生産管理とは?
生産管理とは、製品を効率的に生産するための業務全般を指します。製造業務の全行程において、一貫した管理を行うということです。具体的な業務内容には、生産計画の策定、受注管理、発注管理、在庫管理、製造管理、工程管理、外注管理、進捗管理、品質管理などがあります。
製造業の現場では、生産管理を通じて資源や人員、設備を最適に活用し、品質・コスト・納期を管理することが、顧客満足と企業利益の実現につながります。そのための手法が生産管理です。部門間で生産管理の目的を共有し、製品やサービスの生産過程を計画・管理することで、企業全体の効率的な運営が可能となります。
生産管理の目的
生産管理はなぜ必要なのでしょうか? それは、冒頭でも述べたように、モノづくりにおいて重要な「品質(Quality)・原価(Cost)・納期(Delivery)」の三つの要素(QCD)を最適化するためです。具体的には、品質のよい製品を(Q)、原価を抑えつつ(C)、単納期でつくること(D)が求められます。この三つの要素をバランスよく管理することで、顧客満足度の向上と企業利益の最大化を実現できます。

生産管理の目的「QCD」を向上させるには
それでは、生産管理の目的である「QDC」について、具体的に見ていきながら、QDCを向上させる改善方法について解説します。
Q(Quality):品質
生産管理における最重要課題は、顧客が求めている品質(Quality)を保証することです。万一、製品の品質が低かった場合、クレームやリコールが発生し、企業の信頼を損ねることになります。生産管理は、設計段階で定められた品質基準に従い、製品の品質を維持し続けるという役割を担っているのです。
よりよい品質を目指すためには、「品質管理プロセスの徹底」と「不良品の防止」が重要です。品質管理プロセスの徹底とは、原材料の品質、製造プロセスの精度、工程ごとの検査、最終製品の品質検査を通して、常に高い品質を確保することです。不良品の防止は、生産中の品質検査を行い、不良品の発生原因を追及することで、製造ミスを未然に防ぎ、歩留まり(生産効率)を向上させます。なお、最近では、IoTによる品質検査データの収集、およびAIによる不良の画像判定や不良の要因分析など、AI・IoTの活用も増えています。
C(Cost):原価
生産管理でいう原価(Cost)は、製品を生産するためのコストを最小限に抑えることを目的とします。これにより製品の競争力を高め、利益率を向上させることが可能となります。コストには、材料費や労務費などの直接製造原価から設備費や運搬費、間接経費まで、多くの要素が含まれています。生産管理では、それらを最適化することが求められます。
コストをより抑えるためには、「コスト管理」と「在庫管理の最適化」を行います。コスト管理では、製品に使用される部品や材料のコストを正確に把握し、コスト削減を目指します。また、生産プロセスの効率化や自動化を進め、ムダな時間やリソースを減らすことも重要です。
在庫管理の最適化では、在庫を適切に管理し、過剰な在庫を持たずに運営を進められるようにします。これにより、余計な保管コストや資材のロスを防ぐことが可能になります。最近では、AIを活用するさまざまな手法が取り入れられ、品目ごとの適正在庫数量の算出など、これまで実行が難しいとされてきたタスクにも活用されています。
D(Delivery):納期
納期(Delivery)とは、顧客の求める納期を守ることを指します。製品の納期遅れは、顧客の信頼を失うだけでなく、損害賠償やペナルティーが発生する可能性すらあります。そこで重要となるのが、正確な生産計画を立て、生産ラインがスムーズに動くように管理することです。具体的には、「生産計画の精度向上」と「リードタイムの短縮」に注力しましょう。
生産計画の精度向上には、市場の需要予測やリードタイムの適切な管理が欠かせません。これにより、顧客の要求に沿った生産スケジュールを立てることが可能となります。リードタイムの短縮では、生産プロセスを効率化し、リードタイムの短縮を図ります。これにより、顧客の求める納期に柔軟に応じる体制を整えることが可能となります。なお、最近では、AIを活用した需要予測や生産計画の最適化が進み、その利用が増えています。
QDC向上の全般にわたり、「計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Action)」のPDCAサイクルを回しながら自社で行っている業務を継続的に改善する必要があります。自社の課題を把握したうえで、作業の標準化や人・モノ・設備といった生産資源の最適化に取り組み、QDCを向上させていきましょう。
生産管理の主な業務フロー
実際に生産管理を行うための業務フローは、業種や業態、製品の種類によって異なるため一概にはいえないため、ここでは一般的な流れをご紹介します。
最初に行うことは、見込みによる生産計画や顧客からの受注情報に基づいて、製品を製造するために必要な材料や部品を算出し、不足分を購買・調達することです。次に、製造の各工程に対し生産指示を出します。工程の一部を外注する場合は、外注先への発注や材料の支給も必要です。最終的に製品が完成したら、得意先への出荷となります。
生産管理の主な業務フロー図

生産管理と工程管理、製造管理との違い
生産管理とは、製造業における全体の生産プロセスを計画・管理し、効率的に運営するための手法です。この中に、工程管理と製造管理が含まれます。

工程管理と製造管理は生産管理の一部であり、それぞれが連携して初めて製品の効率的な生産が可能となります。工程管理は製造の各工程・プロセスを計画・監視・調整する業務、製造管理は製品の生産を実際に行い、品質や効率を確保する業務です。詳細は次の表のとおりです。
| | 生産管理 | 工程管理 | 製造管理 |
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| 目的 | 全体の最適化 | 工程の効率化 | 現場の最適化 |
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| 対象範囲 | 工場全体・サプライチェーン | 各工程・プロセス | 現場・製造プロセス |
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| 主な内容 | 計画、資材調達、在庫管理 | 作業順序、進捗、リソース | 作業手順、設備、安全管理 |
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続いて、生産管理、工程管理、製造管理のそれぞれについて、詳しく解説します。
生産管理(Production Management)
生産管理とは、これまで説明してきたように、製品が計画どおりに適切な品質(Q)、コスト(C)、納期(D)で生産されるように全体を統括する活動です。
| 生産管理 |
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| 主な目的 | - 全体の最適化:需要予測、資源計画、在庫管理などを調整し、生産効率を最大化します。
- QCD管理:品質(Q)、コスト(C)、納期(D)を達成するための計画と管理を行います。
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| 主な業務 | - 生産計画:製品をいつ、どのくらいつくるかの計画を立てます。
- 資材調達計画:必要な資材や部品を適切なタイミングで確保します。
- 在庫管理:過剰在庫や欠品を防ぎます。
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| 対象範囲 | - 工場全体や複数の工場、さらにはサプライチェーン全体に及ぶ場合もあります。
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工程管理(Process Management)
工程管理とは、各工程(プロセス)を効率的に進めるための管理を指します。
| 工程管理 |
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| 主な目的 | - 作業の流れの効率化:各工程間の滞りを最小限に抑え、スムーズな生産を実現します。
- リードタイムの短縮:製品が完成するまでの時間を短縮します。
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| 主な業務 | - 作業順序の管理:各工程の作業順序や流れを決定します。
- 進捗管理:計画どおりに作業が進んでいるかを監視し、遅れがあれば調整します。
- リソース管理:人員、設備、時間などのリソースを最適に配分します。
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| 対象範囲 | - 個別の生産ラインやワークステーション、工場内の各工程単体を対象とします。
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製造管理(Manufacturing Management)
製造管理とは、実際にモノをつくるプロセスそのものを効率的に管理する活動です。
| 製造管理 |
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| 主な目的 | - 製造現場の最適化:現場での効率や品質を維持・向上させます。
- トラブルの即時対応:現場で発生する問題を迅速に解決します。
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| 主な業務 | - 作業手順の標準化:効率的でミスのない作業手順を策定します。
- 設備管理:機械や設備の保守点検や改善を行います。
- 現場の安全管理:作業員の安全を確保し、作業環境を整備します。
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| 対象範囲 | |
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生産管理の業務内容と範囲
ここでは、あらためて生産管理に含まれる主な業務について、その範囲と内容をそれぞれ具体的に説明します。生産管理には非常に幅広い業務が含まれ、企業や業種によって重点を置くポイントも異なります。しかし、共通しているのは、QCD(品質、コスト、納期)の最適化を目指し、特に納期、在庫、工程、原価の管理が重要であることです。
| | 主に納期に関わるもの | 主に在庫に関わるもの | 主に工程に関わるもの | 主に原価に関わるもの |
|---|
| 需要予測 | ○ | ○ | | |
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| 生産計画 | ○ | ○ | ○ | |
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| 受注管理 | ○ | ○ | | |
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| 発注管理 | ○ | ○ | | ○ |
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| 在庫管理 | ○ | ○ | | ○ |
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| 製造管理 | ○ | ○ | ○ | ○ |
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| 工程管理 | ○ | | ○ | |
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| 外注管理 | ○ | | ○ | ○ |
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| 進捗管理 | ○ | | ○ | |
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| 品質管理 | | ○ | ○ | |
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需要予測
需要予測とは、将来の一定期間内にどれだけの製品が必要とされるかを予測する業務です。需要の規模やタイミングを見積る際には、過去の販売データや市場動向、経済指標などの数値データに加え、業界のトレンドや消費者行動の変化といった定性的な情報も活用していきます。
需要予測の精度が低いと、過剰在庫や欠品が発生し、企業のコストや顧客満足度に悪影響を与えます。一方で、需要予測の精度の高いと、生産計画や在庫管理、調達計画の基礎が固まり、品質(Q)、コスト(C)、納期(D)の向上につながります。また、最近ではAIを用いて、より精度の高い需要予測を行う企業が増えています。
生産計画
生産計画では、将来の一定期間内にどれだけの製品をどのように生産するかを計画します。具合的には、「いつ(生産日)、何を(品目)、幾つ(数量)、いつまでに(納期)」つくるかです。この計画は、受注情報や販売計画などの見込み情報を基にし、在庫状況や製造現場の設備、人員の負荷状況も考慮して立てていきます。製造現場は生産計画に沿ってモノづくりを行うため、計画が不十分だとムダやロスが発生し、QCDを下げる要因となります。従って、生産計画はQCDを最適化するための基盤となる非常に重要な業務といえます。
受注管理
受注管理では、顧客からの注文状況や受注残などを管理します。具体的には、顧客からの注文を受け付け、「いつ(受注日)、どこから(受注先)、何を(品目)、幾つ(数量)、いくらで(金額)、いつまでに(納期)」の管理を行います。さらに在庫の確認や生産計画との連携なども行います。在庫情報と受注情報を基に生産計画が策定されるため、正確で迅速な情報共有が求められます。受注管理は、顧客の要求を正確に把握し、納期を守るために不可欠な業務といえます。
発注管理(購買・調達)
発注管理では、製造に必要な材料や部品をサプライヤーに対して発注し、入荷待ちの発注残の管理を行います。生産計画などを参考に「いつ(発注日)、どこへ(発注先)、何を(品目)、幾つ(数量)、いくらで(金額)、いつまでに(納期)」発注するかを検討し、発注先との交渉や納期調整なども行います。発注管理は部材の欠品による生産の遅れや在庫過多を防ぐための重要な役割を担っているため、QCDに大きな影響を与える業務といえます。
在庫管理
在庫管理では、材料や部品、製品などの在庫を効率的に管理します。現在の在庫について、「何が(品目)、どこに(倉庫・棚)、幾つ(数量)あるのか」を把握すると共に、将来的な在庫についても「いつ(予定)、幾つ(数量)、入り(入庫)、あるいは、出て(出庫)いくのか」を管理します。在庫が少なすぎると顧客の需要に柔軟に対応できなくなりますし、多すぎると廃棄や管理のコストが増加します。在庫を過不足なく管理することがとても重要です。
在庫管理とは? 生産管理システムによる改善
製造管理
製造管理では、製品を実際に製造するプロセスや実績を管理します。具体的には、製造現場に対して「何を(品目)、幾つ(数量)、いつまでに(納期)、どのように(工程・作業)つくるのか」という生産指示を出し、その実績を管理します。生産計画が月単位などの大まかなスケジュールを策定するのに対し、製造管理は製造現場の視点から日単位・時間単位で詳細な計画を立てるという特徴があります。製造プロセスがスムーズに進行し、製品を高品質かつ効率的に生産するために不可欠な業務といえます。
工程管理
工程管理では、製品の製造プロセスを細かい工程に分け、それぞれの作業を効率的に進められるよう管理を行います。具体的には、「どの工程で、どのように製造するのか」を検討し、作業手順や必要なスキル、標準時間、品質管理の方法などを設定します。工程管理を通じて各工程を最適化することで、生産性や品質の向上が期待でき、製造プロセス全体の効率化につながります。
工程管理とは? 目的や手法、生産管理システム導入のメリット
外注管理
外注管理では、自社では行えない、または行わない一部の製造プロセスを外注先に委託し、それを管理します。具体的には、「何を(品目・工程・作業)、どこに(外注先)、幾つ(数量)、いつまでに(納期)」に製造してもらうかの管理です。また、外注先に支給品がある場合は「何を(品目)、どこに(外注先)、幾つ(数量)、いくらで(有償/無償)支給したか」を把握し、預け在庫の管理も行います。企業が生産能力を拡大したり、自社では対応できない専門的な作業を委託したりする際には外注を必要とすることが多く、その場合、外注管理が不可欠な業務となります。
進捗管理
進捗管理では、製造の進捗状況を定期的にモニタリングし、計画どおりに進行しているかを管理します。具体的には、「どの工程の、どこで(作業ライン、社内/社外)、何を(品目)、幾つ(数量)、どのように(作業)、いつまでに(納期)」といった計画に対して、「実際にどこまで進んでいるのか」を管理です。製造現場ではさまざまな要因により計画どおりに進行できない状況が頻繁に発生するため、遅延を素早く検知して調整・対策を行うことが重要です。製造プロセスをスムーズに進行させ、納期を守るために、進捗管理は欠かせない業務といえます。
品質管理
品質管理では、製品や製造プロセスが一定の品質基準や要求仕様を満たすよう管理を行います。まず、検査方法や品質基準を設定し、そのうえで検査を行います。具体的には、「何を(品目)、いつ(日付)、幾つ(数量)」検査したか、その結果、「良品と不良品がそれぞれ幾つ(数量)で、不良の場合は、何が不良だったのか(不良原因)」という管理です。品質管理で重要なのは、単に不良を発見してその原因を特定するだけでなく、原因に対する再発防止策を講じることです。不良品の削減は品質向上だけでなく、コスト低減や納期短縮にもつながるため、QCDに直結する重要な業務といえます。
原価管理
原価管理では、製造に必要な材料費、労務費、経費などを計算し、原価に関する管理を行います。具体的には、製品ごとの原価を把握し、ムダなコストを削減するために材料の見直しや工程の改善を提案します。また、企業の収益目標に基づいて、製品ごとの目標原価の設定も必要です。その際には、実際の製造原価と目標原価を比較し、差異があればその原因を調査します。そのうえで、原価低減のためのプロジェクトや改善活動を実施し、原価に関するデータを経営層に提供して意思決定を支援します。原価管理を行うにあたり、生産管理システムを利用してデータを一元管理すると、効率的な運用が実現します。
5W2Hによる管理
- 生産計画
- なにを、いつ、どこで、だれが、いくつ製造するか
- 受注管理
- なにを、どこへ、いくつ、いくらで、いつまでに納品するのか
- 発注管理
- なにを、どこから、いくつ、いくらで、いつまでに仕入するのか
- 在庫管理
- なにが、どこに、いくつあるのか。さらに今後は、いつ入り(入庫)あるいは出て(出庫)いくのか
- 製造管理
- なにを、いくつ、いつまでに、どのように製造するか
- 工程管理
- どの工程で、どのように製造するのか
- 外注管理
- なにを、どこに、いくつ、いつまでに外注(支給がある場合は支給)するか。外注先に支給品の在庫はいくつあるか
- 進捗管理
- 計画・予定に対して、実際にどこまで進捗しているか
- 品質管理
- 品質検査の結果、良品と不良品がそれぞれいくつあるのか。不良品の原因はなにか

生産管理における主な課題や問題点
ここでは、生産管理業務に見られる課題を確認していきます。主な課題について詳しく説明します。
需要変動による過剰在庫や欠品の発生
顧客の需要は変動しやすいため、需要に対応する柔軟な生産管理が求められます。その際、需要予測を適切に立てないと過剰生産や生産不足のリスクが高まります。特に多品種少量生産では、予測の難易度が上がり、予測精度を高めることが一層困難な点が課題となっています。需要予測が外れると、過剰在庫や欠品を引き起こしやすくなります。
品質管理の不足による不良品や返品の増加
品質を確保することは、顧客満足度に直結します。そのため、品質管理の体制が整っていないと、不良品が発生したり返品が増加したりして、企業の信頼性を損なうリスクがあります。具体的には、大きく二つの問題があります。一つ目は、工程内での品質のばらつきです。複数の製品を同時に製造する場合に起きやすく、不良品の発生率が上がります。特に製造プロセスが複雑な場合や、ベテランと新人の技術差がある場合、品質管理が難しくなります。
二つ目は、サプライヤーから外部調達する部品や原材料の品質の問題です。部品や原材料の品質が不安定だと、最終製品にも悪影響を及ぼします。サプライヤーとの間で十分に品質基準が共有されていなかったり、監視が徹底されていなかったりする場合、品質問題が多発することがあります。
適切なコスト管理ができていないために起こる品質低下や生産性低下
生産コストを抑えながら効率的に生産することは、企業の収益性に直結する重要な課題です。しかし、コスト削減には限界がある点に注意が必要です。過剰なコスト削減は、品質の低下や従業員の負担増加につながるリスクがあるからです。例えば、過度な人員削減や外注費の圧縮は、逆に生産性を低下させる可能性があります。
労働力不足とスキルの問題(デジタル化の遅れやスキル・ノウハウの喪失)
製造業界では、新技術に対応するための労働力不足や熟練労働者の退職に伴うスキルの継承が深刻な問題となっています。
新技術に対応するための労働力不足では、特に中小企業において深刻です。AIやIoTといった新しい技術を活用できる技術者の不足が、デジタル化の推進の遅れを引き起こしているからです。熟練労働者の退職に伴うスキルの継承問題では、生産現場での品質や効率が低下するリスクがあります。高齢化により熟練工が退職すると、そのスキルやノウハウが失われることがあるためです。技術の継承をどのように進めるかが重要な課題といえます。
初期コストがかけられずにデジタル化できない、デジタル化してもシステム連携できず効果が不十分
AIやIoTを活用したデジタル化は、生産管理を効率化する点で重要です。しかし、現状では、多くの企業でその導入が進んでいません。その背景には、大きく二つの課題があります。
一つ目はデジタル技術の導入コストです。新しい技術の導入にあたっては、初期投資が必要となります。しかし、AIやIoTなどの技術は高価なものも多く、中小企業にとってはその導入コストが大きな負担となりかねません。二つ目はシステムの統合です。既存の生産管理システムと新たに導入するデジタルツールを統合することに困難が生じる場合があります。このため、リアルタイムのデータ活用が遅れ、デジタル化の効果が十分に発揮されないことがあります。
生産管理を改善・効率化する方法
生産管理業務の改善や効率化は、企業の競争力を高めるために欠かせません。効果的な生産管理を実現するための改善方法を、多角的な視点から紹介します。
生産管理システム導入で一元管理
生産管理システムを導入では、受注管理、在庫管理、製造管理、品質管理などのデータを一元管理できるシステムを導入することで、情報の整合性が保たれ、業務の効率化が実現します。コストが問題となる場合には、クラウドの活用や段階的な導入がおすすめです。さらに既存のシステムと新しいデジタルツールやクラウドサービスを連携させることで、シームレスな情報共有が可能となります。
- 解決できる課題
- ・各部署が独自に管理を行うことで発生する計画のズレや生産性の低下
・タイムリーな対応が難しい点
・労働力不足とスキルの問題(デジタル化の遅れやスキル・ノウハウの喪失)
AIやIoTの活用
AIを活用して過去の販売データや市場の動向、季節変動、経済指標などを分析することで、より精度の高い需要予測が可能になります。また、生産現場や管理システムにIoTやセンサーを導入すると、リアルタイムでのデータ収集と分析が行えます。これにより、過剰在庫や欠品のリスクを大幅に低減できます。さらに、需要の変動に対する柔軟な対応ができるようになり、在庫の最適化や生産計画の精度が向上します。
- 解決できる課題
- ・需要変動による過剰在庫や欠品の発生
製造業におけるAIによる需要予測
作業の標準化・自動化と技術伝承の仕組みで品質管理を向上
統計的品質管理(SQC)を活用することで、統計データに基づいて工程内の品質をリアルタイムで監視し、不良の兆候を早期に発見できるようになります。これが、製造中の品質のばらつきを最小限に抑えることにつながります。また、作業の標準化も重要です。ベテランと新人など、人による品質のばらつきを防ぐ仕組みをつくっていきます。ポイントは、誰が行っても同じ品質を保てるようにすることです。これにより、生産プロセス内での品質管理が向上し、製品の安定供給が可能になります。
- 解決できる課題
- ・品質管理の不足による不良品や返品の増加
部門間や社外の連携強化
生産管理の効率化を促進するためには、社内外での連携強化が重要です。
社内の連携強化
部門間のコミュニケーションを強化するよう仕組みづくりをすることで、生産管理の効率化が促進されます。具体的には、定期的な会議の実施、業務フローの明確化と可視化、部門間での教育・研修の実施、問題解決チームの編成、フィードバックの仕組み作りなどです。さらにSlackやMicrosoft Teams、Trelloなどのコラボレーションツールや専用の生産管理システムを活用して、リアルタイムで情報を共有することが重要です。これにより、各部門が必要な情報に迅速にアクセスでき、コミュニケーションの遅れを防ぐことができます。
社外の連携強化
社外との連携強化では、まずサプライヤーに対して品質基準を明確に伝え、定期的に品質チェックや監査を実施します。サプライヤーと共同で品質向上プロジェクトを進めることも効果的です。また、サプライヤー選定の際には、高い品質基準を満たせるかどうかを判断することが重要です。長期的な取引関係を築いていくよう取り組むことが、品質リスクの低減につながっていきます。
社内外の連携強化は、社内外の認識のズレや誤解を減少し、問題解決のスピード向上をもたらします。社内の部門間では信頼関係が深まり、社外ではサプライチェーン全体で品質管理が強化され、外部要因による品質トラブルを防止できます。結果として、生産計画や納期管理の精度向上が実現します。
- 解決できる課題
- ・適切なコスト管理ができていないために起こる品質低下や生産性低下
生産コストの「見える化」と業務プロセスの標準化・自動化
生産コストの「見える化」を実現するためには、生産現場や管理システムにIoTやセンサーを導入し、リアルタイムでコストに関するデータを収集・分析することが重要です。これにより、材料コストや稼働時間、人件費、外注費を細分化して把握できるようになるため、コスト管理の精度が向上し、属人化の改善にもつながります。
また、データを基にして業務プロセスのムダを特定し、対策を立案することもできるようになります。例えば、稼働率の低い設備の活用方法を検討することで、生産性の向上が図れます。これにより、コストの抑制だけでなく、効率的な手順を確立できることから、作業手順の標準化にもつながり、従業員間での品質ばらつきを減らすことが可能です。
また、自動化機器やロボットを導入すると、人員削減ではなく作業効率の向上を図ることができます。これにより、コスト抑制だけでなく、品質管理の改善にもつながります。
- 解決できる課題
- ・適切なコスト管理ができていないために起こる品質低下や生産性低下
工程の自動化や人材育成の仕組みづくり
技術者不足を補うためには、人手に頼る工程を自動化することが有効です。特にロボットやAIを導入して単純作業を自動化することで、熟練技術者の負担を軽減できます。また、新技術に対応できる技術者を育成するためには、社内トレーニングプログラムや外部教育プログラムを活用します。これにより、労働力不足を解消し、生産プロセスの安定化が図れます。
また、技術の継承についても取り組むことも重要です。具体的には、熟練技術者のノウハウをデジタル化し、後継者に引き継げる仕組みを構築します。特に作業手順や経験をデータベース化して共有することで、技術やノウハウの継承が確実化します。また、ベテラン社員が若手社員を指導するメンター制度を導入し、実務を通じてスキルを伝承することも効果的です。これにより、技術やノウハウが継承され、企業の持続的な成長が可能になります。
- 解決できる課題
- ・労働力不足とスキルの問題(デジタル化の遅れやスキル・ノウハウの喪失)
初期コストがかけられなくてもクラウド技術の活用でデジタル化
初期コストの課題があり、高価なオンプレミスシステムの導入が難しい場合でも、クラウドベースのシステムを活用することで、初期コストを抑えつつ柔軟な運用が可能になります。一度に全てのプロセスをデジタル化するのではなく、優先度の高い部分から段階的に導入すれば、負担の軽減にもなります。これにより、導入コストが削減され、デジタル化が進むことで生産効率が向上します。
- 解決できる課題
- ・初期コストがかけられずにデジタル化できないという問題
・各部署が独自に管理を行うことによる計画のズレや生産性の低下、タイムリーな対応の難しさ
製造業DXに向けたAI・IoT活用のポイント、業務改善の事例を解説
部署連携における生産管理業務の主な課題や問題点
生産管理には複数の部署にまたがる幅広い業務が含まれているため、効率化には各部署が密に連携する必要があります。しかし、実際にはうまく連携できていない企業も少なくありません。ここでは、生産管理においてよく見られる課題とその改善方法をご紹介します。
各部署がそれぞれ独自に管理している
営業・設計・購買・製造などの各部署が個別に情報を紙やExcelで管理している企業は多いのではないでしょうか。各部署がバラバラに情報を管理していると、別の部署が持つ情報を把握できず、情報伝達のミスや遅延が発生し、生産効率が落ちてしまう恐れがあります。
具体的な課題は、各部署でデータが異なるため情報の一貫性が欠如し、全体の生産状況を把握することが難しくなり、計画のズレが生じることがある点です。また、同じデータを複数回入力する重複作業が発生し、手間やミスが増加するため、効率が低下します。さらにリアルタイムのデータが統合されていないため、迅速な意思決定が難しくなることも問題です。
属人化した生産管理により、担当者がいないと業務が滞ってしまう
生産管理が属人化してしまうと、その担当者が不在のときに業務が滞る恐れがあります。また、担当者自身も休暇が取りづらくなり、特定の人に負担が偏る可能性があります。具体的な問題としては、担当者が急な休暇や退職をした場合、代替がいないため業務が進まなくなる点です。また、知識やノウハウが継承されにくいという問題もあります。属人化された業務では、担当者しか分からない業務プロセスやノウハウが蓄積され、ほかの人に引き継ぐことが難しいからです。
リアルタイムに在庫管理ができず、在庫過多や欠品に陥りやすい
在庫の増減や入出荷の情報をリアルタイムに把握できていないと、正確な在庫状況が分からず、在庫過多や欠品が発生しやすくなります。特に、将来の在庫予測や生産計画に基づく適正在庫の管理は難しく、コストの増加や納期遅延につながる恐れがあります。
具体的には、以下のような課題が発生します。まず、必要なときに材料や製品が不足しているために生産が止まり、納期遅延が発生する欠品の問題があります。また、在庫過多になることで保管コストが増加し、キャッシュフローが悪化するという信頼に関わる大きな課題もあります。さらに倉庫や工場のどこに何があるのかが不明確なため、在庫の把握が困難となり、調達や生産計画に支障をきたすことが考えられます。
トラブルが発生したときに、スピーディーに対応できない
部署や担当者の間で情報が共有されていないと、トラブル発生時に迅速な対応できない恐れがあります。トラブルの解決に時間がかかると、当初の計画に対して遅れが発生し、納期遅延につながる可能性もあります。また、情報共有の不足は企業の意思決定にも悪影響を及ぼし、競争力を低下させることもあります。
具体的には以下のような課題が考えられます。まず、問題を早期に解決できず、生産が長時間停止することで生産停止や遅延が発生します。また、トラブル対応が遅れると、その影響が広がり、修理や再作業にかかるコストが増加するため、コストの増加が問題となります。特に注意が必要なのは、納期遅延や品質問題が発生すると顧客満足度が低下し、顧客の信頼を損なうことがある点です。
ノウハウの共有や標準化ができていない
担当者がそれぞれの経験や判断に基づいて業務を行っていると、担当者が変わった際に業務の品質がばらついてしまい、QCDを安定させることができません。具体的には、ノウハウが共有されていないため、ほかの担当者が同じ過ちを繰り返すことが多く、同じミスが繰り返されるという問題があります。また、熟練者と新人、あるいは担当者間でスキルや業務の熟練度に大きな差が生じることで、生産性が不均一になるという課題もあります。
部署連携を通じた生産管理業務の改善・効率化の方法
生産管理業務を改善し、効率化するためには、各部署が密に連携し、情報を共有することが重要です。ここでは、生産管理の効率を向上させる方法をご紹介します。
共通のデータベースで情報の一元管理と部門間コミュニケーションの強化
共通のデータベースを活用して情報を一元管理することで、各部署間でリアルタイムに情報共有が可能となり、効率的な業務運営が実現します。同時に週次会議を開催したり、情報共有ツールを活用したりして、部門間のコミュニケーションや連携を強化することも重要です。
業務の標準化と可視化
業務の標準化と可視化には、各業務プロセスを明文化し、手順書やマニュアルを作成して業務を標準化することが重要です。これにより、誰でも業務を遂行できるようになります。古いマニュアルはデジタル化して更新することが推奨されます。また、生産工程をデジタル化し、リアルタイムで進捗を確認できるようにすることも、業務の可視化の一つです。そうすることで、担当者に頼らずとも問題を早期に把握できるようになります。
在庫管理システムの導入
在庫管理システムを導入すると、在庫が一定の水準を下回った際にシステムが自動的に発注を行う仕組みを構築でき、欠品リスクを減らすことができます。また、バーコードやRFIDを使用して在庫の動きをリアルタイムでトラッキングするシステムを導入することで、在庫状況を即座に把握し、過剰在庫や欠品を防ぐことができます。
ナレッジマネジメントシステムの導入と作業標準化
ナレッジマネジメントシステムを導入し、社内の知識やノウハウをデジタル化すると、誰でもアクセスできるデータベースが構築でき、作業の標準化につながります。具体的には、過去の問題解決方法やベストプラクティスを一元管理するシステムの導入です。作業の標準化の点では、全ての業務プロセスを標準化し、手順書や動画マニュアルを作成するという方法もあります。これにより、誰でも同じ手順で業務を遂行でき、作業のばらつきを防ぐことができます。
生産管理システムの導入効果とメリット
生産管理をスムーズかつスピーディーに実施するためには、モノづくりに関する全ての業務と情報を一元管理できる生産管理システムの導入がおすすめです。ここでは、生産管理システムについて詳しく見ていきます。
生産管理システムとは
生産管理システムは、生産管理の課題を解決し、業務効率を向上させるための重要なツールです。このシステムを導入することで、情報の「見える化」が可能となります。具体的には、納期、在庫、工程、原価などの「見える化」が可能になることで、QCD(Quality:品質、Cost:原価、Delivery:納期)の最適化が容易になります。また、部門間の情報を一元管理する役割も果たします。
各部署や担当者がExcelやAccessで管理していた情報を生産管理システムに集約することで、属人化を防ぐことも可能です。これにより、生産性の向上や業務の効率化が期待されます。
生産管理システムの主な機能
生産管理システムは、製造現場で必要な複数の業務をサポートします。具体的には以下の機能があります。
- 販売管理(受注・売上)
- 部品表(BOM)管理
- 工程管理
- 在庫管理
- 発注・仕入管理
- 原価管理
これらの機能により、生産管理システムはさまざまな業務を効率化し、最適化します。以下に主な導入効果とメリットを挙げていきます。
在庫確認、発注手配および製造手配の自動化
従来、手作業やExcelで行っていた在庫確認は時間がかかるうえ、人的ミスが発生しやすい傾向がありました。しかし、生産管理システムを導入すると、リアルタイムで在庫情報を把握し、必要なタイミングで発注手配や製造手配を行う自動化が可能になります。これにより、在庫不足や過剰在庫を防ぎ、業務の効率化と正確性が大幅に向上します。また、担当者の作業負担も軽減され、ほかの重要な業務にリソースを集中できるようになります。
情報共有体制の構築と柔軟な役割分担
生産管理システムを導入すると、社員間の情報共有がスムーズになり、業務の可視化が実現します。各工程の進捗や在庫状況、受注情報が一元管理されるため、部署間の連携も強化します。結果として、担当者が不在の場合でも業務の引き継ぎが容易となり、柔軟な役割分担が可能になります。業務停滞のリスクも低減し、組織全体の生産性が向上します。
最適な在庫管理の実現
生産管理システムでは、現在の在庫数だけでなく、将来の受注状況や製造計画を加味した有効在庫数を基に、最適な在庫管理を行うことができます。これにより、適正在庫を維持しながらもムダなコストを抑え、在庫回転率の改善が期待できます。また、突発的な需要変動にも柔軟に対応でき、製造業務の安定化につながります。販売管理には基幹業務システムを使用していても、在庫管理はExcelで行っているために、在庫が合わなくなる企業が少なくありません。これも生産管理システムを導入し、管理を一元化することで改善できます。
受注から納品までの業務改善と対応力の向上
生産管理システムを活用することで、受注から納品までの一連の業務フローが最適化されます。生産管理システムでは受注情報が即座に反映されるため、製造計画や納期管理が効率的に行われ、遅延リスクが低減するからです。その結果、得意先への対応スピードが向上し、高品質なサービス提供が可能となります。これにより、顧客満足度の向上や信頼関係の強化にもつながります。
生産管理システムのデータをAIで活用することによる高度な意思決定支援
生産管理システムでは、蓄積された膨大なデータをAIで分析・活用することを通して、高度で効率的な意思決定が可能となります。まずは、生産管理システムを実際に用いて、データを蓄積することから始めます。データが蓄積すると、AIが過去の生産データや需要動向、在庫状況を統合的に解析し、需要予測や最適な生産計画を自動で提案します。この結果、ムダのない製造プロセスを構築し、在庫コストの削減や資源の効率的な活用が実現します。
また、生産管理システムに搭載されている異常検知機能を通じて、設備の故障予兆や不適切な在庫変動を早期に察知し、トラブル発生を未然に防ぐこともできます。このように、生産管理システムのデータをAIで活用することにより、業務精度の向上や対応力の柔軟性が強化され、企業全体の競争力向上が期待できます。
製造業におけるデータ活用とは? データ収集とトレーサビリティの実現方法を解説
生産管理システム導入までの流れ
生産管理システムを導入するまでの過程には、検討・導入・稼働の大きく三つのフェーズがあります。検討フェーズでは、経営トップと現場の双方を巻き込みながら進めることが重要です。まず、導入の目的を明確にし、自社に必要な要件を定義します。そのうえで、自社の業種に合ったシステムの選定をすることが大切です。導入フェーズでは、導入の目的を見失わないように注意しつつ、各部署の準備にかかる負荷にも配慮しながらシステムを構築していきましょう。稼働フェーズでは、本稼働前後の継続的なプロジェクト活動が重要となります。生産管理システムの導入に失敗しないためにも、各フェーズでのポイントをしっかり押さえながら進めていきましょう。
大塚商会の生産管理システムの強み
「生産革新ファミリー」は、お客様の要望を製品開発に生かした大塚商会のオリジナル生産管理システムです。六つのパッケージシステムを備えており、あらゆる製造業に対応しています。受発注、在庫、品質、原価など、さまざまな生産管理の課題を解決し、販売や会計など基幹業務システムとのデータの相互連携も実現します。
「生産革新ファミリー」の特長

強み1:それぞれの業種・業態に特化
「生産革新」は、製造業の多種多様な業種や業態に対応できるよう設計されています。部品製造、アセンブリ加工、食品製造など、それぞれの業界に特有の業務プロセスやニーズを深く理解し、それぞれに特化した機能を提供しています。また、多品種少量生産や見込み生産、受注生産といった異なる生産形態にも柔軟に対応できるため、どの業態の企業にとっても使いやすいシステムです。業務の流れにフィットする高いカスタマイズ性で、導入企業の効率化や最適化を支援します。
強み2:ERPとしての拡張性と柔軟な拡張性
「生産革新」は、ERP(統合基幹業務システム)の一つであり、システムの拡張性と柔軟性が特徴です。ほかのSMILEシリーズのモジュール(販売、会計、人事など)との連携が可能なため、企業全体の業務を一元管理できます。これにより、リアルタイムな情報共有と効率的な意思決定をサポートします。さらに必要に応じて外部のIoTデバイスやAI技術、BIツールとも統合できるため、最新技術を活用したシステム運用ができます。成長企業に適したスケーラビリティを提供し、企業規模や業務ニーズの変化にも柔軟に対応します。
強み3:開発・販売・サポートの一体運営
大塚商会では、「生産革新」の開発、販売、サポートを一貫して提供しています。この体制は、他社にはない大きな強みです。開発からサポートまでを一手に担うことで、迅速な対応と高い信頼性を実現しています。ユーザーのニーズに素早く応えるのはもちろん、カスタマイズやトラブルの発生時もスムーズに対応します。
導入後は、充実した運用支援やトレーニングなどによって、システム導入による効果を最大化するためのサポート体制を整えています。また、長期的な信頼関係の構築を大切にしており、その姿勢が企業の成長に寄り添い続けるパートナーとしての役割を果たしています。
大塚商会の生産管理システムの種類
大塚商会では、多様な生産管理システムを取りそろえています。幅広い業種や業態に対応できるため、自社に最適なシステムを選ぶことができます。
生産管理システム「生産革新ファミリー」

「組み立てが中心」×「繰返受注がメイン」の製造業向け生産管理システム
生産革新 Fu-jin
「生産革新 Fu-jin」は、販売管理と一体化された組立業向け製販一気通貫型の生産管理システムです。製品構成が決まっている標準品の見込み・受注生産に対応し、構成部品の発注・在庫管理や製造・進捗、出荷・売上、請求・入金・支払などをトータルに管理します。また、自社工場を持たないファブレス企業にも対応可能です。
「組み立てが中心」×「繰返受注と個別受注」の製造業向け生産管理システム
生産革新 Raijin
「生産革新 Raijin」は、標準品や規格品の“繰返生産”と、個別品や特注品の“個別受注生産”の両方に対応したハイブリッド型の生産管理システムです。このシステムは、販売管理と一体化された組立業向け製販一気通貫型であり、部品構成表管理システム「生産革新 Bom-jin」と連携しています。これにより、設計部門との双方向連携が可能となり、真の一気通貫が実現するため、コスト削減、納期短縮、生産効率の向上が期待できます。
「部品構成表管理」の製造業向け生産管
生産革新 Bom-jin
製品原価の80%は設計段階で決定されます。「生産革新 Bom-jin」は、生産管理とのデータ連携を重視し、設計技術部門の図面や技術情報などの設計資産を「品目台帳」で管理します。これにより、部門内の設計ルールを統一し、標準化と流用化を実現します。また、生産管理システム「生産革新 Raijin」と連携し、生産部門との双方向連携を行うことで、真の一気通貫が可能となり、コスト削減、納期短縮、生産効率の向上を実現します。
「加工が中心」×「繰返受注」の製造業向け生産管理システム
生産革新 Ryu-jin
「生産革新 Ryu-jin」は、自動車・電気部品や、金属・樹脂・食品などを繰返生産・量産加工する製造業に特化した生産管理システムです。このシステムは、内示・フォーキャスト・確定受注などの情報を基に、変化に強い柔軟な生産計画を立てることができます。工程間の仕掛在庫などを含めた在庫の適正コントロールも可能です。
「加工が中心」×「繰返受注と個別受注」の製造業向け生産管理システム
生産革新 Wun-jin SMILE V Air
「生産革新 Wun-jin SMILE V Air」は、販売管理をベースに工程管理や製造指図書発行などが行える、カンタン&シンプルなオールインワンパッケージのクラウドSaaS型システムです。このシステムでは、「大げさな生産管理システムは必要ない」といったお客様のご要望にお応えしています。また、クラウド利用で初期費用を抑えることにより、これまでシステム導入が難しかった小規模加工業様もすぐにご利用いただけます。
「配合が中心・繰返受注」の製造業向け生産管理システム
生産革新 Blendjin
「生産革新 Blendjin」は、化学製品・食品・香料・化粧品・薬品などを配合する製造業向けの生産管理システムです。このシステムは、配合表やレシピを基にした材料手配、製造指示、製品・材料・資材などの在庫管理や、ロットトレース機能による品質管理をトータルにサポートします。
生産管理システム導入による改善事例
生産管理システムの導入により、生産管理の効率化を実現させた企業の事例をご紹介します。
株式会社武井製作所
設備稼働状況の可視化により10%稼働率向上を実現。400種類の帳票のペーパーレス化を実現
株式会社武井製作所は「ものづくりDX」の先進企業であり、他社に先駆けて2005年に生産管理システム『生産革新 Ryu-jin』を導入しました。生産管理システムは今日まで同社の効率的な生産計画立案や適正な在庫管理に貢献しています。また、ISOへの対応や働き方改革を推進するために手書き帳票を電子化する『ConMas i-Reporter』、設備の稼働状況を可視化するIoTソリューション、グループウェア『NI Collabo 360』などを導入し、工場の「見える化」を実現しました。

工場の「見える化」に取り組んだことで各設備が何時間稼働したかがデータで見えるようになり、10%の稼働率向上を実現。また、400種類に及ぶ帳票をペーパーレス化したことで情報の検索性が高まり、スムーズな情報共有が可能となりました。

株式会社日本自動調節器製作所
紙ベースの集計業務が40%減少。5人工の固定費(3,000万円相当)の削減を実現
株式会社日本自動調節器製作所は、紙ベースでの運用によって発生していた「二重入力・二重チェック」「手入力による在庫のズレ」「紙による集計作業」といった非効率な業務を改善するために生産管理システム『生産革新 Raijin SMILE V』を導入。社内でプロジェクトチームを発足し、システムの標準機能に自社の業務フローをできる限り合わせる形で、抜本的な業務改善を図りました。

生産管理システムの導入によって紙ベースの業務が約40%なくなり、5人分の固定費を削減することに成功しました。また、生産管理システムとBIダッシュボード「MotionBoard」を連携させて限界利益率や工程別納期順守率、残業時間、営業予算達成状況、不良率などのデータを「見える化」することで、社員の業務改善の意識が高まり、データドリブン経営をいち早く実現できました。

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