免税販売手続きの電子化とは? 2021年10月の完全移行前の対応が必須

日本社会全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みが進められる中、日本の免税手続きの電子化も進んでいます。2021年10月以降、免税販売手続きは完全にデジタル的方法に一元化され、書面での手続きはできなくなります。そのため、免税品の販売を続ける場合は、電子化対応の準備が急務です。そこで本記事では、免税販売手続きの電子化制度の概要と、それに対応するために必要なステップを解説するとともに、免税電子化システムの選び方をご紹介します。

免税販売手続き電子化制度の概要

まずは免税販売手続きの電子化制度とはどういった制度でいつから始まるのかなど、その概要とメリットについて解説します。

2021年10月以降は電子化に完全移行

免税販売手続きの電子化とは、従来、書面で伝達されていた免税品購入情報を電子化し、インターネットを使って国税庁へ送信する仕組みを意味します。2021年10月以降、免税手続きは完全に電子的方法に一元化されますので、全ての免税品販売店が電子対応しなければなりません。

免税販売手続の電子化(国税庁・PDF)

免税販売手続き電子化のメリット

電子化は外国人旅行者・販売店双方に利点があります。外国人旅行者は、免税品の購入時に購入誓約書への署名が不要になり、「購入記録票」を税関に提出せずに済むようになります。これによって書類の管理が不要になり、より免税品の買い物がしやすくなります。その結果、免税店の客足は増え、売り上げの向上が見込めます。

電子化移行後の免税販売手続きとは

以下では、電子化以降の免税販売手続きの主な特長について解説します。

購入誓約書の作成・保管が不要

電子化後は、従来必要だった「購入誓約書」の作成と保管が不要になります。購入誓約書とは、「日本で消費しない」「購入後30日以内に日本から輸出する」などの免税条件の順守を購入者に誓約させる文書です。誓約書は免税店で7年間保管する義務がありますので、購入者が多いドラッグストアなどはこれを保管するための倉庫を借りるなど、スペースやコスト面でも負担がありました。
また、購入記録票の作成・提出も電子化以降は不要になります。購入記録票とは、簡単に言えば免税品の購入証明書です。購入記録票は購入者がパスポート内に貼り付けるなどして保管し、出国時に税関に提出する必要がありました。

購入者への説明が必要

上記の書類の作成・保管が不要になる代わり、電子化以降は次のことを購入者に説明する必要があります。

  1. 免税品は輸出するために購入するものであること(日本国内で消費しないこと)
  2. 出国の際に税関でパスポートの提示義務があること
  3. 免税品が持ち出されていないことが分かった場合、出国時に免税分の消費税が追徴されること

この3点の説明は口頭でするほか、書類を渡したり、店内に掲示したりする形でもよいとされています。書類で説明する場合は、国税庁が配布している多言語の説明用リーフレットを活用するのが便利です。

輸出物品販売場における輸出免税について(国税庁)

ソフトやアプリで購入記録情報を送信

電子化以降は書面の購入記録表などに代わって、購入記録情報をソフトウェアやアプリを用いて作成し、国税庁に電子的に送信する必要があります。また、作成した購入記録情報の電子データは7年間保存しなければなりません。

免税販売手続きの電子化に必要なステップ

電子化に対応するために、免税店はどのような準備をすべきなのでしょうか。以下では、そのために必要なステップを解説していきます。

【Step 1】 自社で手続きを行うか、他社で行うか決める

国税庁に購入記録情報を送信するためには、国税庁の規格に沿ったシステムが必要です。そのため、最初に決めるべきは、「免税電子化システムをどのように用意するか」、そして「誰が購入記録情報の送信をするか」です。これには主に以下の三つの選択肢があります。

  1. 自社で開発したシステムを使って、自社で送信する
  2. 他社のシステムを使って、自社で購入記録情報のデータを送信する
  3. 承認送信事業者のシステムを使い、送信業務も委託する

承認送信事業者とは、免税店における購入記録情報の送信業務を適切に代行できると国税庁から認可を受けた事業者です。承認送信事業者にアウトソーシングすることで、電子化対応に必要な手間を削減できます。ただし、当然ながら送信手数料などのコストは発生しますので、自社の技術力や経済的・人的なコストなどを総合的に判断して方針を決める必要があります。

【Step 2】他社で行う場合は代行企業を、自社で行う場合はアプリなどを選ぶ

電子化業務の対応方法の方針が決まったら、今度はその方法をより具体化していきます。つまり、データの送信作業を承認送信事業者にアウトソーシングする場合は具体的な代行企業を、自社で行う場合は自社でシステムを開発するか、他社製のシステムを選びます。

【Step 3】届出書を提出する

免税品販売を行う前に「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を販売場ごとに所轄の税務署に提出します。既に免税販売を行っている店舗も電子化に伴って再度税務署で手続きする必要があるのでご注意ください。

【Step 4】ネット回線や必要な機器を用意する

購入記録情報の具体的な送信方法としては、スマートフォンやタブレット端末のカメラ機能やスキャナーなどでパスポート情報を読み取り、この情報と購入物品の情報を「購入記録情報」として国税庁のシステムに送る形になります。そのため、電子化対応するために、ネット環境や必要機器を整備しておきましょう。

免税電子化システムを選ぶときのチェックポイント

以下では、自社に合った免税電子化システムを選ぶためのチェックポイントを解説します。

必要なサービスが使えるか

システムの導入にあたって大前提となるのは、そのシステムの機能が自社にとって必要な条件を満たしているかどうかです。例えば、POSシステムと連動できるか、QRコード決済はできるかなど、自社が求める要件を事前に明確化したうえで、それに適したシステムの検討が重要です。

コスト

免税電子化システムの提供サービスにはさまざまな料金体系があるため、契約時の費用やランニングコストなど十分な確認が必要です。高コストのプランは自然と機能も充実しますが、それらの機能が不要なら無駄なコストが発生してしまいます。

サポート体制

システム導入時にはシステムの不具合や情報漏えいといった想定外の出来事が発生する可能性がありますので、導入サポートがしっかりとしたサービスを検討しましょう。また、システムに問題が出た場合の夜間や休日の対応が可能かも重要です。

免税手続きの電子化に対応するシステム

免税電子化システムとして「スマレジ」「BCPS」をご紹介します。

「スマレジ」はクラウド型のPOSレジなら、月額13,200円(税込)を利用することで、免税電子化に対応可能です。具体的には「購入者誓約書」の作成・保存が不要、「購入記録票」の添付・提出が不要、そして「購入記録情報」電子データの提供・保存が自動化されるといった機能を搭載しています。また、パスポートリーダーもしくはレジ端末(iPad推奨)をかざすだけで、旅券番号や氏名、国籍など、免税販売に必要な情報を一度に読み取ることができます。

「BCPOS」は多機能な据え置き型のPOSレジで、月々の契約「eあっと免税」をPOSレジと連携すれば免税手続きに対応可能です。精算時にパスポートのデータを読み取ることで、購買データとパスポートデータをひも付け、そして国税庁のシステムに送信する、といったシームレスな運用を実現できます。お店とお客様の負担を軽減し、免税手続きを最大限短縮可能にします。

それぞれの製品情報は以下のページでご覧いただけます。

クレジット決済機能付き高機能モバイルPOSレジ「スマレジ」

パソコンPOSシステム「BCPOS」

パソコンPOSシステム BCPOS ラインアップ「eあっと免税」

まとめ

免税販売手続きは2021年10月以降に完全に電子化されます。従って、電子化対応していない事業者は今後、免税品を販売できません。自社で免税電子化システムの構築が難しい場合は、他社が提供するシステムを導入したり、承認送信事業者に電子化対応の一切をアウトソーシングしたりする必要があります。電子化対応は免税店側にもメリットがあることですので、これを機にぜひ前向きな姿勢で電子化を検討ください。

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