3Dレーザースキャナーで構造物の計測効率が向上

補修・補強業務の専門家集団が3Dレーザースキャナーを導入。素早く正確な構造物の計測を実現

保全技術株式会社 導入事例

建設業1~100名製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

構造物の長寿命化やライフサイクルコスト削減に向け、予防保全という考え方が注目されている。建設コンサルタントによる保全計画立案をサポートする補修業務の専門家集団である保全技術株式会社は、構造物の計測に3Dレーザースキャナーを活用。計測漏れという課題の解決と計測業務の大幅な改善を実現している。

  • 業務効率の改善
  • 生産性向上
  • コスト削減

保全技術株式会社

導入先の概要

業種
建設業
事業内容
点検・調査・診断およびコンサルティング業務、各種試験・分析業務
従業員数
23名(2023年8月現在)
ホームページ
http://www.hozen-g.co.jp/

導入の狙い

  • 補修計画の前提になる計測を効率良く行いたい
  • 計測漏れなどのヒューマンエラーを減らしたい

解決策

  • 処理速度や機動性が優れた3Dレーザースキャナー、大規模点群編集ツールを導入する

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
3DレーザースキャナーLeica RTC360お問い合わせ
大規模点群編集ツールWing Earthお問い合わせ
 Cyclone REGISTER 360 PLUS-
建築3次元CADAutodesk Architecture, Engineering & Construction Collection(AECコレクション)お問い合わせ

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保全技術株式会社 導入事例(PDF:3,638KB)

導入事例詳細

「予防保全」の取り組みを支援する専門家集団

保全技術株式会社(以下、保全技術)は2011年の設立以来、予防保全の観点から構造物の長寿命化に取り組む企業だ。「予防保全」とは、設備や使用される部品の耐用年数・耐用時間などを定め、一定年数が経過したらトラブルが起こらないうちに不良状態ではなくても交換するという保全方法だ。近年、高度成長期に建設された橋梁(きょうりょう)などが一斉に耐用年数を迎える中、長寿命化を目的に適切な診断に基づく計画的な補修を通して、構造物のライフサイクルコスト削減も図っていく。

代表取締役社長 技術士(建設部門) コンクリート診断士 真下 清孝氏

代表取締役社長 技術士(建設部門)、コンクリート診断士の真下 清孝氏は同社の取り組みをこう説明する。

「老朽化した構造物に問題が発生した後に補修工事を行うと、維持管理コストが一気に跳ね上がります。それに対し、計画的に補修を行うことでトータルコストを低く抑えるとともに、長く安全に使い続けるというのが予防保全の基本的な考え方です。国や都道府県、政令指定都市レベルでは一般的になっているものの、市町村レベルではまだまだ取り組みが遅れているのが実情です。市町村が管理する橋梁数は、数量では全体の6割を占めることもあり、こうした状況を変えていくことが大きな課題になっています」

売り上げベースでは、建設コンサルタントの補修設計業務の支援が約8割、親会社であるショーボンド建設株式会社の調査、計測関係業務アウトソーシングが約2割。そのほか、コンクリートや各種樹脂の強度試験・分析も手掛ける。

技術部長 RCCM(鋼構造およびコンクリート) コンクリート診断士 石井 修氏

建設コンサルタントの業務支援における同社の強みとしてまず挙げられるのは、補修・補強業務の現場経験に基づく技術力だ。技術部長 RCCM(鋼構造およびコンクリート)、コンクリート診断士の石井 修氏は言う。

「建設コンサルタントは調査に基づき補修計画を立案しますが、実際の補修工事そのものに関する知識はあまり持ち合わせていないのが一般的です。コンクリートを削孔(さっこう)し、接着剤を注入して鉄筋を固定するという作業一つ取っても、関連する知識がなければ施工図面の作成は困難なのです。補修工事の現場を熟知する当社であれば、『こうすればスムーズに作業が進みます』というアドバイスも可能です。こうした、専門家と実績に基づく補修計画の立案ができることは、当社の最大の強みと考えています」

計測精度の向上を目指して、3Dレーザースキャナーを導入

補修設計支援の第一歩が、橋梁をはじめとする各種構造物の計測による現状把握である。設立当初、同社は計測をコンベックスメジャーを使って行っていたが、測り忘れはベテランスタッフをもってしても起こってしまっていた。こうした課題を解決すべく導入したのがハンディ型3Dレーザースキャナーだった。

「導入は7年ほど前のことです。試験導入という意味合いも大きかったのですが、当時は計測可能な距離が2、3メートルにとどまるなど使い勝手という面で制約を強く感じ、2019年にあらためて3Dレーザースキャナー導入を検討することにしました」(真下氏)

同社の3D計測に携わってきた技術部 上野 眞子氏は従前の課題をこう振り返る。

技術部 上野 眞子氏

「ハンディスキャナーは装置を手で持って操作する必要がありますが、ハンディとはいえそれなりの大きさがあり、使いづらさを感じることが少なくありませんでした。橋梁の支承(ししょう)とその周辺を計測する際などは作業スペースが狭いこともあり、計測はとても困難でした。また以前のスキャナーは砂ぼこりや湿気に弱く、雨天には利用できないなど、使える場面が限られていたことも問題点の一つでした」

候補として挙げた3製品を比較検討したうえで同社が選定したのが、3Dレーザースキャナー『Leica RTC360』だった。

最も高く評価したのは現場での点群取得速度の速さでした。従来のレーザースキャナーだと7~8分掛かった作業がわずか1~2分で終えられることは大きな魅力です。社内で機種選定を進めたうえで、以前から取引のある大塚商会さんの展示会で初めて実機に触れたのですが、その際にまず驚かされたのも点群取得速度の速さでした」(真下氏)

さらに同社は大規模点群編集ツール『Wing Earth』を併せて導入。『Leica RTC360』を起点とする点群測量をスムーズに実施するための体制を整えた。

計測が困難な場所・場面でも測定可能な柔軟さ

『Leica RTC360』を使用した計測の様子。三脚の種類も豊富にあり、状況によって柔軟に使い分けている

計測業務を担当してきた上野氏が『Leica RTC360』のメリットとして注目したのは、三脚に限らず、多様な固定方法に柔軟に対応できる点だった。

「計測場所によって三脚を使い分けており、構造物から吊り下げて計測を行うなど、多様な使い方に対応できるのも『Leica RTC360』を高く評価したポイントです。以前であれば主桁(しゅげた)などの橋梁上部工部材を計測したい場合、高所作業車や橋梁点検車を手配する必要がありましたが、そうした手間が不要になる意義はやはり大きいと思いますね」(上野氏)

また『Wing Earth』は3D点群データのスムーズな情報共有において大きな役割を果たしている。

『Wing Earth』で作成した断面図の画像は、ハイスペックPCがなくてもデータを確認できる

「当社は現在、基本的には『Leica RTC360』標準の点群データ合成処理ソフトウェアである『Cyclone REGISTER 360 PLUS』でデータを管理し、それを『AutoCAD』に取り込んでいます。その作業自体はスムーズに行われているのですが、3D点群データ処理にはハイスペックPCが必要になる関係上、一般的なPCを使うユーザーのデータ活用は制約が多いのが実情です。『Wing Earthは、例えば3D点群データを任意の位置と幅で切断し、断面の画像として出力してユーザーに提供するなど、よりスムーズなデータ利用に活用しています」(上野氏)

計測に要する時間や作業車などの手配コストを縮小

『Leica RTC360』の導入効果としてまず挙げられるのは、計測に要する時間の大幅な削減だ。「コンベックスメジャーによる計測は、2人組で行う必要があります。ハンディスキャナーは一人作業を可能にしましたが、計測範囲が2、3メートルということもあり、繰り返し計測するため時間短縮にはつながりませんでした。しかし『Leica RTC360であれば、これまで2名で4時間かかっていたような計測が、1名で2時間という短さで終えられるようになり、計測漏れも発生しません。また、橋梁の縦断勾配、横断勾配が1回のスキャンで計測できるようになったことも大きなポイントです」(真下氏)

3D点群データは、取得ポイントが離れすぎると精度低下につながる。そのため、タブレット端末とのデータ連携により、その場で点群データを確認できる点を同社は高く評価する。

『Cyclone REGISTER 360 PLUS』の画面上で各所の正確な計測を実現

『Leica RTC360』に特殊治具(じぐ)を付けることで、作業が困難な高所などでの計測が可能

「特に計測ポイントがiPad上で把握できることは精度の向上と共に、以前からの課題である測り忘れの解消にも大きな役割を果たしています」(上野氏)

『Leica RTC360』で取得した線路周辺の点群データ

さらに高所作業車や橋梁点検車を使わずに計測できるようになったことは、コストという観点でも大きな成果につながっている。「高所作業車やそれに伴う交通誘導作業員の手配が不要になったコスト面の効果は大きいですね。鉄道跨線橋(こせんきょう)の場合、深夜のき電停止(架線に流れる電流の停止)を待った上で作業を行う必要がなくなりました」(真下氏)

電子機器の防塵(ぼうじん)・防水規格であるIP54に準拠する点も評価するポイントだ。「以前の機器と違い、天候を問わず使えるようになった点も大きいです。作業できる日が限られている現場も珍しくないため、当日に雨が降っても計測できる本機器にはとても助けられています」(上野氏)

導入製品を施行業務の領域でも活用予定

今後の展望として同社が挙げるのは『Wing Earth』の本格的な活用、そして3D点群データとAECコレクションに含まれている『Civil 3D』『Revit』『Navisworks』との連携による新たな価値の創出だ。

「当社の場合、保守関連の業務が多いわけですが、3D点群データによる現況把握は、既存構造物に新たに部材を取り付ける際の干渉チェックにも活用可能です。まずはそのあたりから新たな取り組みを始めたいですね」(真下氏)

コンサルタント業務支援にとどまらない活用も、今後の目標の一つだ。

「現在はコンサルタント業務のサポートが中心ですが、『Leica RTC360』は施工レベルの精度の計測が可能です。コンクリートはく落防止対策の施工範囲確定や高速道路の伸縮装置の計測などを現在行っていますが、さらに活用の範囲を広げていきたいと考えています」(上野氏)

大塚商会担当者からのコメント

「建設業界の最新ニーズに対応した提案をいち早く、確実に行っていきます」

BIM/CIMデータの管理や業務へのAI活用など、建設業界のDXはまさに待ったなしという状況です。大塚商会は建設業の皆様が直面する課題解決に、一つ一つ確実に取り組んでいきます。

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  • 印刷して稟議書に添付して
  • 印刷して会議資料に

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