製造業向けIoT活用術! 生産管理システム導入で工場・業務・経営を「見える化」

2020年12月22日公開

モノのインターネットと呼ばれるIoT(Internet of Things)は年々実用化が進み、製造業でも活用する会社が増えてきました。激動の時代に求められるIoT化は、大企業だけでなく中堅・中小企業にとっても重要な戦略です。製造業における理想のIoTとはどのようなものなのでしょうか? 生産管理システムと合わせて導入することのメリットと失敗しないためのポイントについて解説します。

これからのIoT時代で求められているものとは?

デジタル革新の重要性がますます高まる傾向

以前から課題だった人手不足の深刻化と、5G・リモート・VR/ARなどの技術革新の波。新型コロナウイルスの感染拡大によって、こうしたものづくりの現場における変革が一気に加速しました。

中でも、ますます重要になってきたのがデジタル革新による生産性向上です。大企業だけでなく、中堅・中小企業でもデジタル革新を行い、スマートファクトリー(スマート工場)化を目指すべきときが今、来ているのです。

スマートファクトリーとデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が重要

スマートファクトリーとは、工場内のあらゆる機器や設備、工場内のデータを、IoTなどを活用して取得・収集し、このデータを分析・活用することで新たな付加価値を生み出せるようにする工場のことです。

スマートファクトリー化をして「データ活用」を進めますと、改善ポイントを「見える化」することができ、抜本的な効率改善が可能になります。また、各工程からのデータを一元的に集約して管理することで、工場内の全体最適化も実現可能です。従来は熟練技術者のみが気付くことができたノウハウを形式知化することもできるようになります。

IoT×生産管理システム導入による可能性

製造業のIoTには2種類ある

製造業には、大きく2種類のIoTがあります。自社製品をネットワークでつないで新たな付加価値を顧客に提供する「製品のIoT」と、工場内および工場間をネットワークでつなぎ、生産性や品質向上を図る「工場のIoT」です。

「製品のIoT」は消費者向けの最終製品や産業向け装置機器など、比較的大手メーカーが中心に取り組んでいますが、「工場のIoT」は製品・業種・業態・企業規模を問わずに推進することが可能です。

IoT×生産管理システム導入で三つの「見える化」

中堅・中小製造業の工場のIoT化を進めるにあたっては、主に三つの「見える化」がポイントとなります。

  1. 工場の「見える化」……IoTで工場設備、生産実績を「見える化」すること
  2. 業務の「見える化」……生産管理システムで生産・販売業務を「見える化」すること
  3. 経営の「見える化」……IoT×生産管理システムで意思決定、管理会計を「見える化」すること

工場の「見える化」

工場の「見える化」とは、工場の稼働状況や生産実績などをいつでもどこでも誰でもすぐに把握できるようにすることです。工場内だけでなく、工場から離れた本社などからも工場の様子を把握できるようにすることで、業務効率を上げ、生産性を高めることが可能になります。具体的には、IoTにより次のようなことを実現することで、工場の全体最適化を図ることがポイントです。

  • 工場設備の稼働状況のリアルタイム&リモート把握
  • 工場設備の異常や故障の検知、予兆
  • 工場内の全体最適化、生産性向上
  • 工場の空き状況を加味した新規受注への対応
  • 負荷状況をリアルタイムに把握しながら作業の平準化

業務の「見える化」

業務の「見える化」とは、生産・販売業務をいつでもどこでも誰でもすぐに把握できるようにすることです。これにより、業務を自動化・省力化し、生産効率を上げることができるようになります。具体的には、生産管理システムによって次のようなことを実現することで、業務の効率化・標準化・自動化を図るのがポイントです。

  • 受注~製造~出荷までの一連の情報共有
  • 手書き、転記・伝達ミスなどの防止とデータ入力の簡略化
  • 納期遅延を発生させないための進捗(しんちょく)管理

経営の「見える化」

経営の「見える化」は、工場のIoT化における最大のゴールです。工場の「見える化」と業務の「見える化」は行っていても、経営の「見える化」まで実現している会社は多くありません。しかし、経営の「見える化」まで行わなければ工場のIoT化は完成しません。

IoTと生産管理システムを連携させますと、例えば生産指示書を基にした、リアルタイムな製造進捗の把握や正確な作業時間の計測、あるいは稼働率の把握といった生産時点の正確なデータ収集ができるようになります。

こうしてスピーディーな意思決定と経営的なデータ活用を実現し、収益性の高いビジネスを展開することが経営の「見える化」であり、IoT×生産管理システム導入の最終ゴールなのです。

IoT×生産管理システム導入を成功させるコツ

工場IoTの三要素

「経営資源の三要素」や「製造経営の三要素」と同じように、「工場IoTの三要素」があります。工場のIoT化において、この一つでも歯車がかみ合いませんと、システムを入れただけで終わってしまうので注意しなければなりません。中堅・中小製造業が一気通貫の仕組みを作るには、幾つかポイントがあります。

工場IoT化のポイント

  • FA・設備系のデータを収集し、それを基幹業務システムのデータと一緒に分析する
  • 全体を見据えたプランニングをする

IoT導入の明確な「目的設定」

IoT化は生産性や経営効率を高めるための手段の一つに過ぎません。「導入すること」が目的とならないように、また、検討・導入過程において本来の目的を見失わないためにも、明確な「目的設定」が非常に重要です。

例えば、現状これくらいの設備稼働率だろうと見積もっていたものが、IoTで装置の数値を収集しグラフ化してみたら、実際には予測値を大きく下回っていることも少なくありません。数字で現状を正確に把握できるようになりますと、データに基づいた目標設定が可能になり、稼働率改善、ひいては経営改善に役立てることができるようになります。

検証・実行サイクルの継続

IoTで生産性や経営効率を高めていくには、継続的な取り組みが必要です。「目標設定」「データ収集」「集積データの分析」「改善」というサイクルを何度も継続的に回すことで、徐々に生産性や経営効率が上がっていきます。

まとめ

中堅・中小製造業がこれからの時代を生き残っていくためには、IoT×生産管理システムの活用が肝となります。しかし、明確な目標設定なしにIoTや生産管理システムを導入しても、無駄な投資に終わってしまいます。中堅・中小製造業の場合は、いきなり新たな設備投資をするのではなく、既存設備もしくはタブレットなどを使ってデータを収集することから始めてみることをおすすめします。

大塚商会では、重要となる「目的設定」の活用運用計画のところからサポートします。お気軽にご相談ください。

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