棚卸の意味とは? アパレル業界における棚卸の目的や評価方法

決算期を迎える企業にとって欠かせない業務の一つが棚卸です。アパレル企業にとって在庫管理は極めて重要な経営課題であり、適正在庫を保てなければ経営破綻を招きかねません。アパレル業界は季節ごとにさまざまな商品を取り扱うため、四半期ごとに実施する企業も少なくないでしょう。そこで本記事では、アパレル業界において非常に重要となる棚卸の目的や評価方法などについて詳しく解説します。

棚卸とは

決算日を迎える企業にとって不可欠となる作業の一つが棚卸です。棚卸とは、ある時点における製品や商品の在庫量を確認し、評価額を計算する作業を指します。帳簿と在庫量を照合し、理論在庫と実在庫に相違がないかを確認するのが棚卸の役割です。生産や販売、物流といった業務において必須の作業といえるでしょう。

棚卸の目的

なぜ、製品や商品の在庫量を確認する棚卸が必要なのでしょうか。ここからは棚卸を実施する三つの目的について詳しく解説します。

在庫状況を正しく知る

企業が棚卸を実施する一つ目の目的は、在庫状況を正しく知るためです。棚卸を実施しなければ在庫量があいまいになり、適正在庫を把握できません。過剰在庫は管理費用と保管スペースを圧迫し、さらに保管期間が長期化するほど品質は劣化して価値が下がっていきます。反対に過少在庫は販売機会を逃し、間接的な利益の損失につながるでしょう。在庫は多すぎても少なすぎても利益の損失につながるため、棚卸によって在庫状況を正しく把握することが必要です。また、理論在庫と実在庫の差異から不正の発見につながるというメリットもあります。

会社の業績を把握する

会計上の期末棚卸資産の金額を確定させ、会社の業績を把握することが棚卸を実施する二つ目の目的です。在庫は販売活動によって現金化されることを目的とした棚卸資産であり、貸借対照表では流動資産として計上されます。在庫を経費として計上できるのは、基本的に販売するか廃棄した場合です。そのため不良在庫を抱えるほど税金面での負担が増加し、キャッシュフローの悪化を招きます。しかし季節性の商品や流行に左右されやすい棚卸資産の場合、在庫の価値が下がることで評価損として計上できるケースがあります。棚卸資産評価損の割合を把握できる棚卸は、節税対策としても非常に有効な方法なのです。

在庫の問題点を洗い出し、戦略を立てる

棚卸を行う三つ目の目的は、在庫の問題点を洗い出し戦略を立てるためです。ビジネスは仮説を立てて戦略を立案し、実行して得たフィードバックを基に改善していくというPDCAサイクル(注)の連続です。どのような物事においても結果には必ず原因があります。在庫管理を最適化するためには棚卸によって在庫状況を把握し、どのような商品が売れ残っているのか、あるいはなぜ不良在庫となってしまったのかなど、問題点を洗い出さなければなりません。そして、問題点を見つめ直すことで現状と理想のギャップが明確化され、具体的なアクションプランや定量的な経営戦略の立案につながります。

  • (注)PDCAサイクルとは
    Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の四つを繰り返し順番に行うことで、生産や管理などの業務を改善する手法のことです。「日本の品質管理の父」と呼ばれるアメリカの統計学者「W・エドワーズ・デミング」が1950年代に提唱した手法で、現在では業種・職種を超えて幅広く活用されています。

アパレル業界における棚卸を行うタイミング

日本では法人および個人事業主は、年に一度は必ず決算処理を行わなければなりません。法人であれば収支状況や財務状況の確認と開示、そして税金額の算出を目的として一事業年度末に決算処理を行います。決算処理では売上原価や資産価値などを算出する必要があるため、棚卸の実施が不可欠です。アパレル業界は季節性の商品を取り扱うため、季節ごとや四半期ごとに棚卸を実施する企業が多い傾向にあります。棚卸は実施回数が多ければ多いほど在庫を正確に把握できますが、その分コストを要するため、少ない企業で年に一度、多い企業でも四半期ごとに実施するのが一般的です。

アパレル業界における棚卸の手順

ここからはアパレル業界における一般的な棚卸の手順について見ていきましょう。

棚卸表を作成する

棚卸表とは、在庫量や金額などを記入する一覧表です。棚卸表を作成することで在庫状況を定量的に把握することが可能になるため、在庫管理の最適化や受発注の効率化に役立ちます。また棚卸表は商品や材料などの明細書としての役割を果たすため、決算処理という意味においても不可欠な書類です。

在庫の入出庫を止める

棚卸表の作成後は在庫の出し入れを停止します。棚卸を行う際に在庫数が変動する入出庫を行っていては商品が入り乱れ、在庫を正しく把握できません。そのため棚卸を実施する際は入出庫を停止し、集中して作業できるよう環境を整える必要があります。アパレルの場合は、ほとんどの店舗で閉店後もしくは休業にして棚卸を行い、意図的に在庫の入出庫を停止します。

在庫を数える

入出庫の停止後は、実際に在庫の現物をカウントするフェーズに移ります。棚卸専用の機器がない場合は目視で数えなければなりません。在庫を数える際に大切なのはカウント方法のルールを統一することです。カウント方法のルールの定義が共有されなければ、数え間違いの原因になります。カウント方法のルールを事前に定義し、作業スタッフ全員で共有しましょう。

在庫状況を棚卸表へ入力・記入する

最初のフェーズで作成した棚卸表にカウントした在庫状況を入力します。物品管理システムや棚卸システムを導入している企業であれば、項目に沿って入力していきましょう。Excelで管理する場合は、日付・品目・品番・入庫数・出庫数・在庫数を縦軸と横軸それぞれに項目を設定します。商品を保管する棚や列に番号を振り、管理業務を標準化できるよう体制を整えることが重要です。

棚卸在庫と帳簿在庫を照合する

最後は帳簿に記された理論在庫と、実際に保管されている実在庫を照らし合わせていきます。数量や金額が合わない場合は在庫の再確認が必要です。在庫量が多ければ見落としや確認ミスの可能性があります。決算処理にも影響するため、可能な限り差異を最小限に抑えなくてはなりません。

アパレル業界における棚卸の課題

近年、情報通信技術の発達によるIT化の恩恵を受け、さまざまな産業が大きな発展を遂げました。しかし、アパレル業界はIT化が大きく遅れているのが実状です。棚卸をはじめとして、業務を効率化するIT環境の構築が今後の課題といえるでしょう。ここからはIT化が遅れているアパレル業界の棚卸における課題を解説していきます。

人為的ミスが発生する

さまざまな産業でDXが推進されていることもあり、物品管理システムや棚卸システムなどを導入するアパレル企業が増加傾向にあります。しかしそれは強い資金力を持つ大手企業の事例であり、資金力に乏しい中堅・中小企業では、棚卸作業をスタッフ一人一人が手作業で実施しているのが現状です。人間によるアナログな棚卸は、カウントのミスや漏れといった人為的ミスを防ぐのは困難といえるでしょう。棚卸の注意点や課題について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

棚卸作業と在庫管理の方法と効率化

棚卸工数が掛かる

スタッフ一人一人が手作業で棚卸を実施する場合、非常に多くの工数が必要です。また人為的ミスの修正にも時間と手間がかかります。膨大な棚卸の工数をどのように効率化していくのかが、アパレル業界の今後の課題といえるでしょう。

リアルタイムな在庫管理ができない

アナログな棚卸は膨大な工数を要するため、在庫管理にタイムラグが生じます。在庫の数量や行方を明確に把握できず、過剰在庫や過少在庫の原因になります。ITシステムによるデジタル管理が実現できれば、どこに何が配置され、いつから保管してあるのかなど、あらゆる在庫データの定量的な管理が可能です。棚卸だけでなく在庫管理を最適化するためにも、ITシステムによるデジタル管理が求められます。

棚卸にはSMILE V ApaRevoとSMILE V 会計の連携がおすすめ

人の手による棚卸や在庫管理は、非常に非効率的と言わざるを得ません。そこでおすすめしたいのが、大塚商会が販売する業務管理ソフトウェア「SMILE V」シリーズの導入です。特に「SMILE V」シリーズの「SMILE V ApaRevo」と「SMILE 会計」を連携することで、在庫状況のリアルタイムな管理や棚卸工数の大幅な削減が実現します。ボタン一つで販売管理から会計システムへの連携が可能になるため、棚卸や在庫管理だけでなく、基幹情報のシームレスな管理が可能となるでしょう。「SMILE V」シリーズの具体的な導入事例は、以下のページでご紹介しています。

株式会社アールケイエンタープライズ 導入事例

まとめ

棚卸を実施する主な目的は在庫状況を正しく知り、企業業績を把握するためです。また、棚卸によって在庫管理における問題点が可視化され、定量的な分析に基づく経営戦略の立案につながります。しかしアパレル業界はIT化が遅れており、非効率的な棚卸や在庫管理を行っているのが実状です。在庫状況を明確に把握できず過剰在庫や過少在庫になれば、顧客の需要に対応しきれず販売の機会損失を招きます。近年話題となっているDXの実現によって新たな市場価値を創出するためにも「SMILE V ApaRevo」と「SMILE 会計」を導入し、棚卸や在庫管理のデジタル化を推進してはいかがでしょうか。

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