アパレル業界必見! 物流コストの課題と削減のポイント

近年では、インターネットの普及や巣篭(すご)もり需要を受けて、ECサイトで洋服を購入することが一般的になっています。そこでアパレル業界の課題となるのが、物流コストです。オンラインで商品を販売する場合、店舗販売と比べて、商品の梱包や配送などに費用がかかります。物流にコストがかかると、商品自体の価格も上がってしまい、顧客離れにつながりかねません。そこでこの記事では、アパレル業界における物流コストの現状と課題、その対策方法を解説します。

アパレル業界における物流の仕組み

物流とは、商品が企業から消費者まで届く一連の流れを指します。物流の基本の流れは以下の通りです。

保管:いつでも商品を届けられるよう、倉庫に商品を保管する
荷役:倉庫への入出庫や仕分け、ピッキングなどを行う
包装:商品を汚れやダメージから保護する
流通加工:配送しやすくするため商品を分解して包装する、ラベルや検品も行う
情報管理:在庫がいくつあるか、商品がどこにあるかなどの情報管理を行う
配送:商品を消費者へと送り届ける

しかしアパレル業界における物流の場合、上記の基本的な流れの他に、幾つか気をつけなければならないポイントがあります。

ポイント1 季節や流行(りゅうこう)によって流通量や内容が変化する

アパレル業界は、季節やトレンドに応じて商品の売れ行きが大きく異なります。そのため、トレンドに合わせてストックしておく商品を管理しなければなりません。

ポイント2 材質ごとで適切な保管・運送方法が異なる

コットン・ポリエステル・レザーなど、衣服の材質はさまざまです。素材ごとに適した保管・運送方法をとらなければなりません。方法を誤ると、商品が劣化し、トラブルにもつながりかねません。

ポイント3 商品によって異なる梱包への対応

衣服を配送する場合、商品に応じて適切な梱包をしなければなりません。コートやドレスなど型崩れしやすい商品は、ハンガーにかけるなどして配送をする必要があります。もし配送中に商品の品質が落ちてしまった場合、返品などの対応をしなければなりません。

このように、アパレルにおける物流は、ただ商品を運ぶだけではありません。素材や梱包方法など、商品についての専門知識を持って適切に保管・配送をしなければならないのです。

アパレル業界の物流が抱える課題

上記のように、アパレル物流には手間がかかります。そのため、多くの企業が物流に関して課題を抱えています。代表的なものを見てみましょう。

実店舗とEC店舗展開による業務の煩雑化

実店舗の売り上げ拡大のため、実店舗と並行してEC店舗を展開している企業も多いでしょう。両者を展開すると、実店舗に置く商品の配送とEC店舗で取り扱う商品の配送をしなければならず、業務が複雑になりがちです。

多店舗出店による複数の在庫管理業務

店舗数が多ければ多いほど、在庫管理に手間がかかります。正確な在庫管理ができていないと、注文を受けても商品が届けられないといった業務ミスが起き、最終的にクレームや顧客離れにつながりかねません。

出荷までに要する時間

アパレル商品は、同じ商品でもサイズやカラーが異なるため、出荷前の検品に時間がかかります。その結果、入荷の遅延につながります。特にセール中や繁忙期は、遅延や誤配が起きやすいようです。

また近年では、単純にトレンドに沿った商品が売れるとは限りません。顧客のニーズが多様化しているため、一人一人に合った商品を用意する必要があります。ニッチな商品の注文が入った際に出荷作業に手間取ると、顧客の不満につながる可能性があります。

さらにアパレル店舗には、返品・交換に関する問い合わせも多く寄せられます。問い合わせを受ける部署と配送部署がうまく連携する必要があります。

売れ残り、廃盤などの処分

アパレル商品は、流行が過ぎるとどうしても売り切れないものが出てきます。その在庫をいつまでも保管しておくと、スペースが圧迫されてしまいます。売れ残った商品をどのように処分するかも重要な課題の一つです。

コスト

アパレル物流にはさまざまな工程があり、コストがかさみがちです。コストについては、次項で詳しく説明します。

コストがかかる要因

そもそも物流コストには、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、物流コストの種類と費用がかかる原因を解説します。

保管費用

保管費用は、在庫を多く抱えるほどかさみます。在庫数が多くなくても、商品の形状が揃っていないことで、余分な保管スペースをとってしまうこともあります。またアパレル商品の場合、素材によっては特定の環境下で保管しなければならず、さらに費用がかかることもあるでしょう。改善するためには、在庫数保管状況の見直しが必要です。
その他にも、シーズン中に商品が売れず、結果として売れ残りの商品を廃棄するためのコストがかかってしまう可能性があります。

荷役費用

繁閑に差があることで荷役作業に波があったり、手作業で荷役を行ったりしている場合、コストが高くなります。また作業が統一されていないと、後で不備が見つかり、追加の作業が発生することもあります。作業内容の統一やシステム化が必要です。

梱包資材費用

梱包資材そのものが高価であったり、大きさや強度が商品に適していなかったりすると、余分にコストがかかります。コストを抑えるには、資材自体の見直しを行わなければなりません。

配送費用

配送費用は物流コストの6割を占めるといわれます。特に、遠方への配送や当日配送などは費用がかかります。コストを削減するには、配送拠点の位置を再考したり、運送会社をあえて複数使い分けたりなど、工夫が必要です。

その他の費用

その他の物流コストとして、業者による検品費用や規格に合わせるための加工費用、不良品の返品費用などがあります。

物流コストを改善するには、前述のとおり多くの観点での見直しが必要です。

コスト削減にむけての取り組み内容

物流コストの削減方法はいろいろあります。ここでは、削減方法の一例として、アウトソーシングと在庫の一元化管理を紹介します。

アウトソーシング

物流コストを一括で見直したい場合は、他の会社にアウトソーシングするのがおすすめです。特にアパレル物流に特化した会社なら、気温や湿度が管理された倉庫で、商品に合わせて適切な方法で在庫を保管してくれます。また、タグ付け・補修作業・検品などをトータルサービスとして行ってくれる会社もあります。ノウハウと設備を兼ね備えている会社に依頼すれば、コストはもちろん手間も格段に減るでしょう。

さらに、会社によっては出荷を自動化するサービスを取り入れているところもあります。受注から出荷、出荷後の在庫反映までをシステムで自動的に行うため、より迅速に消費者のもとへ商品を届けられます。

実店舗とECサイトの在庫を一元管理

実店舗が複数ある場合や、実店舗とECサイトの両方を運営している場合、それぞれ配送などのタイミングが異なるため、あえて在庫を分けている会社も少なくありません。しかし、より物流を効率的にするには、在庫の一元管理がおすすめです。
物流倉庫が複数あると、それぞれの倉庫にある在庫を把握しづらくなります。そのため欠品なのに受注してしまったり、逆に商品が余ったりと、連携ミスが起きかねません。それを防ぐためにも、倉庫は一つにまとめましょう。

物流コスト課題の解決に向けて

物流の基本は、消費者の元へ正確・迅速に商品を届けることです。今後のアパレル業界では、EC店舗展開や消費者ニーズの多様化により、物流の形もさまざまになるでしょう。その中で物流コストを削減していくためには、在庫の一元管理が重要です。
そのためには、いろいろな点で見直しが必要ですが、自社で全てを抱えようとするとかえって非効率となりコストがかかる可能性もあります。アウトソーシングを依頼するなど、自社だけでなく他社も巻き込むことで、より効率化を目指せるでしょう。

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