ジュエリー(アクセサリー)業界がECで成功するための戦略とは? 事例もあわせて解説

ジュエリー業界の市場規模は、この30年で縮小傾向にあります。一方で、上昇傾向にあるEC市場を活用し、成功を収めている企業も少なくありません。この記事では、ジュエリー業界において事業者がECサイトで成功するための戦略や、参入した場合に得られるメリット、三つの取り組み事例を解説します。

ジュエリー業界の市場規模

株式会社矢野経済研究所が2022年3月に発表したデータによると、2021年のジュエリー市場規模は9,624億円で、1991年のピーク時からは3分の1以下にまで縮小していることが分かります。

参照元:「宝飾品(ジュエリー)市場に関する調査を実施(2022年)」(株式会社矢野経済研究所)

コロナ禍による需要の落ち込みからは回復基調にあるものの、長期間の推移では減少傾向にあるといわざるを得ません。一方、近年のEC市場は拡大を続けています。そのため、ジュエリー業界でも、EC事業への参入は顧客獲得に欠かせない取り組みとなっています。

ジュエリー業界がECサイトで成功するための戦略

ジュエリー業界のECサイト参入は、多くのメリットがある一方、課題も存在します。一番の課題は、ECサイトの「実物を見て・触れて・試着できない」という特性です。ジュエリーは価格帯が高く、選ぶ基準も人によって異なるので、実際に商品を手に取れない点が大きな障壁となります。そのため、ECサイトをオープンしただけでは集客が難しく、効果的な施策が必要です。

そこで、ジュエリー業界がECサイトで成功するために取り組むべき施策を、具体的に解説します。

ターゲットを明確化する

ジュエリーは、メインターゲットをどこにするかで販売戦略が大きく変わります。例えば、若い女性向けのジュエリーはトレンドや価格帯などに敏感なユーザーが多く、ファッション性やバラエティ豊かな商品展開が求められます。一方で、高級志向のユーザーは品質やデザイン性などを重視するため、信頼感および安心感のあるブランドイメージが重要です。

ターゲットを明確にすれば、商品やサイトのコンセプトを統一でき、より強い訴求につながります。「どのようなユーザーに購入してもらいたいか」を明確にして、的確なマーケティングを展開し、ECサイトなどに反映させることが大切です。

ECサイトのSEO対策を意識する

SEO対策とは、検索エンジンのアルゴリズムに沿ってサイト構造やコンテンツを制作し、検索結果の上位に表示されるようにする施策です。

具体的なSEO対策としては、以下の方法が挙げられます。

内部対策
検索エンジンに見つけてもらいやすさ(クローラビリティ)や、サイト内の導線を分かりやすさを意識したサイト作成
外部対策
他サイトからの被リンク獲得やSNSを使った外部配信など
コンテンツ対策
ターゲットに合致したコンテンツ作成やキーワードの選定(最適化)など

特に重要なのはコンテンツ対策で、ユーザーのニーズに合った有益な情報を与えることが大切です。例えば、「ジュエリー EC」のように、ターゲットであるユーザーがどのようなキーワードで検索するか予測し、そのキーワードで上位表示されるようなコンテンツを作ることが、検索結果の上位表示につながります。

SNSやオウンドメディアを活用する

近年、SNSを活用した顧客獲得はビジネスに欠かせません。ブランドイメージや商品情報を発信するほか、ユーザーとコミュニケーションを取ることで、見込み客を呼び込めます。SNSのみならず、オウンドメディア(ブログやメルマガなど自社所有のメディア)も活用することで、ブランドや商品の認知度を向上できます。例えば、キャンペーンの告知や商品情報の発信は、拡散力の高いSNSやオウンドメディアの得意分野です。また、ジュエリーの素材や歴史、お手入れ方法などの周辺情報も提供すれば、ユーザーの興味や信頼を高められます。

オムニチャネル戦略を意識する

オムニチャネル戦略とは、店舗やECサイト、SNSなどさまざまなチャネルを統合的に管理し、顧客に最適な買い物体験を提供する戦略のことです。それぞれのチャネルを融合させ、顧客にシームレスな買い物体験を提供することがポイントです。例えば、オンラインで購入した商品を実店舗で受け取れるようにしたり、店舗在庫をオンラインから調べられるようにしたりといった施策があります。

また、オムニチャネル戦略は、オンラインとオフラインの顧客データを統合できる点も重要なメリットです。購入履歴やポイント残高などを一元管理することで、顧客一人一人に的確な訴求が可能になります。

ジュエリー業界がECサイトに参入するメリット

EC市場は拡大傾向が続いており、経済産業省が発表したデータによると、2021年のBtoC-EC市場規模は前年比で7.35%増加、物販系分野に限ると8.61%増加しています。

参照元:「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」(経済産業省)

以下では、上昇傾向のEC市場に参入することで受けられる、さまざまなメリットを解説します。

コストが抑えられる

ECサイトは、実店舗で発生する光熱費、テナント料や販売スタッフの人件費などのコストを削減できます。そのため、運用コストを実店舗より抑えられ、利益率や価格競争力を向上できます。しかし、商品発送に必要な梱包・配送代や、Webサイトを維持するためのサーバー代、運用費といった、ECサイトならではの費用・労力は必要です。

時間や場所にとらわれない

スマートフォンやパソコンがあればどこでも買い物ができる点は、ECサイトの大きなメリットです。ユーザーは24時間365日いつでも商品を購入できるので、都合に合わせて、好きなタイミングで買い物ができます。実店舗だと営業時間や立地条件などの制限を受けますが、ECサイトなら常に販売経路をオープンできるので、機会損失を減らせます。

顧客データをマーケティングに活用できる

ECサイトでは、詳細な顧客データを収集できます。年齢や性別といった属性データだけでなく、購入履歴や閲覧履歴といった行動データも集めて分析できるので、的確な施策が可能です。例えば、顧客の嗜好やニーズに合わせてパーソナライズされた商品を紹介したり、購買意欲を高めるためのプロモーションを最適なタイミングで実施したりすることで、顧客満足度や売り上げの向上につながります。

ジュエリー業界のECサイトの取り組み事例

ジュエリー業界でECサイトに取り組み、成功している事例を紹介します。

【事例1】 チャットボット機能を導入してユーザーをサポート

アクセサリーブランドY社では、ECサイト上でチャットボット機能を導入しており、自動対応によるユーザーの買い物サポート機能を実装しています。チャットボットによるリアルタイム対応を行いつつ、有人オペレーターへのシームレスな切り替えも可能にすることで、ハイブリッドな接客を実現しています。それにより24時間、365日の問い合わせ対応をリアルタイムで実現します。さらに提案型チャットボットを導入することで、顧客の購入意欲を刺激する仕掛けも施しています。

【事例2】 AR技術を利用したバーチャル試着サービス

アクセサリーブランドA社では、ECサイト上でAR技術を活用したバーチャル試着サービスを実装しています。自分やモデルの写真に商品のジュエリーを合成することで、バーチャルでの試着体験が可能です。「ECサイトだと試着ができない」という課題を解消し、自宅に居ながら試着できるというメリットで、他社との差別化を図っています。

【事例3】 Instagramを活用したSNS戦略

アクセサリーブランドG社は、実店鋪を持たず、InstagramなどのSNS戦略に注力しています。広告出稿やインフルエンサーとのコラボを行い、開業1年で売り上げを10倍に伸ばしています。ECサイトに埋め込むInstagramをサイト全体の雰囲気を統一したり、商品の梱包材に関してデザイン・素材にこだわったりと、多く顧客との接点を増やすことで独自のブランドイメージを確立させ、訴求力を高めています。

まとめ

縮小傾向にあるジュエリー市場においても、ECサイトの活用により売り上げの増加を目指すことが可能です。ECサイトでジュエリーを販売する際は、チャットボットなどの技術の活用や、SNSでの情報発信により、ユーザーに多彩な買い物体験を提供できます。さまざまなツールや媒体につながりを持たせたECサイトを設計し、効果的な集客システムを構築しましょう。

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