パーソナライズ化で売上UP! アパレル業界のサービス事例

流行や消費者行動に大きく影響を受けるアパレル業界を生き抜くため、企業が注目しているのが「パーソナライズ化」です。パーソナライズ化を理解し活用すれば、顧客との信頼関係を深め、企業としての競争力を強化するのに役立ちます。本記事ではパーソナライズ化の概要やメリットに加え、具体的な活用事例を紹介します。マーケティング戦略に悩む担当者の方はぜひ参考にしてください。

マーケティングにおけるパーソナライズ化とは

 パーソナライズ化とは、顧客の嗜好や行動に基づいて、最適な情報や商品、サービスを提供・提案するマーケティング手法を指します。例えば、ユーザーが過去に購入・閲覧した商品に応じてECサイトのトップページに表示される商品や広告バナーが変化するのは、パーソナライズ化によるものです。

似ているものにレコメンド(おすすめ)機能もあります。パーソナライズの手法の一つではありますが、レコメンド機能は必ずしも個別に提案するものではありません。例えば、アパレルのECサイトにおけるレコメンド機能では、30代女性ユーザーに対して他の30代女性ユーザーが購入している商品を提案することがあります。このように、個人単位ではなく「30代女性」「ある商品を購入した全て のユーザー」などの大枠に基づいて提案するのがレコメンド機能の特徴です。

顧客に合わせて表示内容を変化させるものには、ほかにカスタマイズ機能もあります。パーソナライズ化はデータを基 に自動的に最適な選択肢を提案するものですが、カスタマイズは顧客が自ら好みに合わせて表示内容を変更する点が大きく異なります。メール配信の有無や商品の並び順変更などがカスタマイズ機能にあたります。

なぜ重要? 今パーソナライズ化が求められる背景

消費者ニーズが多様化している中、消費者が「自分に合った情報」を求める傾向が強まっており、そのニーズに応えるためにパーソナライズ化が重要視されています。

また、今注目されている背景として、AIやビッグデータ解析といった技術の進化も大きく影響しています。以前は技術的に難しかったパーソナライズ化が実現可能になり、消費者に対して個別最適化された商品やサービスを提供できるようになりました。

顧客にとって、自分に最適化された商品を提供されることは、企業への信頼につながります。BtoB分野では、見込み顧客の育成や信頼関係の構築に応用できるほか、BtoC分野では消費者の離脱抑制や継続利用を促進する効果が見込めるでしょう。消費者の趣味や行動に合わせたきめ細かい対応ができるようになった一方、従来のような万人向けの情報やサービスは通用しにくくなりつつあります。いまや パーソナライズ化は、企業にとって競争力強化の重要な手段です。

パーソナライズ化によって得られる主なメリット・効果

企業がパーソナライズ化に取り組むことで、以下のようなメリットが得られます。

  • 個々のニーズに応えることで顧客満足度が向上する
  • 既存顧客および潜在顧客の囲い込みができる
  • マーケティング施策の効率が向上する

消費者に合わせたサービスや商品の提供により、顧客満足度が高まります。個人に最適化された対応は企業と顧客との信頼関係を深め、リピーター獲得につながるでしょう。リピーターとなった顧客は、いわば企業の「ファン」として、その企業の商品やサービスを優先的に選ぶようになり、他社に乗り換える可能性も減少していきます。口コミなどを通じて商品やサービスをアピールしてくれるので、新規顧客の獲得にも役立ちます。

また、パーソナライズ化により潜在顧客に対してもニーズに応じたアプローチができるので、新規購入に至りやすく、顧客の増加も見込めます。さらに、これらを通じて収集した顧客のデータを基に、より正確かつ効果的なマーケティングが可能になり、コスト削減や施策の効率化にもつながります。

このように、パーソナライズ化には顧客側だけでなく企業側にも多くのメリットがあるため、積極的に取り組むべき課題です。

パーソナライズ化の代表的な手法

パーソナライズ化の代表的な手法は、次の六つがあります。

パーソナライズド広告
ユーザーの過去の行動履歴から個別に最適化された広告を表示する
例:革靴でWeb検索した人に、自社が製造する革靴の商品を案内する
SNSのパーソナライズ表示
ユーザーの過去の行動履歴や、フォローしている層などを基に、SNS上で表示されるコンテンツや広告を個別に最適化する
例:特定の芸能人の情報を好んで見る層に、その芸能人がアンバサダーを務めるブランドの商品情報を表示させる
パーソナライズドメール
ユーザーが過去に閲覧・購入した商品に基づいて、関連する商品を提案する
例:Tシャツを購入したユーザーに、同じメーカーの別のTシャツを提案する
コンテンツのレコメンド表示
同じ趣味・嗜好を持つ別のユーザーが選んでいるコンテンツをおすすめする
例:10代女性向けのブランドAの商品を購入したユーザーに、同属性の他のユーザーが選んだ10代女性向けのブランドBを提案する
パーソナライズされた商品の提供
完全に個人のニーズに合わせた商品やサービスを提案する
例:あるユーザーの登録した体のサイズに合わせて、フィットするトップスやボトムスの商品を表示させる

どの方法が自社にとって最適かはケース・バイ・ケース です。顧客との関係強化や売上 向上にあたってどの手法を用いるのが最適なのか、状況に応じて検討してみましょう。

【事例】アパレル業界で“パーソナライズ化”されたサービス・商品の例

アパレル業界を例に、パーソナライズ化して提供されているサービスや商品の事例を幾つ か紹介します。パーソナライズ化の手法に悩んでいる場合はぜひ参考にしてください。

豊富なサイズ・デザインから自分に合った一着が選べるD2Cブランド

メーカーが自社ECサイトなどから顧客に直接商品を購入してもらうD2C(Direct to Consumer)の分野で、パーソナライズ化の動きが広がっています。例えば、一部の企業では、AI技術を駆使して顧客に最適なサイズやデザインを提案するシステムを導入しています。顧客はオンライン上で質問に答えるだけで、自分の体形 や好みに合った服、アクセサリーなどを簡単に見つけられるのが特長です。

フィッティングの手間が省けるほか、サイズが分かっている ため返品率の低下も期待できます。さらに、顧客のパーソナルカラーなどの情報から似合うカラーやデザイン診断ができるケースもあり、単純に「好みの服」というだけでなく「似合う服」を提供できるのがポイントです。

店舗で採寸したデータからネット注文が可能なパーソナルオーダー

オーダースーツのような高級品は、価格や購入の手間などから敬遠されることも多いですが、パーソナライズ化によりもっと身近なものになるよう工夫している例もあります。よくあるのは、初回に店舗での採寸を行って顧客の採寸データを保存し、次回以降はネット注文で同じサイズのスーツを簡単に購入できるようにする仕組みです。都度採寸の手間を省けるほか、アフターサービスやサイズ変更の依頼もオンラインで行えるため、顧客は店舗に足を運ぶ負担を減らせます。

自分好みにコーディネートされた服が届くレンタルファッション

自分で服を選ぶセンスや時間がない、ワンランク上のおしゃれを楽しみたい層に人気なのが、プロのスタイリストがセレクトした洋服をレンタルできるサービスです。気に入った服は購入することもできます。

あらかじめ顧客自身の好みやサイズ、なりたいイメージ、一方、着たくない服などを無料診断やアンケートなどにより調査します。結果から顧客専用のカルテを作成して情報を基にスタイリングを提案し、毎月決まった数の服を貸し出す仕組みです。送られた服を気に入ったか、サイズはどうだったかなど感想をフィードバックしてもらうことでさらに精度を高めていくため、次回以降はもっと顧客に合った服を届けられるようになります。

過去には失敗も……。パーソナライズ化を成功に導くポイント

パーソナライズ化は、必ずしも成功するとは限らず失敗する可能性もあります。

ファッション大手のA社では、採寸専用のスーツを開発してサービスを提供することを2017年に発表しました。スーツを着た状態でスマートフォン撮影すると自身の体における約1万5,000カ所 ものサイズが分かるという、画期的な機能を備えていましたが、残念ながら普及せず2022年にサービスを終了しました。

失敗原因としては、想定以上にコストがかさんだ点や、販売している商品の多くがカジュアル服でそこまで細かい採寸を必要としておらず、オーバースペックであった点などが挙げられます。実際に着用し、スーツを購入に活用できた人の割合は6割ほどにとどまったとされており、顧客のニーズに必ずしも合致していませんでした。

パーソナライズ化を臆測で進めたり、技術的に可能だという理由でやみくもに実装したりするのは避けなくてはなりません。顧客のニーズを正しく分析し、PDCAサイクルを継続的に回しながら取り組んでいくことが大切です。

パーソナライズ化の第一歩は、より詳細な顧客情報の収集・管理

パーソナライズ化は顧客ごとへの個別提案を可能にし、顧客満足度向上や競争力強化に役立ちます。ただし、無計画に実施しても思ったような効果は見込めません。前準備として、実店舗とECの情報を一元管理できるシステムを構築し、顧客情報を適切に管理・分析する必要があります。

豊富な実績と、アパレル業界への多彩な導入事例を持つ大塚商会では、今後「パーソナライズドマーケティング」を実現するツールを紹介する予定です。ぜひご期待ください。

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