M&Aを通じて縦割りの建設業界をBIMでつなぐ

建物の設計からメンテナンスまでを手がけるグループ企業が『Revit』を導入、BIMでつなぐ新事業展開を目指す

株式会社 長谷川建築企画 導入事例

建設業1~100名製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

株式会社 長谷川建築企画は、共同住宅の意匠設計で高く評価される設計事務所だ。2021年に『Revit』を採用して、BIM導入を開始した同社は、建築設計から施工、メンテナンスまでワンストップで対応するグループ企業と共に、既存建築の維持管理や再開発事業などもBIMデータでつなぐ取り組みを開始している。

  • 営業力強化
  • 人材育成
  • 事業価値の創造

株式会社 長谷川建築企画

導入先の概要

業種
建築設計業
事業内容
建築物の計画・設計・工事監理の請負、建築インテリアの計画・設計・工事監理の請負、建築コンサルティング
従業員数
15名(2024年3月現在)
ホームページ
https://h-ap.co.jp/
https://koyo-s-hd.co.jp/

導入の狙い

  • これから設計士が減少していく中で設計業務の効率改善と精度を向上したい
  • グループとして計画から維持管理までをBIMでつなぎたい
  • BIMリスキリングで人材採用したい

解決策

  • 推進チームを発足させ個別研修を実施
  • ストレスなくBIM運用できるワークフローやテンプレートを整備
  • 既存建物のBIMによる作図

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
BIMツールRevitお問い合わせ

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導入事例詳細

設計からメンテナンスまでワンストップでサービスを提供

光洋商事ホールディングス株式会社 代表取締役 CEO 川上 聡一朗氏

株式会社 長谷川建築企画(以下、長谷川建築企画)は、意匠設計に軸足を置き、大手デベロッパーを主体としたプロジェクトに参画する設計事務所だ。1990年の創業以来、特に都心部の賃貸・分譲共同住宅などの設計・監理を数多く手がけている。そんな同社の転機になったのは、M&Aによる2021年の光洋商事HDグループへの参入だった。グループ持ち株会社である光洋商事ホールディングス株式会社の代表取締役 CEOを務める川上 聡一朗氏は、M&Aの経緯と狙いをこう説明する。

「建築業界を巡る状況が大きく変わる中、長谷川建築企画の藤本社長が先を見据えた事業継承をお考えになっていました。その一方、私たちはグループ祖業であるビルメンテナンス事業のスケールを考えた際、大きな障害になったのは顧客との距離の遠さでした。施主が建物を建てる際、設計、ゼネコン、専門工事会社の順に声がかかり、われわれには建物が完成した後、大手ディベロッパーさんにひも付く管理会社などを経由してようやく声がかかることになります。こうなると顧客のニーズを的確につかみ、効率よく業務を遂行するのは困難です。そのため、グループ内に優れた設計事務所を持ちたいと以前から考えていました。ご縁があり、藤本社長とお会いできたことで、その希望が一気に実現しました」

グループは現在傘下12法人が建物に関わる主力6事業を展開。設計からメンテナンスまでワンストップで対応し、大手に負けないサービスを提供することを目指している。

グループの支援により全スタッフへBIMツール導入

株式会社 長谷川建築企画 代表取締役 社長(COO) 藤本 功氏

一方、長谷川建築企画がグループインを通して実現したいと考えたのは、生産性向上を通した事業の発展だった。課題が山積みする建築業界において、今後単独で成長を実現するのは難しいと判断したことがその理由である。

グループに入って3年半が過ぎた今、既に効果は表れ始めている。BIMツールを全社規模で導入することになった経緯を、代表取締役 社長(COO)の藤本 功氏はこう振り返る。

「近年、国によるBIM推進やメーカーによるファミリ整備もあり、あらためて弊社でも『Revit』でBIMにチャレンジする機会をうかがっていました。BIMツールは高価であるため、導入コストは大きなハードルではありましたが、川上氏と話し合い、『Revit』の導入が決定しました」

川上氏は、BIM導入を後押しした理由をこう説明する。

「ストック型ビジネスであるビルメンテナンス事業は利益が読みやすい一方、技術力向上のための投資が多くは必要とされません。それに対してフロー型ビジネスである設計事務所は常にリソースが求められ、中長期的な視野に立った判断は難しいという問題があります。実は、ストック型とフロー型のビジネスを組み合わせたいと考えていたことも、長谷川建築企画のような設計事務所をグループに招きたいと考えた理由の一つでした。そういう意味では、今回のBIMの取り組みはまさに渡りに船でした」

川上氏は即座に設計業務に携わる全スタッフへ『Revit』ライセンスを平等に提供。さらにBIM推進を目的とした専門部署が立ち上げられることになった。

BIM設計推進室を立ち上げ、マンツーマンの研修を実践

社内推進、作図、研究を担当する専門部署として設立されたBIM設計推進室(BIM Lab)の特色の一つは、社外でBIM推進経験がある人材を採用した点である。

「BIM導入における課題の一つに、属性情報の標準化があります。実施設計への移行では標準化が不可欠ですが、それを設計担当が行おうとすると負荷の増大に加え、知見の制約などさまざまな問題が生じます。そこでわれわれは外部からBIMのスペシャリストを招き、よりニュートラルな立ち位置で導入をリードしてもらおうと考えました」(川上氏)

執行役員 BIM設計推進室(BIM Lab) ディレクター  森 佳奈氏

白羽の矢を立てたのは、前職の建具メーカーで長くファミリ整備を担当していた執行役員 BIM設計推進室(BIM Lab)ディレクターの森 佳奈氏だ。森氏は2022年の入社以来、主にBIMによる社内標準化とその研修の実施に取り組んできた。

「2年前に設計部門全員を対象とした集団研修を週1回のペースで実施することからスタートし、半年ほど経過した後、参加者の習熟度に差が現れ始めました。スタッフが最も興味を持つのは、やはり手元の実案件にBIMがどう展開できるかです。全体研修でそうしたニーズに応えることが難しいと判断してからは、個別研修に切り替えました」

個別研修では基本となるマニュアルを設定したうえで、各スタッフの習熟度や担当する実案件に応じて研修内容を作成し、森氏自身がマンツーマンで対応している。

BIM設計推進室(BIM Lab) 主任 根本 颯真氏

BIM設計推進室(BIM Lab)主任の根本 颯真氏は、基本設計案件をBIMでチャレンジしている。

「『Revit』は修正内容を全ての図面に反映できるので、基本設計だけでもBIMで行うと変更が多い案件では特に作業対効果が大きく、BIMの情報連携に役立っていると感じています」(根本氏)

また、社内のBIM推進に関して根本氏は「設計者にはまずBIMのI(information=情報)とは何か、その情報をどうプロジェクトで運用できるのか、情報の重要性・有用性を理解してもらうことを最も大切にしています」と説明する。

大塚商会の電話サポートも頻繁に利用

根本氏が『Revit』を実案件で活用するうえで高く評価するのが、大塚商会のたよれーるコンタクトセンターの電話サポートだ。

「『Revit』は、CADとは操作性が大きく異なるため、スキルを身につけるのに初めは時間がかかりました。しかし大塚商会さんの電話サポートは、基本的な操作方法から実案件での応用方法まで幅広く対応してくれます。担当者のスキルや知識も偏りがなく、丁寧かつ迅速な対応にとても満足しています」(根本氏)

電話サポートは有償だが、BIMツールのみ導入しても使い方が分からなければ社内には一向に浸透せず、最悪の場合、導入自体を断念することも考えられる。その反面、同社は電話サポートを活用することで操作に悩む時間をなくし、社員の負担を解消してスムーズな導入に役立てているという。

『Revit』を用いた基本設計画面。ファミリやテンプレートなどを活用しながら、効率よく設計することが可能

変更時にもBIMモデルや平面ビューを編集することで、連動して面積の自動集計まで『Revit』内で完結。1ファイルでデータ管理が行える

改修 / PM / FM / BMでBIMを活用し、収益を上げる仕組みづくりへ

全社的なBIM推進に取り組む同社は、現時点の『Revitのメリットとして、施主への提案時における営業効果を特に強く実感している

「私の場合、基本設計に先立つボリュームチェックと呼ばれる段階を手がけることが多いのですが、『Revitで平面図を作成すると立面図やパース図に展開でき、施主への提案を効率よく、具体的に行えるようになりました。コンペ案件で提案に力を入れるのは当然ですが、計画を実施できるかどうかも不透明な段階であまり手間をかけるわけにはいきません。その段階でBIMによる提案を行うと、視覚情報の多さにやはり喜んでいただけます」(藤本氏)

既存建物を『Revit』でモデリングし、BIM化を行った例(屋内)

既存建物を『Revit』でモデリングし、BIM化を行った例(外観)

維持管理領域で新たなビジネスを検討

今後の展望として同社が挙げるのは、既存建物のメンテナンスや再開発事業へBIMを活用することだ。

「新築物件の件数が減少し、ストック件数が積み増しされる中、新築物件だけを前提にBIMを運用しては、マーケットのシュリンクは目に見えています。そこで注目したのが、建築時の図面がない古い建物の維持管理にBIMを活用する取り組みです。直近では、とある製パン工場を弊社がBIM化した案件があったのですが、お客様からは大変好評でした。当社としても、既存建物のBIM化を新たなビジネスとして立ち上げることを本格的に計画しています」(川上氏)

そして今後の事業拡大において、川上氏が大きな期待を寄せるのが大塚商会の協力だ。

「BIMの推進には、人的リソースにおいても、当社が得意としてきた共同住宅やオフィスビル以外の多様な建物に関する知見の観点でも、圧倒的にリソースが不足しているのが実情です。さまざまな企業との協業を模索している段階ですが、大塚商会さんのネットワークを生かすことで、収益を上げる仕組みづくりへつながることを期待しています」(川上氏)

大塚商会担当者からのコメント

「BIMの新規事業に向けた先進的な取り組みを積極的に支援します」

株式会社 長谷川建築企画様の取り組みは、近年注目されるスマートシティや既存建築のBIM化事業に関わる、とても興味深い事例です。大塚商会としても、その先進的な取り組みを積極的にご支援していきたいと考えています。

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  • 印刷して稟議書に添付して
  • 印刷して会議資料に

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  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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