大学事務部門の働き方改革

学生へのサービス向上のために導入したAIチャットボットが、大学事務職員の業務負荷も削減

日本大学経済学部 導入事例

学校1,001名~製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

日本大学経済学部では、学生に対するサービス向上の一環としてAIチャットボットを導入した。学生からの問い合わせの多くを占めていた定型的な質問への対応の自動化は、必要な回答を学生がすぐに得られる環境を実現したことに加え、事務職員の業務負担を軽減し、働き方改革の推進へとつながっている。

  • 業務効率の向上
  • 顧客対応の改善
  • 社内の情報共有

日本大学経済学部

導入先の概要

業種
教育
事業内容
大学の運営
教職員数
3,836名(通信教育部を含む全学部。2024年5月現在)
ホームページ
https://www.eco.nihon-u.ac.jp/

導入の狙い

  • 学生に対するサービスを向上させつつ、事務職員の働き方改革を推進したい
  • 問い合わせ対応を省力化したい

解決策

  • 問い合わせフォームで蓄積した質問を利用するAIチャットボットを活用
  • 専門チームへのアウトソーシングにより高品質なAIチャットボットの回答を実現

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
 たよれーる AIチャットボット
(ベーシックコース)
お問い合わせ
 トレーニングデータ作成代行サービス-

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導入事例詳細

大規模学部ならではの多くの科目数、一方で少人数制ゼミも充実

日本大学は1889年に創立した日本法律学校を前身とする総合大学だ。日本大学に改称した翌年の1904年に商科として開設された経済学部は、その特徴を一言で表すなら「大きくて、きめ細やかな学びの場」だろう。同学部の学生数は約6,900名(2024年5月現在)で、国内最大規模級の経済学部だ。経済学科・経済学科国際コース・産業経営学科・金融公共経済学科の3学科1コースが相互に関連しながら展開する科目数は200以上に達し、経済学・経営学・会計学・マーケティングといった専門教育科目から、語学や人文・自然科学などの総合教育科目まで多岐にわたる。自らの関心に沿って多様な科目を履修できる体制は、まさに大規模学部のメリットだ。

一方、100以上の中から選べる少人数制のゼミナールは、きめ細やかな教育の一例として挙げられる。多くの他大学とは異なり、日本大学経済学部のゼミナールは1年生から準備を始める。そして、2年生から4年生までの3カ年を通じ、平均12名の少人数による教育が受けられるのだ。

庶務課長 島田 裕司氏

このような学びの側面とともに特筆に値するのは、卒業生による校友会や後援会の活動の活発さである。コロナ禍における経済的なダメージは、多くの学生から学びの機会を奪いかねなかった。そうした中、同学部の校友会組織は後輩の危機を救うため、いち早くサポートに動いたという。庶務課長の島田 裕司氏はこう説明する。

「当学部では、以前から校友会・後援会のご協力の下、独自の奨学金制度を運営していますが、コロナ禍による困窮に直面する学生支援の呼びかけに応え、数百万円、数千万円単位で募金したOBやOGの方々が数多くいらっしゃいました。残念ながら、経済的な理由で退学する学生は少なくありません。そこで前学部長が、退学者数を年間100名以内にとどめることを大きな目標として掲げたところ、我々はコロナ禍で社会全体が危機にひんした中でも、その目標を達成しました。これも当学部の強みであると考えています」

学生へのサービス向上のためAIチャットボットに注目

教務課 主任 井内 浩貴氏

経済学部は、各種証明書の発行をオンライン申請し、学内設置の発行機やコンビニのマルチコピー機で印刷できる独自の仕組みや、スマートフォンによる出席確認など積極的にICTの活用を進め、学生へより便利なサービスを提供するよう努めてきた。そんな中、事務職員の業務で大きな割合を占める学生からの問い合わせへの対応の改善は大きな課題だった。その状況を教務課 主任の井内 浩貴氏が説明する。

「入試や講義に関する業務を担当する教務課の場合、入試時期とともに忙しくなるのが、学生が履修登録を行う4月です。例年、卒業式からゴールデンウィークまでの1カ月ほどは、朝から夕方まで窓口や電話による学生の問い合わせに追われる日々が続いていました。15名の教務課職員が半日にわたり息つく暇もなく業務に追われるようなことも珍しくなく、そんなときは喉がカラカラになるほどでした」

このような状態では、肝心の学生からの問い合わせに迅速に答えるのは難しいうえ、業務の集中により事務職員の負担も大きくなってしまう。「サービスの品質低下を回避しつつ、事務職員の業務を削減して働き方改革を進める」という、相反する課題の解決が求められた島田氏が注目したのは、しばらく前に大塚商会の担当者から提案された『たよれーる AIチャットボット』の活用だった。

「履修登録の支援や学生生活のサポートが、我々事務職員の重要な仕事であるのは間違いありません。しかし、問い合わせが10件あれば7件は同じような質問になるのに、事務職員は1件1件対応していたのが実情です。この7件をチャットボットに移行できれば、残る3件の学生を待たせることなく、より時間をかけて丁寧に対応でき、事務職員の負荷も軽減できるはず。当学部のチャットボット活用の試みは、このような考え方からスタートしました」(島田氏)

コロナ禍での問い合わせ情報を活用、必要な質問と回答を洗い出す

AIチャットボットの構築では、原則として質問と回答のセットをあらかじめ用意しなければならず、その準備に必要な作業工数は、チャットボット導入のハードルになっている。そうした中、同学部のチャットボット導入で大きな役割を果たしたのは、2020年に本格化したコロナ禍を受けて、急きょ開設したオンライン問い合わせフォームに蓄積されていた問い合わせ履歴だった。

「チャットボット導入が決定されたのは2021年秋で、2022年4月の運用開始を目標に構築を進めました。期間中には入試もあり、かなりタイトなスケジュールでしたが、問い合わせフォームに蓄積された数千件の質問は、チャットボットで対応すべき質問を整理するうえで大きな役割を果たしました。問い合わせ内容の精査によって抽出された約100種類の質問がなければ、スムーズな立ち上げはできなかったでしょう」と井内氏は当時を振り返る。

課題は他にもあった。チャットボットでは、一つの回答に対応する質問内容は必ずしも一つではない。そのため、一つの回答に10種類ほどの質問のバリエーションが用意されることが一般的だが、回答に基づき質問のバリエーションを考える作業は決して簡単ではない。その解決策として選択したのは、大塚商会が提供するアウトソーシングの『トレーニングデータ作成代行サービス』の活用だった。

「チャットボットを運用する当事者が質問のバリエーションを考えると、どうしても同じようなパターンに収まってしまう傾向にあります。外部の専門家に業務を委託できたことは、使いやすいチャットボット実現に大きな役割を果たしました」(島田氏)

回答への高い評価を受けて受験生向けサービスも開始

受験生向けの入試に関するAIチャットボットのスマートフォン画面。在学生向けチャットボットの好評を受け、1年後に提供をスタートした

2022年4月に運用をスタートした『たよれーる AIチャットボット』は、運用開始後、多いときには1カ月で5,000件以上のアクセスを達成。AIチャットボットには「グッド」「バッド」で回答を評価する仕組みが備わっているが、「バッド」の割合はサービス立ち上げ以来、8~9%の低水準を維持している。

「当初、『バッド』が2割を超えるようであれば、サービス提供そのものを見直す必要があると考えていました。ところが、ふたを開けると、明らかにいたずらと分かるものを含めても1割未満に収まっていた結果は、大きな自信につながりました。この流れを受け、1年後の2023年4月には、受験生や保護者を対象とする入試に関するチャットボットも開始しました」(島田氏)

学生課 主任 齊藤 晃子氏

約5,000件の問い合わせの全てがチャットボットだけで解決できたわけではないが、多くの問い合わせをチャットボットに誘導できたその効果は大きい。メリットを実感する一人が学生課 主任の齊藤 晃子氏だ。

「学生課は学生生活全般の相談窓口のため、『取りあえず学生課に相談してみよう』という学生が多く、相談内容に応じた各課への振り分けは、我々の仕事の一部になっていました。それもあって、以前はメールによる問い合わせ対応だけで毎朝1~2時間費やすことも珍しくなかったのですが、チャットボット導入後はこうした作業自体がほぼ不要になっています

就職指導課 課員 内 祐基氏

就職指導課の窓口。就職活動が本格化する3~4年生はもちろん、1~2年生からのサポートにも注力し、全学年対象のキャリアデザインセミナーなども実施している

同様に就職指導課 課員の内 祐基氏も、似たような状況がチャットボットによって改善されたと話す。

「例えば、成績証明書の発行は教務課の担当ですが、就職活動中の学生は当課に問い合わせるケースが多くありました。チャットボット運用開始後は、そういった本来は他部署が担当すべき問い合わせが当課に来てしまうことは確実に減少しており、マンツーマンの対応が必須の就職指導に専念できる時間が増え、チャットボットの大きな効果を感じています

授業料の支払いなどに関する相談に応じる会計課でも、問い合わせ数は大幅に減少したという。さらにチャットボットは働き方改革だけでなく、職員教育の観点でも大きな役割を果たしつつある。

「教務課へ新たに異動した職員は、窓口対応に求められる知識を学ぶ必要がありますが、問い合わせが多い質問を知ることで学生のニーズの把握が可能になりました。さらに、チャットボットの回答を作成する作業が職員教育にもつながり、大きな意義があったと感じています」(井内氏)

同学部では今後、さらなる学生サービスの改善を目指し、チャットボットの一層の品質向上を進めていく構えだ。

大塚商会担当者からのコメント

「AIチャットボット導入では、構築支援サービスにもご注目ください」

日本大学経済学部様から学んだのはサポートの重要性でした。『トレーニングデータ代行サービス』のご提案がスムーズな導入につながり安心しています。今後は、生成AI活用についてもサポートしていきます。

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  • 印刷して会議資料に

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  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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