アパレル業が取り組むべきデジタルトランスフォーメーション(DX)

流行や季節などの影響を受けやすいアパレル業界ですが、デジタルトランスフォーメーション(DX)化が急速に進む昨今において、まだまだ後れを取っています。インターネットが発達し、グローバル競争も避けられない現代において、アパレル業界が取り組むべきDXとはどのようなものか、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。DXについて理解を深め、オンライン・オフラインをうまく統合し、売り上げの最大化につなげましょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?

デジタルトランスフォーメーションは、「DX」と略されることも多く、元はスイス人の大学教授が15年も前に提唱した概念です。「DT」ではなく「DX」であるのは、”Transformation”の”Trans”の部分が”X”と省略される、英語圏の風習によるものです。ITが企業に浸透していくことによって、社会全体で人々の暮らしがよりよい方向に進み、変化していくことを指します。
また、日本の経済産業省が2018年にまとめたDXを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)では

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

引用:デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン(経済産業省・PDF)

として、DXを説明しています。業務内容そのものや企業風土もデジタルによって変革し、より収益性の高いビジネスを目指していくといったニュアンスが含まれています。単純にデジタル化を進めるのではなく、デジタル化によって企業、そして社会全体がより豊かになることがDXです。

日本は世界的に見てもITの活用が遅れている国であり、DXの推進が今後さらに求められるでしょう。現在、経産省は日本が2025年にはIT人材不足、基幹システムの老朽化などが一気に深刻化すると予想し、その問題は「2025年の壁」と呼ばれています。「2025年の壁」問題解決に向け、現在DX推進に関するさまざまな取り組みが国内でも行われているのです。

アパレル業界におけるデジタルトランスフォーメーション事例

DXの浸透は業界によってもばらつきがあります。ここでは、アパレル業界におけるDXの概要について、一部の事例を交えながら解説します。

データ連携による売り上げと顧客サービスの向上

アパレルの仕事では、さまざまなデータを扱います。検寸データや検品データなどがその例です。また、受注生産品などの進捗(しんちょく)といったステータスに関するデータもあります。これらをDXによってリアルタイムで共有・連携することで、組織全体の生産性向上や機会損失のない販売につなげることが可能です。

また、消費者目線に立ちますと、ECサイトが普及しているなかでもアパレル商品については試着などでリアルな感覚も確かめたいものです。DXによって、ECサイト上でも必要に応じて返品を可能にし「試着ができない」という課題をクリアしたことで、売り上げを伸ばした例もあります。また、消費者が身長や体重を入力することにより、その体形に合うサイズの服をおすすめしてくれるサービスもDXによって生まれました。

仮想現実を活用した新作発表

新商品の発表においてはファッションショーを開催するケースが多いですが、DXの一環でVRを用いたバーチャルファッションショーを行う事例もあります。場所を問わずに臨場感のある形で参加でき、消費者が楽しむことが可能です。

ゲームの機能を使って、アバターに着せる服のデザインを配布するような例もあり、顧客の購入や商品利用の体験を充実化させています。

ここで紹介したもの以外にも、アパレル業界のDXにはさまざまな事例があります。また、現在実現されていないものでも、今後アパレル業界で新たに進んでいくDX事例はさらに増えていくことでしょう。

デジタルトランスフォーメーションを実現させるために

アパレル業界でDXを実現するために必要な取り組みについて解説します。

店員の発信力を生かす環境を整える

デジタルの活用が重要な時代とはいえ、最終的には店員という「人」が商品を販売し、顧客という「人」が購入します。よって、アパレル店員個人の能力を引き出せる環境を整えることが大切です。洋服の機能性や価格だけでは他社と差別化することが難しいなか、「その店員から買いたい」と思ってくれるファンのような存在を増やすことがポイントです。

実際に、「カリスマ店員」と呼ばれ店頭で売り上げに大きく貢献している店員が、SNSでも積極的に情報やコンテンツを発信し、ECサイトなどで貢献している例も増えています。デジタルでの情報発信やコミュニケーションが得意な店員がその能力を発揮できるようにし、ECサイトやリアル店舗の売り上げが伸びるようにするのがよいでしょう。

情報発信という点では、ユーザーや潜在顧客にコーディネートを提案することも有効です。顧客の関心は自社商品そのものよりもTPOに合わせたコーディネートをどうするか、といったことであり、店員が着用した写真などをSNSにアップしてコーディネートを提案することで、ユーザーが利用するイメージを持ちやすくなります。興味を持ったユーザーがそのままECサイトから購入できるよう導線を整備しておく必要もあるでしょう。

販売チャンネルの多様化を進める

SNSやインターネットが当たり前の現代では、ユーザーからの口コミも重要です。アパレルでいえば、ユーザーが自社の商品を着用した投稿をInstagramにアップしてくれれば、それ自体が宣伝になり、売り上げにつながります。オンラインの購入窓口であるECサイト上に、Instagramなどのユーザー投稿が埋め込まれるようにすると効果的です。

ECサイトでの売り上げを増やす際、店舗と比較すると対面での接客ができないデメリットはありますが、チャットボットなどのツールを活用することでカバーするようにします。問い合わせなどに素早く対応し、購入につなげましょう。

関連して、最近アパレル業界でも注目されているのが「ライブコマース」です。動画のライブ配信による販売形態のことで、新商品発売の告知などで多く活用されます。新発売の数日前にライブ配信で情報を発信し、参加してくれるコアなファンからの商品に関する質問に応えるなど、コミュニケーションを充実させます。ライブ配信でコアファンの動機を高め、情報の拡散も協力してもらい発売日に向けて盛り上げることが目的です。チャットだけでなく、ライブコマースを通じた接客で顧客体験を充実させることで、売り上げにつなげることができるでしょう。

デジタルトランスフォーメーション化による課題

最後に、DXを推進するうえでの課題について解説します。

セキュリティ強化

まずは、ITシステムなどを活用する際のセキュリティ問題です。アパレルでは顧客の個人情報を扱うこともあり、情報漏えいを防ぐ対策が欠かせません。自社でECサイトを運営する場合はクレジットカードなどの決済情報も管理する必要があります。ITシステムは便利な反面、インターネットを通じて世界とつながっているため、セキュリティがしっかりしているシステムを利用するとともに、社内でも情報の取り扱いについて周知・教育が必要です。

新システムの導入

また、従来のシステムが老朽化し、DXを推進するのが難しいケースもあるでしょう。新たなシステムの導入には一定の費用がかかり、ハードルが高い面もありますが、サブスクリプションサービスの活用で初期費用を抑えるなどの工夫もできます。

ユーザーインターフェイスを意識したECサイトの構築

顧客に目を向けますと、やはりユーザーにとって利便性の高いECサイトなどオンライン購入の実現に向けた環境の整備がポイントになります。会員情報の登録や決済フローなどが複雑では、せっかくの販売機会を逃してしまいかねません。
DXのメリットの一つでもある顧客データの収集も、この機会に整備しましょう。顧客のニーズをより正確に収集し、商品の改善や新商品の企画に役立てられます。これらを念頭に置き、顧客情報の管理を設計していくことが、ECサイト成功のポイントです。

DX推進がアパレル業界生き残りの鍵を握る

DXは単純にIT化を進めるのではなく、人々の生活がよりよいかたちに変化することを指します。システムを導入するだけでなく、その活用を通じて従来のビジネスモデルを革新し、オンライン・オフラインでの売り上げやオペレーションを最大化・最適化します。DXによるこれまでの慣習や考えを覆すような取り組みが、変化の激しいアパレル業界を生き抜く鍵になることでしょう。

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