Part.1「生産革新」モデルユーザー座談会

DX改革のヒントになる生産革新モデルユーザーのリアルボイスを公開します。

生産革新ユーザーによるDX奮闘記! モデル企業によるリアルボイス

ユーザー座談会から学ぶDXによるビジネス変革 いったいどこから手をつける?

DXの推進は、企業が将来にわたって競争力を維持し続けるために必要な経営課題の一つです。しかし、製造業の場合は製造物によって生産プロセスが違うので、参考事例が見つけにくく、DXの推進を難しくしています。一足先にDXに着手した生産革新モデルユーザー3社の成功事例から、DXを推進する方法や実践のヒントを見つけていきましょう。

生産形態の違う3社のDX推進、各社の課題と競争力強化の道のり

化粧品製造 株式会社シーエスラボ

株式会社シーエスラボは、2004年に東京都中野区で創業した、化粧品開発・OEM・医薬部外品の受注製造を行う企業です。豊富な実績と高い研究開発力を武器に、商品の企画提案から原料・処方開発、製造・充塡(じゅうてん)・包装・パッケージデザイン・物流までトータルでサポートしています。

シーエスラボの強みは、高い技術と高性能装置、試験ルームを完備しており、環境にも配慮した最先端の工場で製造することによって高品質な商品を提供できることです。また、再生可能エネルギーの活用・女性活躍推進・地域名産品を使用した化粧品の開発など、SDGs推進にも積極的に取り組んでいます。

株式会社シーエスラボWebサイト

DXツール導入で目指したこと・導入の決め手

  • 人を増やさずに、ITによって新工場の生産性を2倍に上げること
  • 秤量(ひょうりょう)システムとの連携によって、データの信頼性とトレーサビリティを強化すること
導入ツール
生産革新 Blendjin
「生産革新 Blendjin」と「Custom AP Builder(CAB)」を組み合わせ、秤量システムをIoTで連携させる
導入の決め手
● 稼働までの期間が1年しかなく、時間に追われての導入に対応できるベンダーかどうか
● なるべくカスタマイズをせずに導入したいという優先事項に対して、大塚商会の担当者に優秀なSEの方の人材確保と、化粧品の生産管理業務に合った配合型生産管理システム「生産革新 Blendjin」および「SMILE CAB」という柔軟かつ拡張性を持つシステム開発ツールを提案してもらえたこと

実際どう変わった? 導入ツールの効果

コロナ禍の必需品であるアルコール除菌ジェルの製造を受託できたこともあり、昨年は製造量が大幅に増えましたが、大容量の秤量機を導入してシステムと連携させることで、秤量件数が25%削減されて生産性が向上しました。秤量機との連携には、原料の取り間違いや計量ミスといった作業中の間違いを防止する効果もあり、品質管理の観点でも役立っています。

DX推進の効果は、生産性や品質の向上だけではありません。データを全てクラウド化したことでテレワークができる環境が整ったため、在宅でも仕事ができるようになり、従業員の安心感やモチベーションも向上しています。

大塚商会 IoT・生産管理システム導入担当の目線

シーエスラボ様では、これまで活用していた他社の生産管理システムが更新時期を迎えることと、新工場設立に伴って増加する製造量に対応するために、「生産革新 Blendjin」と秤量システム、パネルコンピューターを連携したIoTを新たに構築されました。これにより、トレーサビリティの強化や業務効率化、品質向上を実現しておられます。

もっと聞きたいこんなこと

参加者からの質問シーエスラボ様 回答
DXの推進にあたり、現場などから反対や抵抗はありましたか。あるようでしたら、どのように対応されたのでしょうか。一部のメンバーからは、否定的な意見もありました。ただ、DXの意味が分からない人や最新のものが好きな人もいるので、そこまで否定派が多いというわけではありませんでした。また、年始や全社朝礼の挨拶で社長からDXを進めたいという話を強くしていたことも、進めやすい要因の一つでした。
費用対効果は実際いかがでしょうか?また、その測定方法はどのようにしています?全体的な費用対効果は算出していないため明確な数字としては算出できておりませんが、生産実績の入力作業において、年間5,000分相当の工数削減ができていると思います。そのほかにも、以前より入力が少なくなった作業がいくつかあるので、費用対効果は出ていると思います。
開発ツール「SMILE CAB」はどのような業務でお使いになっていますか。「生産革新 Blendjin」に標準でない機能を優先的に作成しました。約30本のアプリケーションを「SMILE CAB」で開発し、旧システムの過去データを見ることにも活用しています。

ポイント

配合業・プロセス製造業の特徴とは

特殊機械製造 株式会社東伸

株式会社東伸は、岐阜県大垣市の企業で70年以上の歴史があり、高機能フィルムの製造で使われるスリッターやリワインダーなどの特殊機械を製造・販売しています。国内業界の草創期にスリッターの製造に着手して以来、スリッターとリワインダーのパイオニア企業として発展を遂げています。

東伸の強みは、お客様のプロジェクトの構想段階から参画し、開発設計・製造・設置・アフターフォローまでを一気通貫で手掛けられることです。それにより、付加価値の高い製品やサービスの提供を実現しています。

株式会社東伸Webサイト

DXツール導入で目指したこと・導入の決め手

  • 設計図面の流用化・標準化によって一人当たりの生産性を向上させ、長期的に利益が出る仕組みを構築すること
  • 見積り精度や利益率の向上、納期短縮化、品質向上によって企業競争力を高めること
導入ツール
生産革新 Bom-jin/生産革新 Raijin
社長直轄の全社改革プロジェクトを発足後、「生産革新 Bom-jin」を導入してBOM(部品構成表)の構築による技術・設計部門の流用化・標準化設計に着手。その後、「生産革新 Raijin」を導入して「生産革新 Bom-jin」と連携させることにより、設計と製造の一気通貫を実現した。
導入の決め手
● 流用化・標準化推進に対する支援・アドバイスを得られるITベンダーだと感じたこと
● 提案システムが自社に合っていると感じたこと

実際どう変わった? 導入ツールの効果

システム化の準備段階で、20万枚もあった設計図面の整理・整頓・ルール化に着手。数ヶ月かけて今後も使えそうな1万枚以下に絞り込み、それを「生産革新 Bom-jin」で管理することで、設計図面の検索がしやすい体制を構築しました。

また、同時進行で設計者全員が出席する会議を数回開いて啓発活動を実施。今までの業務のやり方を変えることへの反発意見も多かったものの、流用化・標準化設計のメリットを説明することで徐々に納得を得ることができました。

「生産革新 Bom-jin」と「生産革新 Raijin」を2年運用した現在では、ぺーパーレス化が急速に進んでいます。また、流用化・標準化設計が浸透した結果、設計部門の残業時間は10分の1になり、設計納期も100%順守できるようになりました。

大塚商会 BOM・生産管理システム導入担当の目線

株式会社東伸様は、BOMによる全社改革プロジェクトによって業界世界一を目指すという明確な目標を掲げ、設計図面の整理・整頓、品名・品番(図番)の付け方のルール化に取り組まれました。BOM管理ツールの導入にあたっては、社員の意識改革や導入体制の構築なども積極的に行われました結果、設計の超高効率化・超高速化を実現しておられます。

もっと聞きたいこんなこと

参加者からの質問東伸様 回答
DX化の観点から、より具体的に社内で取り組んだ事例を教えてください。E-BOM導入→M-BOM導入
● お金の流れ、モノの流れをオンタイムで可視化
● 現場にはディスプレイを設置してペーパーレス化
● 設計図面の画像データやCADデータは履歴管理された状態で共有する
今後
● CAD/CAM連携データベースをBOMに載せて図面レス化
● AIによる見積りの自動化
同じ部品なのに複数の図面が存在する、または、似た図面なのに微妙に違う部品が存在する、どちらのパターンが多いのでしょうか?似た図面で微妙に違う部品が圧倒的に多いです。
多岐にわたる設計図面の標準化など、特に現場の意識改革や運用で苦労した点はありますか?啓発だけでは限界があり、また標準化に終わりはありません。
標準機や標準オプションを開発して、それを使用するというところまで詰めて移行を進めています。標準機を使えば間違いないというところまで詰めないと、現場では良かれと思ってまた亜種ができてしまいます。

ポイント

流用化・標準化設計とは?

はんだ製品製造 ニホンハンダ株式会社

ニホンハンダ株式会社は、110年以上の歴史があり、電子部品の接合で使用されるはんだや焼結銀ペーストなどの接合材料の開発・製造・販売を行っている企業です。PCやタブレットの心臓部であるCPUなどの微細なハンダ付け、自動車や家電製品に組み込まれるパワー半導体の大小の幅広い面積のハンダ付けを得意としております。はんだは、棒・線・ソルダペースト・成形はんだとあらゆる製品の形態に対応可能であり、お客様のニーズに沿った製品のカスタマイズも得意としています。

ニホンハンダ株式会社では、製造現場の意見を取り入れたIoTと生産管理システムの有効活用によって、設備の予防保全と品質向上を実現しています。

ニホンハンダ株式会社Webサイト

DXツール導入で目指したこと・導入の決め手

  • 現場の負担となっていた、紙での生産指示や生産実績の報告を解消すること
  • 加工装置との連携によって、温度や湿度といった情報も収集すること
導入ツール
生産革新 Ryu-jin
IoT実績収集システム「実績班長」と加工装置との連携
導入の決め手
● 自社の製造現場と間接業務の双方に対応できる点と、生産計画の考え方が合致した点から、「生産革新 Ryu-jin」を導入
● 「生産革新 Ryu-jin」とIoT実績収集システム「実績班長」がシームレスに連携でき、正確な実績と品質改善に必要な情報を収集できること

実際どう変わった? 導入ツールの効果

「生産革新 Ryu-jin」は順調に稼働していたものの、現場への生産指示や現場からの生産実績の報告は紙で行っていたため、現場の負担が大きく、その解消のために「実績班長」(タブレット版)をまず導入しました。その結果、データ集計のタイムラグを防止したり、誤差のない正確な実績を把握したりできるようになり、工場の「強化Pointの見える化」が実現しました。

現在は、タブレットで記録した約2年間の稼働時間や故障時間、どのような故障かといった情報から洗い出した設備の弱点ポイントの強化に取り組んでいるところです。また次に、「実績班長」(装置連動オプション)を導入しました。加工装置との連携に関してもデータを取って見ているところであり、今後は収集したデータを集めて品質管理ができるシステムの構築を考えています。

大塚商会 IoT・生産管理システム導入担当の目線

ニホンハンダ様は、将来のあるべき姿を見据えて抜本的な業務改善に着手し、2017年に一次ステップとして「生産革新 Ryu-jin」を導入し、業務の標準化やスピードアップを実現されました。2020年には2次ステップとしてIoT実績収集システムを導入し、多様な実績情報を正確かつリアルタイムに収集することで、機械の予防保全と品質向上を実現されています。また2022年には振興公社の補助金が採択され、品質記録など現場帳票の電子化システムとビックデータ分析としてBIツールを採用頂きDX推進を継続的に取り組まれております。

もっと聞きたいこんなこと

参加者からの質問ニホンハンダ様 回答
システムに取り込むマスターを整備する工程に時間がかかっています。整備を効率的に進める方法はなにかあるでしょうか。弊社もマスターの整備が一番苦労しましたし、標準作業時間などについてはまだ苦戦しております。地道に時間をかけてやる意外はありません。2人作業でインプットミスなどを防ぐことも大事です。
費用対効果はいかがでしょうか? また、その測定方法はどのようにしていますか?そもそも、既存システムのサポート終了などにより、安心してシステムを継続することができず、システム刷新が必須の状況でした。そのため、導入の効果測定は特にしておりません。また、システムを導入する際に、即費用対効果を求める会社さんは多いと思います。もちろん、その計算は必要ですが、先々のあるべき姿にするための先行投資として見る目もないと、システムは導入できないと思います。
社歴111年と長いことで、従前の生産管理手法から「生産革新 Ryu-jin」と「実績班長」に切り替えることに、社内で抵抗・反発はありましたか? そのような方々に対して、システム切り替えの必要性を説くなど働きかけたことはありますか?特に力を入れたこと、苦労したことなどがあればお教えください。「生産革新 Ryu-jin」導入時には、品番マスターを始め、さまざまなマスターの見直しを行いました。将来を見据えた拡張性のあるマスターの在り方については、プロジェクトメンバー間で侃侃諤諤(かんかんがくがく)の討議をしました。また、一番現場から反発があったのは、実績入力についてです。入力に不慣れなスタッフもおりますので、システムを稼働することを優先して、データ入力をする派遣社員を増員しました。プロジェクトを推進するためには、自分たちの将来の成長のためにはどうしたらよいか、という視点を共有することが、一つの推進力になると思います。

ポイント

製造現場の人と設備の動きを可視化!工場の「見える化」とは?

番外 DX推進で一番気になるのが、社内の抵抗感!
~プロジェクト推進では、自分たちの将来の成長のためにはどうしたらよいか、という視点を共有することが重要

新しいシステムを導入する際は、移行期ならではの苦労があります。

生産革新モデルユーザー3社では、今までのやり方から変わることへのフォローや、社員の意識改革をどのように行っていたのでしょうか?

また、導入してから定着するまでにどのような苦労や工夫があったのでしょうか?

導入前の啓発活動やプロジェクト推進の方法

株式会社東伸では、導入前の2年間、月2回の啓発活動を定期的に実施してから、システムの導入に着手しました。また、各部門から数名ずつ選定した社長直轄のプロジェクトチームを発足させ、そのプロジェクトメンバーが自部門での啓発活動を実施することで、社員の抵抗感をなくしていきました。

ニホンハンダ株式会社では、現場の社員を巻き込む力を持っているプロジェクトリーダーを選出した上で、現場社員への導入メリットの説明や改善要望の精査および対応など、粘り強く、定期的にプロジェクトを推進していくことで新しいシステムの導入に至りました。

株式会社シーエスラボでも、一部のメンバーからは否定的な意見がありました。しかし、毎月1回の全体朝礼でトップである社長からDX推進への強いメッセージが発信されていたため、それが大きな推進力になりました。

システム導入時・導入後の工夫

ニホンハンダ株式会社では、導入する順番を考えて一番抵抗の少ない現場から徐々に導入を進めていきました。また、定年に近い社員の場合は、システムを使った入力には不慣れで時間がかかりすぎてしまうこともあります。そこで、データ入力をする派遣社員を増員するなどして、システムを回すことを優先する工夫をしました。

株式会社東伸では、混乱しやすいシステム移行時には、必要に応じて旧システムの使用を認めるなどして、柔軟な対応を心がけていました。ただし、抵抗していつまでも新システムを使わない人は仕事が遅くなるので、人事評価に反映しています。

株式会社シーエスラボでは、強制的に古いシステムを使えない状況を作ることで、嫌々ではあっても業務上必要なことは対応してもらえるように工夫しました。

まとめ

生産形態の違う3社のDX推進の取り組みをみてきました。ITを活用したDXの重要性は一層高まっているものの、実際日本企業においては90%以上が未着手または何から始めてよいかわからず、DX途上という状況です。

大塚商会では、基幹系システムと情報系システムを統合した「SMILE」というDX統合パッケージで、DX着手・推進の基盤をご提供し、お客様の課題解決・DX達成、業務効率化のサポートをしています。DXというと敷居が高く感じられてしまうかもしれませんが、まずは紙のデジタル化などから着手し、さまざまな業務の最適化を進めていくとよいでしょう。

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