ICTで教員の“働き方改革”を推進

負担が大きいテストの採点を最先端のシステムで自動化、教員が生徒に向き合う時間が増える

福岡市教育委員会 導入事例

官公庁・自治体1,001名~製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

福岡市教育委員会は教員が「大変負担が大きい」と感じていたテスト採点業務の負荷軽減のため、市内の中学校・高等学校にデジタル採点システム『リアテンダント』を導入。採点時間の大幅削減によって教員のワークライフバランスが改善されたほか、同市が目指す「教員が生徒と向き合える環境づくり」も前進した。

  • 業務効率の向上
  • 長時間労働の是正

福岡市教育委員会

導入先の概要

業種
教育委員会
事業内容
地域の学校教育、社会教育、文化、スポーツ等に関する事務
教職員数
約8,600名(2024年5月時点)
ホームページ
https://www.city.fukuoka.lg.jp/kyoiku/index.html

導入の狙い

  • テスト採点作業を効率化したい
  • 教育の質を向上したい
  • 採点後の点数の集計作業を効率化したい

解決策

  • 教員が手作業で行っていたテスト採点集計業務を『リアテンダント』でデジタル採点集計
  • 採点後に蓄積されたデータの可視化・分析により、クラス・個に応じた指導を支援

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
デジタル採点システムDNP学びのプラットフォームリアテンダント®-

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導入事例詳細

「福岡スタンダード」を掲げより良い教育を目指す

福岡市教育委員会がある福岡市役所のエントランスロビーでは、「博多織」をはじめ、「博多山笠」や「博多どんたく」などを博多人形で表現した展示を見ることができる

人口160万人の福岡市には小学校146校、中学校70校、高等学校4校、特別支援学校9校がある。その教育施策の立案・推進を担う福岡市教育委員会(以下、福岡市教委)は、教育の目標(めざす子ども像)として「福岡スタンダード」という三つの柱を掲げている。一つ目は、基本的生活習慣を基盤として、いきいきと学び遊ぶことを通して豊かな心・健やかな体を身につける「生活習慣の柱」。二つ目は、確かな学力を身につけ、主体的に行動できる「学びの柱」。三つ目は、チャレンジする意欲を持ち、将来の夢や希望に向かって粘り強く取り組む「未来への柱」である。

福岡市教育委員会 指導部 教育ICT 推進課長 永田 朗氏

「これらの目標を達成するため、学校現場と共にいじめ等の課題解決に積極的に取り組むこと、家族や地域の取り組みを支援すること、客観的な根拠に基づくPDCAサイクルを確立するとともに、真に必要な教育投資を実行すること、などの責務があると考えています」と語るのは、指導部 教育ICT 推進課長の永田 朗氏だ。

この考えの下、令和5(2023)年度以降は「確かな学力の向上」「いじめ・不登校等の未然防止・早期対応」「教員が子どもと向き合う環境づくり」などの施策に取り組んでいる。

生徒たちと向き合う時間を十分に取れないことが課題

「確かな学力の向上」のための取り組みとしては、データ駆動型教育への転換に向けて、各種教育データを可視化し、個別最適な学びと効果的な教育施策の立案等を推進するため『教育データ連携基盤』の構築に着手していると永田氏は説明する。また、「いじめ・不登校等の未然防止・早期対応」では、悩みを抱える児童生徒が1人1台端末(児童生徒1人に対し1台の端末)を活用して、オンライン上で相談ができる窓口を開設。さらに、不登校傾向や病院で入院している児童生徒に対しては、オンライン授業を実施している。

福岡市教育委員会 指導部 教育ICT 推進課 環境整備係 係長 伊藤 寛之氏

「オンライン授業は、コロナ禍による最初の緊急事態宣言が解かれ、学校が再開した2020年5月末から実施しています。全国の自治体の中でもかなり早い段階での取り組みでした」と語るのは、指導部 教育ICT 推進課 環境整備係 係長の伊藤 寛之氏だ。早期のオンライン授業開始や、オンラインでの悩み相談が実現できたのは、国の「GIGAスクール構想」に沿って「1人1台端末」の整備が完了していたからである。整ったICTインフラを積極活用し、教育を取り巻くさまざまな課題にスピード感を持って対応しようとする福岡市教委の前向きな姿勢が感じられる。

教員の業務負荷を減らしたい

福岡市教育委員会 指導部 教育ICT 推進課 環境整備係 久保 里紗氏

このように、生徒の学びの機会を奪うことなく、より深く学んでもらうためのICT化はかなり進んだが、一方で教員の業務改善につながるICT化については、まだ道半ばであると福岡市教委は認識していた。

「多くの先生が、教務だけでなく、さまざまな校務に時間を取られ、授業自体や生徒と向き合う十分な時間が取れないことを課題と感じていました。忙しい先生たちの業務負荷をICTの活用によって何とか減らしたいと考え、現場の声を基にソリューションの導入を進めています」と語るのは、指導部 教育ICT 推進課 環境整備係の久保 里紗氏だ。

そのソリューションの一つとして、福岡市教委が市内全ての中学校・高等学校に導入したのが、DNP(大日本印刷)のデジタル採点システム『リアテンダント』である。一般入札を行い、2023年3月に大塚商会を通じて導入することを決定した。「教員が子どもと向き合う環境づくり」という取り組みを前進させるため、ICTの力を活用することにしたのである。

解答用紙をスキャンするだけで選択式問題の解答を自動採点

『リアテンダント』の採点画面。同じ設問の各生徒の回答を一覧で表示することが可能。正答にクリックし一括で丸を付けたり、部分点対象の回答を並べて比較することもできる

『リアテンダント』は、教員が手作業で行っているテストの採点を自動で行ってくれる画期的なシステムだ。解答用紙を複合機等でスキャンし、データとして取り込めば、「ア、イ、ウ」「A、B、C」などの手書き文字を読み取って正解かどうかを判定。さらに、点数の合計まで行ってくれる。教員が内容を読んで採点する記述問題も、部分点対象の回答だけを並べて基準がぶれないように採点することもできる。選択式問題の採点については特に、かなりの省力化を図れるのが特徴だ。

導入のきっかけとなったのは、同市教育委が令和3(2021)年度に実施した「学校における働き方改革に関するアンケート」で、「成績処理関連」の作業が「特に忙しいと感じる活動内容」の上位に挙がったからだ。「小・中学校では1位、高校では2位となり、成績処理関連の一つである採点業務が教員の大きな負担になっていることが分かりました。その負担をデジタル採点システムで軽減すれば、教員の働き方改革に大きく寄与するのではないかと考えたのです」(永田氏)

計算間違いなどのヒューマンエラーも解消

実際、現場の教員たちは、テストの採点業務に相当な時間を取られていたようだ。

「定期考査(中間・期末テスト)のたびに全学年450人分の採点を行うのですが、1日3時間ずつ行って1週間はかかっていました」と明かすのは、福岡市立老司中学校(以下、老司中学校) 技術家庭科教諭の西本 豊氏だ。採点業務にこれほど長い時間を費やすと、他の業務にしわ寄せがくるのは言うまでもない。何より、「肝心な授業や生徒と向き合う時間がそがれてしまうことが大きな悩みでした」と西本氏は続ける。

また、手作業による採点は、計算間違いなどのヒューマンエラーが出やすいことも課題と感じていたという。「丸を付けた回答を数え、電卓で点数を合計していきますが、数が多い分、どうしてもミスが出てしまうこともありました。何度も計算することにも時間がかかっていました」(西本氏)

約85%の教員が採点業務時間が短縮されたと回答

(左)福岡市立老司中学校 保健体育科教諭 教務主任 松添 由幸氏
(右)福岡市立老司中学校 技術家庭科教諭 研究主任 西本 豊氏

そうした課題は、『リアテンダント』の導入によって一気に改善された。「以前は、2学年170人分の定期考査の採点を1日に3~4時間、3日がかりで行っていたのですが、リアテンダントを使うようになってからは、半分の1日半で終わるようになりましたおかげで家に作業を持ち帰ることがなくなり、家族と過ごす時間も増えています」と語るのは、老司中学校で保健体育科教諭の松添 由幸氏だ。

業務負荷の大幅な軽減は、ワークライフバランスの改善にもかなり寄与しているようである。「採点の自動集計機能によって、時間短縮とともに、間違いのない成績処理ができるようになったのもありがたいです」(西本氏)

現場で『リアテンダント』を活用する西本氏と松添氏は、その機能の優秀さや、使い勝手のよさも高く評価している。実は老司中学校では、福岡市教委からの手配で『リアテンダント』を導入する前に、別のデジタル採点システムを学校独自で導入していた。

「以前のシステムは、システムに合った決められた書式の解答用紙でしか採点できなかったのですが、『リアテンダント』は教員が自作する解答用紙を問題なく読み取ってくれます。また、どんな筆跡でもほとんどミスなく読み取る精度の高さも優れていますね」と西本氏は語る。

さらに『リアテンダント』は、問題ごとの回答状況を基に、生徒が十分に理解できていないのはどの内容なのかということも分析できる。児童生徒ごとに指導を行ったり、教え方そのものを見直したりするのに役立つそうだ。

福岡市教委の永田氏は、「『リアテンダントを利用した教員のうち、採点業務の時間が短縮されたと回答した教員は85%に上っており、業務効率化の成果は着実に表れています。今後は、データ分析を基に、より質の高い教育の実現につなげていきたい」と期待を示す。これからの成果にも、大いに注目していきたい。

大塚商会担当者からのコメント

「福岡市教育委員会様のさらなるICT活用の推進をご支援します」

福岡市教育委員会様からは、「各校に具体的な導入効果を伝え、さらなる活用を推進していきたい」というご要望をいただいております。大塚商会といたしましても、有益性のあるご提案をもって、引き続きご支援いたします。

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