生成AIで庁内業務の効率化を推進

庁内利用生成AIに『Copilot』を選定し、職員向けの研修を実施。実務における活用が進む

東京都府中市 導入事例

官公庁・自治体1,001名~製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

東京都府中市は、自治体DXの一環として生成AI『Microsoft 365 Copilot』を導入。職員による利用を促すため、300名の職員を対象に集合研修とeラーニングを組み合わせた3カ月間の研修を実施した。その結果、実務で活用する動きが広がり、さらなる活用に向けた計画を推し進めている。

  • 業務効率の向上
  • 社内の情報共有

2024年10月取材

東京都府中市

導入先の概要

業種
地方自治体
事業内容
地方自治
職員数
1,352名(再任用フルタイム勤務職員と再任用短時間勤務職員を含む、2022年4月現在)
ホームページ
https://www.city.fuchu.tokyo.jp/

導入の狙い

  • 自治体DXを推進したい
  • 職員による『Microsoft 365 Copilot』の活用を促進したい

解決策

  • 職員300名を対象とする『Microsoft 365 Copilot』を活用するための研修を大塚商会から導入して実施

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
 Microsoft 365 Copilotお問い合わせ
 生成AIリテラシー研修-
 Microsoft Copilot 活用研修-
 Microsoft Copilot 実践研修-

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東京都府中市 導入事例(PDF:3,093KB)

導入事例詳細

歴史と文化とスポーツのまち、2024年に市制70年を迎える

東京都府中市(以下、府中市)は東京都のほぼ中央に位置し、副都心の新宿から車や電車で30~40分程度と、交通の便に恵まれた都市だ。市の中心部は多くの商業施設が集積してにぎわう一方、郊外には多摩川が流れるなど自然が豊かで、便利で暮らしやすいうえに環境が良いことも大きな魅力である。このため都心のベッドタウンとして人気が高く、人口は26万人を超える(2024年10月現在)。

現在の府中市がある地域は、奈良時代初期から平安時代中ごろにかけて武蔵国府が置かれ、武蔵国の政治、経済、文化の中心地として栄えた。そのため市内には歴史ある名所が多い。中でも府中市の歴史を象徴するのが、市の中心部にある大國魂(おおくにたま)神社であろう。毎年4月30日から5月6日にかけて同神社で行われる「くらやみ祭」は、多数の太鼓や神輿(みこし)、山車(だし)などが繰り出し、市外からも大勢の観光客が訪れる一大行事となっている。

新庁舎「おもや」4階の展示スペース。市と関わりが深いラグビーチームの紹介や市制70周年記念関連の展示など、内容を替えながら市の取り組みを紹介している

また、同市では「スポーツタウン府中」をキャッチフレーズに掲げており、JAPAN RUGBY LEAGUE ONEのラグビーチームが二つ、女子硬式野球のアマチュアクラブである読売ジャイアンツ女子チームが本拠地を置くなど、スポーツの盛んな都市である。さらに、市が開催する「BOAT RACE平和島」や、日本中央競馬会の東京競馬場などの公営競技施設もあり、レース開催日には大勢の観客が訪れている。

政策経営部 情報戦略課 課長補佐 小笠原 雄作氏

「2024年、府中市は市制70周年となり、市民パレードをはじめとするさまざまな記念行事が行われました。地域のおまつりや市が主催する各種イベントのほか、市民団体や企業が実施する事業なども周年事業として位置付け、市全体で盛り上げています」と政策経営部 情報戦略課 課長補佐の小笠原 雄作氏は歴史的な一年を迎えたまちの姿を説明する。

新庁舎への移転をきっかけに自治体DXを加速させる

今、全国の自治体では住民サービスの向上や職員の業務効率を高めるためにDXを推進する動きが加速している。府中市も職員一人一人がDXに積極的に取り組めるよう、2022年7月に「府中市DX推進基本方針」を策定。「市民ファースト」(市民サービスの向上)、「行政運営の最適化」(コア業務への専念)を基本的な考え方とし、国が策定した「自治体DX推進計画」において自治体が重点的に取り組むべきとされた事項を、着実にクリアしていくことを目指している。

府中市のDXを大きく前進させるきっかけになったのが、2023年8月に行われた「おもや」と呼ばれる新庁舎への移転である。旧庁舎時代には、情報漏えい対策を目的として多くの自治体が採用している、インターネットに直接つながらない独特のネットワークが組まれており、DX推進のボトルネックとなっていた。そこで新庁舎では、DXの基盤を整えるため、セキュリティを確保しつつインターネットアクセスの自由度を高めた新たな仕組みを取り入れたのだ。

「インターネット接続環境の改善によってSaaSが格段に利用しやすくなり、業務効率化や行政サービスの改善に活用できるようになりました。おかげでDXが進めやすくなったと、率直に感じています」と小笠原氏は今の状況を述べた。

生成AIに『Microsoft 365 Copilot』を選定

SaaS活用の一例として、府中市が導入を検討したのが生成AIである。2023年ごろに「ChatGPT」が普及し始めて以降、全国の自治体では業務効率化やサービス改善のため、生成AIを導入する動きが広がっていた。

その動きを踏まえて小笠原氏は、「せっかく恵まれたインターネット環境が整備されたのだから、それを利用しない理由はない」と考え、生成AI導入の準備に取り掛かる。そして、導入計画を2024年度予算案として市議会に提出。DXを加速させる施策であるとの評価を受け、可決された。

政策経営部 情報戦略課 ネットワーク管理担当 主任 吉留 敬氏

導入する生成AIエンジンとして選定したのは、マイクロソフトが提供する『Microsoft 365 Copilot』(以下、『Copilot』)だ。小笠原氏と共に導入プロジェクトに携わった政策経営部 情報戦略課 ネットワーク管理担当 主任の吉留 敬氏は、「『Copilot』はSaaSなので、機能が常に最新の状態にアップデートされる点や、職員が日常的に業務で使っているWordやExcel、PowerPointといったソフトウェアに組み込める点などを評価しました」と選定理由について解説する。

全ての管理職を対象として『Copilot』のライセンスを付与

Wordで『Copilot』を利用している画面。アンケートでは「『Copilot』によって作成する資料の完成度が上がった」との回答もあったという

こうして府中市は、2024年4月、『Copilot』の300ライセンス分の導入を決定した。ライセンスの割り当て先については、まず市長や副市長のほか、各部局長、課長などの管理職の全員を対象とした。

「『使ってみたい』と手を挙げてくれる前向きな職員から優先的に割り当てる方法もありましたが、まずは使用させる側の管理職に、実利用を通じて生成AIの効果や活用の意義を感じ取ってもらいたいと思いました」と吉留氏はその狙いを説明する。そして管理職への割り当て後、各課からさらに2、3名ずつの職員を選んでもらい、合わせて300名にライセンスを付与した。

次のステップは、導入した『Copilot』をいかに使いこなしてもらうかである。生成AIを全く知らない職員や、そもそもITに不慣れな管理職も多いので、「基礎の基礎」から「使いこなせる」レベルにまで引き上げる教育を施さなければならない。

府中市では、教育に外部の手を借りることとし、いくつかの研修サービスを比較。検討の結果、大塚商会が提供する『Copilot』の研修サービスを選定した。

三つの研修プログラムを用意

大塚商会が『Copilot』の利用者向けに用意している研修は、ビジネス課題を解決する生成AIの開発や、人材育成支援などを手掛ける株式会社AVILEN(アヴィレン)と共同開発したサービスだ。研修を依頼した企業や自治体と綿密な打ち合わせを重ね、それぞれに合ったプログラムを提供することや、生成AIに精通する優秀な講師陣を抱えていることに定評がある。

府中市が特に評価したのは、基礎から実践まで、さらには集合研修からeラーニングまで、あらゆるレベルや実施方法の研修プログラムを提供できるところだった。「比較検討した中で、最も総合的な研修プログラムを提供してもらえる点が選定の大きな決め手になりました」と吉留氏は明かす。

研修期間は、2024年7月から9月までの3カ月。大塚商会は府中市との丁寧な打ち合わせを踏まえ、7月上旬に生成AIや『Copilot』の概要を学ぶ「生成AIリテラシー研修」、7~9月に『Copilot』の基本的な使い方をマスターする「Microsoft Copilot 活用研修」、8月下旬から庁内業務での実践的な使い方を学ぶ「Microsoft Copilot 実践研修」の三つのプログラムを職員へ提供することにした。このうち「生成AIリテラシー研修」と「Microsoft Copilot 実践研修」は全員参加の集合研修、「Microsoft Copilot 活用研修」は職員が自習するeラーニングである。

ユースケースを交流する庁内コミュニティーも誕生

研修の成果は着実に表れたようだ。研修期間終了時点で受講した職員にアンケートを行ったところ、「実際に業務で『Copilot』を使ってみたくなった」「もっと研修を続けてほしい」といった回答が多く見られた。吉留氏は、「研修を通じて、生成AIの必要性や、使いこなすことで自分たちの業務がいかに効率化できるのか、などへの理解が深まったのではないでしょうか」と語る。

eラーニングで行った「Microsoft Copilot 活用研修」は、研修期間が終了した9月末時点で、受講した職員のうち約6割が全プログラムの受講を完了している。これは自習型のeラーニングとしては非常に高い割合であり、いかに熱心な職員が多かったのかが分かる

研修の効果によって、庁内業務における『Copilot』の活用も順調に広がっている。

コンクリートの打ち放しやグレーの濃淡を基調とした「おもや」の内装。大きな天井面と仕切りのないオープンなスペースで、DXを推し進めながら市民へのサービス向上を目指す

市の広報紙に掲載する原稿の校正や議事録の作成など、さまざまな活用事例が報告されています。研修期間が終了した9月以降、Teamsを使った庁内コミュニティーが立ち上がり、それぞれの部局や課で試してみた活用方法を交流する動きも活発になってきました。ユースケースが増えれば、庁内全体の業務効率化が進んでいくのではないでしょうか」と吉留氏。

小笠原氏も、『Copilot』による庁内業務の効率化に期待を寄せている。「自治体職員の労働力が大幅に不足する『2040年問題』が取り沙汰されているように、この先、人手不足がますます深刻化し、生成AIを活用した効率化は不可欠になります。今後も研修を継続し、生成AIの使い手をもっと増やしていきたいと考えています」と語った。

同市はさらなる生成AIの活用促進を目的に、次のステップへの展開を計画している。自治体DXの一環として『Copilot』をさらに活用し、一層の業務効率化を進める方針だ。

大塚商会担当者からのコメント

「引き続き自治体DXの推進のための利用者向け研修をご支援します」

東京都府中市様は、今後さらに多くの職員の方へ『Copilot』の利用者向け研修を実施することを検討しています。当社も引き続き、積極的にご支援します。

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  • 印刷して会議資料に

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