在庫処分の方法は? 損失を抑える具体策

需要予測が難しく、商品の入れ替わりが激しいアパレル業界では、適切な在庫管理が必要です。この記事では、在庫管理の難しさや在庫を処分する六つの方法、それらのメリット・デメリットについて解説します。余剰在庫を減らし、在庫管理を効率化するうえでは、在庫管理システムの導入が有用です。

アパレル経営において実は重要な「在庫処分」の工程

アパレル業界のトレンドは常に移り変わるため、日々膨大な商品が生産されています。余剰在庫が発生する要因として、欠品による機会損失を防ぐために多くの商品を確保すること、色・サイズ違いを含めて多くの商品を仕入れること、また商品のライフサイクルの短さなどが挙げられます。

過剰に余剰在庫を持つと、管理にコストが掛かります。また余剰在庫は会計上、資産として扱われてしまうため、帳簿のうえでは問題なくても内実キャッシュフローが悪化し、経営難を招く恐れがあります。

アパレル経営を成功させるためには、損失を抑えつつ余剰在庫をいかに処理するかが重要です。

アパレル在庫を処分する六つの方法と、それぞれのメリット・デメリット

アパレル在庫を処分する方法として、主に以下の六つが挙げられます。どの方法にもメリット・デメリットが存在するため、どちらも考慮したうえで自社に合った方法を選びましょう。

1. 廃棄する

大量の在庫を持て余した場合、廃棄するのも選択の一つです。方法としては、業者に委託するのが一般的です。廃棄を選択すれば商品を「売る」「仕分けをする」などの手間は掛からず、保管コストは不要になります。ただし、仕入れの費用がそのまま損失になってしまいます。

また、焼却処分の場合は、環境への影響について意識する必要があります。欧州連合(EU)では今後、衣料品の廃棄を禁止する法案が施行される見込みであり、海外事業を展開する企業にも適用される可能性があります。廃棄の手段は時代の流れに逆行することとなるため、できるだけ避けましょう。

2. セールで売り切る

売れ残った商品をセールで売り切る方法です。割引された商品は集客効果があり、人々の購買意欲をかき立てます。売れ行きを見つつ段階的に割引率を上げていき、最終的には従業員向けのセールで売り切りましょう。セールで売れば正規の販売価格よりも利益率は下がるものの、廃棄のような完全な損失は避けられます。また、お得意さま限定のセールで特典をつければ、既存顧客へのマーケティングにもつなげられます。一方、常に割引をするブランドというイメージがつくことや、プロパー販売率(正価で売れた商品の比率)が下がることには注意が必要です。

3. アウトレットで販売する

アウトレットモールに出店するか、店舗にアウトレットコーナーを設けるなどの方法で在庫処分を行う方法です。アウトレットモールは集客効果が高く、割引率の大きい在庫を販売すれば関心を集め、ブランドの認知度を高める効果が期待できます。

ただし、アウトレット店舗の出店費用や人件費、賃料などのコストが発生します。安定した利益を得るにはある程度の品ぞろえが必要ですが、通常アウトレット商品は色やサイズ、種類などがランダムです。そのため商品の確保が新たな課題となります。

4. EC・ネットショップで販売する

ネットショップで販売する場合は、ECモールに出店するか、自社のECサイトを立ち上げるかを選びましょう。ECサイトから顧客はいつでも商品を購入できるため、実店舗よりも販売機会を広げられ、賃料などのコストも不要です。

他方で自社のECサイト立ち上げには一定のコストが掛かる点はデメリットといえるでしょう。また、実店舗とECサイトの在庫を別に管理している場合、在庫情報の不一致や在庫の二重発注といった恐れがあります。損失につながる事態を避けるには、複数の実店舗とECサイトの在庫を一致させ、一元管理が可能なシステム導入が効率的です。

5. 来シーズンへ持ち越す

在庫を保管して来シーズンで再び販売する方法です。大手企業も行っている一般的な処分方法で、正規の価格のまま売れる可能性が残るうえ、セールによるブランドイメージ低下の心配もありません。

デメリットは在庫保管のコストが掛かる点や、トレンド性の強い商品が売れ残りやすい点です。しかし、トレンドの影響を受けないベーシックな商品は、長期間にわたり販売できる可能性があります。自社で扱う商品の特性を鑑み、検討しましょう。

6. 在庫買取サービスを利用する

在庫買取業者には複数の種類があり、買取後リサイクルする、安価で販売するなど、活用方法が異なります。廃棄による環境への影響が問題視されているため、サービス市場は年々拡大しています。

サービスを利用するメリットは、セールやアウトレット販売、ECサイトでの販売に比べて手間やコストをかけずに、一括で大量の在庫を処分できる点です。利益は少ないものの、廃棄より損失を抑えられます。

デメリットは1点あたりの買取価格が安い点、販売後の流通方法によってはブランドイメージの低下につながりかねない点です。

中には元のブランドが分からないようにタグを交換して販売する、リサイクル原料として販売するなどのサービスを行う事業形態もあるため、自社のニーズと合致する業者を選びましょう。

処分前に売り切るには? 余剰在庫を減らすためにできること

アパレル経営で損失を最小限にするには、そもそも処分しなければならない余剰在庫の発生を抑える必要があります。処分前に売り切るための方法を解説します。

安全在庫・適正在庫を意識した生産管理を行う

余剰在庫の発生を抑えるには、「安全在庫」や「適正在庫」を正確に把握することが重要です。安全在庫は欠品を出さないために保持する最低限の在庫であり、適正在庫は欠品を出さないために必要な最小限の在庫数です。これらの在庫を算出して生産管理を行うことで、欠品を防ぎ、利益も得られるようになります。

【関連記事】安全在庫とは? 利益を上げる計算方法と注意点

複数店舗やECショップの在庫を一元管理する

複数店舗やECサイトを運営している場合、在庫情報の管理は特に重要です。上述のとおり店舗間の在庫情報が一致せず、存在する在庫が欠品扱いとなっていると、売れるはずの商品が余剰在庫になってしまいます。機会損失を防ぐためにも、店舗間の在庫情報をリアルタイムで共有し、一元管理できるシステムを構築しましょう。システム構築を行えばスムーズに店舗間で連携できるようになり、業務効率化や販路拡大につながります。

【関連記事】ネットショップの在庫管理を最適化! 複数店舗の一括管理方法

データに基づいた適切なフォロー出荷・店間移動を実施する

複数店舗を経営している場合、余剰在庫の発生を防ぐには適切な在庫配分が必要です。ただ、倉庫からの初回出荷やフォロー出荷、店舗間での在庫移動では在庫情報の把握や配分決定の難しさ、業務負荷などは課題です。在庫や店舗・シーズンごとの売上といったデータを分析することで在庫配分を適正化でき、余剰在庫の発生を抑えられます。

【関連記事】店舗間移動を適正化! 複数店舗の在庫管理方法

生産管理・在庫管理の適正化を実現する基幹業務システム「ApaRevo」

生産管理や在庫管理を最適化して余剰在庫の発生を抑えるには、自社に合ったシステムの選定と導入が重要になります。アパレル業界に特化した販売・在庫管理システムが、大塚商会の「ApaRevo」です。ECサイト一元管理システムの「ネクストエンジン」や、POSレジ「BCPOS」「スマレジ」などと連携させれば、複数の店舗在庫の一元管理や受注管理による出荷、出荷配分の効率化が実現します。充実した機能や手厚いサポートにより、企業のさまざまな課題を解決可能です。

まとめ:アパレルの在庫管理は「業界特化型のシステム導入」で最適化できる

自社の業務形態や商品の特性に合わせ、余剰在庫はセールやECサイトでの販売、在庫買取サービスなどで処分しましょう。余剰在庫の発生を抑える取り組みも重要ですが、アパレル業界ではトレンドが日々変化するため正確な予測は困難です。機会損失を防ぐにはデータの一元管理や分析ができるシステム構築が有効です。特に大塚商会が提供するソリューション「ApaRevo」は、複数システムとの連携や在庫情報の把握が可能で、販売管理・在庫管理に貢献します。

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