加工業の収益改善・業務改善に込められた思いとは

繰返加工型の生産管理に特化したパッケージシステムの誕生ストーリー

繰返・量産型生産管理システム『生産革新 Ryu-jin』(旧製品名『遉』)は、四半世紀の長きにわたり、主に加工業のお客様から高い評価を得ています。その開発秘話や活用ポイントについて、オンラインセミナーを実施。その発言の要旨をQ&A形式で端的に紹介します。

製造現場から生まれた生産管理システム独自の製品コンセプトで業務改善に貢献

製造SPチームが掲げた『実稼働主義』とは?

酒田 裕之
(本部SI統括部 製造SPグループ)

『実稼働主義』とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、製造業の生産管理システムに特化した専門組織「製造SP」が掲げている目標の一つです。例えば、生産管理システムを導入して「在庫を30%削減したい」という目標がある場合、単にシステムを稼働することが目的ではありません。システムを稼働した後に在庫が30%削減された時点で初めて目標が達成されたことになります。

今回取り上げる繰返加工型の生産管理システムに特化した『生産革新 Ryu-jin』は、まさに実稼働主義を追求してきたパッケージ製品です。現在、大塚商会が提供している生産管理システム『生産革新ファミリー』の中で、『生産革新 Ryu-jin』が最も多い40%の導入シェアを占めています。また、大塚商会の導入事例集の中でも、『生産革新 Ryu-jin』のお客様が最も多く掲載されています。その理由は、多くのお客様が実稼働して効果が出たことによって、事例集への掲載を快諾してくださるからです。(酒田)

旧製品名『遉』のネーミングの由来は?

高橋 徳好
(ASC SPソリューショングループ)

『生産革新 Ryu-jin』は、もともと『遉』という製品名で1996年に誕生しました。その前のDOS版も含めると、その歴史は四半世紀に及びます。当時の製造現場では、良い仕事をしても、それが当たり前で褒められることは滅多にありませんでした。しかし、仲間うちでは「あっぱれ!」とか「さすが!」という褒め言葉が飛び交っていました。そのため、『遉』には、製造現場から「さすが!」といわれる理想的なシステムを作り上げたいという開発者の熱い思いが込められているのです。(高橋)

『遉』の三つの製品コンセプトとは?

須永 浩昌
(本部SI統括部 製造SPグループ)

そもそも『遉』は、自動車部品の製造現場でものづくりの豊富な経験を積んでいた二人の技術者が製品のベースを作り上げたものです。いわゆるシステム屋の発想ではなく、製造現場から生まれたパッケージシステムです。その製品コンセプトは、(1)「製造現場を重視した製造管理システム」、(2)「工程管理、工程間在庫を重視」、(3)「製番管理でない管理手法」の3点です。

開発当時、世間一般で主流だったシステムは、工程ごとの細かな管理が行えませんでした。そのため、製造現場では、ホワイトボードやExcelなどを使って個別に管理していました。そこで、「製造現場を重視した製造管理システム」を開発し、これまで煩雑な管理を強いられていた作業を一つのシステムに集約させることで、製造現場の負担を軽減して効率化を実現することが大きな狙いでした。(須永)

特に加工業では、工程ごとに機械の生産能力や作り方が異なるので、各工程の在庫数や生産量を加味した生産計画が立てられるシステムが必要でした。例えば「1工程目の成形は1台の機械で3,000個/日を作成し、2工程目の表面処理は外注との単価契約によって10,000個/日を外注に委託し」というように、それぞれ在庫数が異なるケースがあります。そうしたときにも柔軟に対応できる、「工程管理、工程間在庫を重視」したマスターやシステム構成となっています(図1)。

それに伴い、従来の製番管理とは異なる、総量管理という新たな手法を取り入れました。

製番管理とは、受注明細ごとに製番(製造番号)でひも付けて、基本的にはそれぞれが違うものとして管理する方法です。工程管理の視点では、前工程から後工程へ要求(指示)を押し出していくプッシュ型のイメージですが、どちらかというと組立業で採用されることが多い管理方法です(図2)。

それに対して、総量管理は、繰返型の加工業の特性に合わせて、各工程の生産能力や製造ロット、工程間の仕掛在庫、各品番の総量在庫バランスを考慮した管理方法です。工程(指示)カンバンで補充していくイメージで、後工程から前工程へ要求(指示)を引っ張るプル型の考え方となります(図3)。

また、材料の手配においても、共通の中間加工品を総量で仕掛在庫として持っておくことによって、内示と確定受注の変動などに対してもバッファとして柔軟な対応ができるようになっているのが総量管理の利点です(図4)。

多忙な製造現場を考慮したサポート手法とは?

製造現場から生まれたものは、製品コンセプトだけではありません。サポート手法もその一つです。忙しい製造現場でシステムを円滑に運用できるように、『遉』をリリースした当初から、時代に先駆けてリモートによる操作指導をいち早く実現しました。

ネットワークやコミュニケーションツールが進化した現在は、遠隔地からPC画面を共有しながら実施するリモート指導やリモートサポートは当たり前に行われています。しかし、当時は斬新的なアイデアでした。製造現場は非常に多忙なので、訪問指導をするために人を集めて半日も時間を確保することはできないと考えたのです。そこで、サポートセンターとお客様をネットワークでつなぎ、リモート指導を30分単位で、内容を22の単元に分けて実施したのです。それによって、製造現場の負担が大幅に軽減されました。製造現場志向でなければ、こういう発想は生まれません。20年以上経過した現在も、そのサポート手法は受け継がれています(図5)。(高橋)

『遉』V2から『生産革新 Ryu-jin』へ進化! きめ細かなコンサルティングで実稼働を支援

『遉』V2で実施した機能強化とは?

バブル経済がはじけた2000年以降は景気が悪化し、得意先からの単価の引き下げ要求が厳しくなってきました。その結果、以前よりもシビアな生産計画が求められるようになり、月次計画生産から日次計画生産へ、月次棚卸から日次棚卸へと大きくシフトせざるを得ない状況になってきました。

そこで、日次業務に柔軟に対応できるように、『遉』を大幅に機能強化したのです(図6)。例えば、日次で理論在庫を計算し、日々の在庫が不足しそうなときに警告リストが出るようにしました。その結果、日々の在庫管理業務もラクになり、余剰在庫もかなり圧縮できるようになりました。(須永)

フィッティングコンサルティング手法とは?

『遉』V2によって日次処理に柔軟に対応できるようになりましたが、その一方で、日次計画生産を本格的に稼働させるのは難しいという問題も出てきました。そこで、新たに誕生したのが、フィッティングコンサルティング手法です。そのコンサルティングで重要視したポイントは、(1)目的の整理を含めた「目的設定」をしっかり行うこと。(2)生産管理システムはあくまでも道具として活用すること。(3)経営トップを中心としたプロジェクトを組むことです。

例えば、収益を上げることが目的なのか、業務改善を行うことが目的なのか、お客様の目的を明確にしたうえで、その実現に向けてお客様と一緒に取り組むイメージです。生産管理システムを現状の業務内容に合わせて導入することが目的ではなく、当初の導入目標を達成して効果を実感できる実稼働を実現することが大前提です。そのためには、経営トップにプロジェクトに参画していただいて、社内のモチベーションを高めることが重要なポイントになります。

特に2000年以降は、業務改革に積極的な2代目の若手社長が顕著なリーダーシップを発揮しています。例えば、大手企業で業務経験を積んできた2代目社長が父親の会社を受け継ぐときに、いまだに勘と経験で業務を回している実態を見て愕然(がくぜん)とした、というようなケースがあります。そこで、前の会社のシステム活用経験をもとに、明確な目的意識をもって業務改革を断行されています。

その中で業務改革に成功されている会社は、いずれも経営トップの方が製造現場の社員の理解を得るために積極的に導入目的を共有し、啓蒙し続けています。そのため、製造現場の社員のモチベーションが非常に高いことが共通する大きな特長です。(須永)

FIT&GAPコンサルティングとの相違点とは?

FIT&GAPコンサルティングとフィッティングコンサルティングは、言葉は似ていますが、その意味合いは大きく異なります。前者のFIT&GAPコンサルティングは、自社の業務の流れをシステム化するために、パッケージシステムをカスタマイズすることが前提になります。主にどの業種でも活用できる汎用的なシステムを導入する際に用いられています。

それに対して、フィッティングコンサルティングは、カスタマイズは前提とせず、原則行いません。逆に、パッケージシステムに業務の流れを合わせることで業務改善を図り、それによって、当初のシステム化の目標を達成することに重点を置いています。そのためには、経営トップをはじめとする社員の理解と協力が必要不可欠になりますが、『遉』のように特定の業種に特化したシステムだからこそ可能となるのです。(須永)

「遉」が「生産革新 Ryu-jin」へ進化した背景とは?

『遉』は、限られた少数精鋭のメンバーで開発を続けてきたので、このままではじり貧になることが明らかでした。そこで、大塚商会グループの中で技術者が一番多い「SMILE」シリーズをベースにしたシステムに統合することにしたのです。その結果、『生産革新 Ryu-jin』へと進化し、開発パワー、サポートパワー、さらにセールスパワーの全てが拡充されました。(高橋)

『生産革新 Ryu-jin』の利点と今後の展望

『生産革新 Ryu-jin』は、「SMILE」シリーズを基盤としています。「SMILE」シリーズは、「遉」よりもはるかに歴史があり、今では、RPA(業務の自動化)、ドキュメント連携、ワークフロー連携、アプリケーション開発ツールなどの最先端の技術に対応しています。その先進的な業務基盤を一から開発することなく、そのまま活用できることが一番大きなメリットです。

もう一つのメリットは、ほかの「SMILE」シリーズの製品はもちろん、BIツールなどのさまざまなシステムとの連携がしやすくなることです。最近では、IoT実績収集システムとの連携も実現しています。今後もシステム間連携を拡充することで、『生産革新 Ryu-jin』の活用範囲が大きく広がり、社内の業務改善に確実に寄与していきます(図7)。(高橋)

生産管理システムの活用ポイントとは?

本日のセミナーのポイントを端的にまとめると、以下の2点に集約できます。一つは、業種業態に特化した生産管理パッケージシステムは、業界の課題解決に即した業務フローを最初から具備しているため、改善の方向性が見えやすく、業務改善につながりやすいことです。

もう一つは、経営トップ自らが「導入目的」を明確にして、導入プロジェクトメンバーのモチベーションを上げ続けることが、システム導入の成功の近道であること。同時に、それを支援する手法や体制が整っているかどうかが、パートナー選定の重要なポイントになります。本日は、ご視聴ありがとうございました。(酒田)

解説者プロフィール

本部SI統括部 製造SPグループ 酒田 裕之(左)

業種別基幹システムの営業を経て、製造業に特化した営業支援、マネージャーを35 年。2004年に生産管理システムの『実稼働主義』を提唱し、現製造特化チーム(製造SP)の基盤を作る。現在、製造SPに責任者として従事。

本部SI統括部 製造SPグループ 須永 浩昌(中央)

制御技術系の製造業に入社し、技術設計・営業・製造(生産管理)に携わる。その後、生産管理システム系のソリューションベンダーに転籍。現在は大塚商会にて、主に繰返型の加工業に特化した生産管理システムの開発・営業・支援に従事。また、大塚商会ERPナビにて、コラム『生産管理あるある~そんなんじゃ、生産管理システムは動かんがね!~』を執筆。

ASC SPソリューショングループ 高橋 徳好(右)

拠点、本部系のSEマネージャーを経て製造特化チーム(製造SP)の専門サポートチームをセンター化。また、生産管理システム「生産革新ファミリー(Fu-jin/Raijin/Blendjin/Ryu-jin/Bom-jin)」の開発プロジェクトを立ち上げ、2008 年開発当初より責任者として携わる。

  • * この記事に記載されている内容は、2019年8月現在のものです。肩書きや数値、社名、固有名詞等は取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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