リテールテックとは? 小売業を効率化するIT活用事例6選
小売業を取り巻く環境が劇的に変化している今、リテールテックが注目を集めています。導入することにより、業務の効率化や顧客体験の向上など、企業価値の向上につながる効果があります。本記事ではリテールテックの概要やメリット、成功の秘訣(ひけつ)などについて、企業における具体的な活用事例を交えてご紹介します。
リテールテックとは?

リテールテック(Retailtech)とは、小売業(Retail)にIT技術(Technology)を導入することによる技術革新や、小売業の課題解決を図る取り組みを指す言葉です。顧客体験の向上、業務効率の改善、売上の最大化といった課題をIT化によって解決することを目指します。身近なところでは、キャッシュレス決済も該当します。顧客に最適な商品をAIで提案したり、ECサイトと実店舗とを連携させたりすることもこの一種です。
小売業は従業員の業務範囲が幅広く、人手不足に陥っている企業は少なくありません。リテールテックの導入によって業務の効率化を図れれば、従業員の負担を軽減できます。店舗運営コストの削減や多様化する消費者行動への対応などを目的に着目する企業も増えています。
なぜ必要? リテールテックを導入する三つのメリット

リテールテックを導入するメリットを紹介します。
業務が効率化し、負荷の軽減やコスト削減につながる
IT技術により、複雑かつ多岐にわたる小売業の業務を効率化できる点が一つめのメリットです。店舗や倉庫で省人化や無人化が可能になったり、個々の業務負担が軽減されたりし、少ない人材でも業務にあたれるようになります。店舗の運営方法やオペレーションが効率化されるため、運営コストの削減にもつながります。在庫管理、売上分析、顧客管理なども自動化できるため、人件費の大幅な削減が図れます。
新たなサービスで顧客体験を向上できる
二つめは、セルフレジやキャッシュレス決済、オンライン接客などのサービスで顧客体験を向上させられることです。たとえばAIを活用し、過去の購入履歴などのデータから、個々の顧客に対して適した商品を、必要なタイミングで提案できます。さらにアパレルやコスメのバーチャル試着、インテリアの仮想シミュレーションなどのサービスがあれば、顧客は商品を使用したところを想像しやすくなり、購入意欲が高まります。また、二次元コード決済といった豊富な決済手段の導入は、購入や支払いのハードルを低くさせる要素になり得るでしょう。
データに基づいた意思決定が可能になる
リテールテック導入の三つめのメリットは、データに基づいた「意思決定=データドリブン」による経営を可能にすることです。売上や在庫情報、顧客の購買情報などの収集・分析が効率化されるため、より一層データの活用が促進されます。さらにツールを用いれば、売上情報をリアルタイムで収集でき、どの商品がいつ、どれだけ売れたかを容易に把握できます。日時別、店舗別、商品カテゴリー別など、さまざまな切り口で売上データを分析すれば、売れ筋商品の販促強化や販売ピーク時間帯に適したプロモーションなどを実施できるようになります。在庫管理においても品切れや過剰在庫の防止、制度の高い需要予測などを実現し、売上の増加とコストの削減が期待できます。
リテールテックの主な技術と、小売業界における活用事例
注目を集めているリテールテックの技術と、その活用事例を紹介します。
キャッシュレス決済
キャッシュレス決済とは、クレジットカードやデビットカード、電子マネー、二次元コード決済など、現金を使わない支払い方法を指します。電子決済には、会計時間の短縮による効率化や人件費の削減、現金盗難対策など、さまざまなメリットがあります。インバウンド対策としても効果的で、通貨が異なっても決済できるほか、両替が不要なため、手数料もかかりません。顧客は使い慣れた端末やアプリで決済できるため、支払いのハードルが下がります。
アッシュコンセプト株式会社は、クレジット決済機能付きモバイルPOSレジの「スマレジ」を導入しました。さまざまなキャッシュレス決済を導入すると同時に、「スマレジ」に連携できるCRMを導入することで顧客行動の詳細を把握し、消費者の好みに基づく個別マーケティングにつなげることにも成功しました。
RFID
RFIDは、ICタグとリーダーによって情報の読み取り、書き込みを非接触で行うシステムです。倉庫でのピッキングやセルフレジなどでRFIDによる在庫管理が行われています。RFIDのよい点は、複数のものに対して非接触かつ一括で情報をやり取りできることです。ある程度離れた場所にあっても通信できるため、高いところにあるタグの読み取りや、位置情報の追跡なども可能です。
某大手アパレル企業では、商品タグにRFIDを用いてセルフレジでの操作を効率化しています。商品のバーコードを個別に読み取らなくても、特定の位置に買い物カゴを置くだけで、自動的に全ての商品を読み込み、判別できるのが特長です。有人レジと比較して清算の所要時間が最大3分の1に短縮され、顧客側にも店舗側にも大きなメリットをもたらしています。
EC(Eコマース)
EC(Eコマース)とは、インターネットを介して商品やサービスを売買することです。代表例としては通販サイトが挙げられます。ECを導入することによって全世界を対象に24時間365日、商品を売買できるようになるばかりでなく、実店舗を維持する必要もなくなります。売上データの収集・分析が容易になることも特長の一つです。
株式会社レボは、ECと大塚商会の基幹業務システム「SMILE 販売」とを連携させ、売上処理を自動化しました。受注時の顧客への対応を自動化することで、「10本購入すると1本をサービスで提供」といった個々の対応も正確にできるようになり、さらにオペレーターの数を半減させることに成功しました。
バーチャル店舗
バーチャル店舗とは、VRやメタバースを活用した仮想的な店舗のことです。通販サイトと異なり、3Dのバーチャル空間を活用するので、顧客は実店舗で買い物しているような気分を味わえます。
某アパレル企業では、バーチャル店舗を用いて、イベントゲストとして芸能人本人によるバーチャル接客を実現したり、クリック一つで手軽に試着できるようにしたり、実店舗では難しいさまざまな取り組みを進めました。自宅にいながら非日常を体験でき、利便性にも優れたバーチャル店舗により、効率的に集客や販売ができるように工夫しています。
POS
POS(Point of Sales:販売時点情報管理)とは、商品を販売する際にバーコードなどを読み取ることにより、商品の売買記録や在庫、顧客情報などのさまざまな情報リアルタイムで収集・管理できるシステムです。データの収集により、商品がいつ、どれだけ、誰に売れたのかなどを細かく分析できるため、商品管理や販促活動、マーケティング戦略の策定などが容易になるのがメリットです。
AI画像認識
AIによる画像認識もリテールテックで活用されています。「Field Analyst」というツールでは、店舗の入り口や店内にカメラを設置し、訪れる客層をAIに画像として分析させることで、顧客層や顧客行動を分析することが可能です。顔認証ツールの「NeoFace」では、従業員の入退室管理が容易にできるほか、個々の顧客を識別して、それぞれのパーソナリティに応じた対応や提案をサポートします。あるいは、BIツールの「Qlik Sense」を用いれば、AIやIT技術に詳しくない人でも、視覚的にデータ分析を行えます。
AI画像認識技術が実装されたツールやシステムなどを用いることで、詳細な分析ができ、顧客体験向上のための施策に生かせるでしょう。
企業のリテールテック導入を成功へ導くポイント
リテールテックに用いられているIT技術はどれも便利なものばかりで、うまく活用できれば業務を大幅に効率化できます。しかし、覚えておきたいのは、ツールやサービス、機器などの導入時に一定のコストがかかる点です。特に最新の技術や機器を用いたものほど高額なため、導入の目的を明確にし、慎重に検討する必要があります。
まずは自社の課題を明らかにし、解決に必要なソリューションが何か見極めることが肝要です。
リテールテックに対応した社内システムへの見直しも検討を
リテールテックの導入によって業務効率化や顧客体験の向上を図れれば、従業員の生産性が向上し、企業価値も上がります。より効果的に活用するためには、導入したIT技術に対応する社内システムの構築が不可欠です。しかし、IT技術は日々進歩し、専門性も高いため、自社に最適なリテールテックの選定に悩む企業は少なくないはずです。リテールテックについての相談は大塚商会までお気軽にご相談ください。
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