほかにも、マネキンの配置だけではなく、顔の向きなども考えます。

ディスプレイの基本形を学ぶ

季節による商品の入れ替えや、気候に合わせた商品のセールスポイントの変化に合わせたVMDを行います。四季折々の雰囲気を感じさせるディスプレイや、シーズンごとのルックを細かく展開していくとよいでしょう。

アフターコロナの時代に取り組むべきVMDとは?

アフターコロナの時代においては人の暮らし方の意識が変わるとされ、既存の季節や商品コンセプトだけにフォーカスしたVMD戦略だけでは集客率向上につながらない可能性も考えられます。

コロナ禍がもたらした生活の大きな変化といえば、以前よりさらにECサイトで購入する傾向が強くなったことです。
そのため、実店舗のショップスタッフによるオンラインでの接客サービスが生まれています。ショップスタッフがオンラインに画像をアップしスタイリングを提案するという試みも開始されています。

しかし、ECサイトが隆盛とはいえ、実店舗の存在が必要でなくなるわけではないといわれています。店舗の役割は「体験を提供すること」であり、実際に手に取って商品を見られる空間ということに価値があります。それはECサイトにはない魅力です。

では、アフターコロナの時代における実店舗のVMDにはどのようなものが考えられるのでしょうか。既に登場している事例も交えて紹介します。

「3密」を避けた店舗づくり

従来よりもマネキンや棚、什器の間隔を空けるようにするなどの工夫をする店舗が増えています。ディスプレイの間隔を空けることで、お客様同士の距離も空き、安心で快適と感じるようにします。

お客様の動線を考えた店舗づくり

お客様の動線を考えて店内の配置を考えている店舗も出てきています。とくにレジ周辺が込み合わないように注意をする必要があります。効率のよい導線を検討するためにも、モニタリングを利用した導線分析も実施するとなおよいでしょう。

ブランドイメージに合わせた衛生用品の提供

店頭に置くハンドサニタリーのボトルを、ブランドイメージに合うようなボトルを選ぶのもお勧めです。ほかにも、店頭にマスクの着用や手指の消毒などを促す張り紙をする際に、ブランドイメージにあったデザインを依頼するとよいでしょう。

特別なディスプレイ

例えば、店舗中央に大きな花壇を置くショップもあります。コロナ禍の自粛で委縮した気持ちを安らげるような空間づくりも喜ばれます。
他にも、お客様が一度に大勢店内にいる状態にならないようにアポイントメント制にしたり、入り口に混雑状況を伝える表示を行ったりする方法も採用されています。
アフターコロナの世界でも、ショップのコンセプトやブランドイメージを伝えるVMDは重要です。VP、PPなどのポイントを押さえつつ、工夫を凝らしていくとよいでしょう。

コロナ禍の今、新しい生活様式を意識したVMDの検討を

VMDを実現するには、店舗の外観を飾るVP、お客様にお勧め品を分かりやすく伝えるPPなどの要素を押さえながら行うことが大切です。アフターコロナ時代では、人の意識も変わり新しい生活様式になるといわれています。既にコロナ禍の影響でVMDにも変化が生まれ始めていますが、今後も集客のためには新しい生活様式を念頭に置いた店舗づくりが重要となっていくでしょう。

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