“ECと実店舗の連携”で売上アップ! 今できる工夫と三つの注意点

実店舗とECの両軸で事業を展開していても、それらのチャネルがバラバラにしか機能していない企業も多いのではないでしょうか。売上の最大化を図るためには、実店舗とECを連携させ、相乗効果を生み出すことが重要です。本記事では、企業がECと実店舗の連携に取り組む背景や、売上拡大のために実践できる具体的な施策、導入時のポイントについて解説します。

メリットは? “ECと実店舗の連携”に取り組む企業が増えている理由

現在のアパレル業界では、ECサイトと実店舗の連携に取り組む企業が増えています。以下では、その理由を解説します。

BtoB、BtoCともに拡大を続けるECの市場規模

経済産業省の「令和5年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、ECの市場規模はBtoB、BtoCともに年々拡大傾向です。特にアパレル業界(衣類・服装雑貨など)は、2023年度におけるEC化率が22.88%と、物販系分野の中でも比較的EC化が進んでいる分野とされています。市場規模も、2022年は2兆5,499億円(前年比5.02%増)、2023年は2兆6,712億円(前年比4.76%増)と成長が顕著です。

「令和5年度電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(経済産業省Webサイト)

ECの強みとしては、全国に商圏を広げられることや、ユーザーが自分好みの商品を探しやすいことなどが挙げられます。こうしたメリットを見据えて、昨今のアパレル業界では自社ECの構築や、ECモールへの出店に取り組む企業が非常に増加しています。

一方で、まだまだ侮れない実店舗の集客性

ECの市場規模が拡大を続ける一方、実店舗の持つ集客力も依然として無視できません。消費者庁が満15歳以上の日本人1万人を対象に実施した「消費者意識基本調査」によると、商品やサービスを購入する際の情報源として「店頭・店員」を挙げる割合は、全体の約半数(48.1%)にのぼっています。これは、「テレビ・ラジオ(74.0%)」「家族・友人・知人(66.5%)」「インターネット記事やブログ(61.3%)」「新聞・雑誌・書籍(51.9%)」に次ぐ順位です。

この結果からも分かるようにECが一般的となった現在でも、実店舗で商品を実際に見たり、触れたりしてから購入を決める消費者は少なくありません。実際、同調査では、オンラインモールを利用する際の不安・不満点として、「現物を手に取って確認できない」ことを挙げている人が78.1%も存在します。特にアパレル業界では、素材感やサイズ感、色味などを実際に確認したいというニーズが根強く残っていると考えられます。

参照:「令和5年度消費者意識基本調査 調査結果の概要」(消費者庁・PDF・P.3、P.24)

そのため、ECと実店舗の双方を生かした販売戦略をとることによって、競争優位性を高め、売上向上や事業拡大を目指す企業が増えている状況です。

ECサイトと実店舗の連携に向け、今検討したい施策と工夫の具体例

ECサイトと実店舗の連携は、どのように実現すればよいのでしょうか。以下では、三つのパターンに分けて施策の具体例を紹介します。

1.オンラインとオフラインの相互送客を促し、集客力を強化

オンラインとオフラインの相互送客

ECサイトと実店舗を効果的に連携させる施策として、「オンラインとオフラインの相互送客」が挙げられます。これはECサイトと実店舗が単独で集客するのではなく、双方のチャネルを活用して顧客を誘導し合う取り組みです。

具体例
  • 実店舗のPOPなどでECの宣伝をする
  • ECで、実店舗で使えるクーポンを配信する
  • ECで、実店舗の在庫表示や取り置きサービスを提供する
  • 送料無料の店舗受け取りサービス(クリック&コレクト)を提供する
  • EC購入商品の実店舗での返品・交換・裾上げに対応する
  • ECやSNSに店舗スタッフによるコーディネート例を掲載する

このように、ECと実店舗を組み合わせることで、顧客の流入を相互に増やしたり、商品購入のハードルを下げたりすることが可能です。

2.統合された顧客データからパーソナライズされたアプローチを実現

ECサイトと実店舗を連携するメリットの一つは、顧客データの一元管理によって、よりパーソナライズされたサービス提供が可能になることです。これを実現する具体的な施策としては、以下が挙げられます。

具体例
  • EC・実店舗で会員情報を統合し、ポイントの共通化や購入履歴の一元管理をする
  • EC・実店舗の顧客IDを共通化し、CRMツールなどで顧客分析することで、オンラインでの各顧客の行動履歴を実店舗での接客・提案に反映する
  • 実店舗での購入履歴をECでのレコメンドに反映する

消費者庁の調査によると、レコメンド機能を便利だと感じる人は約4割、レコメンド表示された商品を優先的に見る人は約3割存在します。その一方、現状ではレコメンド精度に満足していない消費者も多いことから、データ分析の精度を高め、より効果的なパーソナライゼーションを実現することで、顧客満足度の向上と売上拡大が期待できます。

参照:「令和5年度消費者意識基本調査 調査結果の概要」(消費者庁・PDF・P.14)

3.オンラインとオフラインのメリットを融合させた新たな顧客体験を創出

オンラインとオフラインのメリットを融合させた新たな顧客体験

ECサイトと実店舗それぞれの長所を掛け合わせ、顧客に新しい購買体験を提供することも重要な視点です。特にアパレル業界では、次のような施策が注目されています。

具体例
  • 実店舗でオンライン試着・注文サービスを受け付ける
  • ライブコマース(ライブ配信をしながら消費者とつながり販売する手法)で店舗との連動イベントを開催する
  • ECで先行予約を受け付け、実店舗で引き渡しをする
  • ショールーミング店舗・ウェブルーミングに対応する

ショールーミング店舗とは、商品の展示などを行うだけで、販売は行わない店舗のことです。またウェブルーミングは、オンラインで商品情報を調べたうえで、実店舗で購入する行動を指します。例えば、商品タグなどに二次元バーコードを印刷し、詳細な商品情報の確認や購入手続きをスマートフォンで行えるようにすることで、ショールーミング・ウェブルーミングのいずれの顧客にも利便性を提供し、購入判断を後押しできます。

【注意点】EC・実店舗の連携を成功に導く! 押さえておくべき三つのポイント

ECサイトと実店舗の連携は、事前の十分な計画や体制づくりが不可欠なプロジェクトです。無計画に進めてしまうと、現場の混乱やシステムの不具合、顧客離れなどが生じるリスクもあります。売上アップに直結する成果を上げるためには、次に挙げる三つのポイントを意識し、段階的かつ着実に取り組むことが大切です。

1.在庫管理の一元化・適正化による正確性の確保

ECと実店舗の連携では、在庫情報のリアルタイムな同期が極めて重要です。データの反映が遅いと、例えば「ECで注文を受けたのに実店舗の在庫が切れている」といった事態が生じかねません。欠品や過剰在庫は機会損失やコスト増につながるため、在庫情報を一元管理できる「在庫管理システム」などを導入し、対策しましょう。在庫管理システムがあれば、店舗間移動も行いやすくなります。

2.返品・交換ルールやプロモーション戦略を統一

価格やプロモーション、返品・交換ルールがチャネルごとに異なると、顧客に混乱や不公平感を与えかねません。例えば、値段が実店舗よりもECの方が大幅に安ければ、店舗側の売上が低下するリスクがあります。そのため、顧客の利便性を意識しつつも、なるべく実店舗とECでルールや戦略の整合性をとることが重要です。

3.基幹業務システムの“段階的な刷新・連携”も検討

特に事業規模が大きくなってくると、ECと実店舗のそれぞれで運用している基幹業務システムの連携に膨大なコストと時間を要するケースが増えてきます。そうした場合、一度に全ての機能を刷新・連携させるのではなく、費用対効果に留意し、段階的にプロジェクトを進めるのも方法です。例えば、「双方のシステム刷新→一部データの連携→全データの連携→データ連携を生かした新サービスの提供」といった手順で施策を進めれば、システム変更に伴う現場側の業務負担も抑えやすくなります。

ECと実店舗の連携は、柔軟性・拡張性に優れた基幹業務システムの導入から

ECと実店舗を連携させることで、集客力の拡大や売上アップの相乗効果を狙えます。ただし、ECと実店舗の連携に際しては、在庫情報などをリアルタイムに管理・共有できるシステムの構築が重要です。

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