二次流通とは? アパレル業界にもたらす影響とは?

近年、二次流通という取引形態が広く浸透し、個人間でも商品を気軽に売買できる時代になりました。
さまざまな商品ジャンルの中でもファッション・アパレルは、二次流通市場における大きな一角を占めています。
この記事では、二次流通の基本的な知識や市場規模、メリット・デメリットを詳しく解説します。また、アパレル業界における二次流通の事例や最新動向、今後の見通しについても紹介します。

アパレル業界で大注目の二次流通とは?

一度市場に出た商品が消費者に渡り、再び販売されることを「二次流通」と呼びます。古着屋や古本屋、リサイクルショップなどはその代表で、古くから親しまれてきた業態です。
二次流通は中古品販売と認識されがちですが、新品商品が未使用のまま販売されるケースもあります。

近年ではフリマアプリの台頭により、個人間による二次流通も一般化しました。代表的なフリマアプリの「メルカリ」は、2021年6月現在でユーザー数1,954万人、年間流通総額2,082億円にまで成長し、市場を席巻しています。
また、決済サービス「メルペイ」も展開し、独自の経済圏を築きつつあります。

二次流通の市場規模

二次流通の市場規模は、拡大の一途を辿っています。
業界紙「リサイクル通信」によると、2020年における市場規模は前年比2.5%増の2兆4,169億円。2022年には3兆円に達すると予想されています。

市場拡大を牽引するのが、アパレル業界です。
2020年における市場規模は、前年比11.1%増の4,010億円にのぼります。他の分野と比べて高い成長率で、市場規模は最も大きい値となっています。
二次流通市場は、アプリをはじめとしたサービスによる個人間取引(CtoC)が一般化し、2020年の市場規模に占める割合は43.8%。次いで店舗販売(BtoC)が36.7%、ネット販売(BtoC)が17.9%となっています。

二次流通のメリット・デメリット

注目を集める二次流通ですが、小売業者側と消費者側にとって、それぞれメリットとデメリットがあります。各項目を詳しく解説していきます。

小売業者側のメリット・デメリット

まず、小売業者にとってのメリットは、自由な価格設定です。
一次流通では、メーカーの希望小売価格や上代価格が設定されているケースが多く、その値に従った価格を設定する必要があります。しかし二次流通においては、希望価格での販売が可能です。
希少価値が高い商品であれば、発売当時を上回る価格を設定でき、ブランドのマニアやファンにも見つけてもらえます。また、量産品であっても価格設定次第で高い回転率のビジネスを展開できる点もメリットといえるでしょう。

在庫の回転率は、ときに二次流通のデメリットにもなり得ます。マイナーなアパレルブランドは、すぐ買い手がつくとは限りません。
メルカリで最も取引されているアパレルブランドは「ユニクロ」とも言われています。その理由の一つは、ユニクロの商品は多くの人にとってサイズが把握しやすいという点が挙げられます。つまり、有名なハイブランドであっても、サイズ感が分からない商品は売れるタイミングの見通しが難しいと言えます。

また、自社よりもよい条件で同ジャンルを扱う他社がいる場合、顧客を獲得することが困難になります。在庫を回転させるためには、長期的に品質やサービス面で消費者からの信頼を得る必要があります。

消費者側のメリット・デメリット

小売業者が自由に価格を設定できる二次流通は、消費者にとって価格交渉の余地があることを意味します。また、同じ商品でも店舗で買う新品商品と比べて安く買えたり、希少価値が高い商品の掘り出し物に出会えたりするのも二次流通ならではです。
特にメルカリをはじめとしたCtoCサービスでは、出品者が商品の相場を把握していないケースが多々あり、割安で買えることもあります。

デメリットは、欲しい時に欲しい商品に出会えるとは限らないという点です。
一時流通と異なり発売情報などはなく、欲しい商品が流通するタイミングは出品者次第です。商品を手に入れるために、何度もアプリをチェックしたり、古着屋に足を運んだりしなくてはならない場合もあります。また、CtoCサービスでは出品者とのやり取りが面倒だったり、ブランドの偽物を出品するといった悪質なユーザーが存在したりする点にも消費者は気を付けなければなりません。

二次流通に取り組むアパレル業界の代表例

ここからは、国内外でアパレルの二次流通に取り組む企業の事例を解説していきます。

国内リユースショップA社

日本を代表するリユースショップA社は、全国に700店舗以上の総合リユースショップを展開しています。
取り扱い商品はファッション・アパレルを中心に、家具、家電製品など多種多様です。A社は海外に現地法人を設立し、グローバル展開も進めています。2020年12月にはアメリカで9店舗目をオープン。そのほかマレーシア、台湾にも出店し、日本で培った目利きのノウハウを生かしたプライシングで成長を続けています。

国内ユーズドセレクトショップB社

デザイナーズブランド専門のユーズドセレクトショップを手がけるB社は、1985年に1店舗目をオープン。
国内におけるアパレル二次流通の草分けといえる存在です。
5,000種類以上に及ぶブランドを取り扱い、若者でも手が届くリーズナブルな価格設定で事業を展開しています。品質の確保にも力を入れており、手作業による丁寧な検品とケアを実践しています。1999年にはECにも着手し、ネットと店舗での販売により消費者にとっての利便性を向上させました。現在、B社は姉妹店を合わせて国内18店舗を運営しています。

国内アパレルオンラインマッチングプラットフォームC社

C社が開発したマッチングプラットフォームは、アパレル業界のサプライヤーが見切り在庫やB品を個人バイヤーに販売できる仕組みを提供しています。
SDGsへの取り組みも全面的に打ち出しており、独自の手法で服の焼却により発生するCO2排出量を算出。
プラットフォーム上では、服の購入によるCO2排出削減量を可視化しています。また、C社のサービスはECサイトの一元管理もできます。サプライヤーが他のECも活用している場合、在庫や受注を一元管理できるため、業務効率化や販売促進を図ることが可能です。

二次流通の今後はどうなる?

二次流通の市場規模は、2025年に3兆5,000億円に達すると予想されており、今後も成長が期待できます。

特にアパレルでは、SDGsの観点から在庫処分の課題が広く認知されるようになっており、処分ではなく再び市場に商品を流す二次流通にとっては、追い風となるでしょう。また、アパレルメーカーの在庫を引き取り、地方の商業施設で販売するといった一次流通と二次流通をつなぐソリューションを提供する企業も現れています。店頭で一次流通の商品を探す際、オンラインの二次流通市場で販売価格を調べてから購入したり、二次流通市場での売却を念頭に置いて一次流通商品を購入したりといった購買行動も広がりつつあります。

これらのことから、アパレル企業は二次流通への参入を検討しているか否かにかかわらず、今後の市場動向を注視する必要があります。

まとめ

二次流通の市場規模は拡大を続けています。
アパレル業界においては、主に価格設定や在庫の流動性において小売業者側・消費者側双方にメリットとデメリットがあります。
二次流通で事業展開する国内アパレル企業は、それぞれ独自のプライシングやサービス、ブランディングでファンを獲得しています。購買行動にも影響を及ぼす二次流通の分析は、既存事業の成長や新規サービスの開発につながるでしょう。

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