福祉機器の設計と解析業務が飛躍的に改善

3次元CADで車いすや義足を設計。解析ツールも活用して品質を高めつつ、リードタイムや開発期間の短縮も実現

株式会社今仙技術研究所 導入事例

製造業1~100名製品の導入・活用支援営業・業務プロセス効率化

福祉機器の研究開発と製造販売を行う岐阜県各務原市の株式会社今仙技術研究所は、電動車いすや骨格構造型義足などの設計に3次元CADを活用。経験者でなくても手軽に扱える統合解析ツールも駆使して製品の耐久性や安全性を高めるとともに、開発期間や試作コストも大幅に短縮している。

  • 業務効率の向上
  • 生産性向上対策
  • リードタイム削減

株式会社今仙技術研究所

導入先の概要

業種
研究開発、製造
事業内容
福祉機器(電動車いす・骨格構造型義足・その他)の研究開発および製造販売、 電気・機械応用製品の研究開発および製造販売
従業員数
43名(2022年8月現在)
ホームページ
https://www.imasengiken.co.jp/

導入の狙い

  • 煩雑な設計業務の効率を高めたい
  • 設計した製品の強度などを解析したい
  • 解析データを生かしてシミュレーションをしたい

解決策

  • 3次元CADソフトウェアを導入して2D設計を3D設計に変更
  • 解析ツールの活用で強度分析やシミュレーションができる環境を構築

導入したメリット

導入システム

製品カテゴリー製品名・型番お問い合わせ
3次元CADソフトウェアSOLIDWORKS Standardお問い合わせ
SOLIDWORKS Premiumお問い合わせ
SOLIDWORKS Simulation Professionalお問い合わせ

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導入事例詳細

高度な研究開発力と技術で、障がいを持つ人の生活をサポート

大塚 滋氏

LAPOC事業部 LAPOC技術課 LAPOC技術係
係長 大塚 滋氏

株式会社今仙技術研究所は、電動車いすや骨格構造型義足などの研究開発と製造販売を行う福祉機器メーカーだ。その歴史は、1971年に自動車部品メーカーの株式会社今仙電機製作所内に医療器部が設けられたことに始まる。同年、日本初の電動車いすを発売したのに続き、義足や義手などを次々に開発した医療器部は、1982年に今仙電機製作所から独立。「日本の生活様式に合うものをMade in Japanのクオリティで生み出そう」という理念の下、日本人の体形や住環境に適した安全で扱いやすい製品づくりに徹(てっ)してきた。

2011年には、航空機や自動車関連部品などの製造が盛んな岐阜県各務原市に社屋を移転。地域の製造企業から協力を受けられる環境を得て、その開発力に磨きをかけた。LAPOC事業部 LAPOC技術課 LAPOC技術係 係長の大塚 滋氏は「近年では、障がい者スポーツ振興に寄与するスポーツ用義足板バネの研究開発にも注力するとともに、初心者向けのレクリエーションスポーツ義足の販売なども行っています」と語る。

設計を2Dから3D に変更し、開発に要する期間を大幅に短縮

『SOLIDWORKS』の設計画面では実際の製品に近いビジュアルを確認できる。これにより、以前よりもお客様とイメージの共有がしやすくなったなどさまざまな効果が出ている

同社が車いすや義足の設計に用いているのが、3次元CADソフトウェアの『SOLIDWORKS』だ。導入したのは2002年。2Dによる設計では各部位の断面図を描いたり干渉チェックをしたりするのに多大な労力と時間を費やしていたが、『SOLIDWORKSによってその作業が大幅に省力化され、設計に要する期間が半減した。また、3Dモデルの重要な場所だけに寸法を記入して協力会社にデータを渡すだけで依頼内容が容易に把握できるようになり、外注した部品が納品されるまでのリードタイムも約1カ月から約2週間に短縮されたという。

設計品質をさらに高めるべく解析ツールを導入

中西 快夫氏

EMC事業部 EMC技術課 EMC技術係 係長 中西 快夫氏

電動車いすのオーダー品は、同社や代理店の営業担当者を通じてユーザーの体形や使い勝手に関する要望が吸い上げられ、それに基づいて設計担当者が標準製品の部品を一部アレンジすることで製作される。電動車いすであれば、標準モデルをベースとして上部フレームを体格に合わせて仕様変更を行い、コントローラーを最も操作しやすい位置に配置するなどの調整が行われる。一方、義足は設計した製品が全国の義肢製作所でモジュール部品として使用されるが、製品化前後で試作品を製作し、問題なく使用できるか検証するケースが多い。

EMC事業部 EMC技術課 EMC技術係 係長で、電動車いすの設計をしている中西 快夫氏は、「電動車いすのオーダー品をサイズ変更するときは、コンフィギュレーション機能を使うと複数の類似部品を一つのファイルで管理することができるので重宝しています」と、『SOLIDWORKS』の有用性を語る。

「以前は試作品の製作も協力会社に依頼していましたが、『SOLIDWORKS』と3Dプリンターとの親和性が良いことが分かってからは、設計したデータを3Dプリンターで出力して内製することが多くなりました。外部に発注する場合と比べ、よりスピーディーに、低コストで試作することができています」(大塚氏)

そうした設計業務のさらなる効率改善と製品の品質アップを図るべく、同社は構造解析ツールと機構解析ツールを備える『SOLIDWORKS Simulation』を新たに採り入れた。

『SOLIDWORKS Motion』で耐久試験の条件抽出をすることで、事前にジグの仕様、試料にかかる負荷を予測。動作中も条件を再確認しながら内容を精査できる

成形品の厚みを3D解析して計測機器で測れない箇所の厚みを把握。厚みを客観的に見える化することで安定した品質で試作、製造を実現している

『SOLIDWORKS Simulation』を利用し、CFRPなど特殊材料で設計された部品の荷重に対する変形の傾向を予測。分析を通じて、より信頼性の高い開発が可能となった

直感で理解できるUI。テレホンサポートで疑問を即解決

後藤 浩之氏

EMC事業部 EMC技術課 EMC技術係 後藤 浩之氏

『SOLIDWORKS』を設計業務に長年利用し続けている理由、そして設計した製品の強度などを検証する『SOLIDWORKS Simulation』の導入の決め手は、熟練した技術を持たない設計者でも扱いやすい操作性である。

「電動車いすや義足の機構系設計者となる社員は、入社するとすぐ『SOLIDWORKS』の研修を受けます。初心者でも直感的に理解しやすいUIなので、どの社員も2~3カ月程度で基本操作を覚えられます。分からないことがあれば、大塚商会さんの『たよれーる CADテレホンサポート サービス』へすぐに問い合わせできるのも心強いです」と、EMC事業部 EMC技術課 EMC技術係で電動車いすの設計に携わる後藤 浩之氏は語る。

多様な解析データから、自在なシミュレーションが可能に

解析動画では中央列の2輪が浮いていることや設定した条件では坂に進入できないことを確認。ほかにも坂道への進入から走行がスムーズにできることもシミュレーション可能

『SOLIDWORKS Simulation』が同社にもたらした最大の効果は、義足の耐久試験をする際の適切な条件抽出や、計測機器では測定できない箇所の厚みの把握など、分析動作にまつわる解析シミュレーションが手軽に行えるようになった点である。

「義足の部品は、使用しているうちに負荷がかかり続け破損してしまうことがあります。それを回収して構造解析でも解析することで同様の負荷を受けても破損しない強度に仕様を変更し、強化するのに役立てています」(大塚氏)

「使用中に部品が破損することがあるのは電動車いすでも同じです。電動車いすではユーザーごとに負荷のかかる場所が変わるので、あらゆる可能性を想定しながら破損が起きにくい設計開発に努めています」(中西氏)

このように『SOLIDWORKS Simulation』の解析ツールは、義足や電動車いすを製造するうえで何よりも重視される安全性を高めることに大きく寄与している。

6輪型電動車いすの開発にも活用

2020年5月、同社は6輪型電動車いす『LGS-TR1 Light6』を発売した。電動車いすとしてポピュラーな4輪型の製造経験しかなかった同社が6輪型を手掛けたのは今回が初めてである。6輪型の電動車いすは、4輪型より小さな力で転回が可能で、小回りも利くのが利点だ。

しかし、6輪型電動車いすの車輪は2輪ずつ3列に配置されているため、坂に差し掛かったとき駆動輪である中央列の2輪が地面から浮いて空転してしまうという課題に直面。そのままでは坂道に進入できず、凹凸のある路面もスムーズに走行できない状態であったと開発担当の後藤氏は言う。

「この問題を解消するため、段差に車体が乗り上げたとき、前輪、駆動輪、後輪にどれだけ荷重がかかるかを多角的に解析し、サスペンションやダンパーを設けることで、安全性を確保しました」(後藤氏)

シミュレーションはあくまでも机上の想定で、電動車いすが実際にどんな挙動を示すかは実機で試験しなければ確認できないが、動きの傾向をつかめるだけでも大きな意味がある。『SOLIDWORKS Simulation』の解析データからシミュレーションして動きをある程度予測することで、以前なら3回行っていた試作回数を2回に減らすなど、開発に要する時間とコストを削減する効果を得ていると後藤氏は言う。

別部門とのデータ共有なども図りたい

設計業務をさらにスムーズに行うため、同社は3Dの設計データを営業部門などにも共有できるよう検討している。

現状ではオーダーで設計した電動車いすについて、全体図を紙に印刷して営業担当者に渡し、ユーザーに確認してもらう工程を挟んでいるが、納品された製品がユーザーのイメージと異なっていることもまれに発生する。場合によっては設計をし直すこともあるが、営業担当者がタブレット端末などでよりリアルな3Dモデルをユーザーに事前に示せれば、そうした事態を招くことを防げる可能性が高い。

また、数年のスパンで更新される義足や電動車いすの標準モデルの開発や個々のユーザーの買い替え・修理に伴う部分修理には、蓄積された過去の設計データを活用することが多い。そのような設計データの版管理を合理的に行うことも重要な課題と捉え、そのためのノウハウなどもぜひ提供してほしいと、三氏は大塚商会への期待の言葉を述べた。

大塚商会担当者からのコメント

「設計業務のさらなる効率アップをご支援します」

株式会社今仙技術研究所様は、障がいをお持ちの方にとってなくてはならない企業です。その業務に欠かせない3次元CADソフトウェアの活用レベルをさらに高めていただくため、引き続き全力でサポートさせていただきます。

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  • 印刷して稟議書に添付して
  • 印刷して会議資料に

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  • * 本事例中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞などは取材時点のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

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