二次流通で成功している企業の事例を紹介

現在、急激に成長を遂げている二次流通。二次流通はなぜこれほど成長を続けているのでしょうか。統計を基にその背景や、今後の動向についての予測も含め、ご紹介します。また、一次流通との違い、二次流通ならではのメリットやデメリットなど、基礎的な知識についてもまとめ、二次流通で成功している企業の実例もご紹介します。

アパレル業界で大注目の二次流通とは?

一次流通と二次流通は、取り扱う商品や経路などがそれぞれ異なります。基本的には一次流通が新品、二次流通が中古品を取り扱う流通のことです。一次流通とは一般的な商品の流通で、メーカーで製造された製品を卸業者や小売業者などの企業が消費者に販売します。

対して二次流通は、一度販売された中古品を中古品業者が販売(BtoC)したり、フリマアプリやネットオークションで消費者が出品(CtoC)したりする流通経路のことです。
二次流通の販売には「古物商許可」が必要で、二次流通では「美術品類、衣類、時計宝飾品、自動車、道具類、皮革ゴム製品、書籍」など、13品目の取り扱いが可能です。
近年ではアパレル業界をはじめ、さまざまな業界で二次流通の市場が拡大を続けています。これまで一次流通だけだった企業の中には、自社ブランドの商品を消費者から買い取るサービスを始めるなど、二次流通市場に乗り出している企業もあります。

二次流通の市場と背景

二次流通の市場は毎年成長を続けています。中古・リユースビジネスに関するニュースサイト「リサイクル通信」によると、2020年の市場規模は、前年より2.5%増加の2兆4,169億円でした。新型コロナウイルスのまん延以前、10%前後の増加を見せていたのに比べると鈍化したものの、依然として成長を続けています。
特にインターネットオークションやフリマアプリなどのCtoCは、前年より14.7%も増加して1兆583億円となりました。BtoC市場では、店舗販売は前年より5.2%減少しているものの、ネット販売では2.0%の増加となっています。

環境省の平成30年度「リユース市場規模調査報告書」によると、自動車・バイクを除いた二次流通市場では、品目別に最も多いのはブランド品で19.3%、次にブランド品以外の衣類・服飾品が8.4%と続いています。
なお金額ベースで見ると、CtoCの中でも、インターネットオークションでの購入が43.7%、フリマアプリでの購入が6.1%でした。一方、店頭での購入は26.3%、インターネットショッピングサイトでの購入は20.3%となっています。

金額的にネットオークションが高額となった背景としては、ネットオークションでは高額なブランド品や電化製品、ゲーム機などが多く販売されていることが挙げられます。一方、フリマアプリでは利用者が女性や若年層、主婦などに多いこともあり、手軽に購入できる雑貨やアパレルの販売が多く見られます。

アメリカで人気の洋服フリマアプリ「ThredUP」は、2021年版「Resale report」内で今後の二次流通市場についての予測を発表しました。そのレポートでは2021年から2025年までで売上が2倍に成長し、さらに2030年にはリユース品がファストファッションを購入する金額の2倍になると予想されています。

二次流通のメリットとデメリット

二次流通には、自由に価格を決められるなど多くのメリットがあります。一方で顧客が減少する恐れがあるなどのデメリットもあります。以下にその点を詳しく説明します。

メリット

1.自由に価格を決められる

売値や買値を自社で決定できるのは最大のメリットです。自由に価格を決められるため、場合によっては発売時の価格よりも価値が上がったヴィンテージ品やプレミア商品など、定価以上の価格で販売することも可能です。
消費者側からしても、フリマアプリなどでは価格交渉して購入できる点はメリットといえます。

2.業務効率化につながる

リユース品の場合、新品のように発注や仕入れなどのフローを行う必要がなく、商品の取り扱いにかかる時間を削減できます。そのため、業務効率化やコストカットにもつながります。

3.サステナブルな企業イメージを得られる

二次流通に取り組むことで、サステナブルな企業というブランドイメージを持たれることも今後は特にメリットとなるでしょう。多くの国や企業でSDGsを意識した取り組みがなされ、個人の間でも意識が高まっている今、衣料の無駄な廃棄を減らすことは高く評価されると考えられます。

4.新たな客層を開拓できる

ほしいけれども定価では高いと感じていた客を取り込むことも可能です。二次流通によって新品が売れなくなることを懸念するメーカーは多くありますが、やり方によっては客層を広げるチャンスともいえるでしょう。
また、二次流通の発展により、使用後に売ることも計算に入れて、人気ブランドの商品を購入する消費者も増えています。のちに高値で売れることが分かっていれば、値が張る商品にも手を出しやすくなり、結果的に一次流通を促進する場合もあるのです。

デメリット

顧客の減少や不良品の流通の可能性

メリットの4で触れた点ですが、二次流通の発展により、今まで一次流通で購入していた消費者が二次流通で購入するようになり、顧客が減少する恐れがあります。また、二次流通で付けられた金額が、そのブランド商品の値段として受け入れられるようになり、ブランドイメージが低下することもありえるでしょう。

また、利用者や業者の中には不良品を売る、高額な値段で転売する、詐欺まがいのことをする、といったケースも見られます。例えば、近年のパンデミック(世界的大流行)でマスクが不足した時期に、買い集めたマスクを定価の数倍で売ったり、購入者にマスクの写真だけを送ったり、といった事例があって社会問題となりました。

二次流通で成功している企業

国内には、二次流通で成功している企業も多くあります。国内のフリマアプリ運営企業ではアプリの人気度が急激に上昇し、ファッションブランド企業などでは、二次流通の成長で成功している企業もあります。

国内フリマアプリ運営会社A社

日本で人気のフリマアプリを運営しているA社は、遊びのあるサービス作りを心がけてアプリを作成してきました。「〇〇様専用」といった形式なども生まれ、楽しみながら商品の売買ができ、人気を後押ししたといえます。売り手と買い手がスマートフォンで直接会話をしてやり取りできるシステムは、商売というよりもコミュニティーとして意識されていました。
さまざまなフリマアプリが提供されていますが、成功した理由には参入が早かったこと、基本はシンプルだけど遊び心を忘れないことなどが挙げられます。大手として失敗を避けようと安全面だけを考えてしまうと、遊び心も持てずに画一的なシステムになっていたかもしれません。必要とされるユーザーの声に応え、新しい仕組みをどんどん取り入れていくことが、現在の成功につながっているといえます。

国内ファッションブランドB社

B社では、新品の衣料品だけでなく、古着をリメークして新しい商品として売り出しています。リユース品を扱う「二次流通」に付加価値を付けた「2.5次流通」の新しいシステムで、リユースの一歩先を行くこれからのファッションの流れを形にしました。
本来、廃棄されたり海外市場に流れたりするショップで売れ残った衣料や、衣料品メーカーの商品サンプルに古着として単純なリメークではなく、新しいデザインを取り入れる「アップサイクル」を施して製品価値を高める試みにより、消費者の購買欲を高めています。原価や作業にかかる手間をいとわず製作しながら、「価格」も消費者目線で設定、選ばれるファッションを作り続けるこだわりが成功のポイントです。

国内ブランド古着専門店C社

C社は国内大手のアパレルネット通販サイトのグループ企業で、ブランド古着専門店です。消費者が新品を購入する際に古着を下取り依頼に出すと、購入する新品アイテムが値引きされます。この割引制度を利用した買い取り品は、C社の買い取り品の40%にものぼっています。
流行が反映される古着は、在庫を長く置いておけないため製品の回転率を高めなければなりません。業者にとっては、自社通販サイトで販売した製品であるため、撮影やデータ入力の手間が省け、業務効率化できるのがメリットです。

まとめ

一次流通が新品の製品を販売するのに対し、中古品を販売するのが二次流通です。二次流通は自由に商品の価格を決められるなどのメリットがあり、成長を続けています。アパレルなどを中心に、フリマアプリやネットオークションなどの利用者の増加が見られていますし、ファッションブランドなどにも二次流通に乗り出す企業も見られ、今後のさらなる発展が期待される分野といえます。

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