リユース・中古の市場規模が拡大傾向へ! その理由や今後の課題を解説

リユース・中古市場は、コロナ禍でさまざまな分野の市場が落ち込んだ中でも成長をし続け、今後も市場拡大が予測されています。では、なぜリユース・中古市場は成長し続けているのでしょうか。この記事ではリユース・中古市場の概要をはじめ、その動向と好調な理由、さらにリユース・中古市場の今後の課題について解説します。

リユース・中古市場とは何を指す?

そもそもリユース(中古)業界とは、古物の売買や交換をすることで再利用を促していく産業を指します。ここでの古物とはリユース品(中古品)はもちろんのこと、使用目的で購入したのにもかかわらず使っていない状態の品物(未使用品)も含まれます。

そのため、メーカーで生産された新品を仕入れ、店舗やネットを通じてユーザーに販売する流通経路を「一次流通」と呼ぶのに対し、一度市場に出た商品を再び販売するリサイクルショップのような流通経路を「二次流通」と呼びます。

リユース業界の一般的なビジネスモデルは、古着屋やリサイクルショップなどに見られる中古品を中古品業者が買い取り、それを販売して利益を得るものです(BtoC取引)。この場合、事業として中古品の売買を行うため、原則として古物商許可を取得しなければなりません。さらに近年は、フリマアプリやネットオークションを使って消費者同士で取引すること(CtoC取引)も増えており、リユース・中古市場の規模は、ますます大きくなると言われています。

二次流通とは? アパレル業界にもたらす影響とは?

リユース・中古の市場規模は12年連続拡大傾向へ

リサイクル通信が公表している「リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)」によると、2021年のリユース市場の規模は前年比11.7%増の約2.7兆円で、調査を開始した2009年以降12年連続で市場が拡大しています。そして、財務省が公表している「リユース市場における消費者の価値観と企業行動」によると、1年間に発生する日本の不用品は7.6兆円にものぼることから、今後も市場の拡大は続くと考えられています。実際、「リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)」では、2025年に市場規模が3.5兆円まで成長すると予測しています。

参考:リユース業界の市場規模推計2022(2021年版・リサイクル通信Webサイト)

参考:リユース市場における消費者の価値観と企業行(財務省・PDF)

製品や販売形態別で見る動向

さらに「リユース業界の市場規模推計2022(2021年版)」を参照してリユース業界の市場動向を見ると、販売経路別では店舗販売が前年比12.0%増と回復し、ネット販売によるBtoC取引も前年比14.7%増と成長し続けています。これは新型コロナウイルス感染症拡大防止による店舗の休業や時短営業が解消されたことで店舗販売が好調に変わり、コロナ禍を経て、よりEC需要が高まったことが原因と考えられます。さらにフリマアプリの普及や家の片付けに伴うフリマアプリ利用者の増加で、CtoC取引も前年比10.4%増と拡大を続けています。

製品別では、コロナ禍の影響が薄れたことでブランド品が前年比19.6%増、玩具・模型製品が前年比19.7%増と大きく伸び、コロナ禍をきっかけに注目を集めたスポーツ・レジャー用品も前年比10.8%増と好調を推移しています。

参考:リユース業界の市場規模推計2022(2021年版・リサイクル通信Webサイト)

リユース・中古市場が成長し続けている理由

景気に左右されにくい

一般的な企業の場合、景気が悪くなると人件費削減などを理由に商品の生産数を減らしたり、商品の開発を停滞したりなど、対応を迫られます。しかし、リユース・中古市場では不景気だからといって、商品の買い取りや中古品の販売をやめることはありません。
むしろ、不景気になると定価よりも安く欲しいものが購入でき、不用品を買い取ってもらえるリース業界は忙しくなります。つまり、リユース業界にとって不況は歓迎すべきともいえる大きなビジネスチャンスであり、市場の活性化を後押ししてくれる出来事にもなるのです。

SDGsの推進でリユース品への関心が高まっている

SDGsとは「持続可能な開発目標」を意味し、不平等、格差、貧困、気候変動による影響など、世界共通の問題を根本的に解決し、世界中の人によってより良い世界をつくるために設定された目標のことです。近年、日本でも大手企業を中心にSDGsに取り組む動きが活発化しています。

そして、このSDGsに貢献できるものとして関心が高まっているのが、資源やエネルギーが求められる製品の製造や廃棄の必要がないリユース品です。リユース品はゴミやCO2削減にも効果が期待できるため、エシカル消費(倫理的消費)を実践しているユーザーからも注目を集めています。

このようなSDGsやエシカル消費といった環境意識は、今後も勢いが増すと考えられており、SDGsに貢献できるリユース・中古市場の成長も期待できます。

日本製品に対する海外からの支持がある

日本製品はそのクオリティの高さから海外で人気があります。それは中古品であっても変わらず、日本では状態が悪くて使えないと思われるものでさえ、そもそもの性能が高いため、海外では取り扱いの対象となっている場合があります。また、日本人はものを大事に使う人が多く、中古品でも状態が良いため、その点も海外から人気を集めている要因になっています。

そのため、日本のリユース品を海外で販売する企業は多く、今後もビジネスチャンスを狙って海外進出を進める企業が増え、さらに市場が膨らむと考えられています。

リユース・中古市場で今後課題となりそうなことは?

リユースECの拡大による競争激化

先に述べたようにリユース・中古市場では、ECに注力する事業者が増えたことで、BtoCのネット販売規模が増加しました。しかし、EC店舗が増えるほど企業の差別化は難しくなり、競争が激化する可能性が高まります。なぜなら従来の実店舗では、他店と差別化を図るためにあるジャンルに特化したり、専門性を生かしたりした店舗づくりが可能でした。ですがEC店舗では、取り扱える商品数に限りがなく、どの企業も幅広い品目を取りそろえようとするため、差別化が困難になります。さらにEC店舗は、実店舗と異なり、インターネットで簡単に商品価格の比較ができるため価格競争も激化するおそれがあります。

店舗販売とEC販売との融合の必要性

同業他社との差別化を図るためには、実店舗とEC店舗の連携体制の構築が急務になります。特に実店舗とEC店舗の在庫連動がうまくいかないと「ネットで注文できたのに在庫がない」といった状況になるおそれがあり、顧客に迷惑がかかることで顧客の信頼を失いかねません。そのようなケースを回避するためには、実店舗とEC店舗の販売状況、在庫データを一元管理できるシステムの導入が必要です。例えば、アパレル業であれば販売・在庫管理システム「ApaRevo」の活用がおすすめです。

実店舗とEC店舗のさまざまなデータを一元管理できるため、顧客ごとに最適な情報発信や有効なマーケティング施策の実施にも役立てられます。

ApaRevo(アパレボ)

フリマアプリは脅威になる? リユース・中古業界への影響は

フリマアプリのサービスが開始された当初、リユース業界の売り上げが前年割れをする事態に陥り、危機感を持つ企業も少なくありませんでした。しかし、現在ではフリマアプリの登場によって、リユース・中古市場に興味を持つユーザーが増えたことで、フリマアプリはリユース・中古市場の拡大を後押しした存在と捉える方向に変わってきています。

実際、先に紹介した調査結果でも店舗販売は好調傾向にあります。これはフリマアプリを利用した場合、「写真と実物が違った」「商品が届かない」などのトラブルが少なからずあり、高額商品は実際に確認してから購入できる実店舗、ある程度の品の購入や希望金額で売りたいときにフリマアプリ、といったような使い分けが浸透してきたからだと考えられます。

リユース・中古市場は今後も拡大すると予測されています。特に今後は実店舗とEC店舗の併売で売り上げアップを目指す企業が増えると考えられており、実店舗とEC店舗の在庫連動がスムーズな販売管理の構築が重要になるでしょう。

まとめ

リユース・中古市場は、景気に左右されにくいことや、SDGs、エシカル消費といった環境意識の高まりなどを背景に、今後も市場規模の拡大が見込めます。また、販路を広げて売り上げアップを目指すためにEC店舗を活用する企業が増えることも予測されます。このような実店舗とEC店舗の併売を効率的に行うためには、在庫連携の仕組みが不可欠であり、急ピッチで優秀な在庫管理システムの構築を進めることが重要です。

この記事に関連する製品

アパレル・ライフスタイル業界向け 販売・在庫管理システム ApaRevo

アパレル・ファッション業に特化した販売管理システム。「ネクストエンジン」とデータ連携することで、ネットとリアル(実店舗・卸)の在庫共有が実現します。

関連する記事

二次流通とは? アパレル業界にもたらす影響とは?

この記事と同じカテゴリーの記事を見る

アパレル・ライフスタイル業界向け 特設サイト「ライフデザインナビ」

お役立ち資料ダウンロード

アパレル業界のIT導入事例ダウンロード

大塚商会のERPソリューションが現場の課題をどのように解決し、成功へと導いたのか。導入前の課題、導入後の効果、当社との出会い・活用法、今後の展開など、ライフデザイン・アパレル業のお客様の事例を集めました。

ダウンロード資料:PDF・32ページ(6事例)

事例集をダウンロードする

「ApaRevo」製品カタログダウンロード

アパレル・ファッション業界特有の業務をトータルでサポートする販売管理システム
「ApaRevo」のPDFカタログをご用意しています。ご検討資料としてお役立てください。
ダウンロード資料:PDF・12ページ

カタログをダウンロードする

公式Facebookにて、ビジネスに役立つさまざまな情報を日々お届けしています!

お仕事効率研究所 - SMILE LAB -

業務効率化のヒントになる情報を幅広く発信しています!

  • 旬な情報をお届けするイベント開催のお知らせ(参加無料)
  • ビジネスお役立ち資料のご紹介
  • 法改正などの注目すべきテーマ
  • 新製品や新機能のリリース情報
  • 大塚商会の取り組み など

お問い合わせ・ご依頼はこちら

製品導入に当たって、疑問・質問はございませんか? お取引実績130万社の経験からお客様のお悩みにお答えします。資料のご請求、お見積りから、実機でのデモ希望など、お気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせ

0120-220-449

受付時間
9:00~17:30(土日祝日および当社休業日を除く)
総合受付窓口
インサイドビジネスセンター

卸販売について

ページID:00248966