貿易の販売管理システムとは? どんな機能やメリットがある?

貿易業の複雑な業務を効率的にこなすには、販売管理システムなどのIT活用が鍵になります。このようなシステムの導入は、事業の収益性にも影響を与える大きな要素です。本記事では、貿易で用いられる販売管理システムについて、その機能や導入効果、選定の際のポイントなどを詳しく解説します。

販売管理システムとは?

販売業務は、モノとカネの流れが非常に複雑な動きを見せるのが特徴です。そのため、見積りから受注、出荷、売上の計上、請求、そして回収までの業務フローには、管理のしにくさが常につきまといます。販売管理システムは、こうした課題を解決するために、販売に関する業務を一元管理するソリューションです。

販売管理システムについては、以下の既存記事で詳しく紹介しています。

販売管理システムとは? 機能一覧や導入メリット、比較ポイントを徹底解説

貿易で用いられる管理システムとは?

輸出入に関する貿易業務を一元管理するシステムが「貿易管理システム」です。貿易管理システムでは、上記の販売管理システムの基本機能だけでなく、外国通貨や通関手続きへの対応など、貿易特有の業務に関する機能も搭載されています。以下では、貿易管理システムがどのような業務をサポートするのかを紹介します。

輸入に関する業務

輸入関連の主な業務と、それに対応するシステムの機能としては、次のようなものが挙げられます。

契約管理
輸出業者との売買契約など、契約情報の照会・出力
発注管理
輸入品の発注書の出力
支払管理
決済データの管理
原価計算
輸入原価の算出
通関対応
輸入品が法規制対象に該当するかの照会
外国送金
外国送金依頼書の出力
為替予約
為替予約データの管理

発注管理や支払管理などは一般的な販売管理システムにも存在しますが、輸入品が国内法の規制対象であるか確認できる機能などは、貿易管理システムならではの特長です。

輸出に関する業務

輸出関連の主要業務とシステムの機能としては、以下が挙げられます。

見積管理
見積書の作成・出力
受注管理
受注契約書などの管理・出力
仕入れ管理
入荷数量の管理
売り上げ管理
輸出データの入出力・管理
入金管理
入金残の管理
L/C接受
信用状(L/C)の管理
買取依頼
輸出手形買取依頼書などの管理・出力
輸出文書作成
送り状や梱包(こんぽう)明細書などの作成

これ以外にも、契約管理や外国送金など、輸入と重複する業務・機能も存在します。

仲介業者を含める三国間業務

三国間業務とは、買い手、売り手、仲介業者が三カ国に分かれている取引を指します。メリットは、より効率的なリソースの配分、輸送コストの削減、多様な市場へのアクセスが可能になることなどです。三国間業務の主な業務および対応機能として、以下があります。

三国間契約
受注契約書や注文書などの出力・管理
三国間船積
貿易書類の出力・管理や入荷残管理
入金管理
入金残の管理
支払管理
決済データの管理
L/C取引
輸出手形買取依頼書などの出力
為替予約
為替予約データの管理

三国間業務は仲介業者を挟む分、取引の進捗(しんちょく)管理などが複雑になりがちです。そのため、貿易管理システムを活用することがより重要になります。

貿易の管理業務が抱える課題

上記の業務内容からも分かるとおり、国内の商取引よりも貿易の管理業務は複雑です。以下では、その結果として生じる主な課題を解説します。

管理業務が属人化している

複雑な貿易業務をスタッフがExcelで個別管理している企業は少なくありません。その結果、情報が一元管理されず、業務の引き継ぎや共有ができないなど、属人化が生じやすくなります。特にExcelで複雑な関数を用いると、ほかのスタッフは内容の理解や修正が困難になりがちです。

作業が重複してしまう

貿易や販売管理で使えるツールとしては、Excel、販売管理システム、貿易管理システム、基幹業務システムなど、複数の種類があります。企業によっては、これら複数のツールを使っているもののシステム間連携ができておらず、データの二重入力が発生するなど、業務効率に悪影響を与えていることがあります。

輸入原価が正確に把握できない

複数の業者や仲介者が絡む輸入業務のフローは非常に複雑で、正確な輸入原価を把握するのが困難です。その結果、収益性が低下してしまっている場合もあります。

貿易管理システムの機能

上記で解説したような貿易の管理業務が抱える課題を解消するために、貿易管理システムは幾つもの優れた機能を提供します。ここでは、その具体的な機能について解説していきます。

受発注を管理する

貿易管理システムを用いれば、受発注や在庫管理を一元化し、業務フロー全体を可視化できます。その結果、必要な商品や資材を適切なタイミングで調達できるようになり、在庫の過不足などのリスクを防ぎやすくなります。

進捗管理や情報共有をする

貿易においては船便の遅延、通関の問題、取引先との調整など、多くの変数が存在します。システムを導入することで、各業務の進捗状況がリアルタイムで共有され、適切な意思決定が行いやすくなります。例えば、船の遅延が発生した場合には、陸上輸送に切り替えるなどの迅速な対応が可能です。

書類を作成する

貿易には多くの書類が伴います。インボイスやパッキングリストはその代表例です。貿易管理システムでは、これらの書類を効率よく作成できます。特にクラウド上で書類の作成・共有・管理をすることで、テレワークやペーパーレス化にも対応可能です。

貿易管理業務全体のシステム化が難しい場合

システム導入は効率化につながる一方で、一定のコストが必要です。特に中小企業にとって、その負担は小さくありません。そこで重要になるのが、自社の規模やビジネスニーズを十分に考慮したうえでシステム化を進めることです。

例えば、オーダーメード型のシステムは開発・導入費用が高くなるので、パッケージやクラウド(SaaS)の製品を選ぶことが考えられます。また、必要な機能を絞って販売管理システムを導入し、まずは販売の部分を最適化することもおすすめです。

貿易業向けのソリューションのラインアップは、下記のページで多数紹介しています。

貿易業向けソリューション

貿易に販売管理システムを導入するメリット

貿易管理システムではなく、一般的な販売管理システムを導入する場合でも、貿易業務において数多くのメリットが期待できます。以下、その主な利点を紹介します。

データを一元管理し、ヒューマンエラーを防止できる

貿易業務では多くの文書やデータを扱うため、ヒューマンエラーが起こりがちです。販売管理システムの導入により、自動化やデータの一元管理を促進し、人的ミスを大幅に減らすことが可能です。

管理コストの削減になる

システム導入は、中長期的に見れば人件費や管理費用の削減につながります。煩雑なデータ入力や確認作業などを自動化していくことで、従業員はより付加価値の高い業務に専念できる時間が徐々に増えていき、長い視点で見て生産性を向上できます。

貿易に販売管理システムを導入する際の比較ポイント

貿易に販売管理システムを導入する際は、多様な製品の中から自社に適したものを選ぶ必要があります。最後にその際に重視すべき比較ポイントを解説します。

既存システムとの連携

貿易の業務フローは非常に複雑ですので、財務・在庫管理・CRMなど、既存のシステムとの連携が必要になることが想定されます。このシステム間の連携がスムーズであれば、業務効率を大幅に向上可能です。そのため、既存システムとAPI連携やデータのインポート・エクスポートが容易な製品を選ぶことで、高い利便性が期待できます。

運用サポートの有無

導入後のサポート体制も重要な選定基準です。いざというときに頼れるサポートがあるか、いつまでにどのような手段(電話、チャット、訪問など)でサポートが受けられるのか、といった点を確認することが重要です。サポート費用の確認も欠かせません。

これらのポイントを念頭に置き、要件とマッチする製品を比較検討することで、より自社の状況に適したシステムを導入できます。今回紹介した内容を踏まえ、ぜひシステム選びにお役立てください。

まとめ

貿易業務は複雑なプロセスを伴うので、手動での管理は非効率的で、エラーのリスクも高まります。貿易管理システムはこれらの課題を解決し、輸出入業務から三国間業務まで一元的に管理します。システムの導入はコストがかかりますが、効率化と正確性の向上により、中長期的なコスト削減が期待できます。販売管理システムも同様に、貿易業務を効率よく管理するために有用です。貿易業務に課題を感じている方は、ぜひシステム導入による解決を検討してみてはいかがでしょうか。

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