アフターサービスは、製造業が競争力を維持し、収益性を確保するための重要な要素です。顧客満足度の向上、収益の安定化、競争優位性の強化、製品ライフサイクルの支援を通じて、企業の成長と持続可能性に貢献します。
本記事では、アフターサービスの役割や進化、収益拡大の具体的なステップや事例の解説を通して、製造業がどのように競争力を高め、安定収益を実現するかをご紹介します。持続可能なビジネスモデル構築のヒントとして、ぜひ次の一歩を踏み出す参考にしてください。
2025年 7月 8日公開
アフターサービスは、製造業が競争力を維持し、収益性を確保するための重要な要素です。顧客満足度の向上、収益の安定化、競争優位性の強化、製品ライフサイクルの支援を通じて、企業の成長と持続可能性に貢献します。
本記事では、アフターサービスの役割や進化、収益拡大の具体的なステップや事例の解説を通して、製造業がどのように競争力を高め、安定収益を実現するかをご紹介します。持続可能なビジネスモデル構築のヒントとして、ぜひ次の一歩を踏み出す参考にしてください。
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目次
アフターサービスは、製品購入後の顧客サポートを通じて、顧客との信頼関係を築き、企業の成長を支える重要な役割を果たします。ここでは、企業と顧客の双方にメリットをもたらすアフターサービスについて、その役割と進化を詳しく解説します。
アフターサービスとは、英語では「After Sales Service」と表記されるとおり、製品購入後に提供されるフォローアップやサポート活動を指します。このアフターサービスは、顧客満足度を向上させ、企業と顧客との信頼関係を強化することを目的とし、製品の価値を最大限に引き出す役割を果たします。
アフターサービスは、顧客からの要望や利用データを基に品質や対応を改善する「フィードバックループ」を形成します。このループによって、顧客のニーズや課題を的確に把握し、アフターサービスの継続的な向上を可能にします。また、充実したカスタマーサポート(アフターサービス+製品技術支援)は顧客維持を実現し、顧客ロイヤルティの向上を通じて持続可能な収益モデル構築に貢献します。
特に競争が激しい市場では、アフターサービスは競争優位性を確立する重要な戦略になります。現在では、顧客との長期的な関係構築を重視し、デジタルサポートやIoT対応製品の遠隔メンテナンスといったテクノロジーを活用した新しいサービス手法が積極的に取り入れられています。
製造業におけるアフターサービスは、製品の特性に応じた柔軟かつ専門的な対応が求められます。また、顧客との長期的な関係を構築することで、企業の成長や収益向上を促す相乗効果も生まれます。ここでは、製造業特有のアフターサービスの特徴を詳しく解説します。
製造業におけるアフターサービスは、扱う製品の特性に応じて異なるアプローチが求められます。特に耐久消費財と生産財では、その提供方法や目的に大きな違いがあります。
耐久消費財のアフターサービスでは、製品の耐用期間中の安定的使用をサポートするために、定期的なメンテナンスや消耗品提供が中心となります。製品の性能維持や寿命延長を図り、顧客満足度を高めることを目的とします。
生産財の場合、主に業務の効率化や生産性向上を目指した専門的なサポートに重点を置きます。これには迅速な問題解決、予防保守、またはシステム全体の最適化が含まれます。生産活動への影響を最小限に抑えつつ、顧客の業務パフォーマンスを最大化することを目的とします。
以下の表では、耐久消費財と生産財の特性やアフターサービス内容を比較しました。
| 項目 | 生産財 | 耐久消費財 |
|---|---|---|
| 代表商品 | 生産設備、工作機械 | 家電、事務機器 |
| 出荷金額 | 少量 | 大量 |
| 耐用年数 | 10年超 | 10年未満 |
| 納入先 | 法人 | 個人・法人 |
| ロイヤルティ | 高い(品質に敏感) | 低い(価格に敏感) |
| アフターサービス提供内容 | トラブル対応 | 問い合わせ対応(コールセンター) |
| 点検整備・定期交換 | トラブル対応 | |
| 故障予測、予兆監視 | 消耗品提供 | |
| アフターサービス伸長に向けて | 突発作業から計画作業への転換 | 標準作業時間の設定 |
| 事前準備、作業報告制作の共有 | 現場での作業完結・変更 | |
| アフターサービス費用 | 製品価格と分離 | 製品価格にバンドル |
| 最近の特徴 | IoT・AI活用 | リース契約・サブスクリプション契約 |
| 納入管理とライフサイクル支援 | 販売店独自サービス(長期保証) |
製造業におけるアフターサービスでは、製品のライフサイクルに応じたサポートを柔軟に提供することが重要です。ライフサイクルの初期は製品の設置や導入定着に向けたサポートを行い、使用期間中は消耗品の提供や定期メンテナンスで長期的な使用を支援します。終盤においては、更新やアップグレードを促す戦略的なサポートを展開します。
また、顧客の業務プロセス全体を支えることで、長期的なパートナーシップを構築し、製品性能の向上を通じて顧客の収益や業務効率の向上を実現させることも重要です。さらに顧客からのフィードバックを収集することで、技術革新や新製品開発にもつなげることが可能になります。
以下の図では、アフターサービスと製品は相互に作用し、企業の高成長性と収益性を実現させていく仕組みが表されており、アフターサービスの戦略的価値が理解できます。

製造業におけるアフターサービスは、単なる製品サポートを超え、企業の収益基盤を強化し、競争力を高める重要なビジネスモデルとして進化しています。ここでは、そのビジネスモデルについて解説し、アフターサービスがいかに企業に収益性と戦略的な価値をもたらすかをみていきます。
ビジネスモデルとしては、定期的なメンテナンス契約や部品提供といった長期契約を基盤に、安定的な収益源を確保します。さらに営業活動を効率化し、リピートビジネスを構築することで、顧客との継続的な関係を維持します。この取り組みにより、長期的かつ安定した利益の創出が可能になります。
アフターサービスは、企業に安定的かつ持続可能な利益をもたらすストック型ビジネスとしての代表的な形です。顧客満足度を向上させることで、長期的な契約を実現し、定期的なメンテナンスや部品提供などにより継続的な収益を生み出すことが可能です。短期的な収益を追求するフロー型ビジネスとは異なり、アフターサービスは顧客との信頼関係を基盤にするため、収益の予測性と安定性が高い点が特徴となります。
以下のグラフは、ストック型ビジネスとしてのアフターサービスが企業全体に高収益を実現する重要な要素であることを示しています。

アフターサービスビジネスは、ストック型ビジネスとして顧客満足度を向上させることでリピート契約を実現し、安定した収益基盤を構築することで、継続的な顧客関係の維持が収益の安定性と予測性を高めます。
一方、フロー型ビジネスである製品販売は、製品のQ(品質)、C(コスト)、D(納期)や営業力を強化することで短期的な収益拡大を目指しますが、収益の安定性に欠ける傾向があります。
アフターサービスは、顧客満足度の向上を通じて顧客との信頼関係を深める重要な役割を担い、アフターサービスが戦略的に設計されることで、顧客と企業の双方にとって大きな価値を生み出します。
「当たり前」を確実に実行することはアフターサービスにおける最重要事項です。トラブル対応や基本的なサポートを迅速に提供することで、顧客との信頼を構築します。この安心感が、期待を超えるサービスを展開するための土台となります。
アフターサービスにおいて、顧客の期待を超えるアフターサービスを提供することは、顧客満足度向上の重要な要素です。例えば、IoTを活用した予防保守や、独自の付加価値を創出するサービスにより顧客ニーズを先取りし、競合他社との差別化を実現します。
顧客満足度が向上することで、契約の長期化や製品の再購入が促進され、企業収益の安定化につながります。さらにこれによりブランド価値が高まり、企業の持続的な成長が可能となります。
「期待を超えるアフターサービス」を実現するためには、現場での作業性を向上させる工夫も重要な要素です。それは、お客様の装置稼働率の向上につながるからです。
以下に、比較的容易に実施可能な具体的な改善例を挙げます。
従来のハードディスク交換作業では細々とした複雑な操作が必要でしたが、スロット挿入タイプに変更することで大幅に改善されます。この仕組みにより、交換作業の効率が向上すると共に、操作ミスやトラブルのリスクが軽減され、顧客に対して安定したサポートが提供可能となります。
ファンの交換作業では、ネジを使用しない設計を採用することで迅速な作業が可能となり、メンテナンス時間の短縮、稼働率の向上につながります。さらにこのような効率化されたサービスを「当たり前のサービス」として基準化することで、「期待を超えるアフターサービス」の価値がより際立つ結果となります。
また、交換作業の簡素化は単なる技術的な改善にとどまりません。顧客満足度が向上することで、契約の長期化や製品の再購入を促進し、企業の収益安定化や競争優位性の確立にも直接的に貢献します。こうした作業性改善が、期待を超えるアフターサービスの実現における鍵となっています。
アフターサービスは企業の重要な収益源である一方、エンジニアの技術力や対応力に依存するサービス品質の差など、さまざまな課題も抱えています。ここでは、これらの課題についてみていきます。
アフターサービスの品質はエンジニア個人のスキルに依存する傾向があります。そのため、技術力や対応力における差がサービスの一貫性を妨げる要因となり、顧客満足度に影響を及ぼす可能性があります。
高スキルのエンジニアを確保することや、効率的に育成することは重要な課題です。技術やノウハウの体系化が不十分だと、次世代への継承が難しくなり、アフターサービスの安定性を損なう可能性があります。
エンジニア依存に至る背景には、サービス特有の性質が深く関係しています。主なサービス特性がどのようにエンジニア依存に影響しているか解説します。

市場の変化に伴い、アフターサービスが果たす役割はますます重要となっています。ここでは、技術対応の高度化や顧客要求の多様化により生じる課題に焦点を当て、現代の製造業が直面する具体的な課題と、それらへの対応に求められるスキルや体制について解説します。
技術の進化に伴い、アフターサービスは従来の単純な修理対応から、システム全体の効率化やデータ活用を含む包括的なソリューションへと移行しています。この進化により、サービス内容が単純かつ平易な対応から、より複雑で高度な技術対応へと変化していることが課題となっています。
特にエンジニアに求められるスキルセットは大幅に拡張されています。システム全体の運用最適化、IoTやAIを活用した新技術への対応能力といった幅広く高度なスキルが不可欠です。こうした要求は従来の手法では対応が難しく、迅速かつカスタマイズされた対応が標準となりつつある点が課題として挙げられます。
これらの変化に適応するためには、エンジニアのスキルアップや新たなソリューションの導入が欠かせず、従来の枠を超えた柔軟な体制の構築が急務となっています。
市場の変化と顧客要求の高まりにより、アフターサービスで対応すべき技術が大きく進化しています。初期にはハードウェア中心の対応が主流で、例えばHDDの交換など、単一部品の交換に焦点を当てていました。しかし現在では、ソフトウェアやシステム全体を含む複雑な対応が求められるようになっています。具体的には、システム全体の効率化やデータ運用の最適化を実現する対応が必要となっています。
また、製品の使用環境が高度化する中で、ハードウェアとソフトウェアを統合した一体的な支援が不可欠となっています。これにより、顧客はデータ運用の最適化や作業時間の短縮、製品効率の継続的な向上といったメリットを享受することができます。
しかし、こうした支援を実現するには、技術の複雑化に対応する体制整備やスキル向上が求められる点が課題となっています。
技術の進化に伴い、例えば、不具合解析においては、従来の平易な集積回路(TTLレベル IC)の対応から高度で複雑なカスタムLSI技術への対応が求められるようになっています。具体的には、基本的な修理作業にとどまらず、自社で開発した高度な製品や汎用(はんよう)PKG(パッケージ製品)への対応が必要となり、その複雑性が著しく増しています。
さらに汎用PKGは広範囲の用途に適用できる反面、製品ごとの独自ニーズに応じたカスタマイズが欠かせません。このため、特殊な技術や状況に対応するための柔軟性と専門性を兼ね備えた高度なエンジニアリングスキルが不可欠です。
こうした技術対応の複雑化は、顧客にとって製品寿命の延長や業務効率の向上といった大きな利益をもたらしますが、企業にとっては人財育成や体制整備といった新たな課題を生み出しています。
アフターサービスの進化に伴い、従来の「修理対応」から、付加価値を生む「サービスソリューション」へ移行する必要性が増しています。ここでは、この移行に向けてのステップをご紹介します。
個々のエンジニアが専門的な知識と技術を効率よく身につけるために、以下の取り組みを進めます。
個別スキルの向上
エンジニアには、幅広い専門知識を体系的に学ぶ機会を提供します。
ナレッジ共有
組織内で情報共有を効率化し、技術ノウハウを活用できる体制を整備します。
実践的な技術習得
実地研修や模擬環境を活用し、エンジニアが実務に直結する技術を磨く実践的な学習機会を提供します。
次に必要なのは、サポートセンターと現場エンジニアの連携を強化し、遠隔支援を最大限に活用できる体制を築くことです。
具体的なステップは以下のとおりです。
サポート体制の強化
サポートセンターが現場エンジニアをリアルタイムで支援できる仕組みを整備します。
複雑なトラブルにも対応が可能となり、顧客への迅速なサービス提供が実現します。
連携の効率化
サポートセンターとフィールドエンジニアの間で、情報共有と連携を効率化することで現場対応力を向上させます。
問題解決の速度と精度が向上します。
リモート技術活用
AR(拡張現実)技術などのリモート支援システムを導入し、遠隔地からでも的確な支援が行える環境を構築します。
現場エンジニアとエキスパートエンジニアの負担を軽減し、効率的な対応が可能となります。
次に取り組むべきは、IoTを活用したデータの常時収集と分析による価値創出です。具体的なステップは以下のとおりです。
IoT活用によるデータ収集
製品にセンサーを搭載し、稼働状況や異常兆候を継続的にモニタリングします。
現場状況をリアルタイムで把握することで、迅速な対応が可能となります。
データ分析による価値創出
収集されたデータを分析し、製品の状態を評価することで、課題解決の糸口を見つけます。
予防的対応の強化
分析結果を基に、トラブル発生前に予防的な対応を取ることで、設備稼働率の向上と製品の信頼性を高めます。このプロアクティブなアプローチは、顧客満足度と企業競争力の向上につながります。
次はIoTデバイス間でのデータ共有を進化させ、診断や対策の自動化を図ります。具体的なステップは以下のとおりです。
自動化の進化
IoTデバイス間で直接的にデータを共有することで、問題が検出され次第、自動的に解決プロセスが開始されるようにします。
スピードと正確性が向上します。
診断予測の精度向上
機械学習を活用すると、未来のトラブルやメンテナンスの必要性を正確に予測できるようになります。
自律型サービスの提供
ツール同士の連携を深めることで、エンジニアの介入を最小限に抑えた自律型のソリューションを構築。顧客の利便性を大幅に向上できます。
アフターサービスの収益拡大を図るには、従来の販売促進的なサービスからより高度で価値のあるサービス提供へと段階的に進化させることが求められます。ここでは、具体的なステップアップ例をご紹介します。
この段階でのアフターサービスの位置づけは、あくまで補助的な活動にとどまっています。具体的には、製品購入後に以下のような基本的な顧客フォローを行っています。
次の段階は、アフターサービスを単なる補助活動から収益を生むビジネスモデルへと進化させることです。
最終ステップでは、顧客の期待を超えるサービスの提供により、より高い価値を創出することを目指します。
顧客との信頼関係を深め、長期的な関係を築くには、顧客満足度向上を目的とした具体的な施策が不可欠です。ここでは、実践的な取り組み例をご紹介します。

アフターサービスの収益拡大に向けた次なる一手は、データの収集と活用を強化し、それを基盤に新たなサービスビジネスを展開することです。以下の具体的なステップで、持続的な成長を目指しましょう。
最初のステップは、アフターサービス業務に関連するデータを記録し、共有可能な形で蓄積することです。
具体的な取り組み
部品在庫の可視化や問い合わせ対応記録、作業記録の充実化を図ることで、正確な情報に基づいた迅速な対応が可能になります。
次のステップでは、記録したデータを活用して、アフターサービスの価値をさらに高めます。
具体的な活用例
点検や部品交換の提案を行い、突発作業から計画作業への移行を推進し、顧客の設備稼働率向上や保守契約率の向上を図ります。
最終ステップでは、記録および分析したデータを基に新たなアフターサービス提案を行い、収益化につなげます。
具体的な提案
新しい付加価値サービスの開発や、顧客のニーズに合ったアフターサービスメニューの展開。

アフターサービスの収益拡大を実現するためには、「人財・スキル」「運用・体制」「ITソリューション」の三つの要素が重要です。
各要素について順を追って解説し、具体的な課題と対応策を示します。
アフターサービスの収益拡大に向けた重要な三要素のうち、人財・スキルの点においては、サービスの特性を理解し、必要な対応を実施することが求められます。以下にサービスの特性ごとの課題と対応をご紹介します。
サービス特性:無形性と非可逆性(形がない・やり直しがきかない)
サービス特性:非分離性(生産と消費の同時進行)
非分離性はさらに非貯蔵性と不等質性にわかれます。
サービス特性:非分離性の非貯蔵性(在庫を持てない)
サービス特性:非分離性の不等質性(ニーズが多様)
サービス特性:異質性(品質が提供者に依存)
アフターサービスの収益拡大に向けた重要な三要素の人財・スキルの面では、人財育成と組織全体での知識共有が不可欠です。これを達成するためのアプローチを以下にご紹介します。これらのアプローチを組み合わせることで、エンジニアの作業品質が均一化し、高い顧客満足度を目指すことが可能となります
1.技能伝承
技術者同士での情報共有を促進し、ベテラン技術者の実務経験やノウハウを次世代に継承します。
2.集合教育
計画的なトレーニングを実施し、各エンジニアのスキルレベルに応じた体系的な教育を提供します。
3.eラーニング
柔軟な学習環境を整え、インターネットを利用した自己学習ツールを活用することで、時間や場所の制約を超えてスキルアップを促します。
4.各種制度の設立
スキルマップを作成し、各エンジニアのスキルセットを可視化することで必要な技術や知識を明確化します。
アフターサービスの作業品質を維持し、収益拡大を実現するために重要なエンジニアのスキル向上には、資格管理体制の整備も重要です。以下では、横河ソリューションサービス株式会社が実際に導入している具体的な取り組みをご紹介します。
スキル向上のための資格認定制度
エンジニアの技術レベル向上のために横河ソリューションサービス株式会社が導入している資格認定制度は、主に3段階にわかれています。
この制度により、明確なキャリアパスを設け、計画的なスキル向上を支援しています。
スキル管理と資格管理
エンジニアのスキル状況を適切に管理することで、アフターサービスの作業品質維持と効率的な人員配置を実現しています。
スキルマップの作成
製品区分ごとに必要な技術スキルを一覧化し、各エンジニアの得意分野や認定状況を可視化しています。このマップを活用することで、効率的なリソース配分と組織全体でのスキル活用を推進しています。
これらの取り組みにより、エンジニアのスキル向上が体系的に進み、アフターサービスの作業品質と収益の向上を実現しています。
アフターサービスの収益拡大に向けた重要な三要素のうちの運用・体制では、運用体制の改善と仕組みの構築を行います。以下に具体的な取り組みをご紹介します。
効率的な業務支援システムを導入することで、トラブルや問い合わせへの迅速対応が可能になります。
既存のプロセスを見直し、より効率的で迅速な対応を可能にする運用フローを構築します。
製品の品質向上を目指し、設計部門とサービス拠点の効率的な情報共有を推進します。
S-BOM(サービス用部品表)の最新化とは、製品のライフサイクル全体を通じたデータを統合・管理することを通して、効率的な計画策定と迅速なサービス提供を可能にすることです。以下に具体的な戦略をご紹介します。
ライフサイクル情報の統合
機器の導入、増設、改造、点検、部品交換、廃棄に至るまでの最新の稼働情報を一元的に管理します。製品の稼働状況を正確に把握し、保守作業や部品交換の計画に活用できる基盤が整います。
戦略立案の基盤
集約されたデータを基に効率的な保守計画や部品の改廃計画を立案します。例えば、製品使用状況や過去のトラブル傾向を活用し、予防保守の計画や適切な部品在庫の管理が実現します。
リアルタイム更新
各ライフサイクルステージで発生するデータをリアルタイムで更新することで、常に最新の情報を基にした対応が可能となります。
最適なサービス提供
データに基づいてトラブル防止策や予防保守の提案を強化し、顧客満足度と収益性の向上を目指します。
部品在庫の最適化の例
部品在庫管理を効率化することで、不要在庫の削減や収益性の向上を図れます。以下に具体的な取り組みをご紹介します。
上記の取り組みにより、製品の信頼性向上と顧客満足度の向上を同時に実現できることから、顧客との関係を強化し、長期的なサービス収益の確保につなげていくことができます。
アフターサービスメニュー充実・収益率向上
アフターサービスの競争力を高め、収益率を向上させるには、データ分析を活用した点検整備の最適化が不可欠です。以下に蓄積されたデータと保守に関する知識を活用して、効果的な点検整備を実現する方法をご紹介します。
点検周期・部品交換周期の見直しによる故障削減
一過性の故障や部品寿命に起因する故障は、適切なアフターサービス対応により削減が可能です。具体的な取り組みを以下にご紹介します。
アフターサービスと営業の一体オペレーション
アフターサービス部門と営業部門が密接に連携したオペレーションを構築することで、ビジネスボリュームの拡大が目指せます。以下に具体的な取り組みをご紹介します。
点検対象の確実な捕捉
点検の抜け漏れを防ぐために、戦略会議を定期的に開催し、対応策を具体的に決定します。これにより、顧客の期待を超えるアフターサービスを提供する基盤を整備します。
現場からの情報収集とフィードバックを効率化することで、製品品質の向上とコスト最適化が実現できます。そのプロセスについて解説します。

アフターサービスを効果的かつスムーズに行うためには、業務支援システムの活用が大きな助けとなります。ここでは、横河ソリューションサービス株式会社が提供する「サービス機能」と「基幹系機能」を統合した高度な業務支援システム「ServAir(注)」をご紹介します。
ServAirはYOKOGAWAグループが長年の経験で培ってきた保守サービス業務のノウハウとさまざまな業種のお客様のアフターサービス業務をサポートしてきた実績に基づき、日本固有の商習慣なども含め、実際の利用シーンに即した利便性の高い機能を取りそろえています。
ServAirを活用することで、スムーズに現場作業とバックオフィス業務を一元的に管理し、サービス全体の効率化とサービス作業品質向上を図ることが可能になります。以下にその主な機能と進化の歴史をご紹介します。
フィールドサービス(出張修理)やメンテナンスサービス(点検整備)に加え、保守契約の管理、作業計画の策定、作業報告など、現場でのサービス業務を包括的にサポートします。
在庫管理、販売管理、購買管理など、バックオフィス業務を支援する機能を備え、サービス業務全体を円滑に運営します。
ServAirは、1970年代後半に横河ソリューションサービス株式会社での交代制勤務を支援するシステムとしてリリースされ、進化を重ねた結果、2016年に「ServAir」として大きく変革しました。過去のシステム「ESCORT」の機能を引き継ぎつつ、画面の操作性や業務効率を大幅に向上させることで、ユーザーの利便性を飛躍的に高めることに成功しています。
アフターサービスは、製品販売後に安定した収益基盤を構築しながら、顧客の満足度向上と信頼関係強化に貢献する製造業において欠かせない役割を担っています。単なる問題解決を超えた付加価値サービスの提供が、現代の競争力を向上させる重要な要素となっているからです。
収益拡大を目指すには、人財の確保やスキルの育成、運用体制の整備、ITソリューションの活用が必要です。アフターサービス業務支援システムの活用により、サービス作業品質の均一化を実現すると共に、効率的で戦略的なサービス展開が可能になります。
さらに、アフターサービスのデジタルトランスフォーメーション(DX)は、業務効率化と顧客満足度の向上を両立させる鍵として注目されています。アフターサービス業務支援システムを生産管理システムと連携することで、予防保全の強化やフィールドサービスの最適化を実現し、迅速な対応とコスト削減へとつなげることができます。
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