ファッションロス対策~企業の課題と廃棄ゼロへの取り組み例~

衣類の大量廃棄(ファッションロス)は、アパレル業界における深刻な問題の一つです。これは、環境負荷の増大というサステナビリティの観点から問題があるだけでなく、利益率やブランドイメージの低下といった純粋なビジネス面での悪影響にもつながります。本記事では、ファッションロスの概要をはじめ、アパレル企業が実践できる具体的な解決策について解説します。

アパレル企業が無視できない「ファッションロス」問題

ファッションロスとは、家庭や企業において、まだ着られる衣類が廃棄されることです。アパレル業界ではファストファッションに代表されるように、短期スパンで商品を大量生産・大量廃棄するビジネスモデルとなっています。しかし、環境問題への社会的関心が高まるにつれ、こうした企業の姿勢を疑問視する消費者が増えつつあるのが現状です。

近年ではこのような情勢を反映して、「サステナブルファッション」などの取り組みが注目を集めるようになりました。サステナブルな社会を実現するために、これからのアパレル企業には、在庫の廃棄量をできる限り減らす取り組みが求められます。

サステナブルファッションとは? アパレル企業ができる取り組みを紹介

ファッションロスの削減へ取り組む二つのメリット

アパレル企業がファッションロス対策に取り組むことは、地球環境への配慮はもちろん、ビジネス上の観点からも重要です。というのも、ファッションロス対策は、企業経営において無視できない「キャッシュフローの改善」と「ブランドイメージの向上」に直結するためです。

キャッシュフローの改善

ファッションロス対策は、「余剰在庫や廃棄ロスの防止」と言い換えられます。周知のとおり、これらは企業にとってコストを余計に増大させる天敵です。そのため、生産体制や在庫管理などを見直してファッションロス対策をすることは、キャッシュフローの改善につながります。

ブランドイメージの向上

先述のように、近年ではサステナビリティへの関心が高まっており、消費者や投資家が企業に下す評価においても、「サステナビリティに配慮しているか否か」が大きな基準になりつつある状況です。従って、ファッションロス対策を積極的に行い、それを対外的にもアピールすることで、サステナブルな優良企業として社会的信用を高める効果が期待できます。

【ファッションロス対策】廃棄ゼロへ向けて企業ができること

ファッションロス対策の具体的な方法は多岐にわたります。以下で紹介する複数の方法を効果的に組み合わせて、廃棄ゼロを目指しましょう。

需要を予測して生産する

まずは廃棄する在庫の発生を防ぐべく、正確な需要予測に基づいた生産・発注をできるようにすることが求められます。近年ではAIによる需要予測が進んできており、これを活用することでより精度の高い予測が可能になります。海外の大手アパレルブランドも、この需要予測の徹底を通して廃棄ロスの削減・ゼロ化を目指しています。

需要予測も可能になる? AIはアパレル産業をどこまで変えるのか?

在庫管理システムを導入する

在庫管理システムを導入し、在庫情報をリアルタイムに把握できるようにすることも重要です。正確な在庫情報に基づいて販売施策や経営戦略を立てることで、結果的に余剰在庫の発生を防ぎやすくなります。例えば、在庫分析機能を活用して売れ筋の商品とそうでない商品を可視化すれば、売り上げの増加に結び付く効果的な仕入れが可能です。なお、在庫管理を徹底するのには、システム導入だけでなく、倉庫内の整理整頓や管理業務の標準化など、現場レベルでの取り組みも求められます。

店舗・ECの在庫を一元管理する

ECと店舗の在庫を一元管理することでも、余剰在庫の発生を抑えられます。店舗とECで在庫情報を共有すれば、相互に在庫の過不足を調整できるためです。近年では顧客側もECで商品を購入することに慣れているので、店頭に在庫がない状態でも、後日ECで配送する形にすることで納得してもらえる可能性があります。これによって、店頭に無理に在庫をそろえる必要がなくなり、過剰在庫を減らすことが可能です。実際、アパレル企業の中には店舗とECの連携を強化することで、在庫の縮小を図っている事例があります。

需要の高い店舗へ在庫を移送する

ECとの連携と同様に有効なのが、店舗間の在庫移動やフォロー出荷です。来店者数や顧客層は店舗ごとに差異があるので、ある店舗では在庫が余っていても、別の店舗では需要が高いという状況は十分にありえます。そのため、在庫管理システムの活用などによって店舗横断的に在庫情報を共有する仕組みを構築し、需要の高い店舗へ適宜在庫を移送することが推奨されます。これにより、余剰在庫の発生や欠品による機会損失の抑止が可能です。

余剰在庫はセールで売り切る

需要予測や在庫管理に取り組んでも、余剰在庫の発生を完全に防ぐのはやはり簡単ではありません。そこで次善の策として必要になるのが、発生した余剰在庫をセールで売り切ることです。セールで売ると正規の販売価格よりも利益率は下がってしまいますが、廃棄による完全な損失を避けることができます。セールに際しては、売れ行きを見つつ、ブランド価値にも配慮しながら、段階的に割引率を上げていきましょう。それでも余剰在庫が出た場合は、従業員向けにセールをするのも一つの方法です。

ベーシックな商品の取り扱いを増やす

廃棄ロスを減らすためには、来シーズンまで持ち越せる、流行にとらわれないベーシックなアイテムを増やすことも効果的です。流行を取り入れた商品は、そのトレンドが過ぎた途端に流行遅れの服として着にくくなってしまう面があるので、ファッションロスにつながります。こうした観点から、近年では、長く着続けてもらえることを重視して素材やデザインにこだわるブランドも増えています。また、デザインの面では、生産工程でなるべく廃棄物が少なくなるようなパターンを考えることも重要です。

循環型のビジネスモデルを採用する

オフプライスストアの運営や衣類のお直しサービス、回収サービスの提供、余剰在庫のレンタルや二次流通サービスの活用など、循環型のビジネスモデルを採用することも重要です。これらにより、消費者が衣類をより長く着続けたり、不要になった衣類を再利用したりする機会を提供し、廃棄物の削減を図ることができます。簡単に使い捨てるのではなく、「長く使えるようにする」「別の形で活用できるようにする」といった方向に思考を展開することが、循環型のビジネスモデルを構築するうえで重要です。

在庫管理を適正化。アパレル業向け在庫・販売管理システム「ApaRevo」

ファッションロスを削減するためには、先述のように在庫管理の適正化が有効です。大塚商会が提供する「ApaRevo」は、アパレル業界特有の業務をトータルでサポートする在庫・販売管理システムです。「ApaRevo」は、色サイズ別の在庫管理や売り上げ・在庫情報のリアルタイムの把握、POSやECとのシームレスな連携など、在庫管理に役立つ多様な機能を搭載しています。また、「ApaRevo」と在庫分析・可視化システム「LTV-Zaiko」を連携させ、余剰在庫の消化予測を分析し、余剰在庫の最小化していくことで、結果としてファッションロスの削減につなげられます。

まとめ:システム導入で、ファッションロス対策の第一歩を

ファッションロスに取り組むことは環境保護のためだけでなく、コスト削減やブランドイメージの向上といったビジネス面でも重要です。ファッションロスを防ぐには、需要予測や在庫管理を徹底し、余剰在庫の発生を最小化できる生産・販売体制を構築することが鍵となります。これを実現するには、「ApaRevo」や「LTV-Zaiko」のようなITツールの活用が有効です。ファッションロス対策の第一歩として、ぜひ「ApaRevo」の導入をご検討ください。

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