働き方改革を実現する生産管理の実稼働とは(後編)

生産管理システム導入に当たって、検討段階に気をつけたいポイント、導入・運用・稼働の各フェーズにおける注意点、効果的な活用法などをインタビュー形式でご紹介します。

この記事のポイント

  • 今の業務に無駄はない、と思う前に、正しい数値を把握できているかどうかを確認したい。厳密に数値把握ができず安全値で判断していると、無駄が隠れているかもしれない。
  • 聖域なき業務効率改善をしていく必要がある。部分最適から、業務習慣そのものの改善を伴うレベルでの全体最適と効率向上が「実稼働」のゴールだ。

【課題】生産管理で今まで以上の効率化が推進できるのか

需要が拡大傾向なので生産管理システムを導入し、生産効率を高めて出荷量を増やしたい。ただし、人材難の昨今、従業員を増やすことなく生産量を拡大したいと思っている。工場の生産効率は常にチェックしているが、これ以上の効率改善となる要素はあるのだろうか。また、導入後は状況の変化に対応できるのかなど、どのように運用していけばよいのかを知りたい。
無駄なやり方があると思っているが、具体的な課題としてまだ把握できていない。さらに生産管理システムの導入を働き方改革につなげるにはどうすればよいのだろうか。

生産革新ファミリーの導入・運用で生産効率を向上させる方法

中小規模のメーカーなので今話題の生産革新ファミリーの導入を検討している。導入効果を高める運用方法を知りたい。工場はある程度効率化が図られていると思っているが、さらに無駄を省く余地があるのだろうか。

導入効果を数値化して常に効果を検証します。

高橋:定期的に定例会を開催し経過を見ることは重要です。新製品の登場や旧製品の生産終了、新規取引の発生など企業を取り巻く環境は常に変化します。その変化にどのように対応していくかを検討し、対処していくことが導入効果を高めることになります。

酒田:工場には無駄がない、と思う前に、ぜひ正しい数値が把握できているかどうかを確認していただきたいです。例えば、機械設備の稼働率が80%ぐらいだと想定していたところ、詳細データを収集してみたら実際には60%以下だったなど、実態とのズレが現場では多々あります。

生産管理システムの導入を検討するために導入事例を知りたい

生産管理システムがうまく活用できるか不安がある。自社の規模や業態に近い会社の事例を知りたい。運用の課題や使い勝手を理解したうえで導入した方が、リスクも少ないと思っている。

豊富な導入事例を基に分かりやすくお伝えします。

酒田:導入に当たっての疑問を解決するために、Webで導入事例を動画も交えて配信しています。また、オンラインセミナーでは実際の導入ユーザー様にご出演いただき、そこで事例を一つ一つ丁寧に解説し、リアルな話をお伝えしています。さらに、お客様のご要望に応じて実際に導入している会社をご紹介し、良いことも悪いことも全てお話しいただける見学の機会を設ける場合もあります。大塚商会では見学を受けていただけるお客様を多く持っていますので、事例を詳細に見てから安心して導入いただけるケースも多数あります。

生産管理システムは今後どのよう進化していくのか

生産管理システムはIoTの進化でどのように変わっていくのだろうか。また、働き方改革とのつながりについて知りたい。

生産管理システムはこれからもさらに進化します。

高橋:IoTの技術を利用すると相当厳密な稼働データが機械設備から上がってきます。その設備が未稼働になっている理由を分析し、対策を立てることでさらに効率を向上させることができます。

酒田:働き方改革は、経営の仕方そのものを変えていく施策だと思います。生産管理の業務効率改善ばかりを現場で追い求められても、「やらされ仕事」ではモチベーションアップにはつながりません。そのため、大塚商会では生産管理システムのプロジェクトを進めるに当たって、現場やプロジェクトメンバーの人事評価という側面(成果が出たらその分の評価を還元する)も含めて、経営トップの方には提案もしています。

【総評】生産管理システムは働き方改革を推進するツールとなる

働き方改革は業務効率を高めて、生産力を向上させることさせることで実現します。生産管理システムはそのためのツールとして活用可能です。しかし、ツールを導入して終わりではありません。業務習慣を変えるなど大きな努力をする必要があります。
また、業務効率改善を推進するうえで「聖域」を作ってはなりません。無駄はないだろうという先入観を捨てて検証していくことが必要です。経営者のリードで、従業員が一丸となってアイデアを出し合い、協力していくことが会社発展の原動力になるのです。(まとめ 及川 昭理)

株式会社ビジネスボックス 及川 昭理